島田雅彦のレビュー一覧

  • パンとサーカス

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     文庫解説の内田樹は本作を『愛と幻想のファシズム』以来40年ぶりの「日本で革命が起きる話」と書いているが、これは正確ではない。むしろこの小説では、政治的=歴史的に「革命」を起こすことができない国で――つまり米国に対する従属という構造を変えることが許されない国で――どのような体制変革が可能かを模索した思考実験が書き込まれたと見るべきだ。実際にこの小説の中で実現したことといえば、一部の要人暗殺と政権交代でしかないし、その新政権の首相もCIAから自由ではない。
     あえて村上龍の小説と比定するなら、21世紀の『コインロッカー・ベイビーズ』と表現したほうがしっくりくる。ヤクザの息子と、銀行内部の汚職のも

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    2026年03月15日
  • 人類最年長

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    万延2年(1861年)生まれの159歳。名前はこれまで4つ使ってきた。幕末から明治維新、自由民権運動の時代、日清日露戦争の戦勝国だった大日本帝国時代、大正デモクラシー、エログロナンセンスの流行した昭和初年、戦前・戦中・戦後、高度経済成長、昭和バブル期、平成不況、そして令和の現代まですべてをリアルタイムで経験し、3つの世紀と9つの元号の時代を生きた男の一代記。近代150年史が一人の男の中にあるという驚異! 

    島田雅彦は、失礼ながら「終わった作家」のように思っていたが、考えを改めた。これはめっぽう面白かった。島田は60代を迎えて円熟期に入っている。今後も注目しなければならない。

    「「日進月歩」

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    2026年03月10日
  • 散歩哲学 よく歩き、よく考える

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    文字通り 散歩哲学でありながら、ぶらり居酒屋巡りのような風合いもちらつかせ、最後に締める。
    角打ちいいけど、膝、腰ダメ出しなぁ。
    昭和天皇が皇居のゴルフ場を武蔵野にしたお話し、深い、感じ入った。そして、歩くにまつわる言葉についても日頃の事考えてなるほと。圧巻はニッチについて適応した特有の生息環境の事だと、この歳になり初めて知る。その種の存続に適した場所だけではなく、時間、食性もニッチの要件だと、皆微妙に棲み分けているんだ。そういう視点を持ち歩く、散歩は観察者の思考も含めた旅なのだと思った。アースダイバーって言葉も初見、思わずまた本を購入。エピローグで、散歩を移動の自由という権利の行使だと幅が広

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    2025年12月03日
  • 日本の新構想 ~生成AI時代を生き抜く6つの英智~(小学館新書)

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    6人の論客が日本の問題点を明らかにする。
    275ページの新書に6つの論文。
    1人40-50ページと短い文章だが、
    その中に鋭い視点を見た。

    一番鋭いと思ったのは中島岳志氏。
    「保守とリベラル」という対立軸に、新しい視点をもたらした。
    「リベラルとパターナル」がそれ。
    パターナルとは、家父長的、権威主義的。
    そこにリスクの社会化、リスクの個人化という軸を合わせ、
    4象限で自民党の政策の変遷を分析する。
    田中大平のころの自民党はリスクの社会化+リベラルだった、
    それが小泉で個人化、リベラルとなり、
    安倍で個人化、パターナルとなったと。
    自民は時代とともに鵺のように変遷していると。
    ちなみに「民主

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    2025年07月01日
  • パンとサーカス

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    解説で内田さんが40年ぶりという表現をしているけど、福井さんと似た印象は持ちました。ただ、ゴール的なものに指をかけているという意味では違うのかも。
    終盤までの疾走感がすごいのに対して、終盤はちょっと飛ばしすぎな気はしますが、最後まで楽しめました。
    さて。
    属国だと何が困るのか。もちろん、直接的な被害者(沖縄の米兵問題など)は困るどころの話ではない。しかし、日々のテンタメに興じている人や、違う問題で疲れ果てている人たちは、何を変えたいと思うのか。精神の問題なのか。自分は…不公正が見えてしまうと心が静まらないという…やはり精神の問題かな…
    あと、属国は嫌だと言って自主憲法だ、と盛り上がる人たちはこ

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    2025年06月03日
  • 大転生時代

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    こんなに皆が皆転生してたら異世界もこの世界もめちゃくちゃになっちゃうよね!というお話。異世界転生ビジネス儲かりそうだもん。転生してもこっちに元の身体が残っちゃったら意味ないって人もいるだろし、意識が何重にもなるの嫌だろうなあ。

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    2025年05月04日
  • 一度死んでみますか? 漫談・メメントモリ

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    ギャグも下ネタも何でもありな内容だが、なんだかんだ博識で教養もある2人が織りなす対談、往復書簡は纏まりがあり、「うーんなるほど」と納得?楽しませられる?感覚で満たされる。おすすめ本と言うには憚られるが、懐を広く、軽い気持ちで臨めば大いに楽しめる本だと思う。

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    2025年05月04日
  • パンとサーカス

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    村上龍氏を彷彿させる国家レベルの壮大なストーリー。でありながら、さすがは島田先生、論理的でありながら文学的。
    これはフィクションなのかノンフィクションなのか。
    最高のサーカスを見させてもらいました。最近読んだエンタメ小説の中では断トツに面白かった。

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    2025年01月23日
  • パンとサーカス

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    長かったけど面白かった。
    日本の世直し物語。
    この手の小説やドラマはいくつか読んだり見たりしてきたが
    一番自分たちの正義を貫いているし
    ありがちな嫌な展開が無くて、長いけどもう一度読みたいとすら思える小説だった。

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    2024年11月15日
  • 大転生時代

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    杜子春って聞いたことあるなと思って、青空文庫で読み返した。なるほど、ではなぜ三浦杜子春の最期を合わせなかったのかと思ったが、仙人が違うから?それとも実は異世界転生してハッピーエンドで合っているのかな?面白かったです。

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    2024年11月11日
  • 君が異端だった頃

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    雅彦が男女問わずモテまくる点、悪行を作家の肥やしと捉えている点を除けば凄く面白かった!しかしその面白さの7割程は現在喪われつつある南北川崎の気質や空気や風景によるので、非カワサキッシュは一体何を感じ取って評価しているのか…?

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    2024年10月25日
  • 君が異端だった頃

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    これはすごい、終始圧倒されました。
    ★8つくらいつけたい!
    読みながら興奮、高揚し、読み終えたくなかった。

    島田先生の文学論がどのように形成されているかがしっかり描かれていて、初期の島田作品の誕生をトレースすることができた。
    最高の私小説です。

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    2024年04月08日
  • 散歩哲学 よく歩き、よく考える

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    歩行能力の獲得によって、好奇心が一層刺激され、満たされる。移動の自由によって、さまざまな他者との出会い、外界とのコミュニケーションの機会がもたらされ、言語の習得が促進され、知性の拡張が爆発的に起きる。歩くのを止めた瞬間から退化が始まってしまう。初めて訪れる街や見知らぬ他人からインスピレーションをもらうために徘徊に出かける。この本を読んで、旅と散歩の効用はイコールなんだと思った。受動的な歩行をしてしまうと何も生み出さない。移動していく空間を五感で楽しもう。

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    2024年03月23日
  • 別冊NHK100分de名著 ナショナリズム

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    100分de名著シリーズ、コンパクトに物事の争点が把握できるので(深さとか、広さについて異論はあるでしょうが)、いいですよね。「ナショナリズム」という概念、私には、なかなか把握の難しい代物で、理解するためにいろいろと試行錯誤が必要でした。まだ、考えはまとまっていないものの、この一冊は、視点を与えてくれるものでした。

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    2024年03月03日
  • 人類最年長

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    まさにタイムトラベラー。大人の少年ドラマシリーズです。こういうの大好きです。自分も長生きしたいので、なんとか肖れないものでしょうか。時代を冷静に分析、評価しているところも流石です。

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    2023年12月19日
  • 君が異端だった頃

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    ”文壇の貴公子”と呼ばれた著者の自叙伝的私小説。前半が大学入学に至るまでの思春期にして作家の自我形成方法を、後半は作家としてデビューを果たした後に青春の終わりとなる息子の誕生と偉大なる先達・中上健次の死までを、赤裸々且つ著者らしいユーモアたっぷりの文章で綴られている。著者のファンでなくとも80年代半ば~90年代初頭までの「文壇は確実に機能していた」頃をそのシーンの中心にいたであろう作家視点で感じることの出来る内容に満足するだろうし、ファンであるならすぐさま再読したくなる。果たしてこの続きが読める日は来るのか?

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    2022年10月10日
  • 好色一代男/雨月物語/通言総籬/春色梅児誉美

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    原文の一部が載ってるくらいので読みたいと思ったけれど、完全現代語訳。だけど、それぞれ訳された作家さんたちのセンスがキラリと光り、江戸文学のエッセンスがギュッと詰め込まれた、お値打ち品の一冊。

    好色一代男
    原作: 井原西鶴/ 現代語訳 島田雅彦
     七才の時、夜中に子守に連れられてトイレに行った時、足元が危なくないように蝋燭を持って付いていてくれた子守のお姉さんに「その火を消して、そばに来て」。「足元が危ないから、こうしているのに、明かりを消してどうするんです。」と子守。「恋は闇ということを知らないの?」。
    この頃から、クレヨンしんちゃん顔負けの天才好色男児、世之介!
    八歳の時に、伯母さんの家に

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    2022年07月16日
  • 小説作法XYZ―作家になるための秘伝―(新潮選書)

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    最後のエチュード。「自分教、個人宗教を開き、最初の信者になる。戒律や教義を定め、独自の神を編み出す」ことを意識して生きよう。
    小説を書こう、書けるとはさらさら思わないが、たいへん実践的な、実戦的な哲学書であった。

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    2022年07月05日
  • 別冊NHK100分de名著 ナショナリズム

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    どの本もとても示唆に富んだもの。各解説者も深い考えを持っていて、大変勉強になりました!番組も含めオススメです

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    2021年12月08日
  • 人類最年長

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    ネタバレ

    読み始めて最初は、なんだー、明治維新のころから、現在までを、もしその間ずっと生きて、時代の変化を目の当たりにした人がいたとしたら、どう見えていたか、という感じで歴史を書いただけかな?と思ったけど、違った!150年以上生きて、時代の変化をつぶさに見続けた老人(老人の域を超えてるけど!)が、もうなんというか、悟りの境地に達して、日本の近現代史を庶民の目線で語る。それを、たまたま出会った看護師の女性(ソメイヨシノさん)に語る、という設定で物語が進む。主に老人の語り、ときどきヨシノさんとの対話が挟まるのだけど、それがまた、面白い。
    老人(何度も名前を変えているのだけど、最初の名前は鱗太郎さん)は、明治

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    2021年08月31日