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Posted by ブクログ
壮大さに精密さ、緻密さを織り交ぜた傑作。読み終わった後、すごいものを読んだという興奮から抜け出せない。連城三紀彦という作家はこんなものまで書けるのかと畏怖の念まで覚えた。
行ったことのないベルリン、パリの街を主人公とともに駆け抜けたような感覚。東西冷戦時代のヨーロッパのことがすんなりと頭に入りずっと物語に入り込むことができた。
壮大な物語を作るため練りこまれ、洗練された緻密な伏線の数々には短編の名手でもある連城のものすごい技量を感じた。短編、長編の両方でここまでのレベルの作品を書けるのはおそらく連城しかいない。
亡くなってしまった後に知った作家だが、できることならリアルタイムでこの作家の作品を追い続けてみたかった。
Posted by ブクログ
ベルリンの壁崩壊の前年の作品であり、第一回「このミス」1位。買ったまま未読だったけど、崩壊20周年を契機に本棚から取り出しました。自分の出生の秘密がナチス時代に遡ることを知った主人公。壁に阻まれた東西ベルリン、パリ、リオデジャネイロ、東京、ニューヨークとめまぐるしく変わるシーンと、複雑に入り組んだ背景が見事に収束していきます。
読みながら流れてくるBGMはDavid Bowieのベルリン時代の代表作「ロウ」。壁の存在がもたらした悲劇、ナチスが存在した故の悲劇が、冷たくストーリーの底辺に流れてます。
ナチスのもたらした悲劇という意味では、手塚治虫の「アドルフに告ぐ」も必読。
2009.11
Posted by ブクログ
去年の今頃、とてもバタバタしていたことを思うと、今年は結構余裕あり。少々厚めだけど、息子の本棚にあったこの本でもと。
リオデジャネイロから始まって、そのままニューヨーク、東京、ベルリン、パリへと場面転換の第1章。
混血の日本人画家・青木が見知らぬドイツ人女性・エルザから接触を受ける。
第2次世界大戦下、ナチスドイツのユダヤ人収容所でユダヤ人の父親と日本人の母親の間に生れた赤ん坊が青木だと言われ、青木は平穏な生活から一転、謀略が渦巻くヨーロッパへ…。
ここからは仏独を舞台に、ナチスによるユダヤ人虐殺問題や戦後逃亡したナチ戦犯問題など絡めてどんでん返しのテンコ盛り。どんどん話が膨らんでそんなのアリエネェ〜と思いつつ、ズンズン読ませる。
読み返せばかなりな偶然や強引なミスディレクションもあったりするのだけれど、流れるような精緻な文章で綴られる壮大な物語は、なるほど’88年「週刊文春ミステリーベスト10」第1位。☆5つでないのは好みの問題と思って下さいな。
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