あらすじ
1945年、焼け野原の東京。敗戦で2人取り残された美人姉妹の有希子と久美子。食べるため、家を守るために彼女たちが選んだのは、自分の家を進駐軍の慰安所にし、肉体を武器に、失ったものをアメリカ人から奪い返すこと! 特攻帰りの男との恋に生きる姉、アメリカ兵と手痛い初体験をし、うら若い娼婦となる妹、姉妹の家に転がり込んだ秋田美人の祥子、銀座の「夜の女」だったお春。優雅なあばずれ女たちの破天荒な“戦後”をあざやかに描く会心作。伊藤整文学賞受賞。
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Posted by ブクログ
戦後食べていくために、自宅を米兵の慰安所とする姉妹。たくましい。ほんと、生きていればこそ、なんだよなぁ。戦中戦後を綴るのには、いくら頁があっても足りず、筆舌に尽くし難い事実がそこかしこにあっただろう。それに反するようなあっけらかんとした文体が印象的だった。面白かった。
Posted by ブクログ
戦後の日本の慰安婦を題材にした話。
『退廃』とタイトルにあるだけに、どんな怠惰な姉妹が出てくるのか!と思っていたのだけれども、そんな印象は受けず。
むしろ純情かと。奔放ではあるけれど。
割と好みな話でした。
解説で、映画に是非したい!と書いてあったのですが
映像化しても面白そう。
あの気だるい感じを映像でも味わいたい。
Posted by ブクログ
小さいおうちと設定が近いのかな。
当時のままで話を終わらせるのではなく、きちんと後日談というかエピローグで現代まで繋げてある点が好き。
何事もなく幸せに円満に暮らしてきているようにみえても、そうでないことってたくさんあるよね。辛い経験を経てこその平穏。
わりとすきなおはなし。
Posted by ブクログ
戦後日本の慰安所を舞台に、女という特性を武器に米兵たちの中で逞しく生きる一家を時にユーモアと皮肉を交えつつ描いた一冊。
終盤の夢の描写が幻想的で特にいいね。
Posted by ブクログ
まず読みやすい文体である。敗戦国日本の戦後を性格のまったく異なる姉妹の生き様という形でリアルに描く。これが庶民の真実の戦後であると信じてしまう。
Posted by ブクログ
戦後、両親をなくしたため自力で生きていかなくてはならなくなった姉妹が徐々に気位をなくしつつも生きていく話。
姉と妹のキャラ設定はありがちなものの、どんどん落ちていくさまがうつくしい。
Posted by ブクログ
戦後に生き抜くため、残された二人の姉妹が選んだ道は、
悲しくもあり、逞しくもあり。
好きな男に処女を捧げることができた姉と、
自ら進駐軍のアメリカ人に身体を提供した妹。
それぞれの想いは、姉妹にしかわからない次元で
きっと悲しくシンクロしていたのだ。
小説自体はフィクションでありながら、
内容はノンフィクションなのだろうと思う。
私たちの知らない戦後には、
きっとこんな話が溢れていたに違いない。
エピローグにしたためられた登場人物たちのその後の話は、
読んでホッと安心できるもので良かった。