連城三紀彦のレビュー一覧

  • 敗北への凱旋

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    終戦直後に殺害された隻腕のピアニストが遺した楽譜。時を経て、そこに秘められた暗号が解き明かされる時、驚愕の真相が浮かび上がる―。著者の長編作品を読むのはこれが初めて。楽譜アレルギーの私は暗号の解読を早々に諦め、筋読みに集中。音楽家の悲運な生涯を辿ると思いきや、第四章から一気に色合いが変わり、男女の三角関係を巡る真実が明かされていく。初期作とあってか、物語のスケール感と愛憎劇の狭小さがミスマッチな印象を受けるが、犯行動機への飛躍の仕方が実に独創的。戦争の悲惨さを訴える著者の痛烈なメッセージが込められた作品。

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    2021年04月04日
  • 変調二人羽織

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    『誤って薄墨でも滴り落ちたかのようにゆっくり夜へ滲み始めた空を、その鶴は、寒風に揺れる一片の雪にも似て、白く、柔らかく、然しあくまで潔癖なひと筋の直線をひきながら、軈て何処へともなく飛び去ったのだと言う』

    ミステリ史に残る書き出しといえば、ウィリアム・アイリッシュ『幻の女』。あの洒落た雰囲気とリズムも忘れ難いですが、連城三紀彦の『変調二人羽織』の書き出しも初読時に、その美しさにボーっとなりました。作中の時間が大晦日の話で、おりしも作品と同じ時期に、寒い部屋で読んだのも良かったのかもしれない。

    収録作品は5編。先に書いたように表題作の「変調二人羽織」は、冒頭の美しい書き出しからつかまれました

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    2020年12月31日
  • 戻り川心中

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    知人に強く薦められて読みました。
    良くできてるな~とは思いましたが、そこまでです。
    短編集ですが、表題となっている最後の作品があまり受け入れられませんでした。

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    2020年12月29日
  • 白光

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    ある一人の少女の死をきっかけにごく普通の家族がみるみる崩壊していく。
    関係者全員の独白により事件前後の詳細が明らかになるが各々の誤解や勘違い、妄想等により二転三転する真相にはお見事としか言いようがない。
    不愉快極まりない展開なのに淡々とした語り口によってさらっと読めてしまう。

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    2020年12月20日
  • 戻り川心中

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    非情に評価の高いミステリー。恋愛小説か探偵小説かと言われるほど美してくて静寂な雰囲気。しかし、私にはこの静寂感が苦手です(笑)。謎というより真相はそうだったと言う解明部分は面白いところもあるのですが、何よりも苑田岳葉の行動に全く感情移入できなかったです。相性の問題だからしょうがないなあ。

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    2020年11月04日
  • 白光

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    女の子が殺されたという事実が軽く扱われすぎて、「もうあんたらの真相なんてどうだっていいわ!!!」と思えてくる。創作なのでそういった視点でかんがえる必要はないのだろうけど。

    語り手の告白が真相のようで、次の語り手がまた別の真相を告白する、という展開は面白かった。同じ場面が別の見え方になる。
    湊かなえの「母性」みたいな感じ。

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    2020年10月17日
  • 変調二人羽織

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    内容(「BOOK」データベースより)
    東京の夜空に珍しく一羽の鶴が舞った夜、一人の落語家・伊呂八亭破鶴が殺された。舞台となった密室にいたのはいずれも破鶴に恨みを抱く関係者ばかり。捜査で続々と発覚する新事実。そして、衝撃の真相は―。伝説的探偵小説雑誌・幻影城の第三回新人賞を受賞した初期の傑作「変調二人羽織」を含む、読者を唸らせる連城ミステリー傑作五編を収録した永久保存版。

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    2020年05月15日
  • 恋文・私の叔父さん

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    内容(「BOOK」データベースより)
    マニキュアで描いた花吹雪を窓ガラスに残し、部屋を出ていった歳下の夫。それをきっかけに、しっかり者の妻に、初めて心を許せる女友達が出来たが(「恋文」)。二十一の若さで死んだ、姉の娘。幼い子供を抱いた五枚の写真に遺された、姪から叔父へのメッセージとは(「私の叔父さん」)。都会の片隅に暮す、大人の男女の様々な“愛のかたち”を描く五篇。直木賞受賞。

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    2020年05月15日
  • 顔のない肖像画

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    美しい針くだらなさが最高。

    路上の闇の展開は読めたけどテンポがよくて一番読みやすかった。

    表題作はラストの切なさが好き

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    2020年03月07日
  • 夕萩心中

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    内容(「BOOK」データベースより)

    時は明治末期。政府重鎮の妻君・但馬夕とその家の書生・御萩慎之介との情死事件は起きた。現世では成就できない愛を来世に託した二人の行為を、世人は「夕萩心中」ともて囃したが、その裏には驚くべき真実が隠されていた…。日本ミステリ史を美しく彩る“花葬”シリーズ三作品に、ユーモア・ミステリの傑作連作「陽だまり課事件簿」を併録。流麗なる連城“世界”に酔う。

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    2020年02月28日
  • 瓦斯灯

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    「ミステリ・ジョッキー2」で知った恋愛ミステリの短編集。どの話にも何か仕掛けがあり、ただの恋愛小説では終わらない。また花や火を使った連城作品らしい美しい描写に彩られる。マイベストは「花衣の客」。しかしこの文体、ずっと読んでいるとちょっと疲れるな。

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    2019年09月30日
  • 私という名の変奏曲

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    「私という名の変奏曲」
    犯人は誰だ?


    人気と美貌を持つ23歳。愛くるしい笑顔に可憐な美声を持ち、世界的なファッションモデルに駆け上がった美織レイ子。一方で、傲慢でわがままで二重人格。悪魔に人間らしさ全てを売り払ったような娘。カメラマン、女性デザイナー、新進デザイナー、若社長、ファッションモデル、ディレクター。彼らはレイ子を殺したいほど憎んでいると彼女自身が名指しした。しかし、残り1名はまだ名前を明かせないと言う。そんな意味深なメッセージを発した後、レイ子が死んでしまう。


    とすると、犯人は誰だ?となる訳だが、捜査線上に浮かんだ7人皆が自分がレイ子を殺したと思い込んでいる。犯人は誰が?から

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    2019年08月13日
  • 黄昏のベルリン

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    ちょっと期待外れでした。
    今読むには時代が進み過ぎているかな?

    ストーリーの奇想天外さは面白いけど、「一」で場面が変わるので、混乱して読みにくい。
    これが作者の狙いかもしれませんが、自分には馴染めませんでした。

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    2019年07月12日
  • 隠れ菊 下

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    まあよくも次々と色んな事が起こる。多衣と通子の話だと思って読んでいたら、最後にキクの事もでてきた。そういや最初は、その話だったなあ

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    2019年02月21日
  • 隠れ菊 上

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    ドロドロの女愛憎劇を期待して購入。
    過去にNHK BSでドラマ化されてたって、後で知った。
    リアルタイムで観れなかったのは、ちょっと残念。
    テレビ朝日のドラマ化は、何だか物足りなさを感じ、ならば原作と思い上下巻、同時購入したものの…
    あれ?途中で、ドロドロが浄化されしまい、読書意欲も軽減。
    折角、購入したので下巻も頑張ります。
    '19.01.19読書完了

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    2019年01月19日
  • 小さな異邦人

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    ネタバレ

    過去読んだことがあったかどうかも覚えてないのに、連城三紀彦という作家になんとなく苦手意識をもっていて、「これはひょっとして食わず嫌いなんじゃないか?」と思っていた。で、どこかであがってた(確かこのミス)この作品を読んでみて、本当に食わず嫌いかどうか試してみようと思ったのだが…。

    やはり、得意な作家じゃないなぁ。どうも重いというか暗いというか。ノアールやダークファンタジーの漆黒さじゃない、かといって北欧ミステリーのようなものでもなく、水木しげるなんかに流れる日本固有の薄暗さでもない。

    退屈しのぎにつけるともなくつけたテレビにうつってたドラマ。人間関係のドロドロを都合よく映像化したような、なん

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    2019年01月13日
  • 美女

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    技巧、極まれり。男女の間に潜む情愛を酩酊するほどに詰め込んだミステリ要素で描く。湿って、ねちっこくて、粘り気すら孕んでいる情愛。

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    2018年12月21日
  • 変調二人羽織

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    初連城作品。表題作は展開が二転三転するトリッキーな作品で、デビュー作からこんな精緻な作風なのかと驚いたが、プロット自体は捻り過ぎな印象も。しかしながら、古さを感じさせない叙情的・情景的な独特の文体には惹かれる。その個性が色濃い「六花の印」では二つの異なる時代の別の出来事が交錯し、全く想像し得ない結末に辿り着く。トリックは突拍子もないが、とても五十頁以下の短編とは思えない濃密さ。コメディチックな「ある東京の扉」や情念的な愛憎劇「依子の日記」など、振り幅の大きさも魅力的。次回は中期〜後期作品を読んでみたいな。

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    2018年08月16日
  • 青き犠牲(いけにえ)

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    話が二転三転する、連城お得意のパターン。ただこういう信頼できない語り手というのは、一歩間違えるとなんでもアリになってしまって、本書もそのギリギリのところで話を繋いでいる。けど結末は堅実に伏線を回収しているのでよかったなという感じ。

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    2018年06月19日
  • 処刑までの十章

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    大好きな連城の遺作であるが、長さや舞台の広さのわりにはやや地味な印象。これまでに散りばめられてきた要素がうまく収斂していないので肩透かしを食らった感がある。終盤にさしかかって、ある男の言葉によって真相がいっきに近づくが、このやり方はすこし安直にもおもえる。なんとなく、連城はあんまり長いのよりも短篇や中篇くらいのがうまい気がする。

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    2018年06月15日