春日武彦のレビュー一覧

  • 自殺帳

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    すごく面白かったです。
    自分に対して、また周りに対して「なんで自殺したの?自殺できたの?」と不思議に思う人、例えば急に死んだようにしか見えない芸能人のことを度々考えてしまうとか、そんな自殺という行動に興味がある人にオススメ。不謹慎かもしれないが楽しく読めると思います。

    医学的研究に基づいた論考!のような小難しい内容ではなくて、文学や過去の事件からの引用も多く、そこに著者自身の臨床の経験を交えたエッセイのような感じ。教養ある方なんだなと感心します。淡々と、でも小気味よく、押し付けがましくなく、時折著者の想いが透けて見えて、文章が好きでした。こんな精神科のお医者様いるんだなあと感動しました。

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    2024年03月05日
  • 恐怖の正体 トラウマ・恐怖症からホラーまで

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    精神科医が医学というより多くの書籍から引用した人それぞれの恐怖の対象を分類し語る。背筋の寒くなる部分が多いのが刺激的でいつもとは一風変わった読書が楽しめる。

    筆者は甲殻類恐怖症だという。本書を読むと自分は集合体恐怖症のようで、考えただけでゾクゾクする。

    映画、小説から多くの引用があり筆者の博識の高さが本書を奥深い物としている。新書ならではの知的な遊戯が魅力。

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    2024年02月15日
  • 恐怖の正体 トラウマ・恐怖症からホラーまで

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    中平卓馬の「赤ん坊がはじめて見る世界」のような写真がどんなものか気になって検索したらちょうど今日から大規模な回顧展が始まるらしい。たまたますれ違った車のナンバが自分の誕生日と同じ、よりも確率の低そうな偶然である。
    怖くはないけど。
    先日、美の巨人たちで立原道造とヒヤシンスハウスを見て、篠田真由美の「風信子の家」を読み返したと思ったら、本書でも言及されていて、こっちもちょっとした符号を感ずる(単に過去の経験があるからそこに引っ掛かっただけかもしれないけど)。

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    2024年02月06日
  • 奇想版 精神医学事典

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    クセのある精神科医(失礼!)春日武彦先生による、
    五十音順でもアルファベット順でもなく、
    心の赴くまま連想に連想を重ねて綴られた事典形式のエッセイ集。
    先生の趣味・嗜好がモロ出し(笑)で、
    しかも一読者である私の好みにマッチする話題が多くて
    楽しかった。

    p.7~8[神]
     神は思いがけないところへ、不意に姿を現す。

    タイヤの表面に刻まれた溝がアラビア文字による「アラー」に
    酷似していた、
    あるいはバスケットシューズのデザインプリントが
    またしても(略)といったメーカーの受難。
    不謹慎なようだが、
    どことなくボルヘスの作品世界を思わせるエピソード。

    などなど。

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    2023年12月23日
  • 「狂い」の調教 違和感を捨てない勇気が正気を保つ

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    「俺はもう、全然、分かんないもんね。PayPayとか。やったことない。大体、そんな信用のならない名前ないじゃん。PayPayなんてさ、ちんちんみたいで。」

    平山さんのこのゆる発言からは想像できないかもしれないけれど、掃除がしたくてたまらなくなる一冊でした。

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    2023年09月29日
  • あなたの隣の精神疾患(インターナショナル新書)

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    倫理的に問題があると指摘されるような発想を、避けることなく検証していて、きれいなところだけではなく書かれていたので読みがいがあった。

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    2023年08月05日
  • 「狂い」の調教 違和感を捨てない勇気が正気を保つ

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    ネタバレ

    室内を整理すること=頭脳労働をしたり創作活動や仕事をするための〖人間としての環境作り〗
    〖違和感を捨てない勇気〗
    のあたりはかなり響いた。
    全体としては変わったおじさんたちのグダグダおしゃべり会。でもそれが面白い。

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    2023年08月02日
  • 健全な肉体に狂気は宿る ――生きづらさの正体

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    『健全な身体に狂気は宿る』

    日系大企業から外資系企業に転職し、まず聞かれたことが「あなたのDifferentiatorは何か?」ということだった。そして、海外から来た上司や英語話者によって、Differentiatorと強みは同義ということにも衝撃を受けた。差異がそのまま強みになる。あなたにとって何が人と違うところなのかという問いを突き付けられ、あなたにしかできないことはなんですかと聴かれることは初めてであり、爽快だった。本書でも、自分のミッションを考えるときは、自分が他の人とどう違うかということを考えると言う点があり、先述の考えに非常に近いなと感じた。さらに、もう一歩踏み込んで、自分自身の

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    2023年07月29日
  • 鬱屈精神科医、占いにすがる

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     面白さを説明するのが難しい。
     鬱屈した精神科の先生が(同業者に相談するのは憚られて)救いを求めて占いに行くのだけれど、占いに求められるのは「アドバイス一つで劇的に状況が好転するカタルシスだ」というのは、毎日Lineだのの12星座占いを見て一喜一憂するタイプの人間(アタシだ)には非常に思い当たる部分がある。

     が、代わりに触発されて想起されたのは自身の母親との関係性だった、という部分に関しては、これはもう「ある母子の関係」という文学なのでそれはそれで面白く読んだ。

     そうなんだよなぁ、そこの「精神科医と占い師の相似性」の問題と「母との愛憎」の問題が入り乱れているからこそ、面白さの説明が難

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    2023年06月06日
  • 屋根裏に誰かいるんですよ。 都市伝説の精神病理

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    人が本来安らぎ寛げる場である筈の「家」は、同時に外部から中の状況がほとんどの場合窺い知れぬが故、往々にして妄想や狂気を醸成、濃縮する孵卵器となる、ということか。

    見慣れた近所の家々も……いや、考えるのは止めておこう。

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    2023年03月01日
  • 屋根裏に誰かいるんですよ。 都市伝説の精神病理

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    屋根裏に誰かいるんですよ。: 都市伝説の精神病理。春日 武彦先生の著書。屋根裏に誰かいるという妄想にとらわれている人に屋根裏に誰もいませんと反論したところで屋根裏に誰かいるんですよと言われてしまうだけ。屋根裏に誰かいるという妄想にとらわれている人を頭ごなしに否定しても何も始まらない。屋根裏に誰かいるという妄想にとらわれている人の気持ちに寄り添ってお話を聞いてあげることが屋根裏に誰かいるという妄想にとらわれている人を助けることにもつながるから。精神科医で医学博士の春日 武彦先生だからこその良書。

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    2022年10月08日
  • こころの違和感 診察室 しっくりこない自分と折り合いをつける方法

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    すごくよかった。ただ、とてもしんどい時に求めて読む本では無いので注意です。
    なんだかモヤる〜な気持ちの折り合いの付けかたを春日さんの感性的なものを織り交ぜつつ書かれています。短編小説やエッセイを読んでるような感覚です。私はこの本で春日さんのこの文章のセンスがとても好きになりました。他の本も読んでみようと思っています。
    精神的なモヤモヤがすぐに読んでぱっと晴れるわけではないけど、俯瞰で自分を観察しつつ、なるほどなぁと思わせる内容でした。“うつ病を〜が〜”というタイトルの本にもうなんかお腹いっぱいだなぁと思えた時にオススメの一冊です。

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    2022年05月15日
  • 鬱屈精神科医、占いにすがる

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    鬱屈精神科医、占いにすがる。春日武彦先生の著書。普段からいろいろな患者さんのお話を聞く立場にある精神科医の先生でさえ、悩み苦しみ暗い気持ちになってしまうことがある。鬱屈精神科医の先生が占いにすがる過程が本音で書かれています。精神科医の先生だって人間、占いにすがることだってあるのは当然のこと。

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    2019年10月23日
  • しつこさの精神病理 江戸の仇をアラスカで討つ人

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    文章が上手く読みやすい。様々な文学作品が症例で出てくるのでとても分かり安い。
    「苦笑」が大事。確かに不思議な感情だ「苦笑」は。

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    2018年11月05日
  • 精神科医は腹の底で何を考えているか

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    私小説のような感触の新書。それくらいあけすけと心情が書かれていて逆にほっとする。そこには諧謔的なところもあり迷いや素直な思いが書かれていていいと思う。精神科医も人間だということがよくわかる。人間らしい精神科医だと思った。そのことが精神科医としていいのかどうか患者や専門家ではないのでよくわからないが悩める人には共感できるものがあると思う。

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    2017年12月18日
  • 鬱屈精神科医、占いにすがる

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    著名な精神科医が、赤裸々に自分の内面を語った本。精神科医が自分の内面を書くのだから、詳細になるはずである。自分の内面を客観的に書くなんて、非常に困難なことだと思うので、実際どこまで客観的なのかはわからない。何よりもどこまでが事実なのかもわからない。でも、「恥も外聞も捨てて」書かれているように見える。そこにまず、心が動かされる。

    多分新聞の書評を読んだのだと思う。
    私自身、占い師に占ってもらおうなんて思ったことがなかったが、この2、3年前から、誰か占い師さん紹介してくれないかなあ、とか「占いの館」みたいなところって、若い人が遊び感覚で行くところなんだろうなとか、占い師さんに占ってもらいたいと、

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    2016年08月21日
  • 秘密と友情

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    辞書的に一つの言葉をテーマとして章立てし語り合うスタイルの、変わり者同士の対談です。
    ただの変わり者ではなく相当、と言うか生粋の(笑)変わり者対談です。好き嫌いはあるでしょうが、お二人を知っている人ならゲラゲラやニヤニヤが止まらないこと必至です。

    乗り物の中とか飲食店などの人の多いところで読むには注意が必要です。笑いをこらえて涙がにじむ程でした。

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    2016年03月09日
  • 様子を見ましょう、死が訪れるまで 精神科医・白旗慎之介の中野ブロードウェイ事件簿

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    ナルシストの精神科医、脈を計ることによって他人の欲望を見ることができる記憶喪失の青年、モリアーティ教授気取りの謎の男、女装の怪人等々…登場人物が皆濃くてかなり面白かった。
    Dr白旗の精神科医を訪れる人たちは人に言えない欲望を抱える人たちばかり。作者は精神科医の先生なので、本当にこういう相談が持ちかけられたりするのかなぁと思いながら読みました。
    一話完結で読みやすく、どの話もちょっとブラックなオチで面白い。灰田青年が何故記憶を失ったのか、果たして本当にゲイなのか、月村は一体何者なのか…謎が投げっぱなしのまま終わったので、続編も期待しています。
    中野ブロードウェイって本当にあるんだーと思って調べて

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    2014年05月21日
  • 不幸になりたがる人たち 自虐指向と破滅願望

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    前書きで著者が言うように、確かに「後味の悪い読後感」がある。不安感と言葉に変換しがたいおそろしさと…。それでも、その内容を読み取りにかかってしまうあたり、著者がこの本に記したことが一つの真実であると証明しているみたいだ。
    不幸になりたがる人は存在する。社会人になってはじめて、その色が濃すぎる人物に会った。その人物に対してずっとずっと嫌な感じがあったのだが、適当な表現が見つからずモヤモヤし続けていた。止まらない微妙な違和感、常識外の世界観、言葉が通じていない感覚、成立しない意思疏通、思考不足で怠惰な依存性。得体が知れないのだ。不可解で不快極まりないのだ。苦手だからあまり関わらないようにしようと

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    2013年04月29日
  • 健全な肉体に狂気は宿る ――生きづらさの正体

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    内田樹と春日武彦の健全な肉体に狂気は宿るを読みました。
    生きづらさの正体、という副題のついた、生き方についての対談集でした。

    章毎のテーマは、世代論に逃げ込むな、「自分探し」はもうやめよう、人間はわかりあえっこない、個性とこだわり幻想、健全な肉体に狂気は宿る、まずは身体に聞け、と現在喧伝されている生き方の解説やコミュニケーションについての解説に真っ向から対立する主張が述べられています。

    春日武彦の精神病の臨床医療の現場からの意見と内田樹の身体の発する信号を聞いて行動しようという主張とがかみ合って面白い読み物になっています。

    アメリカの契約社会で育ったコミュニケーションの方法は、日本の以心

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    2011年12月21日