島田雅彦のレビュー一覧
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文字通り 散歩哲学でありながら、ぶらり居酒屋巡りのような風合いもちらつかせ、最後に締める。
角打ちいいけど、膝、腰ダメ出しなぁ。
昭和天皇が皇居のゴルフ場を武蔵野にしたお話し、深い、感じ入った。そして、歩くにまつわる言葉についても日頃の事考えてなるほと。圧巻はニッチについて適応した特有の生息環境の事だと、この歳になり初めて知る。その種の存続に適した場所だけではなく、時間、食性もニッチの要件だと、皆微妙に棲み分けているんだ。そういう視点を持ち歩く、散歩は観察者の思考も含めた旅なのだと思った。アースダイバーって言葉も初見、思わずまた本を購入。エピローグで、散歩を移動の自由という権利の行使だと幅が広 -
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6人の論客が日本の問題点を明らかにする。
275ページの新書に6つの論文。
1人40-50ページと短い文章だが、
その中に鋭い視点を見た。
一番鋭いと思ったのは中島岳志氏。
「保守とリベラル」という対立軸に、新しい視点をもたらした。
「リベラルとパターナル」がそれ。
パターナルとは、家父長的、権威主義的。
そこにリスクの社会化、リスクの個人化という軸を合わせ、
4象限で自民党の政策の変遷を分析する。
田中大平のころの自民党はリスクの社会化+リベラルだった、
それが小泉で個人化、リベラルとなり、
安倍で個人化、パターナルとなったと。
自民は時代とともに鵺のように変遷していると。
ちなみに「民主 -
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解説で内田さんが40年ぶりという表現をしているけど、福井さんと似た印象は持ちました。ただ、ゴール的なものに指をかけているという意味では違うのかも。
終盤までの疾走感がすごいのに対して、終盤はちょっと飛ばしすぎな気はしますが、最後まで楽しめました。
さて。
属国だと何が困るのか。もちろん、直接的な被害者(沖縄の米兵問題など)は困るどころの話ではない。しかし、日々のテンタメに興じている人や、違う問題で疲れ果てている人たちは、何を変えたいと思うのか。精神の問題なのか。自分は…不公正が見えてしまうと心が静まらないという…やはり精神の問題かな…
あと、属国は嫌だと言って自主憲法だ、と盛り上がる人たちはこ -
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原文の一部が載ってるくらいので読みたいと思ったけれど、完全現代語訳。だけど、それぞれ訳された作家さんたちのセンスがキラリと光り、江戸文学のエッセンスがギュッと詰め込まれた、お値打ち品の一冊。
好色一代男
原作: 井原西鶴/ 現代語訳 島田雅彦
七才の時、夜中に子守に連れられてトイレに行った時、足元が危なくないように蝋燭を持って付いていてくれた子守のお姉さんに「その火を消して、そばに来て」。「足元が危ないから、こうしているのに、明かりを消してどうするんです。」と子守。「恋は闇ということを知らないの?」。
この頃から、クレヨンしんちゃん顔負けの天才好色男児、世之介!
八歳の時に、伯母さんの家に -
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ネタバレ読み始めて最初は、なんだー、明治維新のころから、現在までを、もしその間ずっと生きて、時代の変化を目の当たりにした人がいたとしたら、どう見えていたか、という感じで歴史を書いただけかな?と思ったけど、違った!150年以上生きて、時代の変化をつぶさに見続けた老人(老人の域を超えてるけど!)が、もうなんというか、悟りの境地に達して、日本の近現代史を庶民の目線で語る。それを、たまたま出会った看護師の女性(ソメイヨシノさん)に語る、という設定で物語が進む。主に老人の語り、ときどきヨシノさんとの対話が挟まるのだけど、それがまた、面白い。
老人(何度も名前を変えているのだけど、最初の名前は鱗太郎さん)は、明治 -
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『幸せとは、自分の生に対する肯定である。」/西研
哲学の章 ヘーゲル『精神現象学』の章を読めただけでも大満足。
これほどヘーゲルの哲学を分かりやすく噛み砕いて説明するのがすごい。
西研さんはニーチェの本もよかったけど、今回はさらに良かった。
今の時代、ニーチェの哲学は受け入れやすいし、ちょっとしたブームになることもあった。
だけど、あと何十年かしたら次はヘーゲルの哲学が脚光を浴びそう。
より多くの人がなるほどこれは確かに価値があるという感じられる「事そのもの」
それを目指そうとする「良心」
大事なことはここに詰まってると思うのでまた読み直そう。