死者が蘇る「SUBRE(サブレ)」、蘇った死者の記憶をリセットする「MESS(メス)」と呼ばれる二つの機械。
死者たちが暮らす館の章と、アメリカのある街で起こる連続殺人の模様を描く章から成り、当然それは交差することになっていく...
やや勿体ない点はあるが、全体として見るとかなり面白い。ラストは色
...続きを読む々な意味でインパクトはかなり大きい。
以下、ネタバレ
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まず、館の章の、時系列を誤認させるトリックはお見事。きれいに騙された。「最初の一人」は誰だ?という謎(疑問?)が提示されることで簡単に引っ掛かってしまう。
そして、実は犯人はクリスティンだった...!!、というのはまぁ驚きはするが、ある程度予想はつく。不倫やら何やらで結局皆殺さなければいけなかった、というのは納得。
スザンヌのピザ配達バイクを盗んだミシェルが、バイクにあったIDからスザンヌだと思われたのもなかなか上手い。
さぁ問題のラスト。唐突のジュディには度肝を抜かれた。ロマンス的な意味でもなかなか印象深くはあるのだが、1番の謎はクリスティンがなぜ「ミシェル」と呼んだかである。これは文庫版333ページの真ん中あたりの傍点がふってある箇所が伏線だと思う。というか、あくまでも"私"の推測であるセリフにあまり使っていない傍点がふってあるのが怪しい。
結局、クリスティンにとってはミシェルよりも、自分の"所有物"だったスタンリーが自分を差し置いて選んだ相手であるジュディが憎かったのではないだろうか。
だから人格を全否定するために...というわけだ。自分が犯人だと思わせて少しでも苦しませたい、という思いもあったのかもしれない(失敗したが)。