【感想・ネタバレ】時々、慈父になる。のレビュー

あらすじ

1983年5月、『優しいサヨクのための嬉遊曲』から40年。
いつまでも自分が主役だと思うなよ。
毀誉褒貶を顧みない作風で時代を駆け抜けた作家による、
デビュー40周年記念の自伝的父子小説。

第一部「父親の変わり身」
第二部「親バカでない親はいない」
第三部「運命なんて愛したくない」
第四部「後のことはおまえに任せた」

時は1991年、島田雅彦30歳。バブルは崩壊したとは言え、執筆の他にも世界中を旅する仕事が続く中、妻の妊娠が判明する。夫は、子育てに適した新居を探し、子どもの名前を考える。「永遠に実現しない希望」を意味する弥勒菩薩からミロクと名付け、生後間もない頃から世界中へと連れ回し、家族の記憶はいつも旅の記憶。自由奔放に子どもを育てたいと思いながらも、お受験へ。入園式当日に朝帰りをしたのは、父だったからか、作家だったからか。息子が生まれ、世界が一変したはずの作家による自伝的父子小説。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

父親になって息子をどう育てるかどのように育って欲しいかと真剣に悩む姿に、世の父親と違って息子としては有り難くもあり煩わしくもあったのではないかと思った。
このエッセイは島田氏の存在表明のようでもあり旅日記でもあり彌六の子育て記録でもある。タイトルにあるような慈父かどうかはわからないがミロクとの関係描写のところが一番興味深かった。

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2023年08月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

同じ時代の空気を吸って生きてきた同年代作家として、共感するところが多い。子育てしたのも同じ時期だ。

『君が異端だった頃』の続編となる自伝小説。石原慎太郎や中上健次、大江健三郎、古井由貴吉との交流譚が相変わらず興味深い。

「親バカでない親はいない」にあるとおり、やはり「優しいサヨク)も人の子であり、親である。息子への溢れる愛情を隠さない親バカぶりが感動的でさえある。

実名のまま自らの生い立ちが書かれることを「ミロク」君が許したのは、きっと深い信頼関係があるからなんだろうな…

でも、いちばん言いたかったのは、終わり近くにある次の部分ではなかったか?

「…自分とは唯一無二のものというよりは、過去の反映であり、踏襲であり、反復であるということだ。」

「私たちが「意識」と呼んでいるものは、自分が生まれる遥か昔からあって、ある日、不意にそれを宿してしまった自分に気づくものなのだ。…思春期の頃に感じた自分への違和感は、自分に宿ったばかりの意識の使い勝手が悪かったことに由来する。老いてボケが進み、自分が誰だかわからなくなるのは、自分に宿った意識が離れたがっているからである。」

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2023年07月25日

Posted by ブクログ

息子を連れて世界中旅をするという羨ましい環境。とはいえどんな親も同じように育児は手探りで一生懸命。
作家の実態を垣間見れて興味深かった。この作者が特別なのか、作家業とはこんなものなのか、凄まじい仕事量に圧倒された!

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2023年07月11日

Posted by ブクログ

著者らしい歯に衣着せぬ物言いで爽快である。
なるほど、慈父、時々という表題も的を得ている(笑)

子どもの成長とともに、時代の推移と変化を感じられ、ほぼ同年代としては感慨深い。

ますます尖った小説、待っております。

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2024年09月03日

Posted by ブクログ

島田雅彦さんが語る、様々な物語(自伝のような小説)、芥川賞選考委員会の内情(石原慎太郎の人となりについて等)や、亡くなった中村勘三郎との交流等、興味深いものが多々ありますが、話題が多くやや散漫という印象もあり、★三つです。

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2024年04月10日

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