島田雅彦のレビュー一覧
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"IF" is not "SF",but "SF" is "IF".
非常に興味深く一気に読み終えた。この知的興奮は『属国の銃弾』以来。つまり四年ぶりの面白さである。もっとも本作は内容は完全なるディストピア小説。過去の歴史上の様々な問題点を、それを引き起こした人間を「排除」若しくは「転向」させて歴史を変えることが出来るかというテーマに対して答えは否。いやもっと悪い時代になってしまうという救い様の無い話である。しかしながら読んでいて少し希望が持てるのは主人公たちの飽くなき挑戦心というかほんの小さな可能性に賭けてみるという革命的楽観主義。島田雅彦は『優しいサヨクのための〜』を昔読んでムカついたので長く敬遠していたのだが、これを機会に少し読んでみよう。ラストに「本作はフィクションです。登場人物は全員架空の人物です。」とある。そうだよな、不沈空母の長曾根とか、日本をハゲタカファンドに売った竹永なんて実在する訳無いよな(爆笑)。 -
Posted by ブクログ
ネタバレAIの話を見かけると読むようにしてるので読んでみた。
設定としてすごい興味深かった。
メタ現実をバーチャル体験とかはできちゃうんだろうし、いつか本当にアプリで体験できるくらいにはなっちゃうのかも。
もし本当に歴史を変えようとするのであればもっと組織的に頭の賢すぎる人たちを団体で投入していく必要があるのでは?と思った。、
それでも変わらないのかもしれないけど、変えるとしたらそのくらいの熱量が必要なんではなかろうか。
ただ、過去を変えるよりも過去がそれだったから今こうなっている、ということの前向きなところをみていきたいなと強く感じた。
最後の20年後の未来は気持ちが暗くなってしまった。最悪。
だからこそ、わたしは日本人と日本の未来には希望を持っていたい。
穂花ちゃんがおもろいし救いだった。カオリンも。
ちょいちょいすごい真面目な世界とすっとぼけてるところでバランスを取ってくれていたのだけが救い。
というか、実はこの過去ってこうだったんですよ、の、多分おそらく事実?
ということを島田雅彦さんは書いてくださったのだろうから(参考資料が物語っていた)知らないことを知れて、そーなの?!ってなった。
わたしはあらゆる歴史をなんも知らないゆえに。
飛行機のやつが1番ショックだったかも。
戦争の話は遠いけど、飛行機は比較的新しい話だからなのかどうなのか?わかんないけど、本当だとしたらとんでもない話過ぎて衝撃だった。
でも、人間てそうやって事実を捻じ曲げて一部の人たちがいい思いをして来たことって、腐るほどあるんだろうなとは思った。
黒コゲにしちゃうとか恐ろしすぎた。生きてる人を見殺しにするとか…。
なんつートラウマ植え付けてんだよ。
でも、人類は野蛮で残酷なのだろうな、と、『チ。』を読んだ時に思ったんだった。
山本五十六さんに関しては、なんて自分勝手な。と呆れたけども、それだけのプレッシャーの中で生きればこその欲なのかも知れないよね、とも思う。
事実かは知らんけども!
ただマクロとミクロでは見え方が違うし、人それぞれ全部違うしそれを罰することはどんなことであっても、誰にもできないとは常に思う。
なので自分をより良く生きることという感想に尽きた。
んー。寝る直前までで読み切ったので、怖い夢見たのは絶対この小説のせいだと思う笑
面白い話だったけど、そーゆー意味では面白くなかったとゆーか好みではなかった。
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文庫解説の内田樹は本作を『愛と幻想のファシズム』以来40年ぶりの「日本で革命が起きる話」と書いているが、これは正確ではない。むしろこの小説では、政治的=歴史的に「革命」を起こすことができない国で――つまり米国に対する従属という構造を変えることが許されない国で――どのような体制変革が可能かを模索した思考実験が書き込まれたと見るべきだ。実際にこの小説の中で実現したことといえば、一部の要人暗殺と政権交代でしかないし、その新政権の首相もCIAから自由ではない。
あえて村上龍の小説と比定するなら、21世紀の『コインロッカー・ベイビーズ』と表現したほうがしっくりくる。ヤクザの息子と、銀行内部の汚職のもみ消しのために詰め腹を切らされた男の息子が「コントラ・ムンディ(世界の敵)」たらんと野望をふくらませ、一方はインテリジェンスの裏稼業=実行部隊を、もう一方はCIAのエージェントとなって、国家を米国(の代理人)たちに差し出すことで自己保身に汲々とする日本の政治家や官僚組織に立ち向かっていく。ただし、『コインロッカー・ベイビーズ』の時代と異なるのは、ただ「破壊」するだけでは世界は変わらない、という認識だろう。島田の小説ではテロリストによる「破壊」こそが体制の養分となり、ショック・ドクトリン的に既存の詩システムが強化されるという展開になっていて、簡単に希望を持たせてはくれない。惜しむらくは、前半で今後の活躍を期待させた「ワルキューレ・カルテット」の4人の女性たちが、ほんのちょっとした脇役にとどまってしまったところ。
以前の『スノー・ドロップ』にはかなりがっかりしたが、ここまでオルタナティブな日本国家の道行きを具体的に想像できるなら、逆になぜ『スノー・ドロップ』がああなってしまったのかが気になってしまう。天皇制を描こうとすると、想像力はとたんに凡庸化してしまうのだろうか。
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万延2年(1861年)生まれの159歳。名前はこれまで4つ使ってきた。幕末から明治維新、自由民権運動の時代、日清日露戦争の戦勝国だった大日本帝国時代、大正デモクラシー、エログロナンセンスの流行した昭和初年、戦前・戦中・戦後、高度経済成長、昭和バブル期、平成不況、そして令和の現代まですべてをリアルタイムで経験し、3つの世紀と9つの元号の時代を生きた男の一代記。近代150年史が一人の男の中にあるという驚異!
島田雅彦は、失礼ながら「終わった作家」のように思っていたが、考えを改めた。これはめっぽう面白かった。島田は60代を迎えて円熟期に入っている。今後も注目しなければならない。
「「日進月歩」とか、「光陰矢の如し」とか、「苦節二十年」とかいいますが、私が思うに、時間なんてものは現実には存在しない。時間は「あの世」とか「神」と同様、人間が編み出した幻想に過ぎないんじゃないか、と。確かに万物は流転します。私たちは成長したり、老いたりします。物は壊れたり、腐ったりします。そういう変化そのものを時間の経過と錯覚しているだけなんですよ」……これはシベリア帰りの未来人ヒモテツの言葉。(pp.212~213) -
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文字通り 散歩哲学でありながら、ぶらり居酒屋巡りのような風合いもちらつかせ、最後に締める。
角打ちいいけど、膝、腰ダメ出しなぁ。
昭和天皇が皇居のゴルフ場を武蔵野にしたお話し、深い、感じ入った。そして、歩くにまつわる言葉についても日頃の事考えてなるほと。圧巻はニッチについて適応した特有の生息環境の事だと、この歳になり初めて知る。その種の存続に適した場所だけではなく、時間、食性もニッチの要件だと、皆微妙に棲み分けているんだ。そういう視点を持ち歩く、散歩は観察者の思考も含めた旅なのだと思った。アースダイバーって言葉も初見、思わずまた本を購入。エピローグで、散歩を移動の自由という権利の行使だと幅が広げられ衝撃をうけ、八百万の営みとの対話がお散歩と、ありがとうございました。堪能しました。
歩く事、権利をこうしして、日々新たに まいります。 -
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6人の論客が日本の問題点を明らかにする。
275ページの新書に6つの論文。
1人40-50ページと短い文章だが、
その中に鋭い視点を見た。
一番鋭いと思ったのは中島岳志氏。
「保守とリベラル」という対立軸に、新しい視点をもたらした。
「リベラルとパターナル」がそれ。
パターナルとは、家父長的、権威主義的。
そこにリスクの社会化、リスクの個人化という軸を合わせ、
4象限で自民党の政策の変遷を分析する。
田中大平のころの自民党はリスクの社会化+リベラルだった、
それが小泉で個人化、リベラルとなり、
安倍で個人化、パターナルとなったと。
自民は時代とともに鵺のように変遷していると。
ちなみに「民主党」は社会化・リベラルだったと。
さらに中島氏は社会化・リベラルが好ましいとしている。
私もかなあ。。
以前は自己責任!と思っていたが、生まれ育った環境など運が大きすぎる現在、
社会化が大事だと思っている。パターナルなどもってのほか。
お次はお馴染み神保哲生さん。
政府に食いつくべきマスコミが、官僚になりそこなった偏差値エリートの
おりこうさんばかりになると、素直に言うことを聴いてしまう。まずい、と。
記者クラブ、クロスオーナーシップは論外と。
独立系メディア、ビデオニュースドットコムを自ら立ち上げた神保氏だから言えることば。
そして流石波頭さん。
法人税を下げ、消費税を上げ、消費を冷やしてしまった日本。
企業は法人税が下がって生まれた利益を配当で海外にばらまいてしまった。
結果需要は伸びず、負のスパイラルに陥ってしまったと。
ここからは私の意見。
百歩譲って安定財源の消費税を確保させるとして、
何で所得税を下げないのか。数式を変えるだけで、所得税減税は可能。
消費税をとっているのだからそれでよいではないか。
税収上振れが何年も続いているという無策。
財務省はそれで喜んでいるのかもしれないが、国民はどんどん疲弊する。
減税を歌えば「財源は?」と問うくせに、
政治家が五輪だ万博だといえば、どこからともなく出てくる予算。
それも当初予算より増えてもスルー。
バカすぎる。
AI本格稼働で労働力が賄えるようになれば、
ベーシックインカムを国民に与えることが現実的になる、
というものも2人からあった。
それを真剣に考えられる時代になってきたが、、
基礎控除の引き上げや選択的夫婦別姓すら決められない機能不全の国会に
それを求めるのは無理な気がする、、、
ピンチだよなア日本
第1章 歴史に学ぶ日本の再興(磯田道史)
第2章 生成AI:38億年目の創発(西川伸一)
第3章 わが国の今とこれからの方向性~経済からのスコープ~(波頭亮)
第4章 現代日本の政治思想(中島岳志)
第5章 日本のメディアの構造問題(神保哲生)
第6章 夢見るAI(島田雅彦) -
Posted by ブクログ
解説で内田さんが40年ぶりという表現をしているけど、福井さんと似た印象は持ちました。ただ、ゴール的なものに指をかけているという意味では違うのかも。
終盤までの疾走感がすごいのに対して、終盤はちょっと飛ばしすぎな気はしますが、最後まで楽しめました。
さて。
属国だと何が困るのか。もちろん、直接的な被害者(沖縄の米兵問題など)は困るどころの話ではない。しかし、日々のテンタメに興じている人や、違う問題で疲れ果てている人たちは、何を変えたいと思うのか。精神の問題なのか。自分は…不公正が見えてしまうと心が静まらないという…やはり精神の問題かな…
あと、属国は嫌だと言って自主憲法だ、と盛り上がる人たちはこれをどう読むのかは気になる。 -
Posted by ブクログ
原文の一部が載ってるくらいので読みたいと思ったけれど、完全現代語訳。だけど、それぞれ訳された作家さんたちのセンスがキラリと光り、江戸文学のエッセンスがギュッと詰め込まれた、お値打ち品の一冊。
好色一代男
原作: 井原西鶴/ 現代語訳 島田雅彦
七才の時、夜中に子守に連れられてトイレに行った時、足元が危なくないように蝋燭を持って付いていてくれた子守のお姉さんに「その火を消して、そばに来て」。「足元が危ないから、こうしているのに、明かりを消してどうするんです。」と子守。「恋は闇ということを知らないの?」。
この頃から、クレヨンしんちゃん顔負けの天才好色男児、世之介!
八歳の時に、伯母さんの家に暫くお世話になっていた時に、好きだった従兄妹のお姉さんに
「この間、僕があなたの大切な糸巻きを踏んで壊した時に、腹が立ったでしょうに「全然大丈夫よ」と言って怒らなかったのは、何か内緒で僕に打ち明けたいことがあったからじゃないですか?もしそうなら、聞いてあげたいです。」という手紙を自分で書けないから、自分のお習字の先生のお坊さんに書いてもらって、下女を通じて従兄妹のお姉さんに渡した。お陰で、代筆したお坊さんは自分が誤解されて迷惑を被った。
十歳の時には、早くも男色の気も現れ、十一歳の時には遊郭に出入りを始め…。あちこちで綺麗な人と「いつまでもいつまでも一緒にいようね。」と誓いあって、相手に血判を押した誓約書まで書かせるのだけど、世之介のほうこそ一人のひとに落ち着けないんだね。悪気はないんだけど。「子供が出来た」と言われれば逃げちゃうし。
ろくでなしの女たらし。こんな物語でも340年も経ったものだと立派に“古典”として扱われるのか…と思ってふと後書きを読んでみたら、なんとなんとこれは「源氏物語」のパロディで源氏物語五十四帖を世之介の7歳から60歳までの好色遍歴54年になぞらえているらしい。そもそも日本文学というのは、イザナキ・イザナミの頃から色恋が大好きで、戦いと冒険ばかり描いていた「イーリアス」や「オデュッセイア」とは違うんだって。
そういえば、世之介は光源氏に似てるんだ。ただの好色ではなく、生まれつきのイケメンで、おしゃれで、気が優しくて、くどき上手で、男にも女にもモテる人たらしなのだ。親に勘当されてお金が無いときでも、流しの歌手として身を立てながら、相変わらず色恋沙汰を休まない姿は憎めないし、親の遺産が入って大金持ちになったあとは、可哀想な遊女がいると、サッと身請けしてやり里に返してやるなど、男っぷりのいいことするし。吉原や島原で名だたる、当代一と言われた遊女たちの本命も“世之介様”だったし。
中年になってから、いつもの遊び仲間と、あっちの遊女がいい、こっちの遊女がいいと品定をする会話の場面なんかは、源氏物語の「雨夜の品定」そっくり。
最後には、愉快な仲間たちと舟に往年の遊女巡りの思い出の品を詰め込んで、恋風任せで船出して、行方をくらました。その前に「夕日影 朝顔の咲く その下に 六億円分の 光残して」という歌を刻んだ茶臼石に朝顔の蔓を這わせ、その下に埋めた六億円、まだあるのかなあ(京都の東山だそう)。
あとの3遍も凄く良かった。書きたいことはいっぱいあるけれど、時間の都合で、紹介だけ。
雨月物語
原作: 上田秋成/ 現代語訳: 円城塔
通言総籬(つうげんそうまがき)
原作:山東京伝/ 現代語訳: いとうせいこう
春色梅児誉美(しゅんしょくうめごよみ)原作: 為永春水/ 現代語訳: 島本理生
「通言総籬」は江戸っ子のリズム感がいい。落語を聞いている感じ。イナセ。今、江戸で流行っているファッションやイケてることなどがビンビン伝わってくる。
「春色梅児誉美」は現代の人に分かりやすいように三人称を一人称に変えて訳すという工夫されたらしいが、現代小説と変わらない。泣けるラブストーリーであり、心温まる感動の再会、友情の物語。島本理生さんのオリジナル作品読んだことないけれど、興味が湧いた。