西澤保彦のレビュー一覧
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ネタバレ心理描写が生々しすぎて、読んでてしんどい。
強すぎる自意識、若い頃特有の万能感、他人への嫉妬と羨望、挫折感や絶望感、それを隠し通すための自己欺瞞。
たぶん誰もが若い頃に感じたことのある感覚で、大半の人はこういう感覚となんとか折り合いを付けて大人になったんだと思うけど、ここまで精緻に、執拗に描き出せる作家はほとんどいないと思う。
だからこそ、読んでてしんどいし、痛いんだけど。
ただ、同時に、ここまで徹底して描かれることで、「でも、自分はここまでひどくないから大丈夫」とも思うわけで、そういう意味では、恐怖を提供すると同時に安心も提供していて…マッチポンプwww
まぁ、その安心もまた、自己欺 -
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タック&タカチシリーズの3作目です。
私はシリーズものだと知らずに買ってしまい、読む前にちょっと調べてみたらシリーズ3作目と知り、読むか迷ったんですが面白そうだったので結局読んじゃいました。
いきなり3作目から特に分からなくなることはなかったので良かったです。
でもちょっとだけ前作のこととかも出てきたので、順番に読めばよかったかなとも思いました。
後で1作目、2作目を読んで、4作目以降も読みたいです。
内容は、おもしろかったです。
ビールとベッドしかない変な別荘の謎を考える話で、ハラハラドキドキわくわくという感じは全然ないんですが、どんどん出てくる仮説がおもしろいです。
仮説→検討→違う、の -
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どこかで人の相談を受け付けている、腕貫を身に付けた公務員。
そしてまた、今日もお客様のお悩み解決中。
4つ分のお悩み相談室。
しかも最初の話は、どこかで読んだ事があるような…と思いきや
勘違いではなく、このシリーズで読んだ事がある話。
公務員という職業柄、活動場所が地域限定なので
どこかで聞いたような地名か事件と思っていると
やっぱり、になる事が多々。
これは思いっきり事件そのものが、でしたが。
女って…と思ったのは、当然2話目。
まさかの落ち。
というよりも、まさかの怒り。
相手の立場が違うだけで、自分もそうなのでは…。
しかしこういう場合、身勝手に生きているのが女。
いやむしろ、ここま -
Posted by ブクログ
ネタバレシリーズ2作目
残業中!というより、腕貫さんのプライベートな時間にまで相談者続出。
看板下げていないのにな。
腕貫さんが意外にも食事にはこだわりがあり、美味しいものを堪能しながら事件を解いていく。
本当にこんな料理あるのかなあ。とにかく美味しそう!
今回は腕貫さんを「だーりん」なんて呼ぶ男前の美女まで現れて、最後は腕貫さんの代わりに謎を解いたり。
登場人物の名前が読みやすくなってるし、腕貫さんも親しみ易くなってる。
トラットリア「てあとろ」で急に起きた強盗立て籠もり事件「体験の後」
偶然撮った写真にはあるはずのない事件の車が写っていた。「雪のなかの、ひとりとふたり」
記憶に全くない、学生時代 -
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最後まで暗く澱んだ空気が流れている作品だった。
西澤作品の「タックシリーズ」なんだけど、タックの出生からの秘密が書かれています。
西澤作品にしては珍しいというか、変わったなぁ~という感じが。
まず語り手はウサコによる一人称。そして素朴な事件や疑問がでてきて、まるで短編のよう。
この関連性のない短編1つ1つが終幕へと盛り上げていくんですね~。
この書き方はすごく上手!
それに、最初に読者を引きつける問題定義をして、最後までその答えをひっぱるものの、読むことを止めさせない。
だけど、一貫してのこの暗さ。タカチの名ゼリフでラストは小気味いいはずなのに・・・。
あ~、これからタックやタカチがどうなって