あらすじ
1988年「週刊文春傑作ミステリーベスト10」第1位!
ナチの収容所で生れた日猶混血児がたどった運命とは? 流麗な筆致で東西ベルリンに集まるスパイ群像を描いた幻の傑作がいま甦る
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
壮大さに精密さ、緻密さを織り交ぜた傑作。読み終わった後、すごいものを読んだという興奮から抜け出せない。連城三紀彦という作家はこんなものまで書けるのかと畏怖の念まで覚えた。
行ったことのないベルリン、パリの街を主人公とともに駆け抜けたような感覚。東西冷戦時代のヨーロッパのことがすんなりと頭に入りずっと物語に入り込むことができた。
壮大な物語を作るため練りこまれ、洗練された緻密な伏線の数々には短編の名手でもある連城のものすごい技量を感じた。短編、長編の両方でここまでのレベルの作品を書けるのはおそらく連城しかいない。
亡くなってしまった後に知った作家だが、できることならリアルタイムでこの作家の作品を追い続けてみたかった。
Posted by ブクログ
息をつかせぬ展開。
緻密に組み上げられた謎とその解。
何よりも場面展開の文章手法の素晴しさ。
溜め息しか出ません・・・・・・。
ストーリーは、ある女性に、自分が第二次世界大戦中、ナチスのユダヤ人収容所でユダヤ人と日本人の間に産まれたと知らされた主人公が、権謀術数渦巻くヨーロッパで体験する冒険、といったところ。
映像が頭を離れません・・・・・・というか、文章が映像として記憶されてますw
1988年週刊文春ミステリーベスト一位、そしてこの年から始まったこのミステリーがすごい三位の評価を得た傑作ミステリ、ご堪能くださいw
Posted by ブクログ
注!思いっきり内容に触れています
途中までは、これは今まで読んだ連城三紀彦の中で一番! 間違いなく★5つ!と思っていたんだけどなー。
なぜか後半、真相が明らかになってきた辺りから、急にイマイチっぽくなっていく。
特に、最後でのブルーノと青木の関わりの展開が、丸っきり見えてしまうのはなー。
よって、★は4つ(他の連城三紀彦の本との兼ね合いがなかったら、もしかしたら3つにしたかもw)
後半辺りからイマイチになってしまうのには、その辺りから話のスケールがなぜか小さくなってしまうように感じるところにもあると思う。
導入部のリオデジャネイロから、ニューヨーク、東京、東西のベルリン、パリ、そして、また東西のベルリンと舞台は広がっていくのだが、青木が東西のベルリンに行ったの辺りから、なぜかその空気感が青木とエルザが最初に逢った東京に戻ってしまうのだ。
ま、話の主題は、あくまで青木とエルザの悲恋で。青木のルーツを巡る国際的な謀略ではないんだと言ってしまうならそれまでなんだろうけど。
変な話、最初のベルリンとパリ、リヨンは確かにその場所の空気感を感じるのに。最後のベルリンだけ、それが妙に希薄なんだよなぁー。
希薄といえば、マルタ・リビーの存在も、妙に希薄な感じ。悪役キャラとして、もっとストーリーに食い込んできてもいいのになーという感じがする。
せっかく、青木がパリに来た時に刑事が絡んでくるのだから。彼辺りを使って、(ここは読者サービスでw)華々しく最後を遂げさせてもよかったのでは?(爆)
…と思うのだが、それは著者の作風ではないのだろう。
作風といえば、これは「わずか一しずくの血」の感想でも書いたのだが。これは特に、今風にパート分けして書き分けて最後にガッチャンコしたら、すごく“映える”話になったんじゃないかなーと思う。
ていうか、実は著者、これはそれっぽく書いているのだ。
ただ、その場面転換が同じ行の中で“――”が入るだけで行われるから、とにかく読みにくいのなんの!
パートが変わる“――”をうっかり読み飛ばして、いつの間にか話が全然わからなくなっているということが何度あったことかw
著者の作風ではないといえば、著者がこの手の国際謀略小説を書くというのは面白いし。
また、よくここまで書いたなーとも思うのだが、いかんせん、やっぱり著者の本籍地ではないんだろうなぁーという気はする。
というのも、敵側(敵側というのも変だけどw)にあまり冷徹さを感じないのと、あと妙に陳腐(中二病っぽい?w)なんだよね。
ぶっちゃけネタバレしちゃえば、要は第三帝国の復活のために、ヒトラーの息子をその旗印にしようと画策する連中なわけだ。
なら、とっととかっさらって。薬でも拷問でもやって、廃人同様にしちゃってでも、とにかく彼が生きていて、人前に姿を見せられればいいわけだ。
なのに、若い女性を使って(ま、それにはもう一つ理由があったわけだけど)、彼を誑し込んで、ヨーロッパに連れてきて。自分がヒトラーの息子だと納得させた上でその役割を強いるなんてまどろっこしいこと、かの総統ならやらないだろー!って話だ。
ま、ただ、それはヒトラーは、あの混乱した時代においても選挙で政権を握ったというのに。
冷戦時代とはいえ、一応は平和が保たれていたあの時代に、ヒトラーの息子を旗印にすれば第三帝国が復活できるなんて甘っちょろいことを考えているその組織自体が中二病の集まりなので、しょうがないといえばしょうがないんだろうけどさw
ていうか、ヒトラーという人は、東洋人の女性には魅力も何も感じないどころか、エッチするなんてことは(ヒトラーからすると不潔で)耐えられない、そういう人だったんじゃない?
ヒトラーというのは、彼独特の美意識の外にあるものは絶対認めない。そういう人だと思うのだ。
だからこそ、その美の実現のために突っ走っちゃった挙句、ああいうところにまでいっちゃったわけだ。
この本は1988年の刊行となっているが、そういう意味では、ドイツ人と日本人は世界相手に一緒に戦った仲であり、戦後に日本人がドイツ人が会うと「今度はイタリア抜きでやろうな」と握手を求めてくる、あの話が生きていた頃だからこそ生まれた設定なのかなーと思った(今になってみると、だがw)。
と、★4つのわりに批判的なことばかり書いたが、ストーリー自体は悪くない。
“――”でつなぐ、あのやたら読みにくい場面転換も、最後の最後、青木とエルザが逢うシーンでは効果的に使われている。
国際的な謀略が絡む話とはいえ、そこにはいかにも今風なアクションやミステリーはない。あるのは、著者特有のじとっと暗い男女の愛の話だけ。
そう思って読んでしまえば、充分面白い小説だと思う。
春江一也の「プラハの春」や、佐々木譲の「ワシントン封印工作」。あとは池上司の「真珠湾・十二月八日の終戦」辺りが好きな人なら、たぶん面白く読めるんじゃないだろうか。
しかし、連城三紀彦というのは、不思議な小説を書く人だ。
読んだ後、しみじみと感慨を抱いてしまう「戻り側心中」よりも、こういう、どこかイマイチな小説の方が惹きつけられるのだからw
「わずかひとしずくの血」の感想でも書いたけど、連城三紀彦という人は、「読者が期待している展開の話なんか、死んでも書くか!」をポリシーに小説を書いていたような気がしてしょうがない。
それは、定番な展開を求める読者を秘かに馬鹿にしていたということでもある反面、プロの作家たるもの、常に読者の期待の上を書かなきゃ駄目だみたいな、捻じくれ曲がった意地だったんじゃないだろうか。
この「黄昏のベルリン」や、前に読んだ「わずかひとしずくの血」を読む限り、その捻じくれ曲がった意地は必ずしも成功しているとは言えないような気がするのだが。
でも、その心意気は買う!w
Posted by ブクログ
冷戦時のベルリンの壁を舞台とした国際謀略小説というところでしょうか。いくつかのエピソードが除々にひとつに収斂していタイプの作品です。突拍子のない物語なのですが、単なる絵空事に終わらなせないところが良いですね。
Posted by ブクログ
素性の分からない日本人男性は第二のアンネ・フランクなのか。
それとも第二のヒトラーなのか。
真意を隠されたままベルリンで進められた計画は…
二転三転します。よく練られて繋がっている。
なんだか浅田次郎っぽい。
Posted by ブクログ
ベルリンの壁崩壊の前年の作品であり、第一回「このミス」1位。買ったまま未読だったけど、崩壊20周年を契機に本棚から取り出しました。自分の出生の秘密がナチス時代に遡ることを知った主人公。壁に阻まれた東西ベルリン、パリ、リオデジャネイロ、東京、ニューヨークとめまぐるしく変わるシーンと、複雑に入り組んだ背景が見事に収束していきます。
読みながら流れてくるBGMはDavid Bowieのベルリン時代の代表作「ロウ」。壁の存在がもたらした悲劇、ナチスが存在した故の悲劇が、冷たくストーリーの底辺に流れてます。
ナチスのもたらした悲劇という意味では、手塚治虫の「アドルフに告ぐ」も必読。
2009.11
Posted by ブクログ
時代:20世紀中盤、壁崩壊前
日本で美術教師として暮らしていた主人公は、ある依頼を受け、欧州へ旅立つことになる。
そこで主人公は、自分の出生に関する秘密を突きつけられ…。
日本・パリ・ニューヨーク・リオデジャネイロ、そしてベルリン。
世界の各地で起こる出来事が、やがてひとつの陰謀に収束してゆく様はハラハラさせます。
また、米軍・露軍統治下のベルリンの様子や、壁との関わりなども興味深い。
主人公の出生は、確かに突飛過ぎるきらいはあるけれど、物語が進むにつれ少しずつ与えられるヒントを自分の中で推理するのはまた楽しい。
Posted by ブクログ
去年の今頃、とてもバタバタしていたことを思うと、今年は結構余裕あり。少々厚めだけど、息子の本棚にあったこの本でもと。
リオデジャネイロから始まって、そのままニューヨーク、東京、ベルリン、パリへと場面転換の第1章。
混血の日本人画家・青木が見知らぬドイツ人女性・エルザから接触を受ける。
第2次世界大戦下、ナチスドイツのユダヤ人収容所でユダヤ人の父親と日本人の母親の間に生れた赤ん坊が青木だと言われ、青木は平穏な生活から一転、謀略が渦巻くヨーロッパへ…。
ここからは仏独を舞台に、ナチスによるユダヤ人虐殺問題や戦後逃亡したナチ戦犯問題など絡めてどんでん返しのテンコ盛り。どんどん話が膨らんでそんなのアリエネェ〜と思いつつ、ズンズン読ませる。
読み返せばかなりな偶然や強引なミスディレクションもあったりするのだけれど、流れるような精緻な文章で綴られる壮大な物語は、なるほど’88年「週刊文春ミステリーベスト10」第1位。☆5つでないのは好みの問題と思って下さいな。
Posted by ブクログ
ナチ、ネオナチ、反ナチ。
終戦後 40 年経過して、なお人々は翻弄され続ける。
自分には全く知らない出生の秘密があった。
父親はいったい誰なのか・・・。
組織が本当に必要としていたものとは・・・。
日本語の使い方が巧みです。
すごく先が読めちゃうところと、すごく驚かされるところとありました。
そして、ベルリンにもう一度行ってみたいと思いました。
Posted by ブクログ
斬新な文章構造。一番の印象は、それ。段落を使わずに主眼が変わることで、スピード感と臨場感が高まるなーと驚きながら読み進めました。
肝心の本編は、スケールが大き過ぎて多少面食らったけど、統一前のドイツの特性を活かした展開は、なるほどなーと思わされました。背景にあるナチや、人物の気持ちが理解するのが難しかった。描写自体は緻密なので、映画を観てるみたいな感覚。
Posted by ブクログ
「連城三紀彦」の長篇ミステリ作品『黄昏のベルリン』を読みました。
『夜よ鼠たちのために』、『運命の八分休符』に続き、「連城三紀彦」の作品です。
-----story-------------
画家「青木優二」は謎のドイツ人女性「エルザ」から、第二次大戦中、ナチスの強制収容所でユダヤ人の父親と日本人の母親の間に生まれた子供が自分だと知らされる。
平穏な生活から一転、謀略渦巻くヨーロッパへ旅立つ「青木」。
1988年「週刊文春ミステリーベスト10」第1位に輝いた幻の傑作ミステリーがいま甦る。
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1988年(昭和63年)に発表されたスパイ小説… 東西ベルリンに集まるスパイ群像を描いた幻の傑作とも呼ばれている作品です。
■一章 最後の一日
■二章 過去への国境線
■三章 亡霊たち
■四章 第三のベルリン
■五章 黄昏から夜へ
■解説 戸川安宣
日本人の母親、外国人の父親を持つ画家の「青木優二」は、見知らぬドイツ人女性「エルザ」から接触を受けた… 「エルザ」によれば第二次大戦中、ナチスドイツのユダヤ人収容所ガウアーで、ユダヤ人の父親と日本人の母親の間に生れた赤ん坊が「青木」だと言うのだ、、、
「青木」は平穏な生活から一転、謀略が渦巻くヨーロッパへ旅立つ… 四十余年を隔てて蘇える驚異の謎とは何か? 東京―パリ―ベルリン―ニューヨーク―リオデジャネイロを舞台にネオナチと反ナチの陰の戦い。
あの戦争終結直前、日本人「青木」の体に埋めこまれたナチの印しとは? 二転三転、意外極まる結末へ… 壮大かつ緻密な仕掛けの長編推理ロマン……。
日本の作品にしては珍しいグローバルな視点での作品でしたね… かなりインパクトの強い解なのですが、あの男が画家志望だとを知っていれば、主人公の職業が画家という点で、真相に気付く読者も多いかもしれませんね、、、
荒唐無稽な展開ですが、これくらい大胆な展開の方が中途半端な展開よりも清々しい感じがして良いですね… 東と西の入れ替えや、父親の正体、ネオナチとユダヤ人の保護組織等、巧くミスリードさせられる展開も愉しめました。
視点が目まぐるしく変わるし、変わるタイミングが分かり難いので、今が誰の視点なのかちょっと戸惑いもありましたが、中盤以降は文体に慣れて意外とサクサク読めました… 最後の最後まで誰が真実を語り、誰が嘘をついているのか、疑心暗鬼の状態が継続する展開も好みでしたね、、、
1980年代の謀略が渦巻くヨーロッパ、冷戦時代のベルリンを舞台にした、恋愛あり、アクションあり、トリックありの本格スパイ小説… ヨーロッパの香りのする日本産のミステリ小説でした。
以下、主な登場人物です。
「青木優二」
画家、美術大学の講師
「エルザ・ロゼガー」
ベルリンからの留学生
「マイク・カールソン」
ニューヨークの清涼飲料水会社社員
「ソフィ・クレメール」
ガウアー強制収容所の生存者
「ブルーノ・ハウゼン」
東ベルリンから西ベルリンへ脱出した青年
「ホルスト・ギュンター」
東ドイツの元大物政治家
「エドワルト・ヘルカー」
ブルーノの世話をする男
「エディ・ジョシュア」
ユダヤ系の演劇青年
「マリー・ルグレーズ(マルト・リビー)」
元ナチス将校。「鉄釘のマルト」
「ハンス・ゲムリヒ」
元ナチス親衛隊
「野川桂子」
青木の生徒
「三上隆二」
リヨンの通訳の青年
「山崎三郎」
ベルリンの通訳の青年
「ニシオカ」
ベルリンの日本人商社マン
「リタ」
リオデジャネイロの娼婦
Posted by ブクログ
冒険小説、国際謀略小説の名作との誉が高いがいかがだろうか。
流石に30年以上前の作品なので、ベルリンの壁も健在で古さは拭えないが、昨今の世界的な右傾化を見ていると全くリアリティがないわけではない。
ロシアのウクライナ侵攻でも、ロシアがウクライナをネオナチ呼ばわりしている事(とんでもない錯誤と言うか言いがかりだと思うが)をとっても、ヨーロッパの人々にとっては今もリアリティがあるのだろう。
典型的な巻き込まれ方のストーリーで話は進むが、お話そのものは派手なアクションがあるわけでもなく淡々と進んでいく。大風呂敷を広げた割にはエンディングは尻すぼみの感がある。
大風呂敷を広げたついでに行くとこまで行った方が面白い物語になったかもしれない。
やはりこの手のお話は外国の作家さんの方が一日の長がある気がする。
Posted by ブクログ
ちょっと期待外れでした。
今読むには時代が進み過ぎているかな?
ストーリーの奇想天外さは面白いけど、「一」で場面が変わるので、混乱して読みにくい。
これが作者の狙いかもしれませんが、自分には馴染めませんでした。
Posted by ブクログ
謎についての設定は、見事だと思う。
主人公はドイツからやって来た女性から、自分の出生について告げられ、その謎を解き明かしていく。
各国の登場人物たちが、一つのストーリーにまとまっていく過程を読み進めていくのは面白かった。
が、しかし、である。
主人公を始めとして、急に恋人から別の女性に心変わりしたり、また別の女性から元の恋人に戻ったりと、全世界を舞台をしている割に心情を描く部分についてはリアリティに欠けてしまう。
限られたページの中に収めていくには、しょうがない部分があるにしても残念である。
できれば、ラストの終わらせ方についても、もう少し突っ込んで話を終わらせてほしかった。
Posted by ブクログ
2014.8.3ー55
ナチスによるユダヤ人虐殺から戦後のネオナチにより謀略と題材が興味深いものの、相変わらずの恋愛上の裏切りの二転三転は少々シツコく鬱陶しい。
Posted by ブクログ
個人的には連城三紀彦の「恋文」が大好き。しかし、これは、すごい。
画家、青木の出生の秘密。東西ドイツ、ナチスの強制収容所、ユダヤ人と物語は広がっていく。
人間の思想の怖さを感じた。
Posted by ブクログ
1988年の作品、「このミス」第一回3位です。
この作家さんは最近『戻り川心中』という短編集を読み、その完成度の高さに感服しました。さらに前に直木賞受賞の『恋文』(どちらかというと恋愛モノ)を読んでます。
今作は現代(20年以上前ですが)の東京~パリ~ベルリンと舞台を移し物語が進みます。旧ナチ残党が絡む国際謀略サスペンスと一言で言えないこともないでしょう。
主人公は出生の謎を持っていて、自分の母親を探す旅がついには出生の謎に辿りつく…というのが大筋です、しかしストーリー自体は荒唐無稽というか、「なんじゃそりゃ?」と、突っ込みたくなる出来栄えでした、個人的にですけど…
それでもそれなりに楽しめたのは、男女の感情の機微についての描写、背景、町並み、部屋の中等々、色彩を読者に感じさせる描写、この二つが非常に優れていて読者を魅了するのだと思われます。(解説に書いてある通りに納得です)
既読のモノもそうですが、世界は男と女でできている!的な恋愛感情の交錯がストーリーに絡んできます、エロい描写はないのですが行間にそれを感じさせる書き方が個人的に好むところですし、その風景に色彩が鮮やかに入り込んできます。小説は言うまでもなく文字を読んで、読者が脳内でその世界を構築していくわけですが、その世界に色をつけていく作業がこうもたやすく可能せしむる、のはやはり作家の力量なのでしょう。
旧ナチ残党絡みの小説といえばフレデリック・フォーサイスの『オデッサ・ファイル』が世界的に有名でかなり昔に読みました。主人公が真相に近づくプロセスのドキドキ感、結末の反転と読みごたえ充分でした。
Posted by ブクログ
ベルリンの壁崩壊の前の国際謀略小説ですが、その時代性を考慮しても謎の深さが浅い気がします。でも当時はこれで良かったんだろうと思います。文章はうまいのでそれなりに読ませます。