春日武彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
様々なシチュエーションの恐怖を作者の主観で語っていくという形式でした。
恐怖という感情についてより専門的に知りたいという人には物足りないかなと思いましたが、個人的にはわかりやすくて読めて面白かったです。
1番共感したのは、「鯉」の話です。あの状況を怖いと感じる人が他にもいたんだ!と読んでいて密かにテンションが上がりました。
専門書というより、自分が恐怖を感じるシチュエーションを作者はどう解釈しているのか楽しむ入門書に近いのかもと感じました。
ホラー小説、ホラー映画がいくつか例に挙げられているので、この本をきっかけに観てみたいものが見つかるかもしれません。 -
Posted by ブクログ
精神科医としてさまざまな自殺者と関わった作者が、過去の患者の自殺例や文学などを通して自殺について考察しているエッセイ本でした。
自殺の決定的な原因のようなものや自殺を止める方法とかは載ってなく、人々が抱く自殺に対するイメージに輪郭をつけようとしているのが本書の特徴かなと感じました。
自殺に対して普段抱くイメージって結構パターン化されてるなと読んでいて感じたし、自殺した人たちもこのパターンにあてはめると理解しやすいなと思いました。本書だとそのパターンによって自分たちが勝手に自殺者を物語化していることを思い知らされ、改めて自殺のわけのわからなさ、不可解さに打ちのめされました。
死にたいなと思うけど -
Posted by ブクログ
乱歩の「屋根裏の散歩者」を再読する機会があり、これを読もうと思っていたが、なかなか時間が取れず、またまた医者に行った待ち合いで読んだ。
非常に興味深い話だった。何処か異常でなければ、ここに書かれるような訴えをすることはないのではあるとしても、沢山建ち並ぶ家々のどこかで、人知れず妄想に悩まされて生きている人々が、屋根裏の誰かを憎みながらも時に親しみすらいだいたりしながら生きているという事実。
つい最近、他の本の感想を書いた折に、様々な家の中で実は起きているかもしれぬ興味深い事象を空想することがあると書いたけれども、そんな空想が行き着いた一種の到達点が、屋根裏に誰かがいるのです、という心理なのかも -
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Posted by ブクログ
こんな本が出ていたのを全然知らなかったけど、ふと見つけて読んでみた。精神科医の春日武彦氏と歌人穂村弘、おふたり友達同士で「死」について語る、という。
わたし自身は本当に我ながら異常ではと思うほど「死」というものに対する恐怖が激しく、「死生観」みたいな話も苦手なので、この本を読んだらちょっとはなんとかならないかという思いもあったんだけど、仲のいい友人同士が笑いながらのんびり雑談する感じで、怖くもなく楽しく読めたのはよかったけど、わたしの死への恐怖は別に減りもしないし変らなかった……。でも、こんなふうにいろいろ語り合える友人がいるっていいなあと思った。テーマは死でも、温かいいい雰囲気だったんだよね -
Posted by ブクログ
2022/05/12
個人的にモヤモヤしてたことがそうか…って腑に落ちたりした。対談だから読みやすい。
読んでよかったー。
・「常識は原理にならない」っていう文章が特にそうかぁと思ったしすごくよかった
p.138 『規制力はあるけど攻撃力は小さいし、権力的になれない。これは人間を動かすときに非常に
有効な手段なんですね。言いたいことは言えるけれど、相手の立場もちゃんと確保してある。
常識的な人間というのは、だからすごくいいんですよ。人を徹底批判することがないし、罵倒したり愚弄したりすることもない。だって、そんなの「常識的じゃない」から。「そんなに人を責めるなんて、非常識じゃないか」と言えば