島田雅彦のレビュー一覧
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4人がそれぞれ一冊ずつ紹介するスタイル。
アンダーソンという人の想像の共同体が面白かった。
過去と正しく決別できていないからこそ、未来の日本人に対する無関心がある。
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第二に、歴史家の客観的な目には国民(ネーション)は近代的現象に見えるのに、ナショナリストの主観的な目にはそれは古い存在と見える。要するに、新しいのに当事者には古く見える。これこそ、ナショナリズムの最もふしぎなところです。
逆に、ヨーロッパのいずれかの国に植民地化され、まとまった行政単位として扱われたという事実が、結果的に、植民地の人々に「我々 ○ ○人」という意識を植え付ける結果となった、と考えるほかありません。
現代の日本は、実際、そのような状況にあるのではないでしょうか。しかし、現在、僕らが直面している重要な問題のほとんどが、現在生きている人たち以上に、これから生まれてくる人たちに関わっています。人口問題にせよ、環境問題にせよ、安全保障や憲法の問題にせよ、すべてそうです。これらの問題についての現在の日本人の意志決定の影響を受けるのは、主として、現在の日本人の大半が死んだ後に現れる将来世代です。 自分たちの後にくる未生の世代への異様な無関心。これが現代の日本人の特徴であるように思えてなりません。その原因はどこにあるのでしょうか。少なくともそのひとつの原因は、戦後の日本人が「我々の他者」を失ったことにあるのではないか。これが僕の仮説です。 -
Posted by ブクログ
「輝かしき文学史的事件! 芥川賞最多落選者であり現・芥川賞選考委員である」などと称される島田雅彦さん。少しお堅いイメージがあったのと、食指が伸びず機会を逸してしまい、今回が初読です。
今の社会の閉塞感を打破するような、爽快な青春小説でした。疲弊した地方都市に、どこまでも前向きな坊主が現れ、地元の高校生4人に目を付けます。ここから「原石発掘プロジェクト」がスタートしていきます。
彼らは、失敗しながらも夢を見る力を少しずつ獲得して、絶望を希望に変え、町おこしへつなげていきます。しかし、古里のためという悲壮感は漂わず、あくまでも自分のため仲間のためがメインです。
また、現実社会の問題点を指摘したり、体制を皮肉ったりと、旧態依然とした不毛な改善策へヒントも与えてくれているようです。
島田さんの質の高いギャグも満載で、楽しく希望を与えてくれる物語でした。 -
Posted by ブクログ
とてもいい内容だと感じました。
私は虫が苦手ですが、内容は文句なく素晴らしいです。
表紙にある四冊が主軸で、人類の歴史と多くの人々、関連する書籍も紹介されています。
政治や体制の主義主張などを叫ぶだけの眠たいものを想像していたら、驚くほどに人の持つ陰のような部分を浮き彫りにしていました。
・服従したがる本能(生存目的)
・強烈な承認欲求
・生まれてきた不安
どれも普段は無視しできる範囲で暮らしています。
そして、本題の「ナショナリズム」。その生まれ、価値、その危険性にも堂々と切り込んで、具体的に示してくれています。私が常々「ナショナリズム」を唱えるメディアから感じる薄気味悪さの正体が、しっかりと理解できました。簡単に表現すれば同調圧力。価値観(想像)の共有が強制されること。
この一冊を読むことで、人類が多くの組織や共同体を時代に合わせて生き延びるために育てきた考え、その変換点を学べます。
その上で、各主軸の本を紹介してくださる四名の想いが鋭い。
大澤真幸さんは将来世代である「未来の他者」との繋がりを。
島田雅彦さんは人の本能の陰を意識して戦う必要を。
中島岳志さんも、ナショナリズムの構造を理解して「付き合っていく」「議論する」と。
そのために必要なものとして、最後、ヤマザキマリさんが提示してくれた三点。
・知性の力を備える
・自立した精神を鍛える
・人間の生き様を観察する能力を持つ
時間を置いてから、また読み直したい一冊です。
虫が、苦手で……。 -
Posted by ブクログ
妻子持ちの銀行員が突然失踪した。しかも背任と横領の嫌疑がかかっている。真面目で誠実な人柄ゆえ、そんな犯罪に手を染めることは考えられないが、実際に融資するはずの金が全く関係ない中小企業に融資されていた。
実は銀行が加担する悪事を暴露するための爆弾が炸裂するまでの時間稼ぎとして自ら失踪したのであった。
路上暮らしの先輩達に助けられ、確信犯的な認知症の女性に助けられて今か今かと刻を待っていたが、ついに悪事を潰された人物の刺客に囚われ絶体絶命のピンチに陥る。危機を脱し、家族の元へ帰れるのか…。
島田雅彦の本だなという感じ。難しいこと考えてるなと思いきや俗なことだったり。
主人公の銀行員のキャラがけっこうおもしろい。銀行員だし哲学者や文豪のフレーズを引用するあたりが真面目で固そうな印象を与えるが、意外と娘と硬い絆で結ばれていたり、饒舌だったりとぼけたところもあったり。
路上暮らしの理由がわかった時からサスペンス的になっていくのもおもしろかった。