島田雅彦のレビュー一覧

  • 小説作法ABC(新潮選書)

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    島田雅彦による小説の書き方指南書。小説の書き方や考え方を論理的に解説する。
    普段はあまり小説を読まないので、小説技法については気にしたことがなかったが、これを読むと小説家はさまざまな技法を駆使し、緻密に設定しながら書いていることがよくわかる。小説をジャンル、構成、書かれる対象、語り手、対話、描写、視点、時間、言葉、書く目的等の要素別に解説しており、小説を書くためだけでなく、読む際にも参考になると思う。ただこの本に書かれている内容は、非常に緻密で、著者にとっては最低限のルールなのかもしれないが、これから小説を書きたいと思う初心者には、かなりハードルが高そうだ。著者は、小説家を目指すのであれば、こ

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    2016年05月29日
  • 美しい魂―無限カノン2―(新潮文庫)

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    無限カノンの第二部。
    カヲルと不二子の一部始終が語られる。二人の仲は全く進展しないが周りの状況が変化し続け、あれよあれよと言う間に身動きが取れないことに。
    若さゆえなのかわからないが、不二子の対応に全く共感も理解もできない。カヲルが好意を見せているのに何故、自分の気持ちに正直にならないのか、不思議で仕方ない。
    そして不二子の魅力が全くわからない。才色兼備ということはわかるが、カヲルがそこまで惹かれる訳、文中に「不二子の美しい魂にこそ惹かれた」とあるが、その美しい魂が薄っぺらいものに見えて仕方ない。そして、今まで本当にそこに惹かれていたような描写も見当たらない気がする。
    もしかしたら自分が不二子

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    2016年05月16日
  • 彗星の住人―無限カノン1―(新潮文庫)

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    無限カノン三部作の1作目。
    主人公の両親、祖父母、曽祖父母の出会いと恋が語られる。
    曽祖母は蝶々夫人、その息子が祖父。祖父は通訳として占領軍と関わる。その息子である父は占領軍元帥の愛人を寝取る。そんな血脈を主人公は受け継ぎ、自身も恋が生きる目的とする人生を無意識に歩む。
    二部への布石という役割は否めないが、それぞれが個性的であり共通点を持っている。本当に欲した人とは悲恋に終わるが、結果的には添い遂げる相手があり子も授かっている。まぁ、それはそれでな感じ。
    やはり文章がきれい。

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    2016年05月15日
  • 別冊NHK100分de名著 「幸せ」について考えよう

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    「100分de名著」シリーズの特別企画版のような1冊。「幸せ」をテーマに、井原西鶴、アダムスミス、ヘーゲル、フロイトの作品を取り上げ、それぞれ、小説、経済、哲学、心理学の切り口から、生きることについて考える。
    こうやってテーマを設定したうえで4作品を並べて解説してもらうってのは、面白いもんですね。異分野間でも視点を変えて横軸を通すことで、どんなテーマでも学ぶことが可能なのですよね。

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    2016年04月15日
  • ニッチを探して

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    自分は本当はどのようなところに居場所があるのだろうか。一旦、今の場所を去らなければならなくなった主人公が、新しい居場所としてそれを探していく物語です。金銭的な制約があるため、ホームレスに近づく方法でしか、それを探すことができないのですが、その方法と考え方には学べるところが多かったです。今の職場などでの今の仕事を離れると、自分はどうなってしまうのか、そのシミュレーションとして共感できました。
    物語としても面白く、非常に考えさせられるところもあり、読んでよかったと思います。

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    2016年03月11日
  • ニッチを探して

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     とても具体的で、体験記のごとく読んだ。場所といい、状況といい、小説というよりノンフィクション。その点で面白い小説。前半から唐突に逃走の道へと入るのだが、その経緯と、ラストでの展開が少々寸詰まりに思えたのがちょっと残念。

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    2016年02月10日
  • 傾国子女

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    一人の女性の人生が書かれているだけなのに、ぐっと引き寄せられるような一冊だった。
    割と厚めの本だと思うが、もの凄い速度で女性の人生が綴られている為、まったく飽きることなく読み進めることができた。
    主人公の女性のプライドや生き方、好ましいところが多かったな。
    全く自分とは別の種類の人間だけど。

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    2015年10月17日
  • 彗星の住人―無限カノン1―(新潮文庫)

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    赤い琉金には喜びという名を、黒出目金には悲しみという名をつけた。どうせ人がやっていることだ。長くは続かない。ピンカートン、JB、野田蔵人、野田カヲル、椿文緒、ダダ、マム、常磐シゲル、マモル、アンジュ、松原妙子、麻川不二子、小津安二郎、キリコ、花田貴志、蝶々夫人、日本語教師ミススズキ、野田那美、ナオミ、マッカーサー、帝国ホテル、雲取山、東京で一番高い山、全国大学入学模擬試験一位の伊能、美智代という名の巨乳娘。

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    2015年06月11日
  • 彗星の住人―無限カノン1―(新潮文庫)

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    久しぶりの再読ですが、とてもワクワクしながら、読み進めました。カヲルと不二子の手紙のやり取りは、なんとも言えず、心が締めつけられます。

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    2015年05月29日
  • 佳人の奇遇

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    【本の内容】
    超問題児の天才テノール歌手辻アンドレ、その俄かマネージャーで元ナンバー2ホステスのまどか、現代最高の指揮者で絶倫のマエストロ、初恋の男性に偶然再会したOL春香…。

    今宵コンサートホールに集う人々に、『ドン・ジョヴァンニ』の旋律が幸福の魔法をかける。

    軽妙な筆致で綴られる、大人の恋愛喜劇。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    オペラやコンサートのことなど、著者の豊かな音楽の知識に基づいて繰り広げられる恋愛模様。

    安心してラストまで運ばれる軽快な小説。

    昔恋をした「あの人にそっくり」と年上男性を追いかけコンサートへ誘うOL、極度に緊張に弱いテノール歌手、妻の遺影を隣のシートに

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    2014年09月20日
  • エトロフの恋―無限カノン3―(新潮文庫)

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    すべてが終わったあとにようやく物事は語りだされる。
    何故なら物語には始まりと終わりがあるからで、
    終わらなければ語られない。

    ゆえにここでは死者の物語しかない。
    生者はまだ語るための終わりを迎えていないのだと。
    そうして、無限カノンはここに来て豊かなどん詰まりを迎える。

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    2014年07月26日
  • 美しい魂―無限カノン2―(新潮文庫)

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    瓦礫の下に埋もれてしまった3部作の2つ目。

    第二部は、恋愛の様々なシーンが散りばめられている。
    およそ、エンターテイメントとして一番読みやすい部分ではないだろうか。

    ただそのすべてがひとつの魂に向けられているのは、
    一途さゆえでなく、それが世界の根っこそのものであるから。

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    2014年07月26日
  • 彗星の住人―無限カノン1―(新潮文庫)

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    敗北し、語られなかったものは永遠に消え去るだろうか。

    第一部は越境の物語である。
    彗星とは所在不明でありながらも別の場所へと向かう住所を指し示している。

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    2014年07月26日
  • 小説作法ABC(新潮選書)

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    ちょこちょこ出てくる村上春樹の分析が面白かった。
    その他の参考文献も。
    いやいや内容も勉強になった。
    特に私小説は自分の一番知られたくないことを書け、というあたりとか。

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    2014年04月18日
  • 退廃姉妹

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    小さいおうちと設定が近いのかな。
    当時のままで話を終わらせるのではなく、きちんと後日談というかエピローグで現代まで繋げてある点が好き。
    何事もなく幸せに円満に暮らしてきているようにみえても、そうでないことってたくさんあるよね。辛い経験を経てこその平穏。

    わりとすきなおはなし。

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    2014年04月12日
  • 退廃姉妹

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    戦後日本の慰安所を舞台に、女という特性を武器に米兵たちの中で逞しく生きる一家を時にユーモアと皮肉を交えつつ描いた一冊。
    終盤の夢の描写が幻想的で特にいいね。

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    2013年09月25日
  • 迷い婚と悟り婚

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    島田雅彦さんが語り口調で、結婚と恋愛について考える本。
    雑談っぽすぎてまとまりはないけど、軽く読めていい本。
    同性に好かれるひとが本当にモテるひと、というのにはめちゃくちゃ共感した。宮台真司の理論にも通じてくるような。
    まあ著者自身は恋愛うまくないと言うけど、だぶんそうでもないんやろうなあ。じゃないとこんな本書けへんでしょう。
    巻末に光浦さんとの対談も収録。光浦さん、ちょっとものの見方が穿っているような…。

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    2012年11月06日
  • 小説作法ABC(新潮選書)

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    最近「書く」ということに興味を持ったので手に取りました。
    このような小説の書き方みたいな本を読むのは初めてだったので興味深く読み進むことができました。
    どのように語るか、どのように書き進めていくかということが分かりやすく書かれているように感じます。
    これから小説を書こうという人が基礎の部分を学ぶために読むといいかもしれません。
    また小説を書かない人でもこれを読めば小説を読むときに、小説がどのように書かれ、作者が何を思ったかを意識する手助けになるでしょう。

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    2012年08月26日
  • エトロフの恋―無限カノン3―(新潮文庫)

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    無限カノン3部作の最終刊。
    うーん、いままでの1,2部作が好き過ぎた分、語り口が変わってしまったのに馴染めず。内容も起伏に乏しい。ラストも暗示的すぎてここまで読み進めた分に相当するカタルシスが感じられなかったかなー。

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    2012年02月26日
  • 退廃姉妹

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    まず読みやすい文体である。敗戦国日本の戦後を性格のまったく異なる姉妹の生き様という形でリアルに描く。これが庶民の真実の戦後であると信じてしまう。

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    2012年02月08日