春日武彦のレビュー一覧

  • 秘密と友情

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     精神科医の春日さんと歌人の穂村さんの「人生問答集」。似ているお二人の違った視点からの発言が噛み合ってテンポよく進むので面白かった。世間と自分とのズレに違和感を持つお二人の気持ちは分かるけど、その気持ちにある程度蓋をして無理矢理にでも納得して生きている私に対して、お二人はそのズレの正体にきちんと向き合って言語化しようとしていて、それを読むことでこちらも心強い気持ちになった。

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    2015年12月20日
  • 秘密と友情

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    学生時代、私だけが先生の言っていることを理解できない、って瞬間を体験したことが何度かあるけど、
    この二人のように「世界に馴染めない」と強く感じるようなことはなかったのだけど、
    自分だけ理解できない、っていう感覚のもっと強いものなんだろうか?それとも少し違った感覚なんだろか。

    「生まれ直さない限り、椅子のストッパーを僕には発見できない」というフレーズが印象的だった。

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    2015年04月12日
  • 秘密と友情

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    関節はずし猫ダマシみたいな芸風の
    精神科医と歌人が
    《まっとう》な題材をを語ってみようの対談集。

    春日さんは存じ上げなかったのだが
    穂村さんいわく「あ、このひとは変」がじわじわ伝わってくる。変なんだけど、社会人として世界に溶け込んでいるように見えて変。

    《怒り》
    怒り方には人間の品性みたいなものが出るという一文に共感、穂村さんの披露した怒り方は猟奇的で薄ら寒くなった。

    《努力》
    見つかりさえすれば…スタート地点に立てれば…努力の仕方はおのずとわかるというもの。
    だが、そのスタート地点に立つまでが大変で、ほんとうにパワーのある奴は自分の才能に見合うジャンルをも作っちゃうぐらい確信をもってい

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    2014年11月09日
  • 秘密と友情

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    歌人と精神科医の対談集。さすが世界音痴の歌人(笑)共感する精神科医もなかなかの難あり(笑)自らを変人と認識しながらも社会性はあるもんだから苦悩すんのかね。ったく器が小さいんだか懐が深いんだか(笑)でも自分の心の奥底に封印していた思いをケロっとつらつらされるとありゃー私も世界音痴なのねーと改めて思い知らされる(笑)なんと言っても表紙の猫の目線、満点(笑)

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    2014年10月13日
  • 健全な肉体に狂気は宿る ――生きづらさの正体

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    内田樹を活字で読んだのは初めてかもしれない。精神科医の春日武彦との対談(というか、春日のあとがきに書かれているように「話に花を咲かせた」、あるいは内田という独特の思想を持った患者を春日が医療面接している、というのが適切か)。話のテーマは色々と移り変わるが、普段から自分がぼんやりと抱いていた思いが言語化されていて「あーそういうことか」と納得する場面が多かった。特によかった節を挙げると、『中腰で待ってみよう』『自ら「変人」の不シールドを張る』『ことばの力は身体感覚を変える』『身体は賢い』、そしてタイトルにもなっている『健全な肉体に狂気は宿る』。
    今はどうやっても結論が出ない問題を、明日死ぬかもしれ

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    2014年09月29日
  • 様子を見ましょう、死が訪れるまで 精神科医・白旗慎之介の中野ブロードウェイ事件簿

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    面白かった!!軽いテイストだけど、乱歩だの横溝だのを彷彿とさせる猟奇趣味が随所に見られるところがすご~く良かった。

    何気にラノベっぽいキャラ設定。
    好き。これ好き。

    続編もちろんありますよねっっ??期待!!

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    2014年06月03日
  • 精神科医は腹の底で何を考えているか

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    「精神科医あるある本」なんだと思う。
    100人の精神科医(実在の場合も、イメージの場合もあり)を挙げながら、精神科医が仕事をしながらどんなことを考えているのかをつらつら紹介?していく本。

    この著者はいい意味でかっこよくないと言うか、「いいことを言おう」としてないので好きです。ちょっと卑屈すぎるきらいはありますが・・・

    でも患者さんはこんな事情知らないわけだから、つまんない医者にあたると余計具合悪くなりそうだな・・・と思ってしまいました。
    精神科だけじゃないけど、医者との出会いって運だよね。

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    2013年11月11日
  • 不幸になりたがる人たち 自虐指向と破滅願望

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    ネタバレ

    フォトリ20冊目。auブックパス。
    事故破滅的な人々の理解を試みる。許容範囲のプチ不幸や他者のには理解し難い儀式に頼ることで、死への欲動から自身を守りこの世に踏みとどまる。本格的狂気に駆り出される突き進まないように、わかりやすい神経症状を示す。狂気でさえ、生きるための本能的手段。
    シニカルな物言いの先生ですが、パーソナリティ障害や狂気の存在を認め、彼らの生きるための特異なロジックを理解しようという姿勢を感じます。

    ※極端な内気はコミュニケーション障害の可能性あり

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    2013年09月06日
  • 不幸になりたがる人たち 自虐指向と破滅願望

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    非常に面白い。松沢病院の医長を務める著者が長年の臨床経験から気付かされたもの、それは無意識に自らの不幸を臨んでいる自虐的な患者が一定数以上存在することだった。犯罪報道等を通じてそうした人々の内面に迫った一冊。

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    2013年07月07日
  • 健全な肉体に狂気は宿る ――生きづらさの正体

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    僕の苦手な対談集だから、いくら好きな内田樹作品とはいえ、一度は読みかけてやめてしまってた。でも春日武彦もちょっと気にはなるし…って感じで再挑戦し、結果、やっぱり味わい深かった。こういう対談みたいな場面でも、やっぱり内田樹の存在感ってでかいな、って思ったり、根底に流れる部分がぶれないから心地いいんだな、って思ってみたり。そんな感じでした。

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    2013年06月24日
  • しつこさの精神病理 江戸の仇をアラスカで討つ人

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    ネタバレ

    「しつこさ」に目がいって通読。
    著者の読みやすい文章にのっていってスラスラ読めた。
    テーマは「恨み」。
    いやいや、別に誰も恨んではございません。
    ただ、「恨み」という感情は誰にだってある。
    僕にもある。
    この「恨み」との付き合い方が知りたくてね。

    主に文学作品『恩讐の彼方に』などのテキストや実際に精神科医としてかかわった人たちとのエピソードから、「恨み」に関して分析。キーワードは「不条理」と「被害者意識」。つまり、不条理な事柄に遭遇してしまった人は、芽吹いた「被害者意識」にせっせと肥やしとやって、やがて「復讐」へと感情を募らせていく。

    この「復讐」。ドラマのように、いやドラマであっても、カ

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    2013年06月21日
  • 精神科医は腹の底で何を考えているか

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    精神科医の日常の考えをストレートに書いた良書。精神科という医学の中でも判断が難しい、ともすると哲学や何かにも関連しそうな分野で処方を出す医師の考えを良い例、悪い例様々に紹介している。

    三ツ星レストランのシェフのレシピみたいな処方をする医師
    自信とステータスとで自在に患者を治してしまえる医師

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    2013年06月14日
  • 不幸になりたがる人たち 自虐指向と破滅願望

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    タイトルに惹かれて読まずにはいられなかった一冊。
    不安に囚われて気付くと自滅に向かっていることもしばしばの私にとって、共感する部分が多くて少し泣きそうにもなった。
    「不幸や悲惨さを自分から選びとっているとしか思えない人たち」の、奇妙ではあるけれど当事者にとってはすがるほどに強烈でしかも素朴なロジック。彼らは、発狂する一歩手前でそのロジックにしがみ付いて何とか日常をやり過ごしている。
    豊富な事例でそのロジックを解き明かしてみせるが、それらに対して私たちはどう向き合っていけばいいのか…。その答えはわからないままだった。

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    2012年05月06日
  • 不幸になりたがる人たち 自虐指向と破滅願望

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    長期的困難から目を逸らすために、
    奇妙な方策で敢えて不幸になろうとする人々の様態をレポート。
    「一体どうしてそんなことをするの?」と、
    首を傾げたくなってしまう自虐的エピソードの保持者は、
    逆説的だが、本人にとって最大限の不幸を回避するための
    魔除け・悪魔払い的行為として、
    おかしな真似をしでかしているのでは……というお話。
    なかなか興味深い。

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    2012年12月08日
  • 健全な肉体に狂気は宿る ――生きづらさの正体

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    ネタバレ

    だいたいおんなじいつものあの話。
    まーでも飽きない。

    賢いリスクヘッジをしたと思っている人は、
    無意識的にリスクの多い選択をしてしまうという例えに、
    中古車の話をしている。

    「ぶつけても大丈夫なように中古車を買ったら必ずぶつける、
    だってそうしないと中古車を買った意味がないんだもの。」
    これ至言。

    また、
    人間が「個人」になるプロセスの話が面白い。

    これはラカンの鏡像段階とか、
    先ごろ読んだ「ミラーニューロン」にも近いものがあって、
    産まれた時、
    人は世界全体と溶け合っていて、
    自分とそれ以外という分節をしていない状態にある。

    だから、
    「個人」としての「自

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    2012年02月22日
  • しつこさの精神病理 江戸の仇をアラスカで討つ人

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    副題に"江戸の仇をアラスカでうつ人"とあります。仇討ちに代表されるような恨みつらみを晴らす行為はしつこさという、ともすれば病気の範疇に入りかねない危うさをはらんでいます。
    春日先生は臨床で見られる光景や報道された事件を引き合いに出しながら、登場する人物像を解説します。
    また豊富な読書量からあらすじを述べて場面を引用することも多いので、読んだことのない本を知る機会にもなります。実在の人物から架空の人物まで人間ウォッチングが詰まった内容になっています。
    その中で臨床経験から述べている次の一説が興味を惹きました。
    …精神科医の臨床経験から述べると、自縄自縛で自分を不幸にしていくタ

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    2012年02月11日
  • 健全な肉体に狂気は宿る ――生きづらさの正体

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    対談本であるが、内田先生の独壇場?圧倒的に内田先生の話が長い。しかし、だんだん春日先生も本音?を話すようになっていき、おもしろい。

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    2011年09月20日
  • 「もう、うんざりだ!」自暴自棄の精神病理

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    誰でも思い通りにことが運ばないことはある。容易には解決できない問題の前で、蜘蛛の巣に絡め取られたように自由が効かずに、「もう、うんざりだ!」と言いたくなったことは、誰にでもあるはずだ。

    そうした時に、大声で「うんざりだ!」と自己主張せずにはいられない人がいる一方で、その場はじっと耐える人もいる。いずれにしても、その鬱屈が澱のように心に溜まっていき、他人からは自暴自棄としか見えない行為に及ぶ人もいる。

    本書は、さまざまな小説から自暴自棄に至るまでの状況や登場人物の心の動きを取り出して、自暴自棄について考察している。

    「誰でも自暴自棄への誘惑に駆られることがある。ある種のカタルシスが伴うこと

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    2011年08月29日
  • 「もう、うんざりだ!」自暴自棄の精神病理

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    〈あらすじ〉



    自暴自棄とは何なのか。なぜ起こるの
    かについて、羞恥や怒りなどの色々な事象、経験、小説を引用して、分かりやすく説明している。

    〈レビュー〉
    誰にでも起こりうる自暴自棄。それを6つの感情や行動から分かりやすく説明しているので、とても読みやすかった。

    特に五章の突飛と孤独で、突飛な行動(反社会的な行動とか)が、一種
    の自暴自棄繋がっているところが、印象に残った。

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    2011年08月19日
  • 精神科医は腹の底で何を考えているか

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    ブログ等を見ると精神科医に対する患者の不満をよくみかける。
    俗に言う3分診療などというものである。
    この本は、あまり表には出てこない精神科医の本音、つぶやきのような事象が多くあり、そのへんの事情についても書かれている。
    患者にとっては、医者は唯一の存在だが、医者からみれば大勢の患者の一人であり、全員にカウンセリングを行うことは不可能だとわかる。
    個人的には第七章の幸福・平穏・家族の章は大変考えさせられた。
    病気という契機以外でも同様の価値観の変化が起こる可能性もあり、ステレオタイプな幸福は本当は大事ではないと皆気がつきながら、逆にそういった幸福がないと本当の幸福に辿り着けないというジレンマは大

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    2013年08月07日