島田雅彦のレビュー一覧
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日本文学の伝統は「色好み」なんだそうです。
その出発点となった源氏物語は、言うまでもなく光源氏の恋愛物語。
当時、考えられ得るありとあらゆるパターンの恋愛が網羅されていました。
なぜ、そんな物語が編まれたのか。
そこには政治的な思惑がありました。
それは、天皇を中宮彰子皇后の寝室に足繁く通わせる政治的思惑です。
その意味で、源氏物語は「天皇のためのポルノグラフィティであった」などと聞けば、俄然、興味が沸くというものです。
源氏物語から始まる「色好み」の伝統は、後世の作家に受け継がれていきます。
井原西鶴は「好色一代男」に世の介の54年にわたる性遍歴をつづりました。
源氏物語は「桐壷」から「夢浮 -
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冬期休暇のため長くて分厚い本が読める!と、気になっていた日本文学全集シリーズ。
現代語訳のため相当読みやすく、休み前半で読めた。
【井原西鶴「好色一代男」 新訳:島田雅彦】
光源氏、在原業平の流を汲む色好みの世之介さん、幼少のころから60歳までに遊びに遊んだ女3,742人と男725人、使ったお金は現在価格で500億近く。
そんな世之介さんの一代記(まさに一代限り。何も続かない、何も残らない)を
7歳から60歳までを1年ごとに54章で書いたもの。
昔増村保造監督、市川雷蔵主演の映画を見ました。
映画での世之介役の市川雷蔵は実に自由で前向きで明くて良かった!
光源氏や在原業平はいじいじグダグダ -
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「優しいサヨクのための嬉遊曲」
愛する女の向こうに敵がいて
愛する女のためにそいつと和解する
ラブアンドピース、しかしそれによって押し殺された感情もあり
いつかゾンビのようによみがえってくるのかもしれない
その不安が、プロレタリアへの嫌悪ともなる
「亡命旅行者は叫び呟く」
努力すればかならず報われるという信仰があって
それゆえに貧乏人への嘲笑が正当性をもっていた時代
むなしい頑張りでむなしくすり減った人間性を回復させるため
休暇を利用して女を買おうとソ連に旅立つ日本人の話
当時の貧乏なモスクワ市民は
まさしくかつての日本人…エコノミックアニマルの群れだった
むしろそこに「私」を捨ててきた彼は -
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島田雅彦による小説の書き方指南書。小説の書き方や考え方を論理的に解説する。
普段はあまり小説を読まないので、小説技法については気にしたことがなかったが、これを読むと小説家はさまざまな技法を駆使し、緻密に設定しながら書いていることがよくわかる。小説をジャンル、構成、書かれる対象、語り手、対話、描写、視点、時間、言葉、書く目的等の要素別に解説しており、小説を書くためだけでなく、読む際にも参考になると思う。ただこの本に書かれている内容は、非常に緻密で、著者にとっては最低限のルールなのかもしれないが、これから小説を書きたいと思う初心者には、かなりハードルが高そうだ。著者は、小説家を目指すのであれば、こ -
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無限カノンの第二部。
カヲルと不二子の一部始終が語られる。二人の仲は全く進展しないが周りの状況が変化し続け、あれよあれよと言う間に身動きが取れないことに。
若さゆえなのかわからないが、不二子の対応に全く共感も理解もできない。カヲルが好意を見せているのに何故、自分の気持ちに正直にならないのか、不思議で仕方ない。
そして不二子の魅力が全くわからない。才色兼備ということはわかるが、カヲルがそこまで惹かれる訳、文中に「不二子の美しい魂にこそ惹かれた」とあるが、その美しい魂が薄っぺらいものに見えて仕方ない。そして、今まで本当にそこに惹かれていたような描写も見当たらない気がする。
もしかしたら自分が不二子 -
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【本の内容】
超問題児の天才テノール歌手辻アンドレ、その俄かマネージャーで元ナンバー2ホステスのまどか、現代最高の指揮者で絶倫のマエストロ、初恋の男性に偶然再会したOL春香…。
今宵コンサートホールに集う人々に、『ドン・ジョヴァンニ』の旋律が幸福の魔法をかける。
軽妙な筆致で綴られる、大人の恋愛喜劇。
[ 目次 ]
[ POP ]
オペラやコンサートのことなど、著者の豊かな音楽の知識に基づいて繰り広げられる恋愛模様。
安心してラストまで運ばれる軽快な小説。
昔恋をした「あの人にそっくり」と年上男性を追いかけコンサートへ誘うOL、極度に緊張に弱いテノール歌手、妻の遺影を隣のシートに