春日武彦のレビュー一覧
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ネタバレ個人的メモ。
p26 ものごとを単純化し過ぎる、矮小化簡略化し過ぎる態度というか精神状態は、自殺の危険に直結します。自殺者は、自分なりに考えに考え、ついに死ぬしかないと結論を下すわけですが、そのプロセスに身も蓋もない単純化が介在してしまうからそんな結論に至る。
p34 どうこう言っても、猫に不自然な生活を強いているのは確かなのです。一生、他の猫と遊んだり喧嘩をしたり交尾することはない。広い場所を存分に駆け回ることもできないし、鼠を捕まえる機会もない。我が家の猫は猫らしさを奪われているわけで、たとえ安全で快適な環境を提供しようとも、それが猫の幸福に直結している可能性については判断がつかない。いや、つくはずがない。
p58 マラソンランナー円谷幸吉について。この方の事は全く知らなかった。心情を想像するだけで胸が苦しくなる。婚約者と別れさせられるとことか。どれだけ追い込むんだよ。腹が立つ。
p145 イメージ的にうつ病の人は、項垂れたまま暗い表情で部屋の隅にじっとしているような印象を持っている読者が多いのではないでしょうか。でも特に老人のうつ病患者では、焦燥感やパニックで泣いたり騒いだりと落ち着かないケースが散見されます。取り越し苦労の行き着く先のようにも映ります。
p166 映画メランコリア ネタバレくらったが見てみたい。 -
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人にはそれぞれ恐怖を感じる対象がある。怖がりという言葉が何に対してどの様な恐怖心を抱いているか、時には他人には理解できないこともある。大半の人は幽霊などの現実世界には無い様なものを恐れるだろうし、極端なスピードで高速や一般道までをも走る車、包丁を持って近づいてくる人がいれば、有無を言わさず恐怖するだろう。私は幼い頃に高い木から落ちた経験からか、高いところが苦手、所謂、高所恐怖症だ。今世の中を見れば恐怖で溢れ返っている。街中や通勤電車内で刃物を振り回したり、ビルから包丁や人が(歩行者を狙ったのか)落ちてるくる、強風で飛ばされた農業用テントやら看板が電車にぶつかって人が亡くなるなど、自分に降りかかった時のことを想像すれば、容易に恐怖に至るだろう。珍しいところでは(結構いるかもしれないが)、狭いところ、ぶつぶつした模様、すれ違う愛玩犬、食べ物などにも恐怖を感じる人も多いだろう。
この様な恐怖心を抱く原因や、その対象物となり得る例を多く挙げ、それを精神医学の見地から分析しているのが本書の内容である。筆者は甲殻類の恐怖症であるから、自身の経験・体験などからもその原因や、恐怖を抱くための要件、条件を示している。特にエンターテインメントとしての映画や文学作品などの例示は豊富で、その一つ一つに丁寧な原因分析が行われている。勿論そうした作品の多くは、製作者や筆者の感じる恐怖心が背景にあるだろうから、見事に本作の筆者や読者である私も、その恐怖の罠に見事にはまってしまっているに違いない。
以前何かの本で、人はそこにあるはずのものが無かった時より、無いはずのものがあった時に恐怖を感じると読んだことがある。そうした意外性や身の危険に対する抵抗心などが恐怖に結びつきやすいだろう。何より生存本能として、痛みや死に至る危険性や可能性への恐怖は避け難い。その様な恐怖の出どころを理解したとて、その恐怖を克服したり避けられるわけでは無いだろうが、知識として知っておく事で、何かそうした機会に偶然行き当たった場合にも、少し冷静に考えられるのではないかと思う。ただ、恐怖は軽減できても、それはあくまで身体や精神の危険に対する警告的なものであるから、あくまであることの方が正しいのではあるが。 -
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仕事柄、車を運転する機会が多くて、おかしな動きをする車がマジで怖いです。
初心者またはペーパードライバーなのか、公道でなんらかのチャレンジを行っているのか、もしかしたら脳に欠陥があって恐怖心を感じない人なのか知りませんけど、そういうのを見ると反射的に警戒モードになります。
恐怖は、人間が備えた防衛本能であると同時に、恐怖症や不安障害のように人間を追い詰めて弱らせる自滅システムのような一面もある。
あってもなくても困るし、人によって対象も程度も違う。
改めて複雑な感情だなぁと思いながら読みました。
この本は精神科医である著者が、小説や映画のワンシーンを引用しながら、様々な角度から恐怖という感情について考察しているものです。
学術的な要素はあまりなく、作家でもある著者の趣味嗜好が高じた感想文のような書籍で、想像していたのとはちょっと違いました。
ただ文章に独特の味があって、読み物として面白かったです。
結局正体はわからないが、恐怖とうまく付き合って生きている人が一番幸せだと思います。 -
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著者の死への好奇心が詰まった一冊。とはいえ、軽薄なものではなく、死にたいする尊厳と畏怖が随所に感じられた。
第2章については共感した。永遠など、まったく不要。どんなに幸せな状態でもそれは刹那的なものだから価値があり、永遠に続くとなれば必ず虚しさに襲われると思う。それが辛い状況ならなおさら永遠などごめん被りたい。
私自身の病気、母の死を迎えて、死が非常に身近なものになった。それでも、だからなにができるわけでもない。自分が死んでも毎日は続いていく。死ぬ前になにがしたいとか、名を残したいなどもない。ただそこに自分がその瞬間にあっただけ。病気と共に不安と安堵を繰り返しながら、ただひたすらにその瞬間に向かっていくだけである。
死んだ後、体を検体に出すなどは意味のあることだと思うので、自分もそういうのがいいなぁと思う。 -
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ネタバレたまたま手に取り斜め読み。
さまざまな知識満載、表現力の妙味、
例えば、富岡多恵子の遠い空を、
田舎を舞台にした気味の悪い小説である
肥溜めに石を放り込んでみるような怖さと好奇心とに満たされている
という感想。遠い空の紹介の前には、アメリカ西部劇やドラマに出てくる底なし沼のことが書かれており、とにかく引き出しが広く多く想定外の発想と結びつきの考察。面白いし、紹介されている本の内容も詳しいのでブックガイドとしても役立つ。
遠い空の章がやはりなかなかよい。億劫であること面倒くさいという心性がもつ支配力、人を麻痺させる力。
いい人は不精者。
最初はおもろないと思ったが細かい考察表現法人間てしょうもないでもしようもないとこがよいところ大事なところということが底深く思い知らされる。 -
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精神科医、春日武彦による「恐怖の一歩手前」「グロテスクの未然形」とでも言うべき不安や違和感に満ちた感覚をもたらす文学作品を題材にしたブックガイドとも文学評論ともエッセイともつかない読み物。
文庫化にあたりボーナストラックとして描き下ろしで一章が追加されている。
取り上げられている作品の中で明確にホラーといえるのはラブクラフトの「ランドルフ・カーターの陳述」ぐらい。しかも内容は結構な diss。
多くは純文学系のしかも割とマイナーな短編が多く、百閒の「殺生」とラブクラフト以外はいずれも未読どころかタイトルすら知らない作品。しかし、どれも怖いというより不気味というか厭な感じの小説で面白そうではある。特に河野多恵子の死んだ妻と性交する夫を描いた「半所有者」、富岡多恵子の田舎に暮らす五十代の寡婦が不気味で粗野な唖の男に性交を求められる「遠い空」など読んでみたい。
巻末には紹介された作品を収録した比較的入手しやすい書籍をまとめてくれているのは親切で良い。