藤野千夜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タイトルのインパクトが強すぎてずっと気になっていたのだけど、なかなか再会できなかった一冊。しかしこれは素晴らしいタイトルネーミングだ。
「中等部の教室でサイキックな少女たちが壮絶なバトルを繰り広げる学園ファンタジーノベル」的なものを想像させるタイトルだけれど、読んでみると戦争でもないし超能力もよくわかんないし、って言うか中等部ですらないじゃん、とツッコミを入れたくなってしまう。
しかし中盤あたりでこのタイトルの意味が明かされて、一気に話がひっくり返った。
成程、確かにこれは戦争だ。作者の企みにまんまと嵌められてしまった。
「できれば、どっちかにしてほしい。子供なんだか、大人なんだか。でもそれができないから、みんな困っているのだろう。」
「子供っぽいだけの人なのかもしれないとは思うけれど、でも子供のままでいられるわけがない。子供そのままで許されるわけがない。」
ところどころに、子供と大人の狭間に立つ少女のためらいとか戸惑いとか、そういうセンチメンタルなものを感じさせるフレーズが飛び出してきて切ない。
小清水さんはもう超能力が使えなくなってしまったのだろうか。昔は本当に使えたんだろうか。自分でも持て余してしまうようなこの奇妙な力を、いつかははるかも使えなくなってしまうのだろうか。
「超能力」というのはたぶん、この時期の少女たちすべてが持っていた、無闇に人を傷つけてしまったり惹きつけてしまったりするようなある種の不思議な力のことなのだろう。それを「超能力」として、寓話的に可視化している。これは少女たちの寓話としての、学園小説なのだ。
もっと読まれて評価されて然るべき小説だと思うんだけどなあ。
そしてリアルに映画化希望。
ちなみに、我々男子にその不思議な力があったのかどうかは本作品では言及されていない。残念ながら。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ横浜に行ってる時にカフェやバスのなかでぽや~と読みました。
好き。なんか好き。
・願い
3つ願い事をかなえてあげる、と言っていたおばあちゃん。
ふわふわと付き合っていて別れたけど、ひさしぶりの連絡のタケ。ほわっと。
・妹思い
妹思いのお兄ちゃん。
なんでもない話だけど、直球な感じが人間くさくて好き。
・ノーチャンス
美人妻をもちつつも、大坪さんにゆれる想い。
そういうのはあるやろなぁ~。
・つるとくま
おばけにおそれる美々加。
それがきっかけとなって母の再婚相手の熊さんに心を開く。
・散骨と密葬
自分の人生はとても順調だったけど、奥さん選びと子供の育て方は間違えていたかもしれない。。
でもその想い方がゆるりとしていて、すべてを包み込んでるような感じがあらわれてるあったかい話。
・ファウルボール
別れた彼女にひさしぶりに誘われた野球。
野球命になっている彼女と復縁か?と思いつつも、さらりとかわされるけれど、また会えるだろうなぁ。とぼぉんやりふわっと考える主人公。
・たくさんの荷物
ぱっちりおめめでイマドキ可愛いウエちゃん。アラフォー。
自分のが優位にたっていたはずなのに、おたく系スイトくんに振られる。
女友達にごねって、それをうけとめる友達。あたたかさがあるお話。よくありそうやな~。
・七日間
鳴らない電話。いっそのこと死のうと思う。という感じの暗いはじまりのお話なのに、日々はいつもどおり流れ、とんとんと話は進んでいく。田中マルクス闘莉王似っていうのが出てきておもしろかった。
・お願い玉
緑色の玉。水にひたす。
こういう苔玉とかこものめいたあたたかいものの存在って好きだな~。心をほんのりあたためてくれるような。
全体的に、何かとくべつなことがあるわけじゃないけれど、とんとんと過ぎていく毎日がいいなーって思える短編たちでした。
またふじのさんのお話読みたい。 -
Posted by ブクログ
読み始めたとき、まず「ああ、この設定は大変そうだな」と思った。80代のお父さんと、50代の息子が三人。そのうち二人は親に頼って暮らしている。ちょっと重そうな家族だな、と最初は身構えてしまった。
でも、気づけばどんどん読み進めていた。
まず、新平さんの毎日の過ごし方が、私の理想の老後そのものだった。元気に散歩へ出かけ、自分の好きな建築を見て回り、カフェで飲みたいものを飲む。それから、お菓子屋さんでお土産を買って帰る。こんなふうに、自分の好きなことを楽しみながら過ごせたらいいなと思った。
物語の途中で、新平さんの若い頃の暮らしや恋愛、戦争の記憶が語られる。その挿入のされ方も自然で、散歩をしながら、主人公が思い出をゆっくり話してくれているように感じた。
息子たちはそれぞれ個性的だ。家にこもりがちな長男、「長女」を自称する二男、何かと親にお金を借りる三男。普通なら少し困った家族に見えるかもしれないけれど、彼らのことを嫌いにはならなかった。むしろ、それぞれの事情が描かれるうちに、少しずつ理解できるようになったし、こんなふうに受け入れてくれる家族がいることを、うらやましくも思った。
お母さんが毎日ご飯を作り、ときには三男を助けてあげるところにも、この家族のあたたかさを感じた。いろいろな人が一つの家に集まって暮らしているような、にぎやかで多様な家族の姿が面白く、ところどころに笑ってしまう場面もあった。
最後もあたたかく、読み終わったあとにほっとした。『団地のふたり』に続いて、好きな「老後の日常」を描いた作品に出会えた。 -
Posted by ブクログ
おしゃれな日常代表の江國香織さんからのパンクでぶっ飛んだ金原ひとみさんへの流れはアンソロジーならではのバトン繋ぎで異次元だったぞ。
からの角田さんでほろっとされたり寺地さんで他人の一面に圧倒されたり藤野さんでこんな余生を送りたいって思わされたり。
最後の晩餐か、私は何が良いかな。
正直いつ死ぬかわからない状態で今日が最後って思えないもんね。
父と母のときも食べたいもの食べさせられなかったなって後悔が消えないし。
いつでもその時に食べたいものを食べられたら幸せだよな。
そんな時代で良かったし、食事には悔いのないように気を使いたいって思えた。
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Posted by ブクログ
望んでいても、「仕事を持つ」「交際」「結婚」「子供を持つ」ということが難しくなった現代。それらができなくて自分を責めてしまっている人にも、逆にその難しさがわからない人にも、居心地の良い物語だと思う。
藤野千夜さんの書評の記事か何かで、本を読んで惹かれるのは「何が起こるか」「犯人は誰か」ということよりも"物語の間の襞"なんだ、というようなことを言っていて、どんな物語を書くんだろう?と思い手に取った。
90歳の新平は、人は独り立ちして強く生きていくものだ、みたいなスタンスで多分生きている。自分自身はちょっとそういう人を苦手に感じていた。
でも、どうもこの話を読んでいると、新平とちょっと生きづらそうな家族たちの間には、いい感じの融和があるような気がした。優しさもあった。
今ほど怖がらなくていいのかも、と思い直した。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最後の晩餐がテーマの7編からなるアンソロージ。
好きな作家さんばかりが、異なる切り口で書いた物語、一つ一つがとても面白かった。
人生の最後に何を食べるのか?なかなか悩ましい、重いような軽いような命題。
最後の食事は、何を食べるか、どういうシチュエーションで食べるか、誰と食べるか、一人なのか、一人の人生が表されているようで、様々な想像が生まれる。
意識をしていても本当に食べれるかどうかも分からないけれど、考えるだけで、酒盛りのネタに十分になりそうで、でも実は色々考えさせられる。
個性あふれる作家さんの物語は、色々な観点で描かれていて、其々の文体があり、あっという間に読んでしまった。
個人的には、角田光代さんの『最後の鰻』が笑えて、ほろっときて、沢山の家族に看取られて、あるあるって感じもして、大往生で好きだった。
藤野千代さんの『もうひとりのねえちゃん』は、家族が身近にいなくても、誰かがいてくれるってのも幸せの一つだと思えた。TVで『団地のふたり」が放送されているので、ノエチとなっちゃんの関係が思い浮かんだ。
寺地はるなさんの『小曽根幸子の送別会』は、小曽根さんがかっこいい。主役がいない送別会のシーンはスカッとするものがあった。
江國香織さんの「コインランドリーの夜」は、コインランドリーという場が秀逸。機械が回る音、無機質な感じが上手く描写されていて、流石って感じだった。
原田ひ香さんの『最後に何を食べたの?』は、ちょとミステリーがあって、最後にあーちゃんが恭一によって、救われるのがホッとさせられた。
しかし、このメンバーの食べ物の描写は流石上手いなぁと改めて思った。