あらすじ
密閉空間で起こる酸鼻な殺人事件! 兄へのコンプレックス、大学受験、恋愛。進学校に通う下石貴樹(おろしたかき)にとって、人生の大問題とは、そういうことだった。突如、空から降りてきた七色に輝く光の幕が人生を一変させるまでは……。触れた者を複製してしまう、七色の幕に密閉された空間で起こる連続殺人。極限状態で少年達が経験する、身も凍る悪夢とは。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
《ストロー》に触れると自分と同じ自分が複製されるSF要素ある1冊。
複製された個体も自分はコピーではなくオリジナルだと思うのが肝。
殺人が《ストロー》内部で起きるが、コピーとしての苦悩や葛藤も見応えあるし、オチの所のロクと先生のやり取りはこの設定を上手く取り入れた素敵な結末でした!
Posted by ブクログ
よく「自分がもう一人いたら」なんて言葉がありますが、
さて実際にその通りになったらどうなるか。
自分が本物だといつてもそれを証明すべなんてない
これはミステリーではありますが、
ある意味恐怖でもあります。
Posted by ブクログ
いつも奇想天外、大胆不敵なトリックで読み手を楽しませてくれる西澤さんの作品。でも感想は難しい…何を書いてもネタバレになってしまいます。
しかし閉鎖された空間って怖いです。おまけに「ストロー」なんて得体の知れないものが表れちゃうんですから、人間が恐怖に駆られるのも分かります。
この物語に出て来る七色の幕、「ストロー」とは一体何だったのか、その説明は最後までありません。それでも許せるのが西澤さんの作品の特徴ですね。
Posted by ブクログ
この物語の面白いところはコピー人間も自分がオリジナルだと思っているところです。
政府からコピーは処分するという通達が来てから様子が怪しくなっていきます。閉鎖された空間の中、誰がコピーで誰がオリジナルかも分からず、一人、また一人と仲間が死んで行く展開は緊張感があって面白かったです。
全体的にムラがあるので完成度はイマイチですが、最後まで一気読みさせるだけの魅力はあると思います。
Posted by ブクログ
3+
不条理な極限状態に於ける欲望と葛藤と自己崩壊を描いた壮大な屁理屈(褒めてます)。
例によってSF設定の“why”に説明はないが、いつものことなのでそれは気にならない。ただ、登場人物の心情に関する部分の“why”に投げっぱなしの点があるのは、大いに気になる。
それと状況を鑑みるに、川を挟んで〈ストロー〉に囲まれているので、川を流れていったアレはそのうち〈ストロー〉に到達してしまい、んんんーなことになるだろうし、川魚なんかもどんどん…、ま、いいか。あまり重箱の隅をつつくのも野暮なのかもしれない。
Posted by ブクログ
触ると生物を複製してしまうベールに閉じ込められた高校生たちが、各々の思惑に狂い殺し合いをしてしまう物語。西澤保彦得意のSF設定が面白い作品。
特殊な状況で人が狂い殺し合いをしてしまう作品は大好きなのでとても面白かった。登場人物それぞれにスポットが当てられ、思惑が絡み合い駆け引きをする展開は最高に面白い。
ただ少し考えが飛躍しすぎてそんなのアリか?と思ってしまうところも。結末のためのご都合的な狂い方をしてるようにも感じてしまう。けど、こんな設定から狂気を引き出す展開は秀逸でした。