【感想・ネタバレ】鬱屈精神科医、占いにすがるのレビュー

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Posted by ブクログ 2023年06月06日

 面白さを説明するのが難しい。
 鬱屈した精神科の先生が(同業者に相談するのは憚られて)救いを求めて占いに行くのだけれど、占いに求められるのは「アドバイス一つで劇的に状況が好転するカタルシスだ」というのは、毎日Lineだのの12星座占いを見て一喜一憂するタイプの人間(アタシだ)には非常に思い当たる部...続きを読む分がある。

 が、代わりに触発されて想起されたのは自身の母親との関係性だった、という部分に関しては、これはもう「ある母子の関係」という文学なのでそれはそれで面白く読んだ。

 そうなんだよなぁ、そこの「精神科医と占い師の相似性」の問題と「母との愛憎」の問題が入り乱れているからこそ、面白さの説明が難しいだなあ、というのがいま文章を書いていてわかったことだ。

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Posted by ブクログ 2019年10月23日

鬱屈精神科医、占いにすがる。春日武彦先生の著書。普段からいろいろな患者さんのお話を聞く立場にある精神科医の先生でさえ、悩み苦しみ暗い気持ちになってしまうことがある。鬱屈精神科医の先生が占いにすがる過程が本音で書かれています。精神科医の先生だって人間、占いにすがることだってあるのは当然のこと。

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Posted by ブクログ 2016年08月21日

著名な精神科医が、赤裸々に自分の内面を語った本。精神科医が自分の内面を書くのだから、詳細になるはずである。自分の内面を客観的に書くなんて、非常に困難なことだと思うので、実際どこまで客観的なのかはわからない。何よりもどこまでが事実なのかもわからない。でも、「恥も外聞も捨てて」書かれているように見える。...続きを読むそこにまず、心が動かされる。

多分新聞の書評を読んだのだと思う。
私自身、占い師に占ってもらおうなんて思ったことがなかったが、この2、3年前から、誰か占い師さん紹介してくれないかなあ、とか「占いの館」みたいなところって、若い人が遊び感覚で行くところなんだろうなとか、占い師さんに占ってもらいたいと、思っていた。
そこで、この本である。タイトルだけでも惹きつけられるではないか。

読みながら、一言一句にふんふんとうなづかされた。
ご自身が患者さんにされるカウンセリングの方法なども、私のような素人が人の悩みを聞くときの参考になる。割と今までいい感じで人の話を聞いてたなあと、ちょっと安心したりもした。

本筋とは関係ないが、安倍首相を評している文が、よくぞ上手くまとめてくれたと感心したので、引用しておく。

"安倍首相の小心さと傲慢さとがミックスされたような口調、愚かな割には妙な運の強さを発揮するそのしぶとさ(それが結局は本人にとっても日本にとってもマイナスの意味になってしまうことも含めて)、再び突然の辞任をしそうな危うさ、ぎこちない「あざとさ」、おそらく心の中に抱えているであろう低レベルの鬱屈(学歴や人望など)、力づくの振る舞いへの憧憬" 61ページ

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Posted by ブクログ 2023年05月21日

タイトルからして面白そうだったが、内容も面白かった。筆者の語り口調といい考え方といい、何だか読んでてニヤリとしてしまう。

幼少期の木琴の話はなんだか近しいような体験をしたことがあり、忘れかけてたエピソードがフラッシュバックした。

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Posted by ブクログ 2021年01月22日

「(母)親に認められたい」という思いは本人が年老いても親が亡くなっても消えないものなのか。だとしたら諦めることを諦めるしかなさそうだ。

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Posted by ブクログ 2018年09月06日

亡きお母上の呪縛から逃れたい一心で形振り構わず占いに縋る、少々情けないご自身の姿を敢えて赤裸々に描いた意欲作。誠に天晴れな作家魂と言う他ありません。常にも増して自己憐憫の欠片も無い、皮肉たっぷりの文章も素晴らしいです。褒めております。念のため。

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Posted by ブクログ 2019年04月24日

少し前に読んだ『鬱屈精神科医、お祓いを試みる』の前の本。
ここで実家のリノベーションの話も出てきている。
精神科医という職業の人間が占い師に会う。
そこに至るまでの思考の道筋が、事細かに書かれる。
自分の気持ちをつぶさに観察する客観的な視線と、
反論やツッコミや皮肉な見方を先回りして、
しかも誰より...続きを読むも深く広く的確に想像できる冷静さ。
自分の悩みにいちいち突っ込まずにいられないもう一人の自分。
それを文章で読ませる面白さ。
本が売れるかどうかという不安は、
私が読んだ本がすでに4刷目であることで杞憂になったのではないか。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年12月11日

やっぱり病人が病人を診ていたのか。
春日武彦って吉野朔美の漫画に出てくるけど、吉野朔美の漫画の世界より、洒落た造りのハリボテのクリニックで喪黒福造にドーンってやられて、永遠に母親とトランプで占いする世界に行ければいいのにと思った。

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Posted by ブクログ 2016年04月09日

私小説であるならば、なんたる重度な鬱屈ぶりだろう。自らの容姿に底知れぬ劣等感を抱き、生じる自己嫌悪は両親への責任転嫁で逃れんとする。もっとも、ご本人は自分を医師としても作家としても二流以下と申されるが、文才、筆力は相当なレベルに違いない。占い師の世界観とそこへの誘導なんぞ、実に端的かつ明瞭に説かれて...続きを読むいる。されど、占い師巡りったってさほど冴えない占い師がチョロっと登場する程度で、すがったというのは過剰表現でしょう。物書きネタで体験したってのが穿った見方ではあるまいか。今後、精神科医を振りかざすことなく作家業に精進されるなら、化ける資質を感じるんだけどなあ。

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Posted by ブクログ 2016年02月27日

春日先生、何だか最近お姿見かけないと思ったらこんな所にいらしゃったんですね‥それが占い師の所だったという感想です。
まさか精神科の医者が占いによすがを求めるなんて!という意外性はありますが、よくよく考えると物語りが患者の精神世界を彩る精神科の領域にあっては、それもありなのかとも思えます。逆に占いは統...続きを読む計的な要素が下地にあるので型に当てはめてスッパリ切って貰える小気味よさが、筆者の求める救いに繋がるのかともおもいます。
初老の年齢に差し掛かり、今までに経験したことのない不安感や不全感や迷いに戸惑う筆者ですが、うつ病でもないしと自身を診断してしまう哀しさもあり、様々な理由をあげてああでもない、こうでもないと専門的な見地も交えた自己分析が延々と続きます。(私の見解では老いの入り口ということが多分に原因を占めていると思うのでその辺りを論じて欲しかったのですが‥)
占い師のところで、あなたの患者さんがこういうことを語ったら担当医としての答えは?の問いにスラスラ筆者が答える場面は笑えるところですが、このようにひとのことはよく見えるのに、自分のこととなると見えなくなるのが世の常なんでしょうか。
生い立ちを言えば一人っ子、妻はいてもお子様も作らなかったという系譜の事情、最近亡くなってしまった母の愛を救済として切望する筆者の心理状況は、マザコンだった男性であるが故に今になって浮上してくるのかなあとも思いました。全て男性はマザコンなんでしょうが、世のお母様たちには、早い段階で母の愛を充分に息子に注いで欲しい、卒業させて欲しいと読みながら思うのでした。

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