春日武彦のレビュー一覧
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死の瞬間は見逃されてしまうという話と、ある患者が息を引き取るときに漏らした「あー」という声がまるで湯に浸かったときに自然と出てしまう声のようだったという話がよかった。
著者がこれまで読み、見てきた多くの小説や映画から死について考察されるけれども、それよりも医師として患者と接してきた経験談の方に面白みを覚えた。去年読んだ『自殺帳』もそうだった。
自分、たまに深夜にふと目が覚めると自分がいつか死ぬってことを意識して猛烈な恐怖に襲われるのだが、この恐怖はたぶん存在の消滅に一人きりで対処することの孤独や寂しさに由来している、と思っている。この気持ちについて何か教示してもらえるかと思い本書を読んだの -
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この二人でこのタイトル!そりゃ読むでしょと思い手に取った。まとまりすぎていない友人同士のだらだら飲みのような感じが死というテーマにむしろ合っている。
ただ猫死するほどネコ好きの読者が手にするには漫画のネコの”ねごとちゃん”が擬人化されててあんまりかわいくないのがいまいちで、思い切りネコらしく描いてほしかったと思う。人物と背景はうまいなあと思ったので、この作者はおぶうの兄弟さんと真逆で本当は動物より人間が好きな人なのかもしれない。
カバーにもネコいないし勿体ないな・・・と思っていたら、最後のほうでタイトルの由来が会話されており、あ、そういう意図だったのかとわかる。しかしそうならば、単に図形と -
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医師でありながら作家でもある方々の医療小説9編。
私の知っている作家さん以外にこんなに多くの医師作家さんがいることに驚きました。どれも医師であるだけに小説の内容は臨場感が溢れていて迫力がありました。
中山祐次郎さんの『救いたくない命』は救急で運ばれてきた患者が犠牲者15人以上を出した通り魔事件の犯人と知り、葛藤をしながらも必死に命を救う姿に京アニ事件を思い出しました。
南杏子さんの『空中テント』は家族の介護の経験がある人は共感出来るはず。
どれも本当に良い作品ばかり。若手医師の過酷な労働時間、医療ミスの隠蔽、不都合な論文を闇に葬る等、医療小説が好きな人なら興味のある内容ばかり。でも朝比 -
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□焦る
□生きるのが辛い
□嫌なことを忘れられない
□うしろめたい
□運が悪い
□おどおどしてしまう
□傷つきやすい
などなど。
生きているとさまざまなネガティブな感情、状態に苛まれる場合もあります。
そんな感情を精神科医でありエッセイスト、作家でもある春日武彦さんが分析。
一緒に対処法を考えます。
──と書くとちょっと違うんだよな。大筋ではまちがっていないと思うけれど。
春日さんの魅力が漂白されてつまらなくなってしまう。
ずばり、わたしにとって春日武彦の文章の魅力とは、「素敵に口が悪い」こと。
そもそも、口が悪い、いい、って何だろう、と云う気もしますが、春日さんの文章は「あーあ、言っちゃ -
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本のタイトルと裏表紙の内容紹介に書かれているラブクラフトの名前に惹かれて購入する。
16章に渡り、17作品の文学論と各作品と関連する春日氏の自伝的エッセイが書かれていて、一風変わった文芸評論集とのこと。
春日武彦さんの作品に触れる機会が無かったのだが、とても面白かった。
紹介されている作家さんも、殆ど知らない方ばかりだが、どの作品にも興味を持った。是非、各作品を読んでみたいと思った。
この中ではラブクラフトだけは僕が、よく読む作家だ。
東京創元推理文庫の全集も読んでいるし、青心社の暗黒神話大系シリーズも、殆ど購入済みだ。
春日氏がラブクラフトの作品に対して、どのような評論が書かれているのか、興 -
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ネタバレ9人の現役医師による医療小説アンソロジー。
医師作家でしか表現できないと思われる臨場感あふれる詳細な描写、ヒューマンでミステリアスなストーリーが魅力の作品集だ。
1〈研修医ヒナノの洞察〉
上司からパワハラを受けている研修医が患者の膠原病を見つけ上司を見返す痛快な話
2〈魚類譚〉
封建的で理不尽な医大の内部構造、詳細な手術シーンにミステリーとホラーの要素を取り入れた作品
3〈パイナップルのある光景〉
同じような引きこもり系の精神疾患でも、一方は入院治療、一方は家族による対処という示唆をする精神科医。専門的な見解が押し付けなく、ふわっと伝わってくる秀作
4〈救いたくない命〉
救急外来に運び込まれて -
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ネタバレ精神科医の著者が読み、明確な“恐怖”以前の不穏さや不気味さ、不安、グロテスクさを覚えた各種文学作品17編を題材に、自身の体験と随想を加えつつ人間精神の不可解さと闇を覗き込む異貌の“恐怖”文学論。
全部で17編の小説が採り上げられ(文庫版で1編が新録)ているが、怪奇幻想色が濃厚なのはホーソーン、パトリック・.マグラア、HPLそれにブルーノ・シュルツの作品くらいで、後は純文学系の作品が占める(ブラッドベリ「目かくし運転」も彼の他作品に比べると幻想味は薄い)。が、どの作品も(紹介される内容だけでも)何かしら不穏さや不安、不気味さを覚えるもので、時に人間とはかくも醜悪なまでにグロテスクな存在ないしそ -
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「かけがえのない人物が死んだからと、後を追う者がいる。でも、生き続ける者のほうが多い。はるかに多い。にもかかわらず、我々は絶望や喪失や苦境が自殺への扉であると信じている。」
確かにそう思う。自殺は悲しみの果てにあり、どこかドラマティックさ、特別さ、ある意味で惹かれるものを感じている。
丸々一冊自殺について書かれている本書。自殺の分類や遺書紹介など盛りだくさんだが、自殺は精神的視野狭窄によって選択されているもので、「いじましい固執にこそ精神病理は求められるべきではないか」という冷静な発言に、読むほどに自殺のドラマティックさが薄れる。いい意味で自殺を遠くから見ることができる本だった。 -
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予想最高気温29℃ですって
どうなっとんねん!
もう夏やん!インザサマーやん!ボンジョールノやん!
今年も30℃超えたらホラー小説を読もうと思ってるんですね
宮部みゆきさんや京極夏彦さんの続きとか小野不由美さんとかね
去年けっこう読みましたからね
今年はもうスティーブン・キングとか行っちゃおうかとも思ってます
すごいねスティーブン・キング、スティーブン・キングって書いた時点でもう怖いもの
ひと文字も読んでないのにもう怖いもの
そして今年こそはホラー小説完全克服を目指しますよ!
まずそのためには「恐怖」とはなんなのかを知るところから始めなければいけません
孔子も言ってます「カレーは一晩寝か -
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ネタバレ「屋根裏に誰かが住み着いている、そしてそのヒトが時々部屋に侵入して悪さをしていくんです…。」
そんなことを訴える精神分裂症の患者は意外と多いという(驚いたことに、分裂症でも痴呆でもない老婦人にも同様の訴えをするヒトが多いという)。なぜ患者の妄想上の侵入者は共通して屋根裏にいるのか?筆者は本著の中で、屋根裏妄想の謎を解くヒントとして、実際に屋根裏妄想を抱えていた患者の例や本当に起きた屋根裏侵入事件などの事例を沢山紹介している。
以前、部屋のWifiの調子が悪くなり管理会社に連絡したところ「お風呂場の天井の一角を押し上げて通信機の元電源をオフにし再起動してみてください」と言われた。その通りに天井