春日武彦のレビュー一覧

  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    医師作家アンソロジー。専門が違うことでこんな風に違う広がりがあるのかという驚きと、医療やそれを取り巻く人々の色々な悩みを小説を通じて想像すると自身に何かあった時に受け止め方が変わるかもしれないと、解説にも感銘を受けた。

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    2025年09月26日
  • 精神科医は腹の底で何を考えているか

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    精神科医に権力構造を重ね合わせてしまう人にとっては、互いに相性の良い医師と患者などというものは、ライオンとウサギが仲良く昼寝をしているような異様な光景に近いものとして映るだろう。
    これまでの精神医療が内包して来た影の部分には、確かにそうした違和感を覚えて当然の歴史がある。

    この本を読んでいる間中ずっと、母親が入院した精神病院の医師が、母親の入院の際に、何とも無気力な態度だっことが頭に浮かんで消えなかった。

    筆者は、精神科医として、自分自身の精神状態を精神分析しているのでは無いか?

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    2025年08月21日
  • こころの違和感 診察室 しっくりこない自分と折り合いをつける方法

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    ネタバレ

    個人的メモ。

    p26 ものごとを単純化し過ぎる、矮小化簡略化し過ぎる態度というか精神状態は、自殺の危険に直結します。自殺者は、自分なりに考えに考え、ついに死ぬしかないと結論を下すわけですが、そのプロセスに身も蓋もない単純化が介在してしまうからそんな結論に至る。

    p34 どうこう言っても、猫に不自然な生活を強いているのは確かなのです。一生、他の猫と遊んだり喧嘩をしたり交尾することはない。広い場所を存分に駆け回ることもできないし、鼠を捕まえる機会もない。我が家の猫は猫らしさを奪われているわけで、たとえ安全で快適な環境を提供しようとも、それが猫の幸福に直結している可能性については判断がつかない。いや、つくはずがない。

    p58 マラソンランナー円谷幸吉について。この方の事は全く知らなかった。心情を想像するだけで胸が苦しくなる。婚約者と別れさせられるとことか。どれだけ追い込むんだよ。腹が立つ。

    p145 イメージ的にうつ病の人は、項垂れたまま暗い表情で部屋の隅にじっとしているような印象を持っている読者が多いのではないでしょうか。でも特に老人のうつ病患者では、焦燥感やパニックで泣いたり騒いだりと落ち着かないケースが散見されます。取り越し苦労の行き着く先のようにも映ります。

    p166 映画メランコリア ネタバレくらったが見てみたい。

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    2025年05月30日
  • 恐怖の正体 トラウマ・恐怖症からホラーまで

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    人にはそれぞれ恐怖を感じる対象がある。怖がりという言葉が何に対してどの様な恐怖心を抱いているか、時には他人には理解できないこともある。大半の人は幽霊などの現実世界には無い様なものを恐れるだろうし、極端なスピードで高速や一般道までをも走る車、包丁を持って近づいてくる人がいれば、有無を言わさず恐怖するだろう。私は幼い頃に高い木から落ちた経験からか、高いところが苦手、所謂、高所恐怖症だ。今世の中を見れば恐怖で溢れ返っている。街中や通勤電車内で刃物を振り回したり、ビルから包丁や人が(歩行者を狙ったのか)落ちてるくる、強風で飛ばされた農業用テントやら看板が電車にぶつかって人が亡くなるなど、自分に降りかかった時のことを想像すれば、容易に恐怖に至るだろう。珍しいところでは(結構いるかもしれないが)、狭いところ、ぶつぶつした模様、すれ違う愛玩犬、食べ物などにも恐怖を感じる人も多いだろう。
    この様な恐怖心を抱く原因や、その対象物となり得る例を多く挙げ、それを精神医学の見地から分析しているのが本書の内容である。筆者は甲殻類の恐怖症であるから、自身の経験・体験などからもその原因や、恐怖を抱くための要件、条件を示している。特にエンターテインメントとしての映画や文学作品などの例示は豊富で、その一つ一つに丁寧な原因分析が行われている。勿論そうした作品の多くは、製作者や筆者の感じる恐怖心が背景にあるだろうから、見事に本作の筆者や読者である私も、その恐怖の罠に見事にはまってしまっているに違いない。
    以前何かの本で、人はそこにあるはずのものが無かった時より、無いはずのものがあった時に恐怖を感じると読んだことがある。そうした意外性や身の危険に対する抵抗心などが恐怖に結びつきやすいだろう。何より生存本能として、痛みや死に至る危険性や可能性への恐怖は避け難い。その様な恐怖の出どころを理解したとて、その恐怖を克服したり避けられるわけでは無いだろうが、知識として知っておく事で、何かそうした機会に偶然行き当たった場合にも、少し冷静に考えられるのではないかと思う。ただ、恐怖は軽減できても、それはあくまで身体や精神の危険に対する警告的なものであるから、あくまであることの方が正しいのではあるが。

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    2025年05月22日
  • 恐怖の正体 トラウマ・恐怖症からホラーまで

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    仕事柄、車を運転する機会が多くて、おかしな動きをする車がマジで怖いです。
    初心者またはペーパードライバーなのか、公道でなんらかのチャレンジを行っているのか、もしかしたら脳に欠陥があって恐怖心を感じない人なのか知りませんけど、そういうのを見ると反射的に警戒モードになります。

    恐怖は、人間が備えた防衛本能であると同時に、恐怖症や不安障害のように人間を追い詰めて弱らせる自滅システムのような一面もある。
    あってもなくても困るし、人によって対象も程度も違う。
    改めて複雑な感情だなぁと思いながら読みました。

    この本は精神科医である著者が、小説や映画のワンシーンを引用しながら、様々な角度から恐怖という感情について考察しているものです。
    学術的な要素はあまりなく、作家でもある著者の趣味嗜好が高じた感想文のような書籍で、想像していたのとはちょっと違いました。
    ただ文章に独特の味があって、読み物として面白かったです。

    結局正体はわからないが、恐怖とうまく付き合って生きている人が一番幸せだと思います。

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    2025年05月02日
  • 死の瞬間 人はなぜ好奇心を抱くのか

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    著者の死への好奇心が詰まった一冊。とはいえ、軽薄なものではなく、死にたいする尊厳と畏怖が随所に感じられた。

    第2章については共感した。永遠など、まったく不要。どんなに幸せな状態でもそれは刹那的なものだから価値があり、永遠に続くとなれば必ず虚しさに襲われると思う。それが辛い状況ならなおさら永遠などごめん被りたい。

    私自身の病気、母の死を迎えて、死が非常に身近なものになった。それでも、だからなにができるわけでもない。自分が死んでも毎日は続いていく。死ぬ前になにがしたいとか、名を残したいなどもない。ただそこに自分がその瞬間にあっただけ。病気と共に不安と安堵を繰り返しながら、ただひたすらにその瞬間に向かっていくだけである。

    死んだ後、体を検体に出すなどは意味のあることだと思うので、自分もそういうのがいいなぁと思う。

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    2025年04月20日
  • 無意味なものと不気味なもの

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    作者様の読書量が半端ない事がわかる本。


    評論でも学術書でもないので個人的な感想が合う人と合わない人で評価が分かれそう。

    登場作品のあらすじが説明されてる。
    どれも興味を惹かれる内容で、読後すぐに登場作品をリサーチしてしまった。

    間違いなく自身の読本視野は広がった。

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    2025年04月17日
  • 死の瞬間 人はなぜ好奇心を抱くのか

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    タイトルの回答があるとは言えないような気もするのだけれど、それでも読んだのだからやっぱり吸引力のあるテーマ。願わくば花の下にて春死なん春の弥生の望月のもと、がひょいひょいと浮かぶ時期に読めてよかった。

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    2025年03月28日
  • 鬱屈精神科医、お祓いを試みる

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    実家をリノベーションすることで、お祓いをする。ご両親、特に母親に対するコンプレックス、ご自分の偏屈なところ、など精神科医が自分を俯瞰する様子を、さらに読んでいる私たちが見ている、という構造。患者とのやりとりが面白い。

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    2025年02月17日
  • あのとき死なずにすんだ理由 あの日、あのとき、あの場所で感じた理解不能な恐怖

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    色々な作家さんの小説が読めて良かった
    恐い話から不思議と思う話まで楽しめた
    中には他にも他の話も読んでみたい
    作家さんもいて良かった

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    2025年02月04日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    とても読みやすい短編集だった

    魚類譚 ちょっと異彩を感じた
    闇の論文 過去に宗教が人々を救ったように、ガン代は医療が人々を救っている

    空中テント 認知症の恐ろしさを知る

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    2025年01月18日
  • 恐怖の正体 トラウマ・恐怖症からホラーまで

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    医者先生による、何がどうして怖いのか?参考文献を添えて解を述べる本。良くも悪くも「個人の感想」であり、体系的だとか学術的だとかいう内容ではない。独自の基準や定義を設定しがち。そのかわり合う部分は本当に合う。そう、私が言いたかったのはそれなの。G永遠(宇宙)と死についてがベネ。

    それにしても先生怖いもの多いねえ

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    2025年01月18日
  • こころの違和感 診察室 しっくりこない自分と折り合いをつける方法

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    『一番苦手な患者は、このドクターなら、と信じ指名して受診する人。プレッシャーを感じる。』なんと正直なドクターなのだろうと思う。他の著書に比べ書き方がマイルド。

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    2025年01月16日
  • 心という不思議 何をやっても癒されない

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    世間からお医者さんってすごい、と思われるはずなのに、わざわざ自分から、そんなことないと告白するところが面白くて好き。詐病を見抜く方法、そうやってカルテに書くのか!と思った。セブンスター系統のタバコ、オムライスにドミグラスソース、しゃぶしゃぶのゴマたれが嫌い、風邪をひいたときの味だから、とあったが感じ方は人により違うのね、と。苦手をきちんと言語化できるのはさすが。

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    2025年01月14日
  • 夜明けのカルテ―医師作家アンソロジー―(新潮文庫)

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    医療従事者でありながら小説も書く、凄い方々の短編集。どの話も知識と経験をもとに書かれているので、現実感アリアリ。「魚類譚」、「パイナップルがある光景」、「闇の論文」、「空中テント」が面白かった。

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    2024年10月14日
  • 無意味なものと不気味なもの

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    なるほどそうきたか。

    怖いとか不気味とか感じる寸前の「違和感」を味わう一冊。
    モヤモヤしたまま、二三日後に急に情景が頭をよぎって、自分で自分にびっくりする。
    中国の陶器の枕とかね。
    あまりにも脳裏にこびりつくようなら、作者の思惑にのって、元の小説を読んでみてもいいかな、と思ってしまう。

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    2024年09月25日
  • 恐怖の正体 トラウマ・恐怖症からホラーまで

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    「恐怖」に関する分析もさることながら、筆者の嗜好や生育、体験から生まれてくる恐怖に関する叙述が、本当に興味深く、面白く読むことができました。

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    2024年09月15日
  • 恐怖の正体 トラウマ・恐怖症からホラーまで

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    <目次>
    第1章  恐怖の生々しさと定義について
    第2章  恐怖症の人たち
    第3章  恐怖の真っ最中
    第4章  娯楽としての恐怖
    第5章  グロテスクの宴
    第6章  死と恐怖

    <内容>
    哲学書のような、文学書のような…。怖くはない…。著者は精神科医(元産婦人科医)。結局恐怖を描こうとすると、実際の患者を描くことはできず、自分と体験者(その多くは文学者の著書)から分析するしか無いし、専門的すぎないように書くとこんな感じになるのかな?映像の話が加わるのが具体性が増しているか?ただしそれを描写すれば、結局は文字なんだよね…

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    2024年08月15日
  • 無意味なものと不気味なもの

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    ネタバレ

    たまたま手に取り斜め読み。
    さまざまな知識満載、表現力の妙味、
    例えば、富岡多恵子の遠い空を、
    田舎を舞台にした気味の悪い小説である
    肥溜めに石を放り込んでみるような怖さと好奇心とに満たされている
    という感想。遠い空の紹介の前には、アメリカ西部劇やドラマに出てくる底なし沼のことが書かれており、とにかく引き出しが広く多く想定外の発想と結びつきの考察。面白いし、紹介されている本の内容も詳しいのでブックガイドとしても役立つ。

    遠い空の章がやはりなかなかよい。億劫であること面倒くさいという心性がもつ支配力、人を麻痺させる力。
    いい人は不精者。

    最初はおもろないと思ったが細かい考察表現法人間てしょうもないでもしようもないとこがよいところ大事なところということが底深く思い知らされる。

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    2024年08月08日
  • 無意味なものと不気味なもの

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    精神科医、春日武彦による「恐怖の一歩手前」「グロテスクの未然形」とでも言うべき不安や違和感に満ちた感覚をもたらす文学作品を題材にしたブックガイドとも文学評論ともエッセイともつかない読み物。
    文庫化にあたりボーナストラックとして描き下ろしで一章が追加されている。

    取り上げられている作品の中で明確にホラーといえるのはラブクラフトの「ランドルフ・カーターの陳述」ぐらい。しかも内容は結構な diss。
    多くは純文学系のしかも割とマイナーな短編が多く、百閒の「殺生」とラブクラフト以外はいずれも未読どころかタイトルすら知らない作品。しかし、どれも怖いというより不気味というか厭な感じの小説で面白そうではある。特に河野多恵子の死んだ妻と性交する夫を描いた「半所有者」、富岡多恵子の田舎に暮らす五十代の寡婦が不気味で粗野な唖の男に性交を求められる「遠い空」など読んでみたい。
    巻末には紹介された作品を収録した比較的入手しやすい書籍をまとめてくれているのは親切で良い。

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    2024年07月08日