藤野千夜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「団地のふたり」の続編。
といっても、何か大きな変化や展開が起こるわけではなく、前作同様、なっちゃんこと奈津子とノエチこと野枝、二人のゆるく穏やかな団地の日常が綴られている。
悪玉コレステロール値が高くなって、朝の菓子パンを止めているけれど、マヨネーズも魚卵も喫茶店〈まつ〉のパンケーキにたっぷりバターを付けて食べるのも止められない奈津子。
BOOKフリマに出す紙物セットを作っていたら朝になり、フリマに行く気力がなくなり、ノエチと浅野くんに任せてしまう奈津子と、それを何でもないことのように対応するノエチと浅野くん。
その浅野くんに誘われて街プロレスに行ったついでに、下調べした喫茶店でパンケーキを食べるために一時間待っている奈津子とノエチと浅野くん。
などなど。
いわゆる丁寧なくらし、とは違うのだけれど、奈津子が作る料理は美味しそうだし、一方で何かを買って済ませることもあるし、そういうバランスがほど良い。
違いの足りないところや苦手なことも補い合って、五十を過ぎても付き合える友達がいるというのは幸せなことだなとうらやましく読んだ。
勿論贅沢な暮らしは出来ないし、ご近所さんとの付き合いも面倒なこともあるのだろうけれど、作家さんの文体が上手にその辺りをオブラートに包んでくれている。
フリマアプリでの稼ぎも変わらずだが、奈津子の家に持ち込まれる品物も増えていく。だがその数が、奈津子とノエチが付き合う人の数でもあるということか。
さらなる続編があると良いなぁ。 -
Posted by ブクログ
audibleで。ドラマを見て原作の方もと。
なっちゃんとノエチのイメージは、小林聡美と小泉今日子からはずれなかったけれど、他は少しずれたかもしれない。昭和を生きた人間からすると、懐かしさで心がいっぱいになる。そうそう、そうだった! なんて思いつつ、クスッと笑いつつ、聴く。
人生色々あっても、なっちゃんとノエチのような関係の友がいることこそが、幸福なんじゃないかと思う。人と関わると、迷惑かけたりかけられたりするけれど、関わりがない方がずっとしんどいんじゃないかな。そんな風に思えるのが、この本のいいところなんじゃないかと。
続編は、もうちょっと行動範囲が広がったりして、先の人生について考えさせられたりしそう。
これからもずっと友でいると信じられる人がそばに居るって、ほんと羨ましいな。
コミックも出版されたけど、ドラマが一番好きかも。 -
Posted by ブクログ
最後の晩餐をテーマにしたアンソロジー。初めて読む作家さんもいて、どれもよかったけど特に以下が好き。
『ラストサパーフォーエバー』金原ひとみ
友達とわいわいくだらない話をして、夜から誰かの家に集まって時間も気にせずダラダラと翌日も一緒にご飯を食べる。そんな光景がとても懐かしく、疎遠にしてしまっている友達に会いたくなった。
『最後の鰻』角田光代
こんな風にお別れできたらいいな。近所のお弁当屋さんで買ってきた鰻丼でも、お爺ちゃんを囲んで親族で食べた鰻丼とこの光景をきっと一生忘れない。一人で食べるごはんより、私も誰かとの人生で忘れられない食事を増やしたいと思った。
『小曽根幸子の送別会』寺司はるな
「専務は私のこと、かわいそうな女だと思っていたんでしょう」
自分の大事なものを知っている小曽根さんはとてもかっこよい人。
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Posted by ブクログ
今放送されているドラマ「団地の二人」の作者さんの本としておすすめされたの読んでみた。
なんとなく最後まで違和感として引っかかったのが新平さんの年齢。こんなに矍鑠(かくしゃく)としていて、もう90歳なの?!!! これって70代か、せいぜい80前後じゃないの??
そして同じように最後まで引っかかったのは、なんだかんだいっても新平さんは金銭的に恵まれているからなあ、という点。年金以外の家賃収入がしっかりあって、そもそも借金まみれの三男に2000万ものお金を過去に工面してあげていたって、いったいどんな生活基盤?!!
と、おおよそこれを一般的な老々介護日々の話とされると、私もだけれど、世の中、困っちゃうよねという人がたくさんいると思います。
そんななか、<乙女な次男>が絡んでくるところはどこもたいへん興味深く読ませていただきました。
この作家さんの本はドラマ化される傾向のようなので、いずれこの本もぜひ…という声をいくつか拾いました。90歳の新平さんの役は誰がいいだろう、と思ったら、実年齢で新平さんと同じ伊東四朗さんが浮かびました。が、伊藤さんは来年の90歳の誕生日に芸能界を引退されるそうですね。であれば、どなたがいいだろう…。
あと個人的には<乙女な次男>の役者さんも気になります。内野くんはもう「何食べ」で<乙女なケンジ>を演ってしまっているので、ほかの方でぜひ。
PS.
伊東四朗さん。
これまでドラマやバラエティでたくさん楽しませていただきました。今後は私たちと一緒にテレビのこっち側でゆっくりドラマを楽しんでください。ありがとうございました!!!
==データベース===
夫婦あわせて、もうすぐ180歳。中年となった3人の息子たちは、全員独身――。
明石家の主、新平は散歩が趣味の健啖家。妻は、散歩先での夫の浮気をしつこく疑っている。
長男は高校中退後、ずっと引きこもり。次男はしっかり者の、自称・長女。末っ子は事業に失敗して借金まみれ。
……いろいろあるけど、「家族」である日々は続いてゆく。飄々としたユーモアと温かさがじんわりと胸に沁みる、現代家族小説の白眉。解説・木内昇 -
Posted by ブクログ
90歳前後の老夫婦が主人公の小説は初めて読んだ。
特に大きなイベントは起こらず、淡々と日常が進み、時折来し方の場面が挿入され、今の新平・英子夫婦の歴史が徐々に明らかになる。
90歳ともなれば、仙人のように達観し、悟りの境地に至る、なんてこともなく、ひたすら人間臭い、迷いと悩みに満ちた日々。
五十代の三兄弟はというと、長男孝史は引きこもり、次男健二はお姉、三男雄三は地下アイドルのイベントを企画する借金王、といいとこ無し。(お姉の健姉は気が利くし、経済的にも自立してるので全然悪くないけど)
新平じいさんが息子たちに、「誰が墓をみてくれるのか」と聞いても誰も答えない。(墓を作ってくれ、とは言ってなくて、新平じいさんが自分で立てて自分で入った後の話でも。) それでも、落ち込んだりはせず、「俺は散骨でいい。お前たちは無縁仏にでもなれ」と返す肝の座り方がかっこいい。
池袋周辺の散歩先として出てくる、「自由学園明日館」、「ドラード和世陀」には、いずれ行ってみたい。