あらすじ
彼女は逃げ切れなかった――不思議な双子と元刑事が、すべての真相を見抜くから。轢き逃げを起こした車に積まれていた変死体、何度も殺人犯の身代わりになる男、全焼した家から発見された死後数十年の謎の死体……。酒場に持ち込まれる「奇妙な事件」の裏にあるものとは!? 五年前に警察を早期退職した纐纈古都乃は、ある朝、車での轢き逃げ現場に遭遇する。その瞬間、交差点の向かいにいた双子の姉妹が妙な閃光を放ったように見え、轢き逃げをした車が急停止し、別の車と接触。そして轢き逃げをした車のトランクからは女性の遺体が発見された。後日、居酒屋を切り盛りする旧友からの頼まれ事をきっかけに、古都乃は双子と再会する。古都乃は姉妹に、「ことさんは、やっぱり見えるんだ」と話しかけられて――。日本推理作家協会賞〈短編部門〉受賞の著者が放つ、極上の連作短編集。
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Posted by ブクログ
元女刑事と超能力が使える双子がタッグを組んで……なミステリなんだけれど、双子の能力を全面に出す特集能力ミステリじゃないところが面白い。ミステリはミステリとして成立してて、たまたま双子がいるって感じだ。シリーズ化してほしいな〜。
Posted by ブクログ
西澤保彦作品にしては、特殊設定も少なめで連作の繋がりは残してあり面白いが、意外性が足りてない。全ての作品が憶測的に終わっており消化不良もあった。
Posted by ブクログ
差点で自転車の女性を轢いた車が急停車し、車のトランクからは女性の遺体が。目の前で起こった事故の際、元刑事である纐纈古都乃は陽炎のような謎の光を纏う不思議な双子を目撃していた…。「彼女は逃げ切れなかった」
友人の店の常連客・ギミーくんの元家庭教師が自殺した。教えてくれた恩師は他殺を疑っているという。亡くなった男性は少し前にバイト中のコンビニで強盗にあっており、その場に古都乃は偶然居合わせていた…。「男はごまかし切れなかった」
高齢男性から女性を刺したと通報があり、駆けつけた警官により男性は逮捕された。取調べ中に古都乃を指名した男性は元県議会議長であり、過去の事件の関係者だった…。「ふたりは愛し合い切れなかった」
古都乃の友人の店に訪れた元ホストの男性が過去の上客とのエピソードを語る。家に連れ込まれたところ、客の夫が帰ってきてクローゼットに隠れたという。話を聞いていた古都乃はあることに気づく…。「誰ひとり戻り切れなかった」
古都乃の亡き友人・孝美の実家が放火で全焼。空き家となっていたにもかかわらず男性が焼死体で発見され、死後30年ほどの女性の白骨遺体も発見された…。「それは彼女が逃げ切れなかったから」
刑事の娘を持つ元刑事の安楽椅子探偵。そこに不思議な力を持つ双子の少女がいる。ただ、正直この双子の存在が必要なのかよくわからない話もあった。そして古都乃の娘・ほたるの母親のエピソードはなぜ入れたのかよくわからなかった。この複雑な背景必要だったんだろうか。1話目以外はちょっと微妙で、ものによってはこじつけ感があるような気がした。
Posted by ブクログ
姉妹の特殊能力が活躍する内容かと思ったら、ほぼなくても問題ない話ばかりだった。そちらを期待すると残念かもだけど、各話は嫌いではない。一作目のタイトルと三作目の犯人のやり切れなさが印象的でした。
Posted by ブクログ
【収録作品】
第一話 彼女は逃げ切れなかった
第二話 男はごまかし切れなかった
第三話 ふたりは愛し合い切れなかった
第四話 誰ひとり戻り切れなかった
第五話 それは彼女が逃げ切れなかったから
相変わらずの同性愛に読めない名前。
双子の超能力がいまひとつ生かし切れていないような気がする。論理的解決というには強引な感じ。
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元刑事の纐纈古都乃と姪だけど養子縁組により娘になった、ほたるも又刑事と言う職業。
元刑事と現役刑事のコンビの短編集。
親子のテンポの良さが軽快でした。
是非今度は長編が読みたいです。
Posted by ブクログ
警察を早期退職した古都乃。
近所の不思議な双子の姉妹と相まって広がる連作ミステリー。
なんかのシリーズものだったか?とおもったけど、そういうわけでもなかった。
纐纈って前にも出なかったっけ?
Posted by ブクログ
奇妙な事件に立ち向かえ… 刑事を退職した古都乃の深い考察が光る連作短編集 #彼女は逃げ切れなかった
■あらすじ
刑事を早期退職した女性である古都乃は、ある朝ひき逃げ事故を目撃する。さらにその後、トランクからは別の死体が発見されてしまうのだ。その事故は双子の姉妹も目撃しており、古都乃は彼女たちから特別な力を感じるのであった…
元刑事が様々な奇妙な事件の考察が展開される、連作短編ミステリー。
■きっと読みたくなるレビュー
なんという粘り気がある会話と心情描写。本作は刑事を引退した古都乃視点で物語が綴られていく。様々な事件や関連情報が提示された上で不可思議な謎に挑んでいくのですが、そのほとんどは古都乃の考察なんです。
人間としても元刑事として、ベテランの領域だからこそ醸し出せる味わい。謎に対してロジカルに紐解きつつも、言動や感情の揺れがまさしくベテランのそれっぽくて面白いんです。ぶつぶつとボヤいたり呟いたりするシーンが最高に好きですね。
登場人物である長年の友人、双子の少女たち、お店の常連、後輩警察官などの絡みなんかがめっちゃリアルなんすよ。私も若い世代の同僚と仕事をすることが多いんです。近いようで遠い距離感だったり、ずれた価値観をすり合わせていくような感覚は共感できるところが多かったですね。
またホント奇妙な人たちばっかりでニヤニヤしちゃう。イチ推しなのは店の常連ギミーくんと、双子姉妹の母である珠季さん。二人とも漫画みたいなキャラなんですが、情に満ちていて可愛らしい。素直でまっすぐな人って、こっちもまっすぐに受け止めたくなっちゃうんです。
そして気になるキャラ、双子の姉妹ですよ。神秘的な存在で特殊設定ミステリーの重要そう! なーんですが、実は魔法使いみたいに大活躍するわけではありません。むしろ彼女たちの不思議な能力は、古都乃の推理にきっかけになる程度なんですよね。あくまで本作の強みは謎解きや深い深い考察にあります。
謎解きについては、まぁもう鬼才レベルのひねくり回し。さらに本作は基本的に古都乃の考察だけで物語は進行するので、しっかり理解しながら解法の妙を楽しむのが吉ですね。
■ぜっさん推しポイント
社会人生、中年という年代を通り越すと引退の文字が見えてくる。これまでの学びや経験、仕事やキャリア、友人や人脈、家庭や両親などなど、様々なこと振り返ることが多くなります。何十年も生きていても何も生み出せなかった人や、どうしてあの時こうしなかったんだと後悔している人もいるでしょう。
でも経験を積んだベテランほど、当たりをつけるのも速いし、考慮が深くできるし、バランスをとることもできる。どんなに年齢を重ねても決して遅くない、むしろこれからが絶好のチャンスだったりもする。私もまだまだ後半に入ったばかり、より実りのある人生にしたいですね~