西澤保彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ山吹みはる、彼を前にすると何故か脈絡もなく話をしたくなってしまう。そしてそれによって過去の事の真相に話した本人自身が気付いてしまうという、一風変わった探偵ミステリー。
勿論、彼自身は自分のそんな不思議な能力に気付いていないし、会話をしている人が自分の過去に思考を走らせているとは思っていないところが面白いです。
そしてそんな展開で果たしてストーリー展開は大丈夫なのかというと、みはるが派遣された原因でもある白鹿毛りんという大財閥の孫娘、彼女が鍵を握っていました。彼女もある“能力”を持っていてそれによってきちんと物語は進行していくのです。
少女視点の“鳩の死骸”の話と白鹿毛りんが高知にとどまってい -
Posted by ブクログ
ネタバレここまで来ると好みの問題でしかないと思うけど、私はやっぱりこの雰囲気好き。
しかも前作より面白いかも。前作読んで高まっていた期待に見事に応えてくれて満足。
一応短編集。
初編では腕貫さんは割と謎な人物で、ともすれば悩みを抱えてる人だけに見える妖怪(!)なのかな、くらいに思ってたけど、今作は全部腕貫さんの勤務時間外にもたらされた相談事になってる(だから「残業中」ね)。
確かに毎回受付時間に来るクライアントの話にしていたらワンパターンというかマンネリ化してたかも。
お、今回はこういう趣向か!と思いながら、一方で腕貫さんのプライベートが描かれることで謎めいた部分がなくなって世界観が壊れるんじゃない -
Posted by ブクログ
この物語には、「妄執」にとり憑かれた二人の人間が登場する。
ひとりは、ギリギリまだ引き返せる場所にいた。
ひとりは、きっと死闘を繰り広げてでも容易には引き下がらない筋金入りの「妄執」に囚われている。
最近起こったマンションでの不可解な出来事と、タックが語る異様な過去の出来事がカットバックのように語られていく。
ほんの小さな疑問の裏に、実は怖ろしい現実が隠されているマンションにまつわる出来事。
逃げても逃げても、手段を選ばず、誰を傷つけてもけっして諦めることなく追ってくる過去にまつわる出来事。
ともに、人間のあさましさと怖さが描かれている。