島田雅彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
4人がそれぞれ一冊ずつ紹介するスタイル。
アンダーソンという人の想像の共同体が面白かった。
過去と正しく決別できていないからこそ、未来の日本人に対する無関心がある。
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第二に、歴史家の客観的な目には国民(ネーション)は近代的現象に見えるのに、ナショナリストの主観的な目にはそれは古い存在と見える。要するに、新しいのに当事者には古く見える。これこそ、ナショナリズムの最もふしぎなところです。
逆に、ヨーロッパのいずれかの国に植民地化され、まとまった行政単位として扱われたという事実が、結果的に、植民地の人々に「我々 ○ ○人」という意識を植え付ける結果となった、と考えるほかありません。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ同じ時代の空気を吸って生きてきた同年代作家として、共感するところが多い。子育てしたのも同じ時期だ。
『君が異端だった頃』の続編となる自伝小説。石原慎太郎や中上健次、大江健三郎、古井由貴吉との交流譚が相変わらず興味深い。
「親バカでない親はいない」にあるとおり、やはり「優しいサヨク)も人の子であり、親である。息子への溢れる愛情を隠さない親バカぶりが感動的でさえある。
実名のまま自らの生い立ちが書かれることを「ミロク」君が許したのは、きっと深い信頼関係があるからなんだろうな…
でも、いちばん言いたかったのは、終わり近くにある次の部分ではなかったか?
「…自分とは唯一無二のものというよりは -
Posted by ブクログ
「輝かしき文学史的事件! 芥川賞最多落選者であり現・芥川賞選考委員である」などと称される島田雅彦さん。少しお堅いイメージがあったのと、食指が伸びず機会を逸してしまい、今回が初読です。
今の社会の閉塞感を打破するような、爽快な青春小説でした。疲弊した地方都市に、どこまでも前向きな坊主が現れ、地元の高校生4人に目を付けます。ここから「原石発掘プロジェクト」がスタートしていきます。
彼らは、失敗しながらも夢を見る力を少しずつ獲得して、絶望を希望に変え、町おこしへつなげていきます。しかし、古里のためという悲壮感は漂わず、あくまでも自分のため仲間のためがメインです。
また、現実社会の問題点を指摘