藤野千夜のレビュー一覧

  • 中等部超能力戦争

    Posted by ブクログ

    タイトルのインパクトが強すぎてずっと気になっていたのだけど、なかなか再会できなかった一冊。しかしこれは素晴らしいタイトルネーミングだ。
    「中等部の教室でサイキックな少女たちが壮絶なバトルを繰り広げる学園ファンタジーノベル」的なものを想像させるタイトルだけれど、読んでみると戦争でもないし超能力もよくわかんないし、って言うか中等部ですらないじゃん、とツッコミを入れたくなってしまう。
    しかし中盤あたりでこのタイトルの意味が明かされて、一気に話がひっくり返った。
    成程、確かにこれは戦争だ。作者の企みにまんまと嵌められてしまった。

    「できれば、どっちかにしてほしい。子供なんだか、大人なんだか。でもそれができないから、みんな困っているのだろう。」
    「子供っぽいだけの人なのかもしれないとは思うけれど、でも子供のままでいられるわけがない。子供そのままで許されるわけがない。」

    ところどころに、子供と大人の狭間に立つ少女のためらいとか戸惑いとか、そういうセンチメンタルなものを感じさせるフレーズが飛び出してきて切ない。
    小清水さんはもう超能力が使えなくなってしまったのだろうか。昔は本当に使えたんだろうか。自分でも持て余してしまうようなこの奇妙な力を、いつかははるかも使えなくなってしまうのだろうか。
    「超能力」というのはたぶん、この時期の少女たちすべてが持っていた、無闇に人を傷つけてしまったり惹きつけてしまったりするようなある種の不思議な力のことなのだろう。それを「超能力」として、寓話的に可視化している。これは少女たちの寓話としての、学園小説なのだ。

    もっと読まれて評価されて然るべき小説だと思うんだけどなあ。
    そしてリアルに映画化希望。

    ちなみに、我々男子にその不思議な力があったのかどうかは本作品では言及されていない。残念ながら。

    0
    2014年01月03日
  • 夏の約束

    Posted by ブクログ

    マルオのトイレの個室で自分のことを罵った落書きを見て
    生きる気力がわいたというのが印象的だった
    マルオはヒカルと手をつなぎながら歩いていて
    それを小学生に馬鹿にされようと怒らない

    それはマルオが強いわけでも優しいわけでもなく
    ただ、人一倍弱いから、そうやって気にしないように
    紛らわしていたのではないだろうか

    それが体型、上司や同僚、知り合い以外の
    知らない人としゃべるときの言葉遣いに表されている気がする。

    最後の解説も凄く良かった。
    今回は解説が本当に良かったかもしれない

    0
    2011年12月14日
  • 願い

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    横浜に行ってる時にカフェやバスのなかでぽや~と読みました。
    好き。なんか好き。

    ・願い
    3つ願い事をかなえてあげる、と言っていたおばあちゃん。
    ふわふわと付き合っていて別れたけど、ひさしぶりの連絡のタケ。ほわっと。

    ・妹思い
    妹思いのお兄ちゃん。
    なんでもない話だけど、直球な感じが人間くさくて好き。

    ・ノーチャンス
    美人妻をもちつつも、大坪さんにゆれる想い。
    そういうのはあるやろなぁ~。

    ・つるとくま
    おばけにおそれる美々加。
    それがきっかけとなって母の再婚相手の熊さんに心を開く。

    ・散骨と密葬
    自分の人生はとても順調だったけど、奥さん選びと子供の育て方は間違えていたかもしれない。。
    でもその想い方がゆるりとしていて、すべてを包み込んでるような感じがあらわれてるあったかい話。

    ・ファウルボール
    別れた彼女にひさしぶりに誘われた野球。
    野球命になっている彼女と復縁か?と思いつつも、さらりとかわされるけれど、また会えるだろうなぁ。とぼぉんやりふわっと考える主人公。

    ・たくさんの荷物
    ぱっちりおめめでイマドキ可愛いウエちゃん。アラフォー。
    自分のが優位にたっていたはずなのに、おたく系スイトくんに振られる。
    女友達にごねって、それをうけとめる友達。あたたかさがあるお話。よくありそうやな~。

    ・七日間
    鳴らない電話。いっそのこと死のうと思う。という感じの暗いはじまりのお話なのに、日々はいつもどおり流れ、とんとんと話は進んでいく。田中マルクス闘莉王似っていうのが出てきておもしろかった。

    ・お願い玉
    緑色の玉。水にひたす。
    こういう苔玉とかこものめいたあたたかいものの存在って好きだな~。心をほんのりあたためてくれるような。


    全体的に、何かとくべつなことがあるわけじゃないけれど、とんとんと過ぎていく毎日がいいなーって思える短編たちでした。
    またふじのさんのお話読みたい。

    0
    2011年02月27日
  • ルート225

    Posted by ブクログ

    この作品を知るずっと前に、類似したストーリーの夢を見たことがあるんです。
    すごくインパクトがあって覚えていたので、はじめてこれを読んだときはびっくりしました。

    0
    2009年10月04日
  • 主婦と恋愛

    Posted by ブクログ

    その人にとっての「普通」の生活に起こるさざ波。ちょっとした気持ちの揺れ。そういうのを何気なく描写するのが本当に巧いですな。まったり楽しみました。妙に気に障る仕草や表情が徐々に好意的に感じる瞬間。恋愛とは呼べない好意。でももしかすると恋愛なのかもしれない好意。主人公の一挙一動に、うんうん判るなあと相槌を打ってしまいました。

    0
    2009年10月04日
  • 夏の約束

    Posted by ブクログ

    ゲイカップルが主役ですが、肩肘張らず自然に日常を描いています。
    何気なく何度となく読んでしまう、そんな本。

    0
    2009年10月04日
  • ルート225

    Posted by ブクログ

    やっぱり志村貴子は上手だなぁ…。
    お父さんとお母さんの抜け落ちた世界は悲しすぎて、涙が出ました。
    Aのお父さんお母さんの元に、子供達が行っていたらいいな。

    0
    2009年10月04日
  • じい散歩

    Posted by ブクログ

    読み始めたとき、まず「ああ、この設定は大変そうだな」と思った。80代のお父さんと、50代の息子が三人。そのうち二人は親に頼って暮らしている。ちょっと重そうな家族だな、と最初は身構えてしまった。

    でも、気づけばどんどん読み進めていた。

    まず、新平さんの毎日の過ごし方が、私の理想の老後そのものだった。元気に散歩へ出かけ、自分の好きな建築を見て回り、カフェで飲みたいものを飲む。それから、お菓子屋さんでお土産を買って帰る。こんなふうに、自分の好きなことを楽しみながら過ごせたらいいなと思った。

    物語の途中で、新平さんの若い頃の暮らしや恋愛、戦争の記憶が語られる。その挿入のされ方も自然で、散歩をしながら、主人公が思い出をゆっくり話してくれているように感じた。

    息子たちはそれぞれ個性的だ。家にこもりがちな長男、「長女」を自称する二男、何かと親にお金を借りる三男。普通なら少し困った家族に見えるかもしれないけれど、彼らのことを嫌いにはならなかった。むしろ、それぞれの事情が描かれるうちに、少しずつ理解できるようになったし、こんなふうに受け入れてくれる家族がいることを、うらやましくも思った。

    お母さんが毎日ご飯を作り、ときには三男を助けてあげるところにも、この家族のあたたかさを感じた。いろいろな人が一つの家に集まって暮らしているような、にぎやかで多様な家族の姿が面白く、ところどころに笑ってしまう場面もあった。

    最後もあたたかく、読み終わったあとにほっとした。『団地のふたり』に続いて、好きな「老後の日常」を描いた作品に出会えた。

    0
    2026年10月23日
  • 最後の晩餐

    Posted by ブクログ


    おしゃれな日常代表の江國香織さんからのパンクでぶっ飛んだ金原ひとみさんへの流れはアンソロジーならではのバトン繋ぎで異次元だったぞ。
    からの角田さんでほろっとされたり寺地さんで他人の一面に圧倒されたり藤野さんでこんな余生を送りたいって思わされたり。

    最後の晩餐か、私は何が良いかな。
    正直いつ死ぬかわからない状態で今日が最後って思えないもんね。
    父と母のときも食べたいもの食べさせられなかったなって後悔が消えないし。
    いつでもその時に食べたいものを食べられたら幸せだよな。
    そんな時代で良かったし、食事には悔いのないように気を使いたいって思えた。

    0
    2026年10月21日
  • 団地のふたり

    Posted by ブクログ

    50代、独身、古い団地にて過ごす
    贅沢ではないけれど、気心知れた人と楽しく過ごす。
    人生の山場を乗り越えて一休憩している心地。
    この小説をひとことでいうなれば「足るを知る」かな
    こたつのなかで来年の野望を考える。幸せなことじゃないか

    0
    2026年10月11日
  • また団地のふたり

    Posted by ブクログ

    なっちゃんとノエチの穏やかな暮らしに癒される、温かい小説。前作同様の団地の住民との関わりも素敵。歳を重ねて、こんな幼なじみが隣にいたら楽しいなあ。
    3章ではホットケーキが食べたくなった。
    話毎に本日の売り上げと本日のお買い物の内容が記載されるのもなんか良い。

    0
    2026年10月05日
  • 団地のふたり

    Posted by ブクログ

    ドラマを観て本を読み始めました
    私と同じくらいの年代なので「わかるわかる」という部分も多数
    何でもない毎日の小さな幸せ

    0
    2026年10月04日
  • じい散歩

    Posted by ブクログ

    望んでいても、「仕事を持つ」「交際」「結婚」「子供を持つ」ということが難しくなった現代。それらができなくて自分を責めてしまっている人にも、逆にその難しさがわからない人にも、居心地の良い物語だと思う。

    藤野千夜さんの書評の記事か何かで、本を読んで惹かれるのは「何が起こるか」「犯人は誰か」ということよりも"物語の間の襞"なんだ、というようなことを言っていて、どんな物語を書くんだろう?と思い手に取った。

    90歳の新平は、人は独り立ちして強く生きていくものだ、みたいなスタンスで多分生きている。自分自身はちょっとそういう人を苦手に感じていた。
    でも、どうもこの話を読んでいると、新平とちょっと生きづらそうな家族たちの間には、いい感じの融和があるような気がした。優しさもあった。
    今ほど怖がらなくていいのかも、と思い直した。

    0
    2026年10月03日
  • 団地メシ!

    Posted by ブクログ

    団地出身の私には気になるタイトル過ぎたので読んでみた。おばあちゃんと孫が思い出の団地や、団地で経営している飲食店に行き、ごはんを食べるというすごい平和な話でした。

    0
    2026年10月02日
  • また団地のふたり

    Posted by ブクログ

    団地のふたりの続編。
    相変わらずゆるくのんびりしたなんでもない日常。読んでて癒される〜。小さい時からこの年まで仲良くできる友達が近くにいるってすごいこと!こんな生活もあこがれるなー。

    0
    2026年10月02日
  • 最後の晩餐

    Posted by ブクログ

    ハズレのないアンソロジー!

    金原さんの疾走感のある登場人物がやっぱり好きだ。
    最後の晩餐とあるから、悲しい話が多いかと思ったけど、意外とそんなこともなくてとても読みやすかった。

    0
    2026年09月25日
  • 最後の晩餐

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    3.6
    食がテーマのアンソロジー
    作家ごとに三者三様
    個人的には、最後のうなぎと小曽根幸子の送別会が好きだな
    特に、小曽根さんは、みんなに負け組と軽く見られてたのに、誰よりも人生充実してて読んでるこっちがスッキリした

    0
    2026年09月25日
  • じい散歩

    Posted by ブクログ

    じい散歩が映画化されたら、新平役の俳優は橋爪功さんかなと思いながら読みました。
    読んでいく中で、たびたび橋爪功さんの顔や声が聞こえてくるようでした。

    色々問題を抱えている3人の息子の中で、
    次男=長女というジェンダー問題を抱えてはいるが、新平さんと英子さんは救われている部分があるように思えた。

    英子さんが倒れた時の新平さんの言動やメンタルの強さたるもの驚いたが、
    90前後になれば色んな意味で達観できるのかと思った。

    現代にありそうな話。
    内容は重くなく、ページが進み、楽しく読めた。

    0
    2026年09月22日
  • 最後の晩餐

    Posted by ブクログ

    江國さんの静謐な世界から、金原さんの「うるせw」ってなるギャルいパーティーの落差に風邪をひきそうになる。そこに角田さんの最後の晩餐がきて、くすり、ほろり。おかしな送別会に、故人の詮索、推し活仲間、嘘のような本当の話。粒揃いのおいしい読書体験。

    0
    2026年09月17日
  • 最後の晩餐

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    最後の晩餐がテーマの7編からなるアンソロージ。
    好きな作家さんばかりが、異なる切り口で書いた物語、一つ一つがとても面白かった。

    人生の最後に何を食べるのか?なかなか悩ましい、重いような軽いような命題。
    最後の食事は、何を食べるか、どういうシチュエーションで食べるか、誰と食べるか、一人なのか、一人の人生が表されているようで、様々な想像が生まれる。
    意識をしていても本当に食べれるかどうかも分からないけれど、考えるだけで、酒盛りのネタに十分になりそうで、でも実は色々考えさせられる。

    個性あふれる作家さんの物語は、色々な観点で描かれていて、其々の文体があり、あっという間に読んでしまった。

    個人的には、角田光代さんの『最後の鰻』が笑えて、ほろっときて、沢山の家族に看取られて、あるあるって感じもして、大往生で好きだった。

    藤野千代さんの『もうひとりのねえちゃん』は、家族が身近にいなくても、誰かがいてくれるってのも幸せの一つだと思えた。TVで『団地のふたり」が放送されているので、ノエチとなっちゃんの関係が思い浮かんだ。

    寺地はるなさんの『小曽根幸子の送別会』は、小曽根さんがかっこいい。主役がいない送別会のシーンはスカッとするものがあった。

    江國香織さんの「コインランドリーの夜」は、コインランドリーという場が秀逸。機械が回る音、無機質な感じが上手く描写されていて、流石って感じだった。

    原田ひ香さんの『最後に何を食べたの?』は、ちょとミステリーがあって、最後にあーちゃんが恭一によって、救われるのがホッとさせられた。

    しかし、このメンバーの食べ物の描写は流石上手いなぁと改めて思った。

    0
    2026年09月11日