藤野千夜のレビュー一覧
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人生いろいろ、幸せのカタチもいろいろ。
すべてが順風満帆であるに越したことはないけれど、現実はそう上手くはいかないものです。
『じい散歩』に登場する一家は、50代の息子3人が全員未婚。「結婚して子供を持つのが幸せ」というステレオタイプから見れば、彼らはそこから遠い場所にいるのかもしれません。けれど、食卓を囲み、誰を責めるでもなく淡々と、それでいて穏やかに流れる彼らの「フツー」の時間は、私にはとても幸せなものに映りました。
物語の核心に触れる、90代の夫婦・新平とエイコの関係性も印象的です。
かつての不倫を疑い続ける妻と、それを軽やかに受け流す夫。新平が倒れたエイコを前に一瞬見せた「空白の時間」 -
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ネタバレドラマ『団地のふたり』を見て、面白かったから、小説にも興味を持って読んで、作者の藤野千夜さんのプロフィールを見たら、この表題作で芥川賞を受賞されてると知ったので、読んでみたくなったから読んでみた。
「夏の約束」
ゲイのカップルの会社員マルオと編集者のヒカル。ヒカルと幼馴染の売れない小説家菊江とその友達の会社員のぞみ。男から女になったトランスセクシャルの美容師たま代。少し外れた人たちの日常を描いた作品。
終盤にたま代が大怪我をする以外は物語が穏やかに、悪くいうと平凡に進行していく。
マルオはしゃれた人だなって思った。どっちかっていうとヒカルのほうが馴染みやすいけど。生き方に信念があって、羨ま -
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主人公と、二股をしている彼氏との半同棲生活を描いた話。彼氏の隆文は、主人公に料理・家事の全てを頼り、お金にもルーズで、なにより二股をしているという最悪の男。第三者視点で読むと本当にイライラするし、それを全て許してしまう主人公にも怒りもどうしようもないなぁと思ってしまう。
でもそれを許してしまうのは、主人公にとって隆文の顔がタイプだから。
この理由って本当に大きい。たぶん自分も顔が好きだったらなんでもよく見えてしまう。中身が重要とは聞き飽きるほど聞いた言葉だけど、やはり顔は本能的に惹かれてしまうものの一つで、他のたくさんの欠点をカバーしてしまう最強の武器なのだと実感した -
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不登校の高校生の孫娘とその祖母が、都内と神奈川県内の団地の中のレストランやカフェをめぐる物語。なじみのある小田急線沿線が主な舞台となっているのが、おもしろかった。両親ほど距離が近くないために祖父母とはより気軽な関係を築けるというのは私もよくわかるし、祖母と孫たち・いとこ同士の関係性が微笑ましかった。
アラフィフの私にしてみると、高校を中退するなんて人生の一大事だと思うけれど、「人生詰んだ」というふうに暗く重く考えてしまうこともなく、軽やかに生きる孫娘の姿に、日本社会も変わってきているのかなと思った。
「団地のふたり」も本作も、学校を卒業し就職し結婚し子育てをするというような、「王道」な人生を歩 -
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三十歳、小説家、元実家だったマンションに一人暮らし。最近できた年下の恋人は、前の恋人と切れておらず、そっちの家に帰ることもある。ちゃんとして!と言ってるけれど、するするといって、一向にしない。で、うちに来て、お菓子を食べ、ご飯を食べ、クリーニング代も食費も払わず、子供みたいなことを言う。でも、にははは、にははは、と笑うので、許してしまう。そんな恋人が、ちゃんとした恋人に育ってくれるのかを見守る、一年半。
下宿生の部屋に意味もなく集まって、夜から朝までだらだらしている大学生の感じ、を、三十代になっても続けている人たちの話。大人にならない子供の土地、ネバーランド。特に生産的なことをするでもなく、 -
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ネタバレ学校になじめず不登校の孫とこれからの
晩年をどう過ごすかを模索する祖母。
祖母が昔住んでいた団地を見に
行くところから始まる団地巡り。
終始ほのぼのしてて出てくる団地や
その周辺環境、出てくるお店なんかも
おいしそうだったり味わい深かったりと
楽しく読めました。不登校に関しては
家庭の環境や学校の環境なんかでいろいろ
複雑でわからないけど老後に関しては
今からでもどんなことがしたいか
考えておくのもいいんじゃないかと
思いました。ただ、本当に個人的な
感想ですが花ちゃんすごく恵まれた
家庭環境だと思うので学校をやめるのは
もう少しがんばって見てからでも
遅くないんじゃないかなぁ~なんて
勝手な -
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学校に馴染めず長いこと休んでいる16歳の花と、祖母のゆり。
時間はたっぷりある2人は様々な団地に出かけ、そこで美味しいものを食べるという楽しみを見つけた。
そこに花の従兄弟たちが混じったり、ゆりのお友だちが混じったり。
花がどうして不登校になったのか‥‥などは詳しく書かれていないし、登場人物達も聞こうとはしません。あるがままの花を受け止めています。
そして、花も将来のことに不安を感じていながらも、好きなことや、反対に絶対にやりたくないことははっきりしているし、どんどん外にも出ていくし、案外しっかりしているんじゃないかな、と思います。
一方、ゆりの方はというと、数年前に連れ合いを亡くしたばかりで