藤野千夜のレビュー一覧

  • 掌篇歳時記 秋冬

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    短編小説。
    中には情景がぼんやりしたまま終幕になったものもあるが、大半は程よく心地良い作品。
    日本には暦のほかにこんなにも豊かな四季の表現があると温かさも得た。

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    2020年02月09日
  • 掌篇歳時記 秋冬

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    12名の著名な作家の短編が72候の解説と一緒に読める、ある意味で贅沢な本だ.重松清の鷹乃学習(たかすなわちがくしゅうす)は父親としての最後の旅行で息子の翔太を見つめる親心がうまく描写されている.筒井康隆の蒙霧升降(ふかききりまとう)は戦後の風物詩を散りばめた彼独特の文章でしっかり意見を述べているのが良い.堀江敏幸の熊蟄穴(くまあなにこもる)は菱山の取材活動のなかで村の古老たちとの奇妙な会話が面白かった.

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    2019年12月08日
  • 掌篇歳時記 秋冬

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    物語ではなく、読書そのものと、日本の繊細な四季の移ろいを味わう一冊。初めて読む作家さんもいて楽しかった。

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    2019年12月05日
  • すしそばてんぷら

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    お江戸として、東京下町の美味しいものと文化を題材にとった、著者らしい静かな小説。
    実在するお店を集めたグルメ面がとにかく秀逸で、端から巡りたくなる。
    お仕事小説とか青春もののという側面もあるが、そっちはそっちで無理な凹凸のない、ナチュラルにいい話に仕上がっていた。
    最近、とても感触のいい小説を書いてくれると、個人的にお気に入り。
    4-

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    2017年01月27日
  • 願い

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    ネタバレ

    *ささやかでいい。叶ってさえくれれば――
    可愛い妹が欲しい、元恋人と復縁したい、部下と不倫をしてみたい、とにかく誰かと話したい……。
    芥川賞作家が掬い取る、街にあふれたいくつもの小さな願いごと。静かだけれど切実な、9つの物語*

    心の奥の柔らかい部分にふわりと触れる、やさしい風のような物語の数々。単純明快なオチなどはなく、ありふれた日々の物語を丁寧にすくい取り、ゆるりと仕上げているので、余韻が残る読後感。読む人、読む時期によっても感じ方が変わりそう。

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    2016年08月15日
  • ルート225

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    ダッシュの世界に迷い込むという超常現象関連が、
    原作でどういう文章で書かれているのかわからないが、
    日常生活が変わってしまった、パパとママがいない、なんだか微妙にずれている、
    といった感覚(ソフトSF)がとてもうまく処理されている。

    主人公の女の子、気弱なダイゴ、わりと優しくて頼れそうなマッチョ、など性格を端的にあらわした絵も素敵だ。
    (「みなみけ」の彼女にやや似ているけど)
    やはりこの作者の絵はかなり好き。

    「ぼくはおんなのこ」しか読んでいない。
    ちなみに「青い花」のDVDをちょこちょこ見ている。
    それだけでもわかるのだが、この作者はジェンダー関係の作品にこだわっている

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    2016年07月13日
  • D菩薩峠漫研夏合宿

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    どこかで読んだ書評に興味を惹かれ(とはいえ、その内容は忘れてしまったけど…)、読んでみてこういう話しだったのかあ、と(一体その書評のどこに惹かれたんだろう…?)。校内で『ホモとおかましかいないと言われている漫研』の夏合宿は、なんかもう、ホントにこんな風にカップルだらけになっちゃうの?と驚くけれどこれが自伝とは再度ビックリ。悩みを抱え、嫌なことも多分にあっただろうけれど、こうして振り返り、作品にできるというのは、作者にとってはキラキラとした夏の1コマなんじゃないかしらん。そう思いたい。作中に登場するマンガがどれも懐かしい。

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    2016年06月16日
  • D菩薩峠漫研夏合宿

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    新聞に載ったインタビューにひかれて手に取った、著者初の自伝的小説。いやあ藤野千夜さんがかの麻布学園の出身だったとは。「ずっとフェリスって言い張ってきた」そうだが、「やっと覚悟のようなものができ」三十五年前のことをありのままに書こうと思ったそうだ。

    描かれる状況はかなり特殊だ。中高一貫男子校の漫研メンバー(中二から高二まで)十三人がD菩薩峠(言うまでもないがこれは大菩薩峠)で一週間夏合宿をする。OBが顔を見せたり、日帰りハイキングに行ったりしつつ、基本的にはずっとマンガを読んで議論する。まあ、ここまではそんなに変わっていると言うほどのこともないが、問題は、誰もが合宿でどんなカップルができるか、

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    2016年02月10日
  • 主婦と恋愛

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     ほんのり、本当に淡く片思いする既婚者の話。日常に嫌気がさして全然違うところへ行ってしまいたい気持ちと、今の夫も環境も何だかんだで大切だと思っている気持ち、両方ともが本当のことで共存しうるのだと思う。ただ簡単に不倫に走るようなドラマティックさはなく、決してやましいことはしてないけど好意がないとは言えない、ってくらいの温度にリアリティーがあって、藤野さんのこういうところがとても好き。

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    2015年12月24日
  • 夏の約束

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     登場人物にはゲイカップルやトランスセクシャルな女性、養護学校に通った兄をもつ作家や、乗り物パニック症の主婦など、世間でいうところの少数派に属する人達が沢山出てくる。世間の人達から好奇の眼差しで見られたり侮蔑されたりしつつも、彼らは彼らの日常を送っている。そんな日々を淡々と描いており、劇的な展開はないのだけど、胸にざわめきが起こる読書だった。そして自分自身がこの物語でいう「世間の八割」として少数派の人々を心のどこかで笑ったりしていないか、そんなつもりは勿論ないけれど、ふと考えさせられるような一冊だった。

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    2015年11月29日
  • 君のいた日々

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    すごく不思議な小説だった。
    春生と久里子という、50代目前の一組の夫婦の物語なのだけど、夫婦が揃ったところは一切出てこない。
    なぜなら春生は久里子を病気で失い、久里子もまた春生を突然死という形で失っているから。
    妻をなくした男と、夫をなくした女。そして高校生になる息子の亜土夢。それぞれの生活が交互に綴られた短編集で、どちらの世界が本物なのか、どちらも本物なのか、それともどちらも偽物なのか、不思議な感覚に包まれたままラストへ向かう。
    ミステリではないので謎解きがあるわけではなく、両方の世界が同じ時間に並行して存在している、そういう小説。

    幸せだったから悲しい。
    春生も久里子も、パートナーをなく

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    2015年10月28日
  • 君のいた日々

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    著者作品で、若くない世代が主役の物語は初めて読む。
    長年連れ添った夫婦の、それぞれがそれぞれを喪った、という話をパラレルに展開する。
    各エピソードもよいが、登場人物たちの人間味が至高。
    いい人・わるい人、という分類が不適切な人物で二人の主人公を囲むこの構成は、絶妙な言葉選びや描写と相成って、起伏のなだらかなストーリーを極めて印象深くしていると思う。
    話もキャラクターも温か過ぎるのかもしれないが、違和感なく、味わい深かった。
    4+

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    2015年06月21日
  • ナナイロノコイ

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    長編も好きだけどつい読みふけってしまうので、普段は短編集を読む事が多いです。ただしこれまで複数の作家さんの短編集はあまり買うことがなく、今回買ったのも井上荒野さんの短編が読みたかったくて手に取った一冊です。
    人気作家さんの競演は、様々な恋愛模様を垣間見ているようで飽きずに読みきれました。

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    2013年05月03日
  • ナナイロノコイ

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    豪華な作家さんが集合した短編集です。さらっと読めました。私は「手のひらの雪のように」が一番お気に入りです。結末が驚きでしたが。

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    2012年11月16日
  • ルート225

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     いつだったか、深夜映画で実写版のを見てやけに頭の中に残っていたので、古本屋で偶然見つけて購入。
     ちなみに原作である小説のほうは読んでおりません。

     ストーリーのほうは予め映画のほうでわかっていたから、結末はわかっていたものの、結構面白かったです。
     絵もカワイイし、個人的には好きな絵です。
     弟を迎えにいった帰りに異世界に迷い込んでしまう、なんていうストーリー。
     異世界っていっても、元の世界とよく似た世界。平行世界、というのでしょうか?
     なかったものがあって、あったものがなくなったり、自分がこんな世界に突然いってしまったら、なんだか耐え切れないんだろうな、と思いました。

     最後の方

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    2012年01月09日
  • ナナイロノコイ

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    読んだことのない作家さんばかりで楽しかった。
    それぞれ個性的です。

    個人的には、女性同士の友情を扱ったものが面白かった。
    角田さんもいいけれど、谷村さんの話がとくに印象的。
    こんなに開放的になることはないし、主人公に共感はできないけれど、女と女をつなげるモノが何かっていうことに気付くきっかけって、あるなあと。
    女の場合、恋が女同士をつなげる事もあるんだよね。
    男の人はどうなのかわからないけど。

    それと、唯川さんの作品が、さっぱりしてて、読後がよくっていいなあと思う。

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    2011年11月27日
  • ルート225

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    イミフ!
    わからな過ぎて友達とどうおもうよ?会議になった。
    自分なりの答えが見つかった人はそれなりに面白い漫画なんじゃないかなー。
    (おれは無かったけど)

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    2011年11月09日
  • ルート225

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    元の世界には帰れず、なおかつ自立の願望も叶わないという
    恐ろしく理不尽、けれどゆるゆるな改変が行われている
    この苦笑い感がまさに志村貴子ワールド

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    2011年09月25日
  • 願い

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    いつもよりちょっとだけやさしい気がする。みんななにか足りなくて、それを願って暮らしているのかなぁ。切なさやら生きづらさやらを抱いて、なおかつ一縷の希望というのを信じてみようと思う。「ノーチャンス」の中の“ピチカート・ファイブのヴォーカルは、まだ佐々木麻美子なのだと思っていた。(嘘)”には、ふいた。

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    2011年08月17日
  • 夏の約束

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    トランスジェンダー、ゲイのカップル、障害者を兄弟に持つ女の子、パニック障害持ちの主婦…この小説に収められている二篇に登場するのは、マイノリティな人間だらけ。
    こういうマイノリティである人々を扱った作品が芥川賞を受賞する、まずそのことが私は個人的に嬉しかった。

    ただ、それだけあって受け入れられない人はまったく駄目だと思う。まずそういった人間を理解できなければ、不快感しかないかもしれない。
    そういう“マイノリティ”を理解した上で読めば(もしも共感できたなら尚更)、登場人物の見方もきっと変わってくる。

    表題作に出てくるマルオ、私は好きだな。あの鷹揚さ。「人の目を気にしたって仕方ない。僕は僕でしか

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    2020年11月24日