西澤保彦のレビュー一覧
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とある夜の別荘に殺意が集ってしまう、、、というお話(?)。
何故か連鎖的に殺人が発生してしまい、決してやっていない殺人を自ら解明しようとしてさらなる事件が発生し、また別の場所の別の事件もあり、収束していくが謎が残り、最後にわぁっ、となった。
最後までなんだか変だぞと思いながら読み進め、最後の最後でどかぁんと見事にそう思い込まされていたことを知り、そういうことだったかぁ、となった。
そんな記述はなかったか、と確認のためにももう一度読み返してみないとなと思いました。
こういうどんでん返し作品、好きだわぁ。
ということで、再読。
さーっとそういう記述は確かになかったことを確認。それと同時に散らされていた伏線と、しょっぱなから思いこまされていたことを痛感。鮮やかな叙述トリック(?)でありましたなぁ。 -
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至近距離で向かい合う二棟の八階建てのマンション。住民たちからは『双子ロータ』と呼ばれるマンションの片方の棟で起こった殺人事件。被害者は今年の二月に反対側の棟の住人に不自然な住居の交換を申し出ていたという。かつて教師をしていた還暦過ぎの男は何故、殺されたのか。反対の棟で起こった九年前の事件と今回の事件を、一本のマニアックなホラー映画のDVDが繋いでいく――「此のすべて鏡像なる世界」
ということで帯を見てびっくりしたのですが、『腕貫探偵』シリーズも誕生20周年みたいです。大変個人的な思い入れで恐縮なのですが、ちょうど自分がミステリにのめり込みはじめた時期がこの辺りなので、なんだか感慨深さがありました。
本作に収録されているのは、「すべてその場の勢いで」「双死相殺」の短篇二本と「此のすべて鏡像なる世界」の中篇一本で、特に印象的なのが、ラストの中篇でした。『分かりやすさ』から背を向けた複雑な人間模様と倒錯した心理によって生まれた二つの事件が、推測を経て綺麗に繋がり、美しい結末を迎えます。 -
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狂気的な〈美〉の謎が解き明かされる時、意外な真相が浮かび上がる……かと思いきや。ということで本作は、最初から読者に犯人が提示されている、いわゆる〈倒叙ミステリ〉のような体裁を取っているのですが、どうもそんな感じがしない。
印南野市で起こる連続女性殺人事件、自らの犯行を誇示するかのようにわざとらしく残された指紋……著者の作品だと『殺す』や『狂う』などを思わせるような展開で進んでいくのですが、似ているようで、でも最後まで読むと、全然違うタイプの作品だったことが分かります。かなり異端な作品と言ってもいいかもしれません。たぶん0点か100点か、かなりひとを選ぶ内容だなぁ、とは思いますし、気軽に薦めにくい作品ではあるのですが、私はこういうのが大好きなので、100点側で。 -
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ネタバレいやはや………
面白いッッ!!!!!!
伏線に伏線を広げて全て回収していく、
どんでん返される艶やかな流れに思わず笑みが溢れる…
舞台が待ったなしミステリ大好きシチュに加え、
キャラクターの感情や思考のリアルさ&
まさかの出だしから皆死んでいるという有り様。
めちゃくちゃ面白そうすぎる。
そして別の場所で起きているもう一つの事件…
警察が警察としてあるまじき事をしたきっかけで、自ら更なる混沌に身を投じていく…
どちらも続きが気になりすぎる展開なんだよなぁッッ
個人的には、最初から最後まで
点が線になっていく過程を楽しんで読破できた。
久々にミステリの面白さを実感して、
どんでん返しや突拍子もない設定は
やはり醍醐味だなぁと膝を打つのであった…
西澤保彦先生の作品を他にも読んでみたい!!!と感じる面白さなのであった!
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「確定している未来の事象を事前に幻視する」予知夢を見る能力を持つ久志本刻子と甥の素央は、謎の殺人鬼による一族に起こった惨劇を夢に見る。未来は変えられるかもしれない、と一縷の望みをかけて惨劇の場に顔を出さない、という選択をした素央の行動によって、惨劇は回避された。何故、惨劇は回避されたのか。ふたりはお互いに見た夢の答え合わせをはじめるのだが――。
というのが、本書の導入。他の能力では代替できない『予知夢』だからこその『殺人』の形を描いた傑作だと思います。個人的には著者の作品群の中でも、かなり好きな作品です。一筋縄ではいかない複雑な構成によって放たれるラストの強烈な一撃にミステリ的な快感を覚えると同時に、『らしさ』全開の人間心理のどうにもならなさを浮かび上がらせて魅力的です。このラストの『動機』は、西澤保彦作品でしか味わえないものではないかな、と思います。構造はどこまでも美しく、心はどこまでも歪な世界に、あなたもぜひ絡め取られてみてください。 -
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十二月の終わり、その年、五十歳を迎える大学教員の古徳は、学生時代の同級生である早稲本と再会する。古徳にとって早稲本は旧友でありながらも、ひとりの女性を巡って因縁があり、再会が必ずしも喜ばしいものではなかった。一緒に酒を飲むことになったふたりは、気付くと二十八年前の世界にタイムスリップしていた。実は古徳には様々な条件が重なることで、タイムスリップできる体質を持っていたのだ。過去に戻った早稲本は、ずっと抱えていたある疑念を古徳にぶつけるのだが……。
本作はタイムスリップ能力を持った男を主人公にした連作集になっています。過去に戻れるという能力を有している、と言っても、自由自在に行き来できるわけではなく、条件や制約も多く、お得な能力とは必ずしも言えなくて、そしてその厄介さがミステリ部分と密接に絡んでいるのが楽しい作品です。
屈折した家族の関係、他人には言えない秘密の共有、ずっと隠してきた想い。様々な感情をのみ込みながら、たとえそこに欠け落ちたものがあったとしても、未来への光を提示しようとする意志を感じるラストがとても愛おしい作品でした。 -
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狂う。なんて魅力的なタイトルだ、と初めて見た時、そんなふうに思いました。単行本時のタイトルは『彼女はもういない』。内容を考えると、どちらも作品には合っているのですが、個人的には『狂う』のほうが好きです。
鳴沢文彦は母校の同窓会名簿の改訂版を見たことをきっかけに、爆発的に憎悪が醸成されるようになった。かつてともにバンドのメンバーだった奏絵の連絡先が空欄になっていたのだ。この出来事をきっかけに鳴沢は自分の得た遺産を目当てにする甥を利用して、凶行を重ねていく。
『狂った』としか思えない行動の、『動機』だけは不明瞭なまま。どんなに他人からは理解されなくても、当人には当人なりの論理が大抵、あったりするものです。狂った犯罪の動機を論理で解き明かした時、立ち上がるのは、さらなる狂気的な真意。虚しくも哀れで、もちろん到底許せるものでも理解できるものでもないのだけれど、その姿にどこか切なさも感じてしまいました。 -
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異様な遺体となって見つかる女子高生、常軌を逸した行動を繰り返す刑事。被害者たちの共通点が分かるとともに、やがて明らかになる犯人の意外すぎる動機。ということで、西澤保彦『殺す』は、元々のタイトルは『猟死の果て』で、どちらであったとしても、過激さを感じるタイトルですが、内容も名前負けしない異様さを持っています。
心の歪みが暴走するとともに、周囲にいた者たちまでもがおのれの闇をさらしていく。これは怖い。そして露悪的にデフォルメして描かれているように見えて、必ずしも、「いや、こんな奴おらんやろ」と言い切れないものを感じてしまうことに、さらなる怖さがあります。 -
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著者がかつて書いた作品の中に、『七回死んだ男』という作品があります。遺産相続をめぐる騒動の中で死んだ祖父の死を回避するために、同じ一日を何度も繰り返す少年の奮闘を描いた著者の代表作です。
ふと読みながら、『七回死んだ男』を思い出したのは、本作も家族の死を回避しようとする男の物語だったからかもしれません。だけど死を止めたい理由が独特と言えば独特ではあります。突然、現在の姿のままタイムスリップした男が死を止めたかったのは、姉のため。女性しか愛せなかった姉はそのことで反発し合っていた昔気質の父親が殺されたことがきっかけで、望まぬ結婚をし、望まぬ人生を歩んでしまったからなのです。
家族をめぐる物語としても、愛の形をめぐる物語としても深い余韻を残す物語です。もしかしたらミステリ的には『ここまで踏み込んで欲しかった』と思うひともいるかもしれませんが、清冽な語りと心理描写にはそれを補って余りある魅力があります。
西澤保彦さんは私がたぶんもっとも作品数を読んでいる作家さんだと思うのですが(40作前後)、その中でも個人的な好みでは、すごく上にくる作品でした。それはそれとして一個びっくりしたことがあるとすれば、本作、二十年くらい前に集英社から出てた時のタイトルは、『異邦人』で、どっちが良いかは好みの問題とは思いますが、別の作品だと勘違いしないように気を付けたほうがいいかもしれません。 -
匿名
購入済み設定がワクワクする
SF×クローズドサークルミステリ。
こういうジャンル大好きですが、やっぱり面白かった!
ハイペースで人格が入れ替わるところは少し混乱したけれど、
図もあるし、説明も丁寧なので乗り切れました。
理屈が納得出来たし、読後感も爽やかで、読んで良かったと思いました。