藤野千夜のレビュー一覧

  • 君のいた日々

    Posted by ブクログ

    夫を亡くした妻、その妻を亡くした夫をそれぞれの立場で書いた物語。泣いちゃうよね。何か置き換えちゃって。私はどうにか暮らして行けるかもしれないけど、夫は大丈夫かなぁ?

    0
    2024年11月29日
  • じい散歩 妻の反乱

    Posted by ブクログ

    90歳を超えた夫婦。新平と英子。長男で引きこもりの孝史、次男で長女の健二、三男で借金王の雄三。明石家は5人家族で安穏?とした毎日を過ごしている。
    前回ラストで英子が倒れ、今回は新平が介護をしている毎日が描かれている。
    一見、八方塞がりっぽい明石家だが読んでいる内に、なんというか、、クスッと笑えてホンワカした気持ちになるから不思議。
    何だかんだいっても皆がそれぞれ、それなりに前向きに今出来る事をやっているからなのか…
    とにかく、私も頑張ろうかな!って気にさせてくれるのです。
    新平さんのじい散歩。まだまだ続いて欲しい。

    0
    2024年10月29日
  • 時穴みみか

    Posted by ブクログ

    よかった。
    咳をしているって、こういうことだったのね。泣けてきた。

    平成ではシンママと一人っ子で楽しく友達みたいに暮らしていて、ママに歳下の彼氏がいて。ってほんと今どき。

    でも、昭和では父親を中心に、一汁三菜をきっちり作る子供思いの母、優しい姉、お茶目な弟。子供が育つには、昭和の環境の方がいいんだろうなぁとつくづく。
    もちろん、当時はそれで閉塞感とかあったんだろうけど。

    0
    2024年10月17日
  • スラスラ描けるマンガ教室~ピリカの魔法のペン~

    Posted by ブクログ

    藤野千夜!? と驚き手に取る。
    元漫画家の古本屋主人の孫娘が見つけたのは魔法のペン? 
    物語上の絵を描くシーンに、マンガというかイラストの描き方を挿入させるという思い切った構成。それをマンガでなく小説で表すというのが面白い。

    1
    2024年10月11日
  • じい散歩 妻の反乱

    Posted by ブクログ

    健康オタクの新平さんの朝のルーティンは、89歳の頃よりは更にバージョンアップされていた。4-50分の独自の体操が、1時間半に。朝食もヨーグルトにきな粉、すりごま、干し葡萄を、カフェオレボウル一杯に頂き、梅干し、米ぬか、蜂蜜も加えるという定番はそのまま。加えて塩煎り大豆20粒がプラスされた。それに加えて、毎日していた散歩が妻の介護のために難しくなったことを鑑みて、健康器具を使って「キーッ、ガッシャン」とやっている。

    一つ下の妻、英子が倒れて車椅子生活になり、老々介護の日々。けれども新平、平成30年春、92歳は実に淡々とこなしている。そもそもそういう性格なのだ。女好きではあるが、愛人を作るほど家族を愛していないわけではない。むしろ、英子を愛している。これが昭和のお父さん。新平には理解できなかったが、あれほど新平の行動にいちいちチェックをかけていた英子の嫉妬はピッタリと止み、傍目には仲睦まじい老夫婦に見えるはずだ。

    「じい散歩」も、合間を見つけてはやっている。ドラード和世陀(早稲田)、ミカド喫茶店(日本橋)、キッチンABC(池袋)、造園業が始めた喫茶店2つ(実在かどうかは不明)、浅間(せんげん)神社の年に6日しか開山しない富士塚、等々、趣味の美味しいものや建築物巡り、これが最後と思いだ定めた(←きっと未だ大丈夫)小さな登山と、それなりに彼は世の老人のように内に籠ってはいない。

    相変わらず引きこもり長男、自称長女のトランスジェンダー次男、大借金まみれの三男は健在だ。次男以外は父親に寄生している関係は同じだけど、仲は悪くない。むしろあれだけ会話していたら、いい方だろ。英子さんも、そういう家族の関係が分かったからか、ずっとニコニコしている。

    そして、ときはコロナ禍の令和の時代へ突入した。なんやかんやあって、英子さんも大往生する。題名が「妻の反乱」とあったのだが、目次をどう見ても、それらしき章はない。これは売るためのフリックか?と思いながら本を閉じかけると、ありました、最終頁に!!
    これが「小説推理」2022年5月号〜2023年8月号連載、というのにやっとガッテンいったわたしでした。終始、新平の一人称で話は進んでゆくけど、ホントは色々問題抱えている英子や3人の息子のホントの気持ちを「推理」するのが、この本の娯しみかたなのだろう。

    「ふらりと好きなものを見て歩いて、終わる。人生なんてそんなものだろうけれど、べつにそれでいい」新平さんの人生観に、わたしは味方する。2022年の秋、新平さんは96歳になった。まだまだ元気である。

    兎も角、新平さんには元気貰っている。96歳迄とはいかないけど、80歳ぐらいは新平さん同等に歩き回れる程には元気でいたいと思わせる作品。次の題名は3人の息子の「逆襲」となるのか、「父の百歳」となるのか?はてさて。

    0
    2024年09月23日
  • じい散歩

    Posted by ブクログ

     大正生まれの明石新平。米寿を過ぎたが、日課となった趣味の散歩のおかげかますます元気だ。散歩で立ち寄る、興味のある建築物や昔風の喫茶店でのひとときは活力の元にもなっている。

     実は新平にはこだわりがある。そのこだわりが、男として、一家の主として、そして会社経営者としての新平を、これまで支えてきた。
     家庭内には心配の種が尽きないが、そんなものに弱音など吐いていられない。そう思いつつ新平は、今日も散歩に出かけていく。

     そんなじいさんのダンディズム溢れる1年をコミカルに描くヒューマンドラマ。シリーズ1作目。
              ◇
     深夜、物音で新平が目を覚ました。隣を見ると、妻の英子が布団の上に正座して泣いている。どうしたと尋ねる新平に、首を振ってなんでもないと答えた英子は、丸い体を布団の上にころんと横たえた。

     翌朝、新平が起きると、英子はけろっとした顔で普段どおりに振る舞っている。だから新平は夕べのことは何も聞かないでおくことにして、日課の体操を始めた。

     新平と英子は北関東の山間の町で幼馴染として育った。新平の1つ下の妹と英子が同級生で家も近かったため、子どもの頃は一緒に遊んでやったりしたものだった。
     その後、新平は棟梁だった父親のもとで大工になり、英子は東京の女学校で学んだあと郷里に戻り郵便局勤めをしていた。

     ある時、英子の実家の改築を新平の父親が引き受けることになった。
     こうして再会した新平と英子。2人が恋仲になるまでに時間はかからなかった。今から71年前のことである。  ( 第1話「秘密の部屋」) ※全10話とエピローグからなる。

          * * * * *

     読むまでは、ほどよく枯れて恬淡とした老爺の日常譚だと思っていました。けれど大違い。
     主人公の新平は、散歩を日課にして元気に歩き回り、女性を見れば話しかけ、年齢を感じさせない健啖家ぶり。さらには持ちアパートの管理人室を自分の部屋にして、秘蔵のビデオや写真集などを ( 几帳面に整理して ) 並べ、時々楽しんだりしています。米寿を過ぎてこの元気。その矍鑠とした様子に感心しました。

     9人兄弟の長男。大工の棟梁の息子。自らも大工になり、東京で建設会社を設立して社長としてそれなりに成功を収めた人物。それが新平です。
     けれど新平は、そんな人物にありがちな頑固で横暴なワンマン家長ではないのです。妻や息子の無礼を笑って受け流すような鷹揚さを持っています。

     さらにメンタルもなかなか強い。
     普通、妻に明らかな認知症の兆候が見られるようになれば、もっとうろたえたり困ったりするでしょう。
     おまけに3人の息子もひと筋縄ではいかないアラフィフ男たちです。長男は自閉気味の引きこもりであり、3男は堅実に働くことができずに借金まみれで、ともに実家で居候暮らし。独立して立派に生計を立てている次男はトランスジェンダーです。
     3人とも独身で、高齢の新平たちには頭痛の種でしかないはずなのに、新平だけでなく英子も悩んでいるようには見えません。(3男に無心されて貸した2000万については時々返済を促していますが、強く迫っているわけでもないようです。)

     息子の人生は息子のものと割り切り、自分たち亡き後はそれぞれでなんとかしろと考えているのでしょう。こういうスタンスは見習うべきだなと思いました。

     本作のいいところは、ちっとも深刻な展開にならないという点にあります。
     他の作家さんなら中心テーマにしそうな家族の問題を、藤野さんは解決に向かわせることなく新平の日常の色づけとして扱っています。
     戦争で死と隣り合わせの経験をした男の強みなのか、抱える問題に急な処置が必要になったときだけ適切に手をうって凌ぐ度量が新平にはあります。解決を焦って悪手を打つということを決してしない。
     その新平のスタンスこそ、藤野さんのスタンスなのではと感じました。

     続編があるそうなので、それも読みたいと思っています。 (『じい散歩 妻の反乱』なんと魅力的なタイトルでしょうか ⁉ )

    0
    2024年07月14日
  • 君のいた日々

    Posted by ブクログ

    日常のちょっとした「何だろ、これ」が、気味悪さでなく、ついつい亡くなった人に結びついたり、似た背格好の人を見つけると「ひょっとして」と思ったり。大切な人を亡くした人あるあるだった。残されるって本当に辛い。体はなくなっても、その人がなくなるわけじゃないといいな。また会えるといいな。
    あとがきを木皿泉さんが書いていて、そういえば作品の匂いが似てるなあと思いました。

    0
    2024年05月28日
  • 時穴みみか

    Posted by ブクログ

    表紙が可愛い、と手に取った。
    平成生まれの女の子が昭和にタイムスリップする。
    なんだか児童書みたいな本だなあと思いつつ読み進めたら、まさかのスピリチュアル。

    0
    2024年05月22日
  • すしそばてんぷら

    Posted by ブクログ

    隅田川のそばでおばあちゃんとふたり暮らしをしている主人公 寿々。
    早朝のテレビ番組でお天気おねえさんをしていて、毎日帰るとおばあちゃんが美味しいおやつを作って待っていてくれる。
    婚約者から別れを切り出されてすんなり受け入れてしまい、目指している気象予報士の試験にもまた落ちてしまう寿々。
    そんな時、所属する事務所社長から「お江戸まちめぐり」ブログを開設することに。

    人生ってなかなか自分の思うようにはいかないもの。
    でも何も変わらないことなんてないんだ。
    少しでもいいから何かやってみよう。
    そうすれば予想しなかった何かが見えてくるかも。
    東京の美味しいものが沢山出てきて、巻末の解説は枝元なほみさん♪

    0
    2024年05月18日
  • じい散歩 妻の反乱

    Posted by ブクログ

    主人公の年齢が10歳は上かな、こんなに元気な90代は確かにいない。
    現実的には80代。
    息子3人は50代の年齢設定で現実的。
    やっぱり、8050問題なのだ。

    ひきこもり、借金、ジェンダー、認知症と話題が盛りだくさんの家だが、主人公の明るさ、明朗さ、親戚関係の良さが、後読感を悪くさせません。

    次男(自称長女)いい味出してる。
    人はやっぱり優しさ。

    0
    2024年04月09日
  • ナナイロノコイ

    Posted by ブクログ

    恋愛小説も、アンソロジーも好きなので、こういう本は良い。
    映画化するっていう井上荒野さんの短編が一番好きだったかなあ。

    0
    2023年03月26日
  • 掌篇歳時記 秋冬

    Posted by ブクログ

    短編小説。
    中には情景がぼんやりしたまま終幕になったものもあるが、大半は程よく心地良い作品。
    日本には暦のほかにこんなにも豊かな四季の表現があると温かさも得た。

    0
    2020年02月09日
  • 掌篇歳時記 秋冬

    Posted by ブクログ

    12名の著名な作家の短編が72候の解説と一緒に読める、ある意味で贅沢な本だ.重松清の鷹乃学習(たかすなわちがくしゅうす)は父親としての最後の旅行で息子の翔太を見つめる親心がうまく描写されている.筒井康隆の蒙霧升降(ふかききりまとう)は戦後の風物詩を散りばめた彼独特の文章でしっかり意見を述べているのが良い.堀江敏幸の熊蟄穴(くまあなにこもる)は菱山の取材活動のなかで村の古老たちとの奇妙な会話が面白かった.

    0
    2019年12月08日
  • 掌篇歳時記 秋冬

    Posted by ブクログ

    物語ではなく、読書そのものと、日本の繊細な四季の移ろいを味わう一冊。初めて読む作家さんもいて楽しかった。

    0
    2019年12月05日
  • すしそばてんぷら

    Posted by ブクログ

    お江戸として、東京下町の美味しいものと文化を題材にとった、著者らしい静かな小説。
    実在するお店を集めたグルメ面がとにかく秀逸で、端から巡りたくなる。
    お仕事小説とか青春もののという側面もあるが、そっちはそっちで無理な凹凸のない、ナチュラルにいい話に仕上がっていた。
    最近、とても感触のいい小説を書いてくれると、個人的にお気に入り。
    4-

    0
    2017年01月27日
  • 願い

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    *ささやかでいい。叶ってさえくれれば――
    可愛い妹が欲しい、元恋人と復縁したい、部下と不倫をしてみたい、とにかく誰かと話したい……。
    芥川賞作家が掬い取る、街にあふれたいくつもの小さな願いごと。静かだけれど切実な、9つの物語*

    心の奥の柔らかい部分にふわりと触れる、やさしい風のような物語の数々。単純明快なオチなどはなく、ありふれた日々の物語を丁寧にすくい取り、ゆるりと仕上げているので、余韻が残る読後感。読む人、読む時期によっても感じ方が変わりそう。

    0
    2016年08月15日
  • ルート225

    Posted by ブクログ

    ダッシュの世界に迷い込むという超常現象関連が、
    原作でどういう文章で書かれているのかわからないが、
    日常生活が変わってしまった、パパとママがいない、なんだか微妙にずれている、
    といった感覚(ソフトSF)がとてもうまく処理されている。

    主人公の女の子、気弱なダイゴ、わりと優しくて頼れそうなマッチョ、など性格を端的にあらわした絵も素敵だ。
    (「みなみけ」の彼女にやや似ているけど)
    やはりこの作者の絵はかなり好き。

    「ぼくはおんなのこ」しか読んでいない。
    ちなみに「青い花」のDVDをちょこちょこ見ている。
    それだけでもわかるのだが、この作者はジェンダー関係の作品にこだわっているみたい。
    原作者の藤野千夜も、読んだことはないけど同様だろう。

    0
    2016年07月13日
  • 主婦と恋愛

    Posted by ブクログ

     ほんのり、本当に淡く片思いする既婚者の話。日常に嫌気がさして全然違うところへ行ってしまいたい気持ちと、今の夫も環境も何だかんだで大切だと思っている気持ち、両方ともが本当のことで共存しうるのだと思う。ただ簡単に不倫に走るようなドラマティックさはなく、決してやましいことはしてないけど好意がないとは言えない、ってくらいの温度にリアリティーがあって、藤野さんのこういうところがとても好き。

    0
    2015年12月24日
  • 夏の約束

    Posted by ブクログ

     登場人物にはゲイカップルやトランスセクシャルな女性、養護学校に通った兄をもつ作家や、乗り物パニック症の主婦など、世間でいうところの少数派に属する人達が沢山出てくる。世間の人達から好奇の眼差しで見られたり侮蔑されたりしつつも、彼らは彼らの日常を送っている。そんな日々を淡々と描いており、劇的な展開はないのだけど、胸にざわめきが起こる読書だった。そして自分自身がこの物語でいう「世間の八割」として少数派の人々を心のどこかで笑ったりしていないか、そんなつもりは勿論ないけれど、ふと考えさせられるような一冊だった。

    0
    2015年11月29日
  • 君のいた日々

    Posted by ブクログ

    すごく不思議な小説だった。
    春生と久里子という、50代目前の一組の夫婦の物語なのだけど、夫婦が揃ったところは一切出てこない。
    なぜなら春生は久里子を病気で失い、久里子もまた春生を突然死という形で失っているから。
    妻をなくした男と、夫をなくした女。そして高校生になる息子の亜土夢。それぞれの生活が交互に綴られた短編集で、どちらの世界が本物なのか、どちらも本物なのか、それともどちらも偽物なのか、不思議な感覚に包まれたままラストへ向かう。
    ミステリではないので謎解きがあるわけではなく、両方の世界が同じ時間に並行して存在している、そういう小説。

    幸せだったから悲しい。
    春生も久里子も、パートナーをなくした後でそれぞれそのことを実感する。
    時間とともに忘れていくのは悪いことではない。でもまだもう少し、引きずっていたい。忘れたくない。悲しんでいたい。
    日々の生活のあらゆるところに亡くした人の影を見いだしてしまうのは、誰か大切な人を亡くした経験がある人ならば、よく理解できると思う。

    この人と人生をともに行くんだ。そう思えるパートナーとすでに巡り会えている人ならば、尚更この物語は胸に響くと思うし、自分に起こったことだと想像して悲しくなるかもしれない。
    でも不幸な感じはしない。むしろ幸福。
    幸せだったから悲しい。なくした後そんな風に思える誰かと出逢えるって、切ないけれどこの上ない幸福だ。
    温かい読後感の小説でした。

    0
    2015年10月28日