あらすじ
見えない復讐と、さらなる復讐。
しなくていい殺人の果てしない果て。
40年前、資産家・岩楯一族を崩壊した秘密と嘘と誤解が、
今、再び血の惨劇を引き起こす!
西澤保彦、超絶のミステリ。
アルコールの過剰摂取で入院中の作家・横江のもとを刑事が訪ねてきて「加形野歩佳【ルビ:かなたのぶよし】(33)を知っているか?」と訊く。加形野歩佳は多治見康祐【ルビ:たじみこうすけ】(57)を殺害し、早々に自首したという。殺された多治見は横江の元同級生で、加形は横江の親戚の息子だった。加形は、自首はしたが動機を語らず、ただ「理由を知りたければ横江継実に聞いてくれる」と語っているという。横江は加形のことは面識も存在も知らなかったが、加形の父や多治見と過ごした40年前、幾つもの血族の婚姻関係が重層する岩楯一族と暮らした子ども時代を思い出すと、幽霊のように記憶の残影が立ち現れるのだった。それらは往時には気づかなった、惨劇の印がいたるところに残されていた……。
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Posted by ブクログ
主人公の横江継実は特殊な能力を持っていた、幽霊が視え、声を聴くことができるのだ。 ある日まったく知らない事件の事情聴取を受けることになる、容疑者の男から指名を受けてしまったらしいが横江は何の身に覚えがない。 しかし過去の記憶と目の前にいる従妹の幽霊が何かを握ってる気がする・・・、現在と過去、現世と黄泉が交わる超絶ミステリ。
西澤×幽霊でSF的な作品を想起した方も多いかもしれませんが、今作は主人公含めた一般人に事件を解決させる推理合戦よりの作品ですね。 幽霊の要素はあくまで主人公に付属する副次的なものです。
本作を読んで多くの方が抱きそうな感想は「分かりづらっ」でしょうね。 名前、家系図、各々の性格、登場人物、時系列、家の配置、あらゆるところで分かり難さが目立ちます。 少なくとも幽霊という奇怪な響きに惹かれて読むのはお薦めできないですね。
Posted by ブクログ
不思議とひきこまれた。不思議、というのは最初から読んでいて混乱したんだよね。この人、誰だっけ?とか前に名前出てきた?とか、あれ、誰としゃべってるんだろう?なんて、並べていくと、自分の読解力のなさを暴露しているみたいなんだけど。ただ、それでもなんとなく引き込まれてページをめくった。読み終えて、謎自体はミステリとして解決されたんだろうけど、微妙にかたづかない感がある。あれって、結局どういうこと?というパーツがあれこれ。最後の方でも、ヒロが警察の人に何やら言われて出て行ったのは、なんのためだったんだ?とか、いわくありそうで、置き忘れられているものがちらほらと。エンタメとして読む小説としては良かったんだけど、なんか、うーん、このかたづかない感も面白さととらえるべきなのかな。
Posted by ブクログ
まあとにかく家系図が複雑!
みんなの相関図に慣れる頃に読み終わったのだけれども。
ここまで複雑だと、確かに遺産相続大変なんだろうと、ミステリそっちのけで考えてしまった…
本当に逢いたい人には逢えないのって、そういうものなのかもね。
Posted by ブクログ
横溝正史のような家系図とにらめっこしながら、誰と誰がどうゆう関係で〜と考えながら読むミステリ。
旧友、義母、放蕩人、家を仕切る家長のお婆さん、と時代がかった登場人物に離れとか昭和のミステリ小道具が盛り沢山。
肝心のミステリ部分は虚実入り乱れて分かりにくい。大掛かりな仕掛けはないものの古き良き日本ミステリを味わった。