島田雅彦のレビュー一覧
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島田雅彦というと、私が現役の高校生だったころから、国語便覧に載っている偉いセンセイである。
読まねばならぬ・・・はずなのだが、なぜか食指が動かず、今まできてしまった。
初島田である。
銀行員藤原道長が、支店長の悪を暴き、せめて差し違えることができれば、と、これまでの生活から「離脱」する。
娘の彰子、妻の香子(紫式部の本名ともいわれる)、そして彼の逃亡生活を助ける熟女源倫子、といった名前を見ていくと、何か現代の貴種流離譚なのかと思ってしまうが、そう読むと、波乱万丈なシーンさえ安心して読めることになるが、一方で特権意識に満ちた、かなり胸糞悪い話になってしまう。
これは却下。
意外とグルメ小説と -
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島田氏は結婚を勧める根拠として7つの理由を挙げているが、その中に離婚できる、というのがある。統計的には3割を超える確率で結婚は破綻していることをふまえ、結婚は決して永久就職ではなくなってきている現実を静かに指摘する。離婚を奨励しているわけではないが、いつまでもつか分からないというのが心構えでいるのが相当ということ。うまくいくときはうまくいくし、いかないときはどのように努力してもうまくいかない。そう達観するのが身のため。墓場まで一緒にいなければならないと考えるから苦しくなる。結婚をくびきとして考える必要はない。いやになったらいつでも別れればいい。そういう感覚でおれば結婚の敷居もグンと低くなる。
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無限カノン三部作の最後。
前二作の二人称の語りとは違い、カヲルの一人称で語られる。
命がけの恋を失った後、なんだかんだで妻子を得たがその後、商売道具である歌声を失いどん底へ。偶然にも旧友と再会し、なぜかエトロフ島に住むことになる。そこで現実離れした人々と出会い交流を深めていく中で自身も悟りの境地に至り、それまでの苦しみから解放される、失ったはずの恋によって。
正直な感想としては、この三作目は必要だったのか?と言うか、こういうカタチでしか決着できなかったのか?と思ってしまう。
恋を失った後が端折られ、妻との出会いや生活も端折られているため、歌声を失った後、何故妻子の元へ戻れなかったのかが理解でき -
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美貌というのは一時の権力だという。
もし自分がもっと美人だったら、あれもうまくいくかも、これもうまくいくかも、そう思ってしまうが、実はそうとも限らないようだ。
本書の主人公、白草千春は、その美しさから自分の運命が翻弄されてしまう。
かわいそうなほどに。
義理の父との約束はおぞましいし、「壇のおじさま」は高校生の千春に後継出産を依頼する。
気持ち悪い、そんな感情が先立つ。
「壇のおじさま」は彼女を大切にしていた。
同じように、あの彼も、この彼も、彼女を愛おしい、大切だ、そう思っていたのかもしれない。
たとえそれが一瞬であって
千春は死んで、やっと自らから解放されたのだろうか。
彼女の人生を語る -
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この本と同時並行で映画ポセイドンを観たばかりです。豪華客船ポセイドン号が航海中、信じられない高さの大波を船体の側面で受けて転覆してしまいます。舵を切りますが、間に合いませんでした。天地がひっくり返り船底が海面浮いた状態になりました。多くの人が亡くなりましたが、生き残った船長は同じように生き残った乗客にこの船は沈まないからこのまま救援を待つと船客に説明し安心させます。それを信じることが出来ず、構造上この船は沈むことを的確に予測し、残り少ない時間で船外への脱出を試みる人たちがいました。船長より自分の判断を信じる人、あるいはそう判断した人物を信じる人がいました。知識、知恵、勇気や行動力のある人、親子
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ネタバレ酒飲み、魚食い、発酵食品好きには堪らないグルメ・エッセイ。
海外の食文化や、ひと手間かけた自作料理、老舗料亭の味からコンビニメシ考察まで、盛りだくさんの内容に「よりよく食う」ことへの情熱が迸っています。
日記形式の前半もワクワクするし、テーマ別にあれこれ論じる後半も興味深い。
安くて美味いものは確かに嬉しいけど、時には高くて美味しいものも味わいたい。
そうかと思えば、高いわりに不味いものや安くても不味いものに出会ってしまう事もしばしば。
超常連じゃないと出してもらえない高級店の絶品上海ガニのフルコース。
長い長い年月だけが生み出す事のできる泡盛の古酒。
自ら山の中を這いずり回り、敢えて苦労し -
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「カオスの娘」という題にまず惹かれ、シャーマンと現代東京の話だということでさらに惹かれて購入。シャーマンという非現実的ではあるけど、どこかギリギリ現実的に思える世界観はなかなかよかった。
それでも一番よかったのはただ純粋にどんどんカオスに落ちていく少女。「落ちていく」という表現が適切な気はしないけど、石が転がっていくように気付かず進んでいくのがグッときた。それと渋谷の少女達の、実際にあるのだろうけど、普通に生きていく人間が知らない世界の描写が衝撃だった。あれは何でも実際の少女の証言からきているというから引き込まれる。
ただ、心に刺さるような台詞はシーンはなかった。