あらすじ
高校三年の冬、学園の女子寮に戻った高瀬千帆は、ルームメイトで同性の恋人・恵の惨死を知る。容疑者は恵と噂があった教師・惟道。だが彼は「酒の瓶を持って河原へ向かう男を尾行していた」と奇妙なアリバイを主張。二日後、隣室の生徒が殺される。再び惟道は同じアリバイを。二年後、匠千暁が千帆の郷里で事件を鮮やかに解く本格ミステリ。
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高校三年の冬。
高瀬千帆は、千鳥足で寮に帰る道を歩いていた。
夜道の暗い道を歩いてると寮のほうに赤色灯が・・・。
寮の周りの人だかりを掻き分ける千帆には、ルームメイトの恵の事が脳裏に浮かび上がる。
警察の静止を振り切り駆けつけると、部屋には赤い海が広がっていた・・・。
恵は死んだのだった。
ルームメイトであり同姓の恋人であった恵。
最近では、恵と教師の噂を聞いて、恵を拒絶するような冷たい態度を取っていた千帆。
恵は、彼を殺して自分も死ぬと言っていた。
そんな恵が滅多刺しにされて殺された・・・。
千帆は、犯人を突き止めようと行動する。
容疑者は、恵と噂があった教師だったが「酒ビンを持って河原へ向かう男を尾行した」と奇妙なアリバイを主張していた。
そんな中、また寮の隣の部屋の女子高生が同じような手口で寮の部屋で・・・。
その時も容疑者の教師は同じアリバイを主張した。
そしてまた・・・。
事件の真相がわからないまま遠くの大学に進学を決めた千帆は、この事件を心に残し旅立った・・・。
二年後、千帆は大学で知り合った友達と飲んでいた。
飲んでいる中、千帆は、この事件の一部分を解いてもらおうと話し出す。
酔いつぶれて寝ていたような匠千暁は、その部分を看破する。
匠千暁が千帆の郷里に着いた時。
千暁は、事件を鮮やかに解き明かす。
西澤保彦の匠千暁シリーズ第5弾の本格長編ミステリーです。
前半は、千帆の複雑な感情や事件の事など刑事と千帆のやり取りも魅力的です。
後半は、回答編です。
匠千暁が話を聞きものの見事に事件を看破する、このロジックがめちゃくちゃ面白いです。
論理のなかで千暁が真相を突き詰めるのは、やはり面白い。
本格ミステリーが好きな人にはお勧めですね。
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ナルシシズム理論はかなり的を得てるなと思った。
犯人お前かよ?!って感じでは合ったが、ストーリーとしては正解だなあ。
タカチの過去がわかるのが嬉しい。
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匠千晶シリーズ第五作。
そして全ての謎が解けた。
といっては大げさだろうか。
「黒の貴婦人」から読み始めてしまったために、
個人的に勝手に「謎」にしてしまったことに答えが出た感じだった。
タカチにかけられた殺人容疑とは何だったのか、
タカチはなぜ謎解きに熱意を傾けるのか、
なぜ安槻大に来たのか、
彼女にとってタックの言葉がなぜ重いのか、
タックを連れて故郷に帰り何があったのか。
スコッチを川に捨てた訳や、
次々と女子高生が殺された動機が面白かった。
誰もがもつナルシシズムは女性には認められ、
男性には認められないが故に歪んだものとなる、という話も面白かった。
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――
「解ってたんだね?」
「いえ、探偵したんです」
…これいつの台詞だっけねぇ。思い出せずに困っています。
わたしのレヴューをある程度読んでくれている方(そんな奇特なひと居るのか…?)はなんとなくお解りだと思いますが、ステレオタイプな男性/女性像、とか典型的な老人による不理解、とかが極端に嫌い。それもこう、なんだろう明らかに物語上そういった機能を持たされてるひと、っていうのだと最悪。別にそういうひとが居るからって、逆にリベラルな人間(こういう局面で遣うことばかは疑問だけど。何かが薄まる気がする)が輝いて見えるってわけでもないから。
そんなに単純じゃねぇよ、って、時にはそのステレオタイプな側からも含めて思うこともあるし、もっと云えばそういう形の物語を読むことでそれを乗り越えた風、になってスカッとしている読者の姿というものを見てしまって首をひねるわけだ。固定観念をよりスムーズに固定化する餌を与えんじゃねぇよ、というか。
というか皆さんは、何故本を読みますか?
まぁひと口に本、といっても色々だからこの質問は水蒸気のようなものなのかもしれないけれど。
そして本当は、呼吸するように本を読むのが理想なのかなぁ、とか思っているんだけれど。
感動するために、とかそれこそ泣き本、とか。自分の考えを補強するために? 耳障りの良いことばを探して? なんで悪い例ばかり並べますかね?(笑
辛くて読めない、ってことは、無い。結局どんなことばでも、それを研いで自分に突き刺すのは自分自身だから。これはこういう形なんですー、って云われても困る。困るだけでとりあえず手に取るわけだけど、そういう、皆に刺さるように作られた刃は、自分の奥底までは届かないよねきっと。なんか思春期の女子みたいなこと云ってるけど、それはそうでしょう。
そして、その刃の形が自分にぴったりで安心してるひと、って云うのも少なからず居る。これはなんでもそうかも知れないけど、受け手の啓蒙、っていうのはどんなメディアにとっても大きな課題だよなぁ。
確かになんでも他人事っぽく受け止めてると思われることは多いし、正論は正論なんだけど別にそれが自分に影響は無いと思ってる、とかよく考えると社会的に破綻してるって云われているのと同じようなことを云われたこともあるけれど、
なんだろな、別に響かないわけじゃないし、
ただ、その響きは自分だけのものだって、これは大事に隠してるってことなのか?
盛大に話が逸れましたが。
さて、『スコッチ・ゲーム』。普段や短編集のライトな雰囲気とは掛け離れて、全編をどんよりとした空気に包まれている。それは殺人事件の凄惨さだけでなくて、そこに至るまでのタカチの人間関係、家族関係にもあるんだけれど、けれど裏腹な軽妙さも保っているのがやっぱり、象徴的。
男女のこと、女同士のこと、家族のこと…決して優しくない諸々が、それこそ典型的な描かれ方をしているんだけれどなんていうか、やるんならここまでやれ、っていっそ潔くて。これもしかし、書き手の信頼感の為せるわざなのかもしれない。松尾さんのお耽美小説が非常に読みたいのと一緒で。にしてもこの松尾女史によるナルシズム論は、タカチのひとつの側面を確立させたと云ってもいいんじゃないだろうか。自覚させた、というか。
その点、現在のタカチの姿を松尾さんはどんなふうに見るんだろうな、と考えてしまった。
この、やりすぎ、と云うくらいの極端な人物論がけれど、真相解明に対してミスリードになっているのがこれぞミステリ。
そしてそういった部分を度外視するタックこそが、真相を綺麗に切り分ける。そこには確かにカタルシスがあって、それはミステリとしてはもちろんなんだけれど、散々積み重なっているオレを不機嫌にすると書いた諸々に対する、力強い抵抗のようにも、読めた。
☆3.6
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21年ぶりの再読。
というか、この作品を中学2年生に読んではいけないですね。
めちゃくちゃ地味で気持ち悪くそしてヒリヒリする作品。
それが初読の時に感じた印象でした。
しかし、そんな印象は吹き飛ぶ。
地味な作品ではないし、そのヒリヒリ感は作品の面白さになっている。だからいい作品。
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終盤の怒涛の伏線回収にはテンションが上がったけど、期待値マックスで臨んだ真相はもうひとつと言ったところ。ナルシシズム論とタカチのタック評が面白い。
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レズやらゲイやらすごい世界だった。
犯人はまったくわかんなかった!!
あの電話で聞いた同級生の話がそこまで犯人に関係する内容とは思わなかった。犯人と先生がグルとかも気付かんかったし。
てかあの先生、女の先生振って生徒と結婚って、なんなんかな。
女の先生好きじゃなかったの?先生の心境がよくわからんしどうでもいいのにずっと気になる。
シリーズものと知らずに読んだけど面白かった。
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内容(「BOOK」データベースより)
高校三年の冬、学園の女子寮に戻った高瀬千帆は、ルームメイトで同性の恋人・恵の惨死を知る。容疑者は恵と噂があった教師・惟道。だが彼は「酒の瓶を持って河原へ向かう男を尾行していた」と奇妙なアリバイを主張。二日後、隣室の生徒が殺される。再び惟道は同じアリバイを。二年後、匠千暁が千帆の郷里で事件を鮮やかに解く本格ミステリ。
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気になりすぎて、あっという間に読みきってしまった。
タカチのアツい感情満載で、いつになく疾走感があります。まぁ、だいたいが飲み過ぎだから、こーゆーのもアリです!
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人間関係における立ち位置は流動的で、人は自分を常に被害者だと思い込むけど、誰かの加害者になってる事には気付かないとか。すごく、分かるし、個人的に思い当たる事もあって溜息出た。
事件も真相もタカチの心情もエグいし重いけど、ぐいぐい引き込まれる感じ。
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「 酒の瓶を持って河原へ向かう男を尾行していた。」二つの事件で同じアリバイを主張する重要参考人の謎、高校時代のタカチが辿った悲運。二年後、タクチが述べる真相とは・・・。
シリーズ5作品目。タカチの高校時代の話ですね。今までの酩酊推理合戦から一転、青春小説のような苦みのあるストーリーに仕上がってます。
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シリーズ5作目。
タカチの過去が語られる。
ナルシシズムで殺人が起こるのであれば、もうどうしようもない気がする。
ナルシシズムがない人間はいないと思うけど、
強すぎるのもまた大変。
偏見は持たないようにしよう。
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タカチの過去と現在を交えながら、殺人事件解明する物語。犯人の意外性や衝撃性、動機はインパクト薄いが、タカチの内面の葛藤や成長を見る上で面白い物語。最後の結びから、タックの事件を扱った、次作への期待が高まる。
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西澤さんの作品、『七回死んだ男』と『解体諸因』に続き3冊目。
これまでの印象とは異なり、設定はかなりリアル。
いくつもの思惑が入り乱れて、ゴチャゴチャに。
ややこしいが面白かった。
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シリーズものの為キャラクターの生き方が気になるという付加価値がついてのこの評価ですが、単発ものでこのオチだったら星二つです。
まあ色々ありますが、とにかくあの物的証拠は無い。あんな証拠どんな馬鹿でも残すかいな。
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タック&タカチシリーズ。今回はタカチの高校時代の過去に焦点を当てた作品。事件と解決編の二部構成になっており、前半は登場人物はタカチのみ。後半でタックが事件を解決するという流れ。
ただ事件を解決するシリーズではなく、登場人物の過去を清算しながら成長していくシリーズだと強く感じた作品。もちろんただの推理物としても十分面白い。
タカチのトラウマや過去が重すぎて所々ついていけないと感じる部分が多かった。推理物と捉えるのはやめて、人間物語として今後シリーズを考えなければと思わされたターニングポイントになる作品のように感じた。
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久々に出会えた正統派推理小説(と自分では思ってる)
高校三年生の冬に女子寮に戻った高瀬千帆。
だがその女子寮でルームメイトであり同性の恋人でもある
恵が殺されてしまう。
容疑者に上がってきたのは学校の教師でもある惟道。
だが彼はアリバイを主張する。
そして、その二日後同じ女子寮で再び生徒が殺されてしまう。
またもや惟道が疑われてしまうが彼は同じアリバイを主張する。
各登場人物の名前がどれもこれも難しい。
何度か読み方を見直してしまいました(笑
この人の作品は初めて読みましたが面白い。
主人公が同性愛とか殺された人物とか
これっていう設定まで作りこまれている作品はなかなかない。
(どうしてもこれは無駄な設定じゃない?って思う
作品が多いので・・・。)
この作品以外の西澤保彦も読んでみようと思います。
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匠千暁シリーズ。今回はタカチの過去に起きた事件をタックが解決してしまう。前半、というかほとんどタカチの過去の事件の話がされる。タックはこの話を聞いてすぐに犯人がわかったけど、俺は全然わかりませんでした。しっかり読んでればわかったのかな・・・。
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あれ…?犯人そっち?
という感じで終わってしまった気がする。
動機が薄い…というか、途中で説明はされてるけども…うーん。
トリックの為に動機が薄いというわけでもなくて、ちょっとがっかり。
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「依存」に比べると小粒であることは否めず。
この話もタカチの依存の話であって、ある種壮大な序章という予感を、「依存」の後に読むと感じる。
何年か前に「子羊たちの聖夜」を読んでいたのだが、これでやっと話がまとまったというわけだ。
すっきりはしたが、「依存」が良かっただけに物足りない。
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反則的な犯行動機にまったく推理できずに、これは無いでしょとあきれる部分もあった。
ただ西澤保彦自身がもつ人の捉えかたはなんとも独特で悲観的ですきである。「精神論的に被害者は加害者である」のくだりは確かに、とうならされる。哲学的な要素が良い。本筋のミステリーの方はちょっと設定が現実的でなく確率論的に無理じゃないかなーと駄目だしをしたい。