西澤保彦のレビュー一覧
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ビブリオバトル首都決戦本戦での杉目さんの紹介聴いて、ぜひ読みたいと思っていた一冊です。
人間の精神が論理的正当性を喪ってゆく様が興味深く描かれていました。何ら害をもたらすはずも無い出来事でも、ある種の、幼い頃から疎外感を溜め込んできてしまったような人間にとっては、それが狂気の引き金なる。数々の戦慄行為の描写もさる事ながら、認識が歪んで狂気に至る過程がとても恐ろしかったです。
結末は見事にドラマ性の高い展開で、やりきれない哀しみが大きいのに不思議と読後の充実感がもたらされました。読むという安全圏の中では出来るだけ鮮やかに騙されたい、そんな読むことへの欲望がみたされているのだと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレチョーモンインシリーズ第四弾。ある犯罪者の人生を綴った番外編。神麻さん、保科匡緒の出番はほとんどなく、能解警部の出番も少しあるだけだ。
この物語でチョーモンインシリーズのラスボスともいえる存在が明かされる。警察官でありながら、殺人鬼でもある人物、奈蔵渉。彼が殺人鬼になるまでの人生の歩みと、それにまつわる殺人事件の謎が主なストーリーだ。
西澤作品のすごいのは、抑揚のない人の人生や堕落していくだけの物語を面白く描けること。それは人物の思考描写がうまく、心理学者なのかと思わせるほど、登場人物の自己分析が深く、そして面白い。
また、この物語の面白さはシリーズの終結点を見せたことにある。ラスボスを -
Posted by ブクログ
ネタバレ台風の中、山荘に泊まる羽目になってしまった万理と園子。同じく台風を凌ぐため山荘に集った怪しい6人の面々。その夜、あることから万理は襲われ、不可抗力で6人を次々殺してしまう。そして気付けば園子も何者かに殺されていた。園子は誰に殺されたのか。万理は自身の殺人の罪を着せるため、園子殺しの犯人を捜し始める。
単純な面白さなら星4つのレベルではない。が、一語一句すべてが伏線であり、全く無駄な描写を消したミステリーへのこだわりっぷりに感動した!詰め込みすぎてごちゃごちゃ感はあるが、このやり方がバシッと決まった時、究極に面白い作品ができる気がする。 -
Posted by ブクログ
前半は「ブキ」の目線で語られる。
田舎に暮らし、都会(?)に焦がれながらもフツウに、
母親に不満を持ったり女性に憧れたりという生活をおくるブキを、
襲う悪夢のような連続殺人。
廃校でようやく生存者に会えたと思ったのもつかの間、
それは完全に狂った男だった。
怒濤のような暴力とリンチと死に、理性は崩壊する。
そして9年後。
再び開幕した物語の、主人公は唐突に、ブキの友人の彼女であり、
悪夢からともに生還したマユちゃんこと、繭子の目線に転換する。
フラッシュバックのように巡る悪夢。
過去を知りたいと望む黒幕と、雇われたライターと、殺し屋(?)
いったいナニが?
後半の数ページはもう、それ