西澤保彦のレビュー一覧
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超能力と本格推理は相容れるのか
西澤保彦さんと言えば「7回死んだ男」が有名ですが、本作品も同作と同じように超能力+ユーモア+本格推理小説という仕立てとなっております。
で、どういった超能力かと言いますと、まあタイトルで一目瞭然かも知れませんが、実は主人公は瞬間移動が出来る訳でありまして、ただそんなことが出来るのであれば、アリバイなんか作り放題で何が起ころうがこいつが犯人に決まってるではないかと思われるかも知れませんが、そこはこの作者の書く小説ですので色々と捻りが効いてます。
具体的には酒を飲んで酩酊状態でないと移動出来ないとか、移動先には裸で現れるとか、下手に移動したら2度と帰って来れない状況もありうる訳で、実に有難迷惑 -
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読書中毒高校生エミールと彼女に恋するB級映画マニアユッキーが過去の事件の謎をほぼ回想語りだけから解き明かすシリーズ二作目。今回は表題作以外は殺人事件。会話だけで推論が組み上がっていき一つの結論に導かれる形式は本領発揮といった感じ。ラストの毒の効き方含め「埋没のシナリオ」「アリバイのワイン」が上手い。それだけじゃなくてユッキー一家の正月風景とか表題作のエミールの祖母の悲しくも美しい思い出話とか二人の背景がさらに鮮やかになってシリーズ物としても進んでいるのが良い。単独でも大丈夫だけど前作読み返せば楽しさ二倍。あと舞台のブックカフェ、行きた過ぎる!
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うーらーめーしーやー
淺生倫美の兄、唯人が近くのお寺で首を吊って自殺した。
倫美は唯人の遺品の中に日記を見つける。その内容は唯人と倫美の友人や教師、喫茶店の店員との酸鼻な関係を細かく記したもの。おかしい、兄はそんなにモテる人間ではない。日記の内容が事実かどうか確認するがやはり全て嘘だった。しかしその日記のに出てくる人物が次々と殺されていく。しかし兄は自殺したのにその日記は死んでからも続きが書かれていた。殺された友人2人の犯人は分かるしかし残りの犯人がわからない。兄は生きているのか。殺される前に必ず目の前に出現する「計測機」とは誰なのか。
うーーーーん。これは難しい。
兄の怨念で人を殺せるの -
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ネタバレ腕貫を嵌めた謎の公務員が探偵役となり、お悩み相談を解決する連作ミステリ。特異なキャラクターが探偵役となって解決するという当初抱いたイメージとは違い、腕貫探偵という記号は強烈ではあるものの、キャラクター性には非常に乏しい。その人間性の無さや記号的な探偵を行き詰めた結果、逆に特異な存在となっているのは面白く、腕貫探偵の登場シーンは異世界に迷い込んだような趣がある。解決に乗り出すというアクティブさもなく、常時受け身の安楽椅子探偵ではあるのだが、本作はそれをさらに行き詰めた、謂わば「装置」としての探偵である。完全に答えを出すわけではなく、あえて謎に対する解法、道筋をつけるだけで、推理や真相にたどり着く
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Posted by ブクログ
1982年夏。嵐で橋が流れ孤立した首尾木村で大量殺人が発生。被害者十四名のうち十一人が喉を鎌で掻き切られていた。生き残りはブキ、カンチ、マユちゃんの中学生三人と教諭一人。多くの謎を残しつつも警察は犯行後に逃走し事故死した外国人を犯人と断定。九年後、ある記者が事件を再取材するや、またも猟奇殺人が起こる。凶器は、鎌だった。
上巻では推理小説なのかと読んでいたところ、エログロかホラーかとジャンルがことごとく変わり、何なんだこれはと衝撃を受ける。そして中だるみかという時に事件が発生する。うまいと感じる。現時点ではタイトルの意味がおぼろげながらしかわからない。また、合っているのかどうかも不明だ。