西澤保彦のレビュー一覧

  • 人格転移の殺人

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    ミステリーとしてはもちろんだけど、SF小説にまで興味が湧く面白さ。

    読後、茶筒のようなその筐体(人格交換装置)がじわりじわりと存在感を拡げてくる。

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    2021年04月11日
  • 麦酒の家の冒険

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     昔はビールといえばヱビスじゃなきゃ、とか生意気云ってる20代だったけれどすっかり黒ラベル派です。そうするとぎっしり詰まった冷蔵庫開けても黄金色の光、とはならないのか……黒バックのゴールドスターがずらりと並んでるのも壮観だとは思うけど、でもロング缶詰め込むならきっと寝かすよね。そうするとヱビスだとしてもそんなに黄金色になるのか?
     試してみようかなえへへ←


     はい、少し遡ってレヴュです。
     所謂『nine mile walk』をこれでもか、と長編にしたような作品。とはいえ現地で49本もヱビス呑んでるんだから全然安楽椅子探偵してないけど。
     そのあたり酩酊探偵シリーズの、ある意味御挨拶

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    2021年04月03日
  • 悪魔を憐れむ

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    ネタバレ

    ――


     酩酊探偵シリーズもここまできました。
     なんだか人生見てる感じがしてきて感慨深いですよ僕は…

     それぞれの形、というのを持っていると、シリーズでも何でも飽きずにしっかり読めるものです。
     同じような、って飽きる場合もあるんだろうけど。
     中心にテーマを置いて、その周辺をぐるぐると、回っているのがひとってもので。
     それを書き切るってことはきっとないんだろうな。

     特筆すべきはやはり表題作の「悪魔を憐れむ」。
     これまで一貫しているメインテーマが、そのまま殺人者となったかのような犯人像にぞっとする。
     或いは探偵と殺人者との差は、それを暴く側と行う側、というだけの差でしかないとい

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    2021年04月01日
  • 新装版 瞬間移動死体

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    まず特殊設定の作り方が上手い。
    ただ"瞬間移動ができる"というだけではなく、移動すると裸になってしまううえに、移動先から元の場所へ何かが送られてくる。また、主人公は超がつくほどの下戸だが、酒を飲まないと能力を使えない。

    そしてこの移動のための条件があるからこそ見事なロジックが出来上がっている。やはりこういうロジックがしっかりしている作品は面白い。

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    2021年03月18日
  • 人格転移の殺人

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    トンデモ設定だが、ロジックがしっかりしている。人格が入れ替わりまくるところは読むのが大変だったが、全体的には読みやすい。
    なぜこの装置があるのか、というオチも上手い。

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    2021年03月18日
  • 彼女が死んだ夜

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    ネタバレ

     女子大生のハコちゃんが飲み会から帰ってくると、家に見知らぬ女性の死体があるのを発見。異常なほど厳格な両親にバレたくないというその一心で、飲み友達を巻き込み、何とか隠蔽しようとするのだが…。
     主に探偵役を務めるのは、巻き込まれた飲み友達の一人であるタックこと匠千暁で、所謂素人探偵もの。まさにこの「探偵が素人」という設定を活かしたトリックで、最後のどんでん返しには唸らされた。

     推理に関して、こじつけ臭いだとか、妄想がたまたま当たっただけ感があるだとかいう感想を抱く方も居られるだろうし、確かにそれは否定できない。というか、まったくもってその通りだ。だが、僕としては、突拍子もないというのは悪い

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    2021年03月16日
  • 身代わり

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    ――

     上司になったことはなくても、誰かの部下だったことはあって、
     先輩になったことはなくても、誰かの後輩だったことはあって、
     親になったことはなくても、誰かの子だったことはあって。

     そう考えると、生きてていちばん、これでもか、とすれ違うのが男女の関係だというのは当然なのかもしれない。

     女になったことはなくても、誰かのオンナだったことは…
     いや急に妖しいねおい。



     前作『依存』で西澤ミステリここに極まれり、と思ったけどはじまりに過ぎなかった…。相変わらずのパズラーとしても、ストーリーテリングの手法も、そしてなりよりシリーズとしても。まだまだ続きが読みたい。
     ほんとに、6

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    2021年03月12日
  • 方舟は冬の国へ

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    嘘の家族を短期間演じるだけで、高額な報酬が貰える!
    会ってみると、妻役は美人!
    この設定だと、少なくとも旦那役はワクワクするな!
    ひょっとして私だけ(・・?) そんな考え…
    3人で生活していくうちに、テレパシーが使えるようになったり、予知能力も!
    「なに⁉︎ なに⁉︎ これで、オチはどうなるの!」っ思って読み進めるけど、なかなか分からん…
    最後には、分かるんやけど、ええ感じではあるな。
    知らんもん同士でも、「一目会ったその日から、恋の花が咲くこともある…」ってのもあるし、ええんとちゃうかな。

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    2021年03月11日
  • 依存

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    ネタバレ

    ――


     ぜんぶひとごとなのは、じぶんがないからじゃない?



     『仔羊たちの聖夜』、『スコッチ・ゲーム』と合わせて3部作、として読むのがお勧め。
     積み重ねてきたもやもやとしたものを、ひとまず清算してくれる。スカッとする、というわけではないのだけれど、ただ、希望を手にするというか。
     シリーズはまだまだ続くから、中間決算、といったところかな?

     とはいえ内容はやっぱり重い。特にこれまでよいどれ仙人的だったタックのこんな姿を、と思うと辛いところ。でもこういうときが来るべくして来た、とも云える。


     なんだかんだ、このシリーズの幹になっているのはやっぱりボンちゃんなんだなぁ、と思いました

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    2021年03月10日
  • スコッチ・ゲーム

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    ネタバレ

    ――


    「解ってたんだね?」
    「いえ、探偵したんです」

     …これいつの台詞だっけねぇ。思い出せずに困っています。



     わたしのレヴューをある程度読んでくれている方(そんな奇特なひと居るのか…?)はなんとなくお解りだと思いますが、ステレオタイプな男性/女性像、とか典型的な老人による不理解、とかが極端に嫌い。それもこう、なんだろう明らかに物語上そういった機能を持たされてるひと、っていうのだと最悪。別にそういうひとが居るからって、逆にリベラルな人間(こういう局面で遣うことばかは疑問だけど。何かが薄まる気がする)が輝いて見えるってわけでもないから。
     そんなに単純じゃねぇよ、って、時にはそのス

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    2021年03月01日
  • 彼女が死んだ夜

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    複雑な人間関係の上に成り立ったミステリー
    序盤の登場人物の?と無理があるだろと思うような行動も、終盤真相が明らかになるにつれて、納得がいきます
    心理描写が巧みで、この人ならこうするんだろうなというのも上手く印象付けられました。それが悲しい結末を生んでしまいましたが
    どんでん返しに継ぐどんでん返し
    最後は驚きの連続でした
    ”彼女”がそうなるに至った最大の要因であるのが両親であるのはわかりますけどあの奇行に丸々一生分使うのはどうなのって感じでした
    変装もさすがに無理があるかなぁ

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    2021年02月28日
  • 偶然にして最悪の邂逅

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    ネタバレ

     お気に入りは「ひとを〜」初っ端から幽霊の出現でしたが、何か憎めない感じで好きです。まさかの展開で出頭した後成仏したんでしょうか?

     ひとり相撲もタイトルの通り、一人相撲でした。本人にとっては幸せなのかなぁ、と。

     中々設定がぶっ飛んだ物が多かったけど、読んでて楽しかったです。

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    2021年02月25日
  • 彼女が死んだ夜

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    ネタバレ

    ――


     一億総探偵社会とは誰が云ったものか。



     誰も云ってないってそんなこと!
     さてさて、ビールが飲みたくなくミステリNO.1、酩酊探偵シリーズに入りますよ。
     飲めば飲むほど冴え渡る、タックこと匠千暁の、最初の事件! と位置付けられた本書。このシリーズは何をおいても、主人公4人の軽快なやり取りと、匠くんと辺見先輩の酒量を楽しむのが正攻法。どんなだ。序盤にはっきりと、「僕と先輩の接点は“酒”のみだ」と断言されているけれど、その繋がり方と、そこから広がる4人の関係性が面白い。そういう4人の掛け合いと、グロテスクと表現されるミステリ部分とのギャップがまた、たまらん。


     しっかりと完

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    2021年02月22日
  • 依存

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    シリーズものとは知らず、ミステリ賞入賞歴からピックアップしたもの。やっぱり西澤作品、安定した面白さを楽しめる。個人的に安楽椅子探偵ものがあまり好きじゃないってのもあって、解説者みたく本作が最高!とは思わなかったけど、求める水準は余裕でクリア、って感じ。

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    2020年11月04日
  • 生贄を抱く夜 神麻嗣子の超能力事件簿

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    作者が「シリーズを長く続けていると、キャラクターを外側から眺める物語を書いてみたくなる」と後書きで書いているように、事件の当事者の視点で書かれている短編集だ。超能力が関係するのはいつもの通りだが、一応上手く超能力を関わらせていて、物語として面白い。でも、保科、能解警部、嗣子、聡子、響子らが一堂に会する場がないのが、ちょっぴりさみしい。シリーズは長く続けて欲しい。

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    2020年08月22日
  • モラトリアム・シアター produced by 腕貫探偵

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    大会社の御曹司なのに継ぐ気もなく、目的もなくアメリカに語学留学し、大学卒業しても就職の当てのないヘタレの住吉ミツヲ。前作の男前女子大生住吉ユリエの兄とは思えない情けなさ。コネで有名私立女子高に英語教師として押し込められたが、つぎつぎと教員関係者が殺されていき、あろうことか自分が連続殺人の容疑者に!ところが、教え子の美少女や大富豪探偵や腕貫探偵が寄ってたかって助けてくれようとする。全く馬鹿馬鹿しくてやってられないよというところだが、まあお話としては面白かった。推理の方は、はいはいそうですかというしかないなあ。

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    2020年07月12日
  • 回想のぬいぐるみ警部

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    イケメンのぬいぐるみ警部音無美紀が題名にはなっているが、内面は描かれていなくて、ほとんど主人公のように出てきて内面も描かれているのが、クールビューティー則竹佐智枝刑事なのだ。ところが、男など関心がない、女の子らしくなどとんでもない、びしっとクールに決めるはずが、前巻で音無にめろめろになってしまったがために、あちこちにほころびが出まくり状態。推理をする登場人物たちも面白いが、それぞれの事件の人間模様が、このシリーズの肝かもしれない。なかなか読ませる。最後に、あっと気付く展開もいい。

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    2020年07月02日
  • 腕貫探偵

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    街のいろいろな所に、今まで見なかった簡易机と折りたたみいすに無愛想そうな腕抜男が出現する。「市民サーヴィス課臨時出張所うんぬん」とあるので、興味を惹かれた人がいろいろ悩みや不思議なことを相談してみると、最後に何かひとことくれて、はいお終いとなって仕舞う。ところが、その言葉をもとに相談者が思いを巡らせてみると、するすると問題が解けてしまうのだ。この腕抜男よりも、相談する人々の物語がなかなか面白いのだ。どうしようもないやつも出てくるが、最初2編の大学生の男女のお互いへの思いが成就してよかったね。最後の画伯の話はなかなかいい。

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    2020年07月01日
  • ぬいぐるみ警部の帰還

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    ぬいぐるみをこよなく愛するキャリアの音無美紀警部(男、イケメン)だが、一応公にはなっていなくて、注意深い部下の桂島刑事だけが気付いている。その音無を密かに恋していろいろと脳内で妄想にふける則竹佐智枝主任も気づいていない。桂島刑事は則竹主任の気持ちにも気付いている。心の中ではいろいろあっても表面上は何事もない、このあたりの描き方が面白い。周りの人間がいいんだよね。どの事件でもぬいぐるみをきっかけにして、音無は鮮やかに事件を解決してしまう。音無警部が事件を解決したらディナーに誘おうと密かに賭けをしていた則竹主任はどうしたのかなあ。めでたく誘ったのか、それとも…。

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    2020年06月05日
  • 腕貫探偵

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    市民サーヴィス課臨時出張所、そこに座る腕貫をした男に相談をもちかけると、なぜかさらりと解明する。短編7編、あっという間によんでしまいました。

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    2020年05月06日