西澤保彦のレビュー一覧
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ネタバレ真相「だけ」なら予想はしやすい
一人だけ転移せずに死んだ人がいる→死んだ人と生き残った人で入れ違いが起きていても気付かれないパターンがある(英語の発音・理解度などから)→意外性のある結末を考えるなら、綾子の人格が生きていてアランが死んでいるパターンだな……と
んで実際にその通りだったんだけど、そこだけが解ったからなんだっつー話なのよね
真の真相に至るまでのいくつもの論理とか、そういった部分を全部含めて楽しめた
綾子が転移後の自分の体とジャクリーンを間違えて殺してしまう過程とか大好き、シンプルでわかりやすく綺麗な推論
読み始めたころは「こんな人数で人格転移が起きつつの連続殺人とか、絶対にごちゃごちゃして頭パンクするわ」なんて身構えていたんだけど、実際は誰かが死んだらそのままあっという間に江利夫とジャクリーンの二人だけになっていて、予想以上のスピーディな展開にも驚いた
いい意味で拍子抜けしたというか、肩肘張らずに読む事が出来た
諸々に関しての動機についてはうーん……と思ってしまうのが正直な所だけど、そのあたりを主軸にした作品ではないと思って読んでいたので、まあ、目を瞑ってもいいかなという感じ
講談社文庫版を読んだので解説が森博嗣だったんだけど、ビックリするくらい内容が頭に入ってこなくて困惑(笑
なんじゃあの文章は…… -
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人格が入れ替わるという実験施設に大地震の際に逃げ込んだ6人の間で起こる連続殺人事件。
SFミステリー兼叙述トリックとして有名な作品。
設定が絶妙すぎて、読んでる最中にところどころ設定確認しながら没頭してしまった。SFって何でもあり感があるので、あまり好きではなかったけど、最初に設定をしっかりさせておいてから、ロジックで勝負するものは大歓迎!(例として挙げるなら漫画HUNTER×HUNTERのグリードアイランドみたいな感じかな?)
次々と人格転移が起こる中、狂気と化した殺人者が襲ってくる!映画CUBEバリに興奮しました!徹夜レベルの面白さでした!
ただ終盤のトリックと動機がぶっ飛び過ぎてて、若干沈着…。そこだけが残念だった。
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昔はビールといえばヱビスじゃなきゃ、とか生意気云ってる20代だったけれどすっかり黒ラベル派です。そうするとぎっしり詰まった冷蔵庫開けても黄金色の光、とはならないのか……黒バックのゴールドスターがずらりと並んでるのも壮観だとは思うけど、でもロング缶詰め込むならきっと寝かすよね。そうするとヱビスだとしてもそんなに黄金色になるのか?
試してみようかなえへへ←
はい、少し遡ってレヴュです。
所謂『nine mile walk』をこれでもか、と長編にしたような作品。とはいえ現地で49本もヱビス呑んでるんだから全然安楽椅子探偵してないけど。
そのあたり酩酊探偵シリーズの、ある意味御挨拶的長編なのかもしれない。犯人及び被害者の顔も名前も、最後までまったく明らかになりません。そういうの必要な方はぐいと煽って一昨日きやがれ、である。
ただただ、考えに考える、そのときに。
今後シリーズを通して関わってくる主人公たちのヘビィな部分が切り離されていて、そのぶん構成がはっきり見えるエンタメ作。高めに☆3.7
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ネタバレ――
酩酊探偵シリーズもここまできました。
なんだか人生見てる感じがしてきて感慨深いですよ僕は…
それぞれの形、というのを持っていると、シリーズでも何でも飽きずにしっかり読めるものです。
同じような、って飽きる場合もあるんだろうけど。
中心にテーマを置いて、その周辺をぐるぐると、回っているのがひとってもので。
それを書き切るってことはきっとないんだろうな。
特筆すべきはやはり表題作の「悪魔を憐れむ」。
これまで一貫しているメインテーマが、そのまま殺人者となったかのような犯人像にぞっとする。
或いは探偵と殺人者との差は、それを暴く側と行う側、というだけの差でしかないという議論にも似た、怖さ。
ひとりではないということが温かいと思うのは、こういうとき。
☆3.6くらいでどうでしょう。 -
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ネタバレ女子大生のハコちゃんが飲み会から帰ってくると、家に見知らぬ女性の死体があるのを発見。異常なほど厳格な両親にバレたくないというその一心で、飲み友達を巻き込み、何とか隠蔽しようとするのだが…。
主に探偵役を務めるのは、巻き込まれた飲み友達の一人であるタックこと匠千暁で、所謂素人探偵もの。まさにこの「探偵が素人」という設定を活かしたトリックで、最後のどんでん返しには唸らされた。
推理に関して、こじつけ臭いだとか、妄想がたまたま当たっただけ感があるだとかいう感想を抱く方も居られるだろうし、確かにそれは否定できない。というか、まったくもってその通りだ。だが、僕としては、突拍子もないというのは悪いことではなく、寧ろ、パズラーの魅力はそこにあると思う。西澤保彦といえば、新本格をもじって「ヘン本格」と呼ばれるぐらい変わったミステリを書くことで知られているし、そもそも物語というものが日常の中の非日常を描くものだとするのなら、どうやっても互いに結びつきそうにないと思えるものを如何に軽やかに結びつけるかがその真骨頂だろう。つまり、確かに手持ちの材料から出発し推理=論理を辿って来たはずなのに、着いたのはとんでもない結論だった!という驚きである。強調しておくと、この驚きというのは、あくまでロジカルな推理があってこそのもので、特に、裏付け操作などできない素人探偵にとってみれば、如何にあり得そうにない結論であっても、反証もできず他の解決も提出できない以上、それが「真相」なのである。素人探偵ものは、身内の中で事件を完結させなければならない(犯人は探偵役の身近な人物)という点でもパズラーと相性が良いのかもしれない。
関連して言えば、西澤保彦のミステリは、登場人物同士の会話はとても軽妙で楽しいのだが、(解説で指摘されているように)作品を貫く世界観は「心が凍りつくほどペシミスティック」だ。身内で殺人が起こるということは、探偵側が知らないだけで、すぐ近くで愛憎渦巻いているということになる。また、この本にも、「友人相手によくそんな酷薄な仕打ちができるな」とか、「友人相手によくそんなに情け容赦無く推理できるな」とか、そんなのばっかりである。それこそ、「お酒でも飲んでないとやってられない」。解説から長く引いてしまうが、「作中の推理の殆どは、具体的な裏付けを欠き、時として妄想の域に踏み込んでいる(実際、作中でタックはしばしば、自分の推理を妄想と表現している)。にもかかわらず結局、それらの推理は真相にかなり近いのだ。羽化登仙状態でのディスカッションから生まれた、妄想としか形容しようのない非常識な仮説が、現実にそのままスライドして再現された時、この世界の実相とは何と滑稽で異常でグロテスクなものか—という感想が、読者の胸を領するに違いない。」 -
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上司になったことはなくても、誰かの部下だったことはあって、
先輩になったことはなくても、誰かの後輩だったことはあって、
親になったことはなくても、誰かの子だったことはあって。
そう考えると、生きてていちばん、これでもか、とすれ違うのが男女の関係だというのは当然なのかもしれない。
女になったことはなくても、誰かのオンナだったことは…
いや急に妖しいねおい。
前作『依存』で西澤ミステリここに極まれり、と思ったけどはじまりに過ぎなかった…。相変わらずのパズラーとしても、ストーリーテリングの手法も、そしてなりよりシリーズとしても。まだまだ続きが読みたい。
ほんとに、6章の終わり方とか完璧でした。これぞパズル、って感じ。
気持ちよかったです。☆4.4
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ネタバレ――
ぜんぶひとごとなのは、じぶんがないからじゃない?
『仔羊たちの聖夜』、『スコッチ・ゲーム』と合わせて3部作、として読むのがお勧め。
積み重ねてきたもやもやとしたものを、ひとまず清算してくれる。スカッとする、というわけではないのだけれど、ただ、希望を手にするというか。
シリーズはまだまだ続くから、中間決算、といったところかな?
とはいえ内容はやっぱり重い。特にこれまでよいどれ仙人的だったタックのこんな姿を、と思うと辛いところ。でもこういうときが来るべくして来た、とも云える。
なんだかんだ、このシリーズの幹になっているのはやっぱりボンちゃんなんだなぁ、と思いました。
どんな立場にもなり得る、だからどうしょうもなくも見えるんだけれど、それすらも自覚していて。
被害者にも、加害者にも、
自分がどちらにでもなり得るから、そのどちらも受け入れられる。
その分、どちらとも向き合わなければいけないし、
どちらの気持ちも代弁できてしまうということは、どちらの立場からも責められかねないということで。
そういうひとが居てくれるからこそ、周りは自分の立場や立ち位置、を決めていられる、のかもしれない。
満足の☆4.4 -
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ネタバレ――
「解ってたんだね?」
「いえ、探偵したんです」
…これいつの台詞だっけねぇ。思い出せずに困っています。
わたしのレヴューをある程度読んでくれている方(そんな奇特なひと居るのか…?)はなんとなくお解りだと思いますが、ステレオタイプな男性/女性像、とか典型的な老人による不理解、とかが極端に嫌い。それもこう、なんだろう明らかに物語上そういった機能を持たされてるひと、っていうのだと最悪。別にそういうひとが居るからって、逆にリベラルな人間(こういう局面で遣うことばかは疑問だけど。何かが薄まる気がする)が輝いて見えるってわけでもないから。
そんなに単純じゃねぇよ、って、時にはそのステレオタイプな側からも含めて思うこともあるし、もっと云えばそういう形の物語を読むことでそれを乗り越えた風、になってスカッとしている読者の姿というものを見てしまって首をひねるわけだ。固定観念をよりスムーズに固定化する餌を与えんじゃねぇよ、というか。
というか皆さんは、何故本を読みますか?
まぁひと口に本、といっても色々だからこの質問は水蒸気のようなものなのかもしれないけれど。
そして本当は、呼吸するように本を読むのが理想なのかなぁ、とか思っているんだけれど。
感動するために、とかそれこそ泣き本、とか。自分の考えを補強するために? 耳障りの良いことばを探して? なんで悪い例ばかり並べますかね?(笑
辛くて読めない、ってことは、無い。結局どんなことばでも、それを研いで自分に突き刺すのは自分自身だから。これはこういう形なんですー、って云われても困る。困るだけでとりあえず手に取るわけだけど、そういう、皆に刺さるように作られた刃は、自分の奥底までは届かないよねきっと。なんか思春期の女子みたいなこと云ってるけど、それはそうでしょう。
そして、その刃の形が自分にぴったりで安心してるひと、って云うのも少なからず居る。これはなんでもそうかも知れないけど、受け手の啓蒙、っていうのはどんなメディアにとっても大きな課題だよなぁ。
確かになんでも他人事っぽく受け止めてると思われることは多いし、正論は正論なんだけど別にそれが自分に影響は無いと思ってる、とかよく考えると社会的に破綻してるって云われているのと同じようなことを云われたこともあるけれど、
なんだろな、別に響かないわけじゃないし、
ただ、その響きは自分だけのものだって、これは大事に隠してるってことなのか?
盛大に話が逸れましたが。
さて、『スコッチ・ゲーム』。普段や短編集のライトな雰囲気とは掛け離れて、全編をどんよりとした空気に包まれている。それは殺人事件の凄惨さだけでなくて、そこに至るまでのタカチの人間関係、家族関係にもあるんだけれど、けれど裏腹な軽妙さも保っているのがやっぱり、象徴的。
男女のこと、女同士のこと、家族のこと…決して優しくない諸々が、それこそ典型的な描かれ方をしているんだけれどなんていうか、やるんならここまでやれ、っていっそ潔くて。これもしかし、書き手の信頼感の為せるわざなのかもしれない。松尾さんのお耽美小説が非常に読みたいのと一緒で。にしてもこの松尾女史によるナルシズム論は、タカチのひとつの側面を確立させたと云ってもいいんじゃないだろうか。自覚させた、というか。
その点、現在のタカチの姿を松尾さんはどんなふうに見るんだろうな、と考えてしまった。
この、やりすぎ、と云うくらいの極端な人物論がけれど、真相解明に対してミスリードになっているのがこれぞミステリ。
そしてそういった部分を度外視するタックこそが、真相を綺麗に切り分ける。そこには確かにカタルシスがあって、それはミステリとしてはもちろんなんだけれど、散々積み重なっているオレを不機嫌にすると書いた諸々に対する、力強い抵抗のようにも、読めた。
☆3.6 -
Posted by ブクログ
ネタバレ――
一億総探偵社会とは誰が云ったものか。
誰も云ってないってそんなこと!
さてさて、ビールが飲みたくなくミステリNO.1、酩酊探偵シリーズに入りますよ。
飲めば飲むほど冴え渡る、タックこと匠千暁の、最初の事件! と位置付けられた本書。このシリーズは何をおいても、主人公4人の軽快なやり取りと、匠くんと辺見先輩の酒量を楽しむのが正攻法。どんなだ。序盤にはっきりと、「僕と先輩の接点は“酒”のみだ」と断言されているけれど、その繋がり方と、そこから広がる4人の関係性が面白い。そういう4人の掛け合いと、グロテスクと表現されるミステリ部分とのギャップがまた、たまらん。
しっかりと完成されたパズラーなんだけれど、なんとなくそう見せないのは上手なのか、あるいは未完成だからなのか。なんとも云えないけれど、そのふんわりとした感じが個人的には好みでした。むちゃくちゃ、雑、ご都合主義、とか、そうやって批判されるものを好む傾向にあるようです。酔ってんのかな?
まぁ一杯やろうや。☆3.7