藤野千夜のレビュー一覧
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「最後の晩餐」と言えばダ・ヴィンチの有名な絵を思い出します。7人の女性作家による短編集は、どれも読みやすく楽しめました。
江國香織【コインランドリーの夜】
自分を取り戻した主人公に共感。自分らしい最後の晩餐に気づけたことに爽快感を味わえました。
金原ひとみ【ラストサパーフォーエバー】
初読みの金原さん。勢いのある文章。この最後の晩餐は、最後にクスッと笑えました。
角田光代【最後の鰻】
この作品は個人的な思い出と重なって、すごくよかったです。いつまでも忘れることはない時間の物語。読者の私にとっても。
寺地はるな【小曾根幸子の送別会】
この作品も、色々な気持ちが詰め込まれた物語。読者の私のお気に入り。
原田ひ香【最後に、何を食べたの?】
もやもやした気持ちが、最後には前向きになれた感じがしました。その人らしい最後の晩餐を、どのように表現していくのか気になりました。
藤野千夜【もうひとりのねえちゃん】
こんなもうひとりのねえちゃんがいたらと思える作品。最後の晩餐はシンプルでいいのかもしれないです。
井上荒野【本当の話】
娘っていいなあ。嘘から出たまことみたいなことがあると嬉しくなりますね。
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ネタバレ【収録作品】
江國香織「コインランドリーの夜」
金原ひとみ「ラストサパーフォーエバー」
角田光代「最後の鰻」
寺地はるな「小曾根幸子の送別会」
原田ひ香「最後に、何を食べたの?」
藤野千夜「もうひとりのねえちゃん」
井上荒野「本当の話」
人生の最後に何を食べるか? をテーマにした、アンソロジー。
「コインランドリーの夜」の弥生子、「小曾根幸子の送別会」の小曾根幸子の生き様は小気味よい。
「最後の鰻」は仲の良い家族の空気が伝わってきてほのぼのとする。
「ラストサパー…」と「もうひとりの…」は年代こそ違うが、シスターフッドのよさをしみじみと感じる。
「最後に、…」は嫌な話にならなくてよかった。
「本当の話」は夫に先立たれた妻の寂しさが身に迫る。
粒ぞろいのアンソロジー。 -
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夫婦合わせて180歳、中年3人(長男は引きこもり、次男はスカートをはくき、三男は借金まみれ)の息子達は皆独身。妻には認知症が入り、毎日浮気を疑われ、、そんな彼の楽しみは椎名町から池袋までの毎日の散歩、建築を観、喫茶店で食事し、甘味をお土産に買って、、事務所で趣味の女性ビデオ鑑賞などして1人味わう…
色々心配はあるけれど家族は続く…
明石建設の社長だった新平は立教大学、江戸川乱歩邸、自由学園や不思議な雑居ビルなどに立ち寄って、建物に感心することを忘れない。
中でも息子のギターの先生がリサイタルされて聴きに行った自由学園朝日館のホールは粋だった。F・L・ライト設計の重要文化財で、89歳の新平は「俺もこういう建築がしたかったな…無理か…」と首を振るのだった。彼は女学校生徒たちの食堂だった喫茶で上品なクッキーをいただく…
人生って思い通りにならないのが当たり前。三原堂の薯蕷饅頭やタカセのあんみつドーナツを片手に彼の散歩道を歩きたくなった… -
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老夫婦と、すでに中年となった三人の息子たちの日常を描いた家族小説です。
散歩を楽しむ新平を中心に、それぞれが老いや家族の問題、思うようにならない人生を抱えながらも、淡々と毎日を過ごしている姿が妙にリアルでした。
家族だからこそ遠慮がなく腹も立ちますが、完全には離れられない距離感には、どこか自分の家族を重ねてしまいました。
新平の考え方には時代を感じる部分も多く、共感しにくい場面もありましたが、それも含めて一人の人間として描かれているところに好感が持てました。
派手な展開はありませんが、年齢を重ねた今だからこそ、こうした何気ない日常の積み重ねこそが、一番ぜいたくなのかもしれないと感じました。
読み終えた後は、家族の顔が思い浮かぶ、そんな温かい一冊でした。 -
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いろいろな作家さんの話が読めるので、短編集はさくさく読めてしまいます。今回は、『最後の晩餐』をテーマに7編が収録されていました。『最後の晩餐』というと、イメージとしては悲しかったり、切なかったりというマイナスな感情が先にたっていたけれど、どの話も前向きな話で自分の『最後の晩餐』についても考えてみたくなった。
どの作家さんの話も好きだったけど、個人的には金原ひとみさんの話が好きでした。コンプラが叫ばれる社会でこんな集まりがあって、ひたすら高カロリーな物を食べまくる…素敵な最後の晩餐だなぁと羨ましくなった。ちょっと学生時代を思い出した。
井上荒野さんの「本当の話」も心がじんわり温かくなる素敵な話でした。 -
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イラストを手掛けるのは、ミルフィーユで有名な洋菓子フランセのパッケージデザインでおなじみの北澤平祐さん。『団地のふたり』のドラマの中のイラストもそうだったんだ。気づかなかったー。知れてうれしい。
ドラマの中でなっちゃんが描いていた、あのそらちゃんの絵本が今ここに。うれしい。絵本だけど持ち歩きしやすい小さいサイズで、子どもはもちろん、大人も楽しめる。
子どもが読んだら、「明日はお友達とどんなことをして遊ぼうかな」ってわくわくすると思う。大人が読むと、子どもの頃に想像力を爆発させて無邪気に遊び回った、あの記憶を思い出せる。
自分もそうだけど、昔の子どもって遊びに出かけたらどこへでも行っちゃって、自分の町で自由自在に遊んでた。おもちゃや遊び道具だってそんなになくて、でもちょっと危険な公園の遊具もたくさんあったし、安い駄菓子屋さんもあちこちにあった。転んですりむいて赤チンを塗ってもらって、元気いっぱい暗くなるまでみーんなで遊んでいたなって懐かしくなった。
なっちゃんとノエチは、大人になった二人から想像する通りの子どもで、そらちゃんもドラマに出てきたままの優しい女の子。とっても優しい絵本だった。