春日武彦のレビュー一覧

  • 健全な肉体に狂気は宿る ――生きづらさの正体

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    内田樹と春日武彦(精神科医)との対談本。対談していた内容は幸福論や人生に対するスタンス、社会システム、身体論や医療の話、精神病患者を基にした話など。会話の中で両者が得意としている(テッパンの)話をぶつけ合っているので、理解しやすいかたちで伝わってくる。おもしろかった。

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    2009年10月04日
  • 不幸になりたがる人たち 自虐指向と破滅願望

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    色んな人と楽しく人生を過ごしていくための参考書。入門編。
    的に使えるかどうかはともかく、
    面白かった。わりと。
    異議、違和感を唱えたいポイントは沢山あれど。

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    2009年10月04日
  • 心という不思議 何をやっても癒されない

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    主として「週刊文春」の連載コラムに発表されたエッセイをまとめたもの.本のタイトルよりも,プロローグの題「なぜ大人になれない親が増えているのか」およびエピローグの題「日本人の心はどこへ向かおうとしているのか」のほうが,内容を端的に表している.著者の目に映る「現代日本人のグロテスクさ」がメインテーマと言えるだろう.自分には,共感を覚えるところがたいへん多かった.

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    2009年10月04日
  • 不幸になりたがる人たち 自虐指向と破滅願望

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    ずっと、読んでみたかった人の本。いや別に読もうと思えばすぐに読めたんだけど、なんとなく避けてたかもしれない。でも、今回読んでみて思っていた以上に読みやすくて、分かりやすくていい本だった。精神科医の著書というのは沢山あると思うが、最近はこういう、あまり偉そうに語らない人が流行っているのだろーか、とか穿った見方をしてしまうあたしであるが、どうか。

    普段、何気なく行動している先々で、案外沢山変な人がいる。いろんな人が居て、ちょっと関心を持って観察してみると、本当に見ていて飽きない。人間を観察している、なんてちょっと嫌らしいというか、なんか感じ悪いような気もするが、しかし人間観察ほど興味深い事は無いと思っている。電車の中や道中で、変わった人を発見する事なんて、たやすい。でも、その変わった人当人は意外と自分が変わっている、ということに気付いていない場合が多く、同じようにその、「変わっている」ぶりを理解できない人も、驚くほどいる。というか、人ってあまりにも他人に感心がないのだなぁ、とつくづく思うのだ。本当に、全然見ていないのだ。

    この著者はそういった、「ちょっとなんか変」な空気を敏感に感じ取りやすい人のようで、それはもちろん、精神科医という特殊な職業をお持ちでいらっしゃるのが大きいかもしれないが、しかしそれがプライベートな生活の中にも随時感じているようである。その、「ちょっとなんか変」というウマく説明が出来ない、不自然な人、違和感を感じる行動、そういったことが、平然と行われている日常という世界を精神科医の視点で書き上げた一冊であるのだが、その視点がとても自分とリンクしていて面白かった。あたしもそういう不愉快な違和感を感じるような人に出会うと、最初は腹が立ったりイライラしたりさせられるのだが、落ち着いてその行動を考えてみると、不思議でちょっと笑ってしまうというか、馬鹿げているというか、本書で言うところの「人間臭さ」を垣間見てしまったんだ、と思ってくる。ただ、このエピソードは別に「不幸になりたがる人」の話ではないので、序章に過ぎないのだ。

    不幸になりたがる人のなかに、「心気症」という症状を起こす人が居て、それは自分は別に病気でも何でもないのに、勝手に自分は酷い病気である、と勘違いして、というか完全に思いこんで信じて疑わないような状態になる人のことである。そうなってしまうと、「あなたは大丈夫」といっても、本人は信じようとしないし、むしろ、病気を否定されたくないのでは、とさえ思える。ようするに、このように自分は病気である、と思いこもうとするという行為には、なにかもっと大きな不幸を避けようとする意識が働いている、と著者は考えたわけだ。彼らは「ほんのちょっとした不幸」という状態を続けさせることで、精神的に安定感を得ている。また、「事故傾性」という言葉があって、なぜか事故に巻き込まれやすいタイプの人というのが、いるというのだ。あたしは会ったことはないが、似たようなタイプに、リストカッターが挙げられるのではないかな、と勝手に思った。あと、気をつけようと緊張するあまりに失敗したりする人とかも、いる。そーいう人って言うのは、不幸の先取りをする人とか不幸を指向するする人、という風に表現されているが、それは確かにあるなと思う。不幸であるということが、もう、その人の個性というか、不幸でなければその人ではない、というくらいにまで幸の薄さが個性になってしまっている人。あと、そういう人間だと思いこんでいる人、もしくは思いこみたい人。いるいるいる〜〜・・・と、おもわず納得してしまった。

    他にも、分かっているのに汚言を吐く、という症状が出る人がいる。発作的に「してはいけないこと」をしてしまう人がいる。ここで、人間というのは、常に自分にとって安全で得になるように振る舞うとは限らない、と書いている。魔が差す、という言葉に表れている通り、駄目だと知っているのにやってしまったり、止めようと思っているのにやってしまう、言ってしまう。そういうマイナスの方向に動こうとする欲求というのが、人間には備わっているのだという。

    しかし「不幸になりたがる」というベクトルの精神は、本当に不幸になってしまうために起こるのではなく、実はもっと大きな不幸を避けるために、小さな不幸で回避しようとしている現れである、と指摘してある。不幸中の幸い、とか、そういう事なんだと思う。また、自分が不幸であるという事を利用して、自己正当化させる、という方法がある。それをここでは「被害者意識依存症」と書いているが、まぁ、しかし、この言葉ほど適切なモノはないのではないかと思う。最近の「不幸自慢」っぷり「被害者意識」っぷりには、目に余るモノがあるとは思わないだろうか。犯罪というのは、この「被害者意識」が起こしていると言っても過言ではないのだから、最近急速に増えているのも、当然の流れなのかも知れない。

    被害者意識というのは、その状況に陥ることで、強引に自分が楽になる方法を手にする事が出来る、という。一つは「敵」であり、もうひとつは「特権」である。「敵」というのは、つまり、自己正当化させるための手っ取り早い手段として、「仮想敵」を作り出すことだ。当然のことながら、自分が被害者であるのだから、相手は加害者であり、敵である。無理にでも敵を作り出さないと、そもそも被害者意識なんてモノは思い込みや自分の不平不満の産物だったりするので、自分に跳ね返ってきてしまう。それを避けるために、とにかく都合の良い敵をでっち上げるしかないわけだ。
    それは近年急増中の「アダルトチルドレン」だとか「多重人格」なんかに見られるような、過去の記憶から敵を作りだして責任転嫁を試みる術だ。
    もう一つの「特権」だが、それはもう、自分が被害者で弱者であるということを利用して、守られ保護される立場になってしまう、という、いわば逃げ口実だ。しかも、被害者意識を持つというのは、なかなか恍惚な状況でもあるという。アルコールなんかと同じように依存しやすいのだ。つましい幸せなどを得るよりも、あえて被害者意識を堪能することを選ぶ人間が世の中にはいっぱいいるんだそうだ。

    たしかに、たしかに自ら不幸を指向しているな。ま、本書では他にもあっちゃこっちゃで、そういう病気もどきの変な人の話が出てきているいて、さすが現場の人、と感じる指摘が多々ある。例えば「むかつく」とか「キレる」といった言葉が流行ると、そうした言葉の連鎖が形作る方へ安易に流し込まれてしまう。目新しい言葉によって、今まで漠然としていた気持ちに形が与えられ、それどころか広く認知されたような錯覚すら生じる。
    本来なら、それを恥じるべき事であるにもかかわらず、言葉として形作られたがために、憚らなくなっていってしまうという。

    現状が不幸だと、不平不満を述べているにもかかわらず、それを自らの意志で行動で変化させようとしない人がいる。人は基本的に現状を大きく変化させることを望まない傾向にあり、不満を持ちつつも現状維持することを選んで不幸になっている人が沢山いるのだ。面白いなと思ったのは、そういう心理をここでは「面倒くさい」で、済ませているところだ。それは不幸であ状況を変化させるために何か行動する、というのがただただ、億劫なのだ。端から見たら、そんなことをするほうが変ではないのか、と思うことを呆気なく選んでしまう。それがある意味では病気でもある。

    まぁ、分かっていても止められない、という事は誰にでもあるし、自己防衛のための被害者意識を持つというのも、別に間違っていないのかもしれない。しかし、なんというか、それはちょっと、情けないっつーか、恥ずかしくはないのか?と、問いつめたくはなる。

    もう一つ、精神科の先生として、良いことが書いてあった。多重人格や記憶喪失、憑依など、普通の人では起こりえない劇的な症状というのは周囲への自己アピールでしかない。派手であることに価値があり、とにかく関心を集めたいだけである。それはもう、子供、というか未熟な人格構造だからこそ表せる大胆な自己主張であり、心の深層に問いつめたりというような洞察はない。また、精神分裂病の症状として現れる幻覚や幻聴、妄想の類はどれも底が浅く月並みだという。ありきたりで面白くもないのだ。しかも大抵薬が効いて、症状は治まるのだという。なんか、いや、これが病気なんだ、といわれてしまったら、そうですか、としか言いようがないわけであるが、しかしなんか馬鹿みたいだ。まさに、人間臭い情けなさがある。「イタイ」としか言いようがない。なんとなく、それも可愛らしくすら感じてしまう。

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    2009年10月04日
  • 心という不思議 何をやっても癒されない

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    単行本「何をやっても癒されない」角川書店 2003 
    改題文庫化「心という不思議 何をやっても癒されない」2006
    解説の斎藤美奈子によれば、週刊文春2000年4月から2003年7月の連載コラムが中心。
    プロローグとか、ROOM1とか、構成があるように見せておいて、全然なし。
    雑誌で読むぶんにはいいが、まとめて読んでも、ま、特に。
    「顔面考」1998年は面白かったが、その補遺みたいな章は、まあまあ。

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    根拠のない不安感、急に襲う落ち込み……。心の患いから脱出しようと努力をするが、全然気分は晴れてくれない。心という不思議をとらえ、「ポスト癒し時代」を晴れやかに生きるヒントを綴った異色エッセイ。

    目次
    プロローグ なぜ大人になれない親が増えているのか
    心のクリニック(心の病の始まりには 心の闇に踏みわけ入れば 癒されない精神科医のわたし)
    顔面考(精神医学と観相学 美人という非日常 空虚な顔 奥行きのない顔 セックス中の顔)
    現代を考える(自殺とは、手段なのか目的なのか なぜクローン人間は胡散臭い存在と感じられるのか?)
    エピローグ 日本人の心はどこへ向かおうとしているのか
    あとがき
    解説 斎藤美奈子

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    2026年10月01日
  • 死の瞬間 人はなぜ好奇心を抱くのか

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    ヒグチユウコによる、ほぼカバーイラスト(厳密にいえば超デカ帯のイラスト)が素敵。
    似たタイトルを思い浮かべていたが、エリザベス・キューブラー=ロスは「死ぬ瞬間:死にゆく人々との対話」だった。
    >グロテスク。呪詛。根源的な不快感。
    >目を凝らして見詰めていても、「あ、いま死んだ」と認識することはできない。そういった意味で、実は死ぬ瞬間というものは決して見届けることが叶わない。そのたびに、わたしは死がするりと巧みに眼前を走り抜けていったような鼻白んだ気分に陥る。
    といった、カテゴリと、実感と、多種多様な作品の引用がなされて、もちろん結論などない。
    ただし、引用文それぞれが印象的なので、ある意味読んでいて面白い本。

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    かくも深き「死」の覗き穴へといざなう、
    著者の新たな代表作!
    無頓着に、記号のように訪れる「死」。
    日常にありふれている事象なのに、なぜ私たちの心を捉えて離さないのか?
    「死」に対して、崇高な気持ちと卑俗な情動で揺れ動く、人のふしぎな心の有りように迫る。
    映画、小説、漫画などさまざまな作品紹介を交え、カルチャーガイドとしても楽しめる。
    装画はヒグチユウコ氏による描き下ろし!

    はじめに
    第1章 死ぬ瞬間
     それは密やかに訪れる
     常に見逃される
     眠りと死
     死は好奇心を刺激する
     人はすでにその瞬間を体験している
    第2章 「永遠」は気味が悪い
     永遠とは何か?
     喜びが「永遠に」 繰り返されるとき
     一直線の永遠
     不老不死は幸せか?
     絶対零度のような永遠
     輪廻転生、 生まれ変わり
    第3章 見知らぬ世界
     「あの世っぽい」とは?
     死後の世界、三つに分類すると
     宗教観に左右される
     現世と微妙に異なる 「あの世」
     現世と死後の世界との中間段階
     想像を超えているからこそ......
    第4章 取り返しがつかない
     『鉄腕アトム』で描かれた不可逆性
     死んでいるのに、生きているように映る
     ミイラの妻を10年間抱き続けた男
     火星への片道切符
     死は取り扱い注意 『100ワニ』現象
    第5章 死体の件
     一九八六年の「土葬」
     土葬か火葬か
     死者に対する真摯な向き合い方は一律ではない
     死体は「ニセモノ」 じみてくる
     死体の圧倒的実在感
    第6章 死と悪趣味
     「滑稽」 の効能
     防衛機制、躁的防衛
     可笑しくなる、という追悼
     「悪趣味」なのだとしても
    おわりに

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    2026年09月22日
  • 老いへの不安 歳を取りそこねる人たち

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    なんだかこの作者の本に興味が出てきた。
    漫然とエッセイというのではなく、一冊を通してテーマがはっきりしているのがよい。
    学術ガチガチでもなく、楽な方面に崩れすぎもしない、いい按配。
    さもしい感じ、鼻白む体験、月並みで紋切り型でしかないこと、などから目をそらしていないのも、よい。

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    第1章 孤独な人
    妄想喫茶店 隕石と老人 旅に出る 何の変哲もないじいさん 御徒町にて 死んだ子供
    第2章 鼻白む出来事
    パン屋での出来事 蝙蝠日記 はあ、ニートですか 鳩と老人
    第3章 老いと勘違い
    歳を重ねるということ 苦い記憶① 苦い記憶② 愕然と恥辱 不穏な性格 難儀なこと 若くあろうとすることについて 年齢に似合わぬ若さ 精力的な人
    第4章 孤島としての老い
    無人踏切 ええなあ 蔵の窓の幽霊 陽の当たる島 ちょっと後 病室に暮らす 幻の同居人
    第5章 中年と老年の境目
    入江の光景 月を見る 人生のエアポケット 魔が差す、ということ どこかがおかしい 人生の総決算
    第6章 老いと鬱屈
    釘を買う そんなもんじゃないだろ 老いとともに出会う”難儀なこと” 死の床で アメジストのブローチ 面倒なこと
    第7章 役割としての「年寄り」
    老人と年寄り 葛飾的 老先生 ズボンが落ちる コロナたばこ屋電球 祖母の力 釣りの光景
    第8章 老いを受け入れる
    浜辺の煙 老いたロックン・ローラー 芸能人的 イケてる親爺 鶏の臓物 同じ歳 ベストドレッサー 老いるということ
    あとがき
    文庫版あとがき
    解説 宮沢章夫

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    2026年09月07日
  • 鬱屈精神科医、お祓いを試みる

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    ネタバレ

    開けたら春日先生の脳みその中。凄腕の精神科医の魂が暴走したら、 もう誰にも止められない。これはもうリノベーションというより「どこでもドア」だと思います。(穂村弘・歌人)

    タイトルから、何かしらのいくつかの(怪しげな)「お祓い」を著作の多い精神科医が試みた…と思ったのだが、全然違った。タイトル読みはどうも外れやすい。
    実際に行われたのは著者の実家のリノベーションで、ごく私的な、しかし作中に語られる通りお祓い作用も期待したようだ。
    著者の記憶を行ったり来たりしながら、結末において、少しの「救済」が語られる。なるほど、これは私小説なのかもしれない。

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    2026年08月18日
  • 屋根裏に誰かいるんですよ。 都市伝説の精神病理

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    「屋根裏に誰かいるんですよ。 都市伝説の精神病理」河出書房新社 1999
    「家屋と妄想の精神病理 あるいは、狂気とアナクロニズム」と改題、増補 2005
    「屋根裏に誰かいるんですよ。 都市伝説の精神病理」に戻して文庫化(ツイッターでバズったので) 2022
    バズったツイートは以下。
    ・
    ジェット・リョー
    @ikazombie
    2022年7月29日
    この本よかった。精神科医として数々の"常軌を逸した"家を訪問した筆者が語る、「家は心休まる空間であると同時に、狂気を培養する孵卵器でもある」という視点が面白い。少なからず他人の目がある外と違い、自分の価値観だけが正となる自宅は、時間の積み重ねとともに妄想や妄執の濃縮装置となりうる。
    私は学生時代に消防点検のバイトをしていたことがあり、現場が大きな団地とかだったとき、全体のうち1、2軒そういう“常識からズレてる”家があったので感覚としてもよく分かる。今でもよく覚えているのは、各部屋の棚の上に人形の頭がたくさん並んでて、すべて部屋の中心を向く角度で置かれてた家。
    客観的には異常なんだけど、住んでる人からしたらロジックがあるんだろうなと今さら思う。例えば方角を決めてお守りを置いてる家とかフィギュアをたくさん飾ってる家は普通にあるわけで、それらが組み合わさったり少しずつズレていったら結果的に前述のような内装になった家も生まれうるなと。
    あと玄関口で家主から「この団地は壁の隙間からハウスダストが出てくる、毎日咳が止まらない」と玄関口で愚痴られて、部屋に入ってみたら明らかに掃除をまったくしてなくて埃まみれだった家とかもありました。懐かしき、わが青春の日々。
    絶版になってるくさいけどおすすめです。
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    で、
    ・
    河出書房新社
    @Kawade_shobo
    2022年8月4日
    「家は心休まる空間であると同時に、狂気を培養する孵卵器でもある」
    【感謝】ジェット・リョー @ikazombieさんがTwitterで紹介してくださった春日武彦『屋根裏に誰かいるんですよ。』超特急文庫化が決定です! 10月なる早、文庫なのでお安く、そしてデザインはこのまま!!
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    すごいスピードだ。
    で、確かに面白かった。
    春日先生の「粘りぶし」が絶妙。
    ひとつの妄念について、これほど周辺情報含め蒐集する、その手つきの粘りよ。それこそ偏執的に。
    屋根裏に27年潜んだ、というか家の妻の間男をしていた、オットー・サンフーバー。
    この話実際は眉唾で、インターネット黎明期の、眉唾雑誌のウェブ版のノリを引き摺った記述でもあるのだが、え、つらく……ないのでは……?
    ポン・ジュノ監督「パラサイト/半地下の家族」でも思ったのだが、衣食住セックス満たされて、むしろいいんじゃ……?
    という価値観揺るがせ本でもある。
    まあ全体としては「妄想濃縮装置としての家」の本なのだが。
    また同居人妄想を、「文学的狂気」「物語の胚珠」とも表現する、美味しい本。

    @

    内容説明
    屋根裏に誰かいるんですよ―そんな訴えを聞くことがある。それまで冷静だった人が、突如何事でもないかのように。心の闇が屋根裏や押入れに投影され、“幻の同居人妄想”となって噴き出してくる。ミステリや都市伝説、そして事件にも反映されるように、室内とは、脳内におぞましいが懐かしくもある想念を育む非日常の場所なのか。異色作、ついに文庫に!

    目次
    1 天井裏に潜む者(屋根裏を歩く;闇と埃と蜘蛛の巣 ほか)
    2 たちあらわれる非日常(澱んだ時間;屋根裏の間男 ほか)
    3 奇妙な憶測、異様な解釈(些細な変事;嫁の冤罪 ほか)
    4 家の中で起こっていること(バリケードを築く老婆;妄想濃縮装置としての家 ほか)
    増補 入れ子の家(屋根裏の散歩者たち;屋根裏に潜む ほか)

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    2026年07月21日
  • 死の瞬間 人はなぜ好奇心を抱くのか

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    医師として多くの死と向き合ってきた著者が、死についていろいろと考えたことを、まさにそこはかとなく書き繕った、という感じ。それなりには楽しめた。
    死の瞬間に関しては、死んだ瞬間に見ていたものを再現できるオプトグラフィーという技術(実際は未実現)のこと、「ピンチャー・マーティン」という小説が本編(岩礁に漂着して苦難の中で精神が崩壊しやがて死に至る)がまるごと(少なくとも小説の5ページ目以降は全て)死の瞬間に見ていた幻であることが終盤に判明する下りなどが紹介される。
    次に死によって向き合わされる「永遠」について。反復の永遠(記憶がつながっていれば絶対に飽きる。どうやっても絶望に至るだろう。)、無の永遠(味気なさ過ぎる)、一直線の永遠(不老不死的なもの。絶望しかない)などの考察。
    死後の世界については、天国と地獄といったプロトタイプのほか、現世とそっくりな別世界、まったくの未知の世界、といった仮説が語られる。
    死とは取り返しがつかない不可逆的なものであるという章では、鉄腕アトムの親友のロボットが粉々に砕かれるシーンの無慈悲さなど。
    そして、死体の話(死体の変化のリアルなおぞましさから目を背けられるように、葬儀は過度に形式張っているのだという著者の持論。これは読んでいて納得。)。
    最後に、死と滑稽さが悪趣味に結びつけられるケースも多い(人形のような動きになって溺れていった兵士、自殺した女性が自殺前に暴飲暴食した形跡、姉の好きだったどら焼きを大量に抱えて自殺した60代の妹 など)が、これは、死という絶望に直面する人間の防衛本能のなせるものではないかとの考察。

    全編、話題として面白いが、特に何らかの巨大な理論主張の軸があるわけではなく、エッセイのような感じで、人間の死や死の瞬間に生じることを深掘りする書籍ではないかとの事前の期待に沿うものではなかった故に、勝手ながら少し厳しく星3つ。


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    2026年07月16日
  • 不幸になりたがる人たち 自虐指向と破滅願望

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    先日、著者の対談を立て続けに聞く機会があって、その流れから『自殺論』を読み、たまたま手元にあった本書も読んでみた。

    どうやら、本当は人格障害について書くはずの本だったようであるが、出来上がってみれば、著者のいうところの「わたしにとっての珍奇なコレクション」を集めたシロモノになったようである。
    まあ確かに、野次馬根性的なにおいは否めない。でもだからこそ、そこに妙な人間臭さも感じられるのも事実。
    本当にそんなことが?とか、なんでまたそんな、とか思うような事件等々が引き合いに出されているが、大正時代とか、ずいぶん前の事件か何かと思いきや、せいぜい10数年くらい前のことだったりして、あれ?この時私は何してたっけ、なんて思うくらい、割と最近のことだったりするのだから驚く。

    仕事柄、なかなか一般的な人はあまり知り合う機会も無さそうなタイプの人と接する機会も多いので、こんな本書を読んでも、まあそうかもねくらいには思えるが、いわゆる普通に暮らしている人からしたら、俄には信じ難いような事実なのかもなぁ、と妙に自分の境遇を客観視してしまった。

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    2026年06月26日
  • 恐怖の正体 トラウマ・恐怖症からホラーまで

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    読みやすくて良かった、色んな恐怖やトラウマなどを解説してる本。
    個人的に恐怖のメカニズム、詳しいトリガーの解説を期待してたのでちょっと思ってたのと違うな、でも面白かったなという感想ですね。

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    2026年06月10日
  • こころの違和感 診察室 しっくりこない自分と折り合いをつける方法

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    ネタバレ

    嫌なこと忘れられない。
    それは「脳内リベンジ」をしてるから。
    せめて頭の中であの出来事を克服したい打ち勝ちたいと思ってるから、気が済まないから、執着しているから

    どうするのか?
    消し去るのは無理だから思い出した時に、思い込んでるほど無力感や自己嫌悪を覚える必要はないと思考に柔軟性をもたせること
    慣れさせること
    記憶を骨抜きにすること
    ネタにして笑い飛ばせるくらい
    カウンセラーに話すとなぜいいのかは、話すことでネタと化すからだそう。

    著者は結構オープンな方、素直な文章。

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    2026年04月15日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    医療現場のリアルな緊張感が伝わってくる作品が多かったです。短編なので読みごたえという点ではちょっと物足りなかったですが、読んだことのない作家さんが殆どだったので読み比べて楽しめました。

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    2026年02月22日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    つい読みやすい短編の医療系に手が伸びてしまいました。その期待は裏切らないのですが、短編集はやはり短編集でした。それにしても、お医者さんがもっと楽な社会にはならないのでしょうか。

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    2026年01月10日
  • あのとき死なずにすんだ理由 あの日、あのとき、あの場所で感じた理解不能な恐怖

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    高野秀行さんと平山夢明さんの対談が面白くて、高野さんの本を読みたくなりました。
    この何とも言えない実録なのかそうじゃないのかのホラー具合は好き。

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    2026年01月10日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    本当に医療に携わる方々の体力、知力、タフさは尊敬するし感謝しかない。どのお話もよかったけど、「研修医ヒナノの洞察」、「春に綻ぶ」が好き。
    少しでも健康でいようと思う。

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    2026年01月05日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    アンソロジーは、新しい作家さんとの出会いも楽しみ。シリーズ物も読んでみたいと思う作家さんに会えた。医師をしながら小説家もできるなんて凄すぎる。

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    2026年01月04日
  • あのとき死なずにすんだ理由 あの日、あのとき、あの場所で感じた理解不能な恐怖

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    大使館職員も参加する娯楽としての殺人ショー。70越えの元立ちんぼが若い子に語る身の上話。ドリンクバーを飲みながら追及する夫の不倫相手。戸建て賃貸の大広間に潜む、人ならぬ隣人。縊死体の靴下に挟まれた切符サイズの遺書。梱包体となった殺された少女に欲望を向ける男。推し活する野球選手を射止めるヒゲのおばさん。タクシーの乗客となった巨大な足を持つ妖怪女。死んだはずなのに電話をくれた霊能者。トンネルで願いを叶えてくれると噂される轢断死した女子中生。……真冬に味わうホラー。生き残れるのは、恐怖を感じる力があるから。

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    2025年12月29日
  • 屋根裏に誰かいるんですよ。 都市伝説の精神病理

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    心の闇が、幻の同居人妄想となって吹き出してくると説く本。
    個人の秘密や心のありようが、部屋では剥き出しにされている。

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    2025年09月28日