西澤保彦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
裕福な家庭で育った主人公は人との関係を取り持つのに金銭が常に付き纏っていた。母親から受けたい愛情も、同級生から受けたい友情も彼を満たすものではなく、友情はいじめという形で彼に訪れる。そんな彼が居場所を見出したバンド活動をしていたメンバーの一人は事故死し、一人は行方がわからなくなっていった。そこから始まる彼の社会に対する自己表現は殺人という形で、罪もなき女性を次々と殺していく。
どうして殺していくのかは彼の異常性、そして題名から考えられる「彼女」の存在から読み進めていく中で表されていく。その猟奇性や惨たらしさは読み手を選ぶ側面も多いが読み手には犯罪者が明示された上で物語をある程度俯瞰して読むこと -
Posted by ブクログ
ネタバレ20年ぶりくらいの再読(その時のタイトルは神のロジック人のマジック、だったかな。)だったがインパクトがあったのか、ネタは覚えていた。その状態で読んだわけだが、、、面白かった。細かい伏線を気づけたりして。
いや、20年前はそれほど面白く感じなかったんですよ。なんとなくの違和感の中読んでいって、背景もわからず、気づいたら殺人が起こって、全部崩壊…みたいな感じで落ち着いて読めなかったんだと、今回再読して思った。
老人たちはあえて、10代前半を演じていると思うと、それはそれで幸せな世界だったんだろうな。最後はこの先に明るい未来は無いとわかっているのに、それでも外の世界に進むステラの後ろ姿が頭に浮かんだ -
Posted by ブクログ
七つの死体が横たわる嵐の山荘。そのうち六人を自らの手で殺してしまった主人公・マリは、唯一自分が関与していない一人の死について、“真犯人”を推理しはじめる――自身の罪を着せるために。
本作は、ブラックユーモアと緻密なロジック、そして人間の滑稽さが絶妙に絡み合った、非常にユニークなミステリ作品です。
物語は、山荘での事件を追うマリと、別のホステス殺害事件を捜査する刑事・三諸という二人の視点が交互に描かれます。個別に進行するはずの事件が、奇妙なかたちで交差し、登場人物同士の接点が浮かび上がっていく。二つの事件を眺めていく事で、数多の謎が複雑に絡み合った事件の全貌を、まるでパズルのピースを一つずつは -
Posted by ブクログ
ネタバレ今まで読んだことのない
SF×ミステリーの舞台設定で、
新鮮な気持ちでスラスラ読めました。
どちらかというとSF色が強いのかな?
といった所感。
どんでん返しというか、読者を騙そうというロジックが強い作品だなと思いました。
そういうの好きなので楽しかったです。
SFという非現実的な舞台設定なのに、
落ちのロジックはちゃんと筋が通っている点、
完成度が高いと思いました。
正直8回も繰り返す必要があったのか?と最初は思いましたが、最後の伏線回収を読んでいて
なるほど、どれも欠けてはいけない場面だったんだなと納得。
読んでる途中、これ主人公が死んだ場合は
ループもストップするのだろうか?と疑 -
Posted by ブクログ
ぬいぐるみ警部参上! というわけで本作は、二十代後半のキャリア組の警部で、類稀な美貌を持ちながら、実はぬいぐるみへの造詣と愛が深い音無美紀警部を主人公と三人の個性豊かな刑事が様々な事件を解決していく(ただし一話目の段階では、まだ全員集合はしていない)連作シリーズになっています。事件と直接関わるものから直接的な関わりはないものの印象的に使われているものまで、なんらかの形でぬいぐるみがそれぞれの短篇に登場する作品になっています。
特に印象的だったのが、真相で明らかになる登場人物の心理が強烈な印象を残す「誘拐の裏手」で、〈凶器〉の扱いが〈犯人〉の心理的な側面と強くリンクするラストがとても好きで -
Posted by ブクログ
典型的なブラック企業を辞職し、求職中の十和人は、民間調査会社に勤めているという謎の男から仕事の依頼をされる。それは、日本国内のとある民家に約一ヶ月間滞在して欲しい、という内容で、提示されたのは多額の報酬だった。てっきりひとりで滞在するとばかり思っていた和人が招かれた場所で出会ったのは、見知らぬ女性と少女で、三人でまったく別のとある家族を演じて欲しい、と彼ら三人は調査員から告げられる。情報もほとんど与えられないまま嘘の家族生活を送ることになった三人は――。
というのが、本書の導入。紛い物の家族が本物になっていく過程をほほ笑ましく読んでいたら、まさかラストはここまで壮大な話になるのか、とびっ -
Posted by ブクログ
ネタバレ読点が異様に少なく、文体が独特でなかなか読み慣れないなぁと思ってたら、新装版のあとがきで作者さん自身もそうおっしゃっていてちょっと面白かった。
話の内容自体はテンポが良くサクサク進む。周が巡るごとに想像の斜め上を突っ走るコミカルな展開と、常に達観している主人公の姿勢とのギャップが良い味出してる。
暗い気持ちにならずに読めて、ミステリーが苦手な人にも読みやすい作品だと思う。
友理さんがキュータローのプロポーズを覚えてそうだったから友理さんも反復落とし穴の使い手か?と思ったけど違った。でも大学生と思っていたとはいえ年下男子からのプロポーズを真摯に受け止め、なんならわりと浮かれてるっぽい友理さん、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ単発ものの西澤作品の登場人物は読み進めるのがきついくらい好感が持てない場合が多いのだけど(軽犯罪者だったり性欲がすごかったりそもそも自分が犯人だったりするし)、短編ならまあまあ耐えられる。短編だと冗長な会話もエロも控えめになる傾向があるし。控えめだとは言ってない。それぞれにオチでおっ、となったので☆4つ。
「ひとを殺さば穴ふたつ」
殺人未遂使い込み盗撮犯とえろじじいの愉快な推理合戦。みんな死ぬ&犯人自首でオチがすっきりしているのはいい。
「リブート・ゼロ」
不倫レズ3Pはどうでもいいしそこの描写もいらない。娘さんがただただ気の毒。
「ひとり相撲」
怪奇小説じみていて良かった。個人的