あらすじ
そこは、困難な恋を戦った者を待ちうける約束の地なのか。不二子をうしない、天賦の美声も奪われたカヲルは、生ける死者として最果ての島にたどり着く。すべてが終わったかにみえた刹那、奇蹟の恋はカヲルの前に最後の扉を開いた……。百年四代にわたる恋の遺伝子の行方を、日本近代史のなかに描く史上最強の恋愛三部作「無限カノン」。恋に倦んだ大人たちを挑発しながら堂々の完結へ!
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Posted by ブクログ
この作品を単独で読めるかといえばどうかと思い、また、無限カノン3として読むのも、少しの違和感があるけれど、おそらく、成仏させるための作品なのだろう。だからこそ、書いておかなければならなかったはず。平野啓一郎のいうように、「読まない」という方法もあり。
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すべてが終わったあとにようやく物事は語りだされる。
何故なら物語には始まりと終わりがあるからで、
終わらなければ語られない。
ゆえにここでは死者の物語しかない。
生者はまだ語るための終わりを迎えていないのだと。
そうして、無限カノンはここに来て豊かなどん詰まりを迎える。
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無限カノン3部作の最終刊。
うーん、いままでの1,2部作が好き過ぎた分、語り口が変わってしまったのに馴染めず。内容も起伏に乏しい。ラストも暗示的すぎてここまで読み進めた分に相当するカタルシスが感じられなかったかなー。
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本の舞台にここまでマッチする場所ってあるのか(ないだろう、みたいな。)
ほんとに。ほんとにエトロフじゃないといけなかったんだろうなぁ。
住んでるのか死んでるのか、いや繰り返しているのか、それこそ無限ループ。
私は一生都会に生きたい。
そして3部作通して。
遺伝てこえー。
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無限カノン3だけど、これだけ別モノとしても読めるな。エトロフはまさにグレーのイメージそこに、細い細ーい希望がある、のかな?何があってここに来たか、とかこのさきどうなる とか は付け足しか?
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無限カノンと題した三部作の締め。
前二作と明らかに毛色が変わり、全篇通し静かで退廃的、かつスピリチュアル。
描きたかったモノはとても理解できるが、作者のエゴが産んだ数々の綻びは、本作が最後であるが故膨らんだまま。あとがきで作者がシリーズ順不同の読み方を推奨しているが、読む順番で著しく作品の評価が変わるのは明白で、このナンバリング自体が失策だと感じ、勿体無い。
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無限カノン最終作。
次もあるのかな?話が娘のスタート地点には戻ってきたけど、カヲルの人生は決着がつかずに終わった。
青くて血を流しててもがいていたカヲルくんは、声も男も失ったおじさんになってしまった。
キャベツと鮭の塩スープ、太古からの暮らしをする森で生きる魔女みたいな老婆と家族。見つからない居場所。択捉島に住む謎の日本人の男。政治的な何らかのメッセージのようだけど、実際は国の中央にいる好きな人との僅かな繋がりを夢見る哀れな男、という政治的とか情勢とかにここまで踏み込んでいながら教訓的な話も作者の政治的思想も読み取れぬ、ただの垂れ流しの小説。
島田雅彦の、若くあろうとするおじさんの昭和の文章が、くたびれたカヲルと、寒々しいモノクロのエトロフとよく似合う。
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無限カノン三部作の最後。
前二作の二人称の語りとは違い、カヲルの一人称で語られる。
命がけの恋を失った後、なんだかんだで妻子を得たがその後、商売道具である歌声を失いどん底へ。偶然にも旧友と再会し、なぜかエトロフ島に住むことになる。そこで現実離れした人々と出会い交流を深めていく中で自身も悟りの境地に至り、それまでの苦しみから解放される、失ったはずの恋によって。
正直な感想としては、この三作目は必要だったのか?と言うか、こういうカタチでしか決着できなかったのか?と思ってしまう。
恋を失った後が端折られ、妻との出会いや生活も端折られているため、歌声を失った後、何故妻子の元へ戻れなかったのかが理解できない。
エトロフ島でも若い女性に恋をし、一方で不二子のことも引きずっている。妻子が蔑ろにされている感じがちょっと受け入れ難い。
Posted by ブクログ
前二作に比べると、場所もストーリーも随分遠くに行ってしまったなという感じ。カヲルさんの語り口も悪くないけど、前二作に慣れていたので、取っ付きにくかった。不二子本人が出なくても構わないが、絡む部分がもっとあれば良かった。ラストのパートをもう少し読みたかった。それでもこの三部作は、とても読み応えがあり、恋愛の切なさをひしひしと感じさせてくれます。
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急に語り口が変わってびびったとともに、ちょっと読みずらさも一瞬感じたけど、なかなかカオル誠実じゃんと思いました。おそらく男としての機能を失ったカオルに好感を持ち、カオルの意外な誠実さにも好感を持ったんだと思う。
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そこは、困難な恋を戦った者を待ちうける約束の地なのか。不二子をうしない、天賦の美声も奪われたカヲルは、生ける死者として最果ての島にたどり着く。すべてが終わったかにみえた刹那、奇蹟の恋はカヲルの前に最後の扉を開いた…。百年四代にわたる恋の遺伝子の行方を、日本近代史のなかに描く史上最強の恋愛三部作「無限カノン」。恋に倦んだ大人たちを挑発しながら堂々の完結へ。
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島田雅彦氏の作品です。
3つの小説ですが、無限カノン三部作として副題が与えられています。
『蝶々(ちょうちょう)夫人』をご存知でしょうか。
蝶々夫人はマダムバタフライの邦訳タイトルです。『マダムバタフライ』という小説は弁護士
ジョン・ルーサー・ロングが1898年にアメリカで発表した作品。
とゆらはこの作品に触れるまで、『蝶々夫人』の名前を聞いたことがあるという程度でした。
この小説『蝶々夫人』は後に、プッチーニによって2幕もののオペラとして発表されますから
こちらでご存知の方の方が圧倒的に多いことでしょう。
この『蝶々夫人』のストーリーは長崎が舞台です。
没落藩士令嬢の蝶々さんとアメリカ海軍士官ピンカートンとの恋愛の悲劇なのですが、島田氏
の『無限カノン三部作』はまさにこの続編とも言える作品です。
蝶々の遺児、ベンジャミン・ピンカートン・ジュニア(ニックネーム\"ジュニア・バタフライ\"
略称J.B)の母との死別・米国へ引き取られるところからストーリーが始まります。
JB、そしてその子供である野田蔵人、更にその子供の野田カヲル、そしてその子供である椿文
緒へと物語りは伝えられます。JBから数えて4代の一族の物語。そしてこの物語は、4代目の
椿文緒がストーリーを追う形として進められていきます。
2冊目の『美しい魂』では物語が大きく変容し、3冊目の『エトロフの恋』では静かにうねる
ようにラストに向かっていきます。
物語が壮大すぎて一冊ずつを切り出すのも、まとめてご紹介するのも難しい作品ではあります
が、先を読まずにはいられないという衝動に駆られた久々の作品でした。