あらすじ
高校三年の冬、学園の女子寮に戻った高瀬千帆は、ルームメイトで同性の恋人・恵の惨死を知る。容疑者は恵と噂があった教師・惟道。だが彼は「酒の瓶を持って河原へ向かう男を尾行していた」と奇妙なアリバイを主張。二日後、隣室の生徒が殺される。再び惟道は同じアリバイを。二年後、匠千暁が千帆の郷里で事件を鮮やかに解く本格ミステリ。
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Posted by ブクログ
ナルシシズム理論はかなり的を得てるなと思った。
犯人お前かよ?!って感じでは合ったが、ストーリーとしては正解だなあ。
タカチの過去がわかるのが嬉しい。
Posted by ブクログ
匠千晶シリーズ第五作。
そして全ての謎が解けた。
といっては大げさだろうか。
「黒の貴婦人」から読み始めてしまったために、
個人的に勝手に「謎」にしてしまったことに答えが出た感じだった。
タカチにかけられた殺人容疑とは何だったのか、
タカチはなぜ謎解きに熱意を傾けるのか、
なぜ安槻大に来たのか、
彼女にとってタックの言葉がなぜ重いのか、
タックを連れて故郷に帰り何があったのか。
スコッチを川に捨てた訳や、
次々と女子高生が殺された動機が面白かった。
誰もがもつナルシシズムは女性には認められ、
男性には認められないが故に歪んだものとなる、という話も面白かった。
Posted by ブクログ
――
「解ってたんだね?」
「いえ、探偵したんです」
…これいつの台詞だっけねぇ。思い出せずに困っています。
わたしのレヴューをある程度読んでくれている方(そんな奇特なひと居るのか…?)はなんとなくお解りだと思いますが、ステレオタイプな男性/女性像、とか典型的な老人による不理解、とかが極端に嫌い。それもこう、なんだろう明らかに物語上そういった機能を持たされてるひと、っていうのだと最悪。別にそういうひとが居るからって、逆にリベラルな人間(こういう局面で遣うことばかは疑問だけど。何かが薄まる気がする)が輝いて見えるってわけでもないから。
そんなに単純じゃねぇよ、って、時にはそのステレオタイプな側からも含めて思うこともあるし、もっと云えばそういう形の物語を読むことでそれを乗り越えた風、になってスカッとしている読者の姿というものを見てしまって首をひねるわけだ。固定観念をよりスムーズに固定化する餌を与えんじゃねぇよ、というか。
というか皆さんは、何故本を読みますか?
まぁひと口に本、といっても色々だからこの質問は水蒸気のようなものなのかもしれないけれど。
そして本当は、呼吸するように本を読むのが理想なのかなぁ、とか思っているんだけれど。
感動するために、とかそれこそ泣き本、とか。自分の考えを補強するために? 耳障りの良いことばを探して? なんで悪い例ばかり並べますかね?(笑
辛くて読めない、ってことは、無い。結局どんなことばでも、それを研いで自分に突き刺すのは自分自身だから。これはこういう形なんですー、って云われても困る。困るだけでとりあえず手に取るわけだけど、そういう、皆に刺さるように作られた刃は、自分の奥底までは届かないよねきっと。なんか思春期の女子みたいなこと云ってるけど、それはそうでしょう。
そして、その刃の形が自分にぴったりで安心してるひと、って云うのも少なからず居る。これはなんでもそうかも知れないけど、受け手の啓蒙、っていうのはどんなメディアにとっても大きな課題だよなぁ。
確かになんでも他人事っぽく受け止めてると思われることは多いし、正論は正論なんだけど別にそれが自分に影響は無いと思ってる、とかよく考えると社会的に破綻してるって云われているのと同じようなことを云われたこともあるけれど、
なんだろな、別に響かないわけじゃないし、
ただ、その響きは自分だけのものだって、これは大事に隠してるってことなのか?
盛大に話が逸れましたが。
さて、『スコッチ・ゲーム』。普段や短編集のライトな雰囲気とは掛け離れて、全編をどんよりとした空気に包まれている。それは殺人事件の凄惨さだけでなくて、そこに至るまでのタカチの人間関係、家族関係にもあるんだけれど、けれど裏腹な軽妙さも保っているのがやっぱり、象徴的。
男女のこと、女同士のこと、家族のこと…決して優しくない諸々が、それこそ典型的な描かれ方をしているんだけれどなんていうか、やるんならここまでやれ、っていっそ潔くて。これもしかし、書き手の信頼感の為せるわざなのかもしれない。松尾さんのお耽美小説が非常に読みたいのと一緒で。にしてもこの松尾女史によるナルシズム論は、タカチのひとつの側面を確立させたと云ってもいいんじゃないだろうか。自覚させた、というか。
その点、現在のタカチの姿を松尾さんはどんなふうに見るんだろうな、と考えてしまった。
この、やりすぎ、と云うくらいの極端な人物論がけれど、真相解明に対してミスリードになっているのがこれぞミステリ。
そしてそういった部分を度外視するタックこそが、真相を綺麗に切り分ける。そこには確かにカタルシスがあって、それはミステリとしてはもちろんなんだけれど、散々積み重なっているオレを不機嫌にすると書いた諸々に対する、力強い抵抗のようにも、読めた。
☆3.6
Posted by ブクログ
レズやらゲイやらすごい世界だった。
犯人はまったくわかんなかった!!
あの電話で聞いた同級生の話がそこまで犯人に関係する内容とは思わなかった。犯人と先生がグルとかも気付かんかったし。
てかあの先生、女の先生振って生徒と結婚って、なんなんかな。
女の先生好きじゃなかったの?先生の心境がよくわからんしどうでもいいのにずっと気になる。
シリーズものと知らずに読んだけど面白かった。
Posted by ブクログ
「 酒の瓶を持って河原へ向かう男を尾行していた。」二つの事件で同じアリバイを主張する重要参考人の謎、高校時代のタカチが辿った悲運。二年後、タクチが述べる真相とは・・・。
シリーズ5作品目。タカチの高校時代の話ですね。今までの酩酊推理合戦から一転、青春小説のような苦みのあるストーリーに仕上がってます。
Posted by ブクログ
タック&タカチシリーズ。今回はタカチの高校時代の過去に焦点を当てた作品。事件と解決編の二部構成になっており、前半は登場人物はタカチのみ。後半でタックが事件を解決するという流れ。
ただ事件を解決するシリーズではなく、登場人物の過去を清算しながら成長していくシリーズだと強く感じた作品。もちろんただの推理物としても十分面白い。
タカチのトラウマや過去が重すぎて所々ついていけないと感じる部分が多かった。推理物と捉えるのはやめて、人間物語として今後シリーズを考えなければと思わされたターニングポイントになる作品のように感じた。