連城三紀彦のレビュー一覧

  • 美女

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    浮気、不倫をテーマにした短編集。解説で絶賛されている【喜劇女優】は超絶技巧の怪作ですが、実験的な作品なので好みが分かれそうな気がします。個人的にはミステリー色が強く著者らしい騙しのテクニックを味わえる【夜の右側】や【夜の二乗】の方が好みです。
    また、【夜光の唇】も好きなタイプではないですし、【夜の肌】と【美女】はやや平凡でいまいちに感じてしまいますが、プロットの技巧はどの短編も素晴らしいと思います。

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    2017年04月15日
  • 小さな異邦人

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    最近、いわゆる日常系ミステリばかり読んでいるので、この手のミステリは少し重たく感じる。
    生々しく人が描かれているから。

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    2016年08月11日
  • 密やかな喪服

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    バラエティに富んだ短篇集。「密やかな喪服」、「ひらかれた闇」は驚きのホワイが楽しめるし、「白い花」、「黒髪」の耽美と情念の世界は作者の独壇場。レベルが高いが、他の作者の傑作とどうしても比べてしまうのでこの評価。

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    2016年04月09日
  • 私という名の変奏曲

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    ネタバレ

    ドラマを観てなかなか良かったので読んでみる。
    7人が美織レイ子を殺したと言っている。でもそんなはずはなく、一人一人の告白によって真相が明らかになっていく。

    結局、結末は知ってるのでハラハラすることはなかったけど、レイ子が使ったトリックは文章だけだと分かりづらいのでドラマ観てて良かったと思った。コンセプトやら構成やらは面白いと思ったんだけど、なぜかなかなか読み進められず、てこづった。

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    2015年11月24日
  • 恋文・私の叔父さん

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    ネタバレ

    表題作・恋文・私の叔父さんを含む5編の短編集。





    個人的に「紅き唇」と「私の叔父さん」が好き。
    六十四になるまで働き続けたタヅの死んだ娘婿を借りた1年間だけの結婚生活を描いた「紅き唇」。
    姪から叔父へ5枚の写真に遺されたメッセージが印象的な
    「私の叔父さん」。
    どの作品も自己犠牲の上に成り立つ嘘が印象的。

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    2015年11月22日
  • 造花の蜜(下)

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    ネタバレ

    ○ 造花の蜜(上)
     「誘拐」をテーマにしたミステリ。連城三紀彦の晩年の作品である。上巻は香奈子の子である圭太が誘拐される場面から始まる。圭太の誘拐には、香奈子の父が経営する工場従業員である川田が深く関わっている。
     誘拐犯は身代金を要求するのではなく、「圭太は自分の意思でここに来た。」「俺はあの子の父親だ。」と主張してくる。香奈子は山路将彦と離婚しており、圭太の父親は山路将彦だが、誘拐犯ではない。この「父親」とは一体何を意味するのか?その後、犯人はこれまでの主張を変え、圭太の身代金として5000万円を要求する。受け渡し場所は渋谷のスクランブル交差点の真ん中
     スクランブル交差点での身代金の受

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    2015年11月20日
  • 私という名の変奏曲

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    ネタバレ

    ごく最近,天海祐希主演でドラマ化された作品。もともとは,なんと1984年の作品。連城三紀彦の作品は古びれないということか。
    世界的なファッションモデルとして活躍している美織レイ子を殺す動機を持っている7人の男女。この7人の男女は,全員が「美織レイ子を殺したのは自分だ」と信じている。
    解説で連城三紀彦がこの作品を以下のように紹介している。
    「事件は,他殺と自殺が同時に起こっていて,加害者と被害者の二重奏ともいうべきものかもしれません。その重要な真相の一部が,最初から読者に提示されています。」,「この物語には,確かに女主人を死にいたらしめた犯人と言える人物が存在していますが,それが登場人物のうち誰

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    2016年10月30日
  • 青き犠牲(いけにえ)

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    我ながら往生際が悪いと言うか、亡くなって一年半以上が経つのに、新刊情報にこの人の名前があるとついつい食指が動いていまう。

    四章からなるお話。各章が起承転結となり、短いながらも濃厚な愛憎劇となっている。ギリシャ悲劇に絡めたストーリーは二転三転し、伏線が活きてくる真相を読み終えてみるとやっぱり本格なのよね。でもそれ以上に、家族同士の心の闇を丁寧にあぶり出す心理描写が素晴らしい。この人、どうしてこんなに女性を描くのが巧いのかしら。

    今月出る新装版の短編集も多分読むんだろな。

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    2015年10月18日
  • 造花の蜜(下)

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    下巻から主人公が変わる。というか、上巻の主要人物がほとんど出てこない。誘拐事件の本当の目的。真相。どんでん返し。面白かった。
    多くの人が言ってるように最後の章は蛇足な気もする。でもこの章の橋場警部はすきかな。

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    2015年08月05日
  • 造花の蜜(上)

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    上巻の終わりまでは、気になって一気に読んでしまたのです。
    下巻になって、ちょっとくどい感じになったのですけど、過去回想→警察での真実発覚で突然の展開にビックリ!!1
    最後の蛇足的なお話は、多分物語としてのドラマ性UPなのでしょうけど、かなりの蛇足……。
    TVドラマとして見るのが面白うそうなのですね
    回収されてないフラグとか、宙ぶらりんな感じora

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    2015年08月01日
  • 隠れ菊 上

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    連城三紀彦の人間ドラマ長編。
    ある女性の波乱の半生を描いた、テレビドラマのような作品。
    連城三紀彦でなければ興味を持つことのないタイプのものだが、登場人物たちの多彩な感情が入り混じって流れるように進む展開は、著者の作風にマッチしており、飽きることなく読めた。
    大掛かりな仕掛けがあるわけではなく、若い人に受ける要素は乏しいが、脈絡がしっかりついており、長い話でも違和感や強引さがない、秀逸な大衆小説だと思う。
    3+

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    2015年07月31日
  • 美女

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    巧みに作り込まれた作品集である。技巧は舌を巻く。ただ私好みではなかった。読むがやや苦痛であった。あえて推すと『喜劇女優』がまだ良かった。

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    2015年06月22日
  • 暗色コメディ

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    ネタバレ

    タイトルがピタリとくる暗色コメディ。
    一回だと頭がこんがらがってしまって旨みを吸収しきれてない感がある。この先きっと何度か読み返してしまうだろう予感。一筋縄で行かない連城三紀彦に恍惚とした敗北感と共にどっぷりハマる。

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    2015年03月13日
  • 青き犠牲(いけにえ)

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    登場人物たちの関係図が二転三転していく展開にワクワクしましたが、ギリシャ神話のオイディプス王のエピソードが出て来た辺りから何となくオチが予想出来きてしまいました。
    また、オイディプス王は知らずにしてしまったことですし、欲情してのことだったので、本作とは背景が異なります。少々絡ませ方が強引な気がしました。

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    2015年03月09日
  • 造花の蜜(下)

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    連城三紀彦さんの本は2作目。

    被害者側に見える人が犯人だったり、犯人だと思っていた人が被害者だったり…
    ミスリードによる人物像の変化のさせ方がとても巧い。
    特に、川田の立ち位置の変わり方はすごいなあと思いました。

    スクランブル交差点や雪降る高崎駅の描写なんかも素敵です。
    鮮やかなのにくすんでいる。
    映画のワンシーンのような場面がたくさんある作品でした。

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    2015年03月05日
  • 造花の蜜(上)

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    「誘拐ミステリの最高傑作」と謳ってるけど、そこまでの感動はなし。ただ、ちょっと変わった要求だし、後半どうなるかはちょっと楽しみ。

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    2014年11月23日
  • 変調二人羽織

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    冒頭の鶴の出現は、事件への布石として見え見えだが、抒情的な演出として考えれば悪くもない。
    二人羽織のトリックが見せ場。キーワードは一人二役。

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    2014年11月23日
  • 私という名の変奏曲

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    トリックがすごいというわけではない。というより端からそこに重きを置いてなどいないのだろう。
    人物の描き方に感銘を受けた。はじめはいかにも人工的に造り上げられた登場人物の造型に戸惑いを感じたが、読み進めるうちにそれが狙いではないかとも思えた気がした。

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    2014年08月30日
  • 黄昏のベルリン

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    2014.8.3ー55
    ナチスによるユダヤ人虐殺から戦後のネオナチにより謀略と題材が興味深いものの、相変わらずの恋愛上の裏切りの二転三転は少々シツコく鬱陶しい。

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    2014年08月05日
  • 暗色コメディ

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    「もう一人の自分と夫が浮気しているところを目撃した主婦」、「飛び込み自殺するも、トラックが自分の体を通り抜けて消えてしまった体験をした画家」、「七日前に交通事故死したと女房に告げられた葬儀屋」、「妻が別人にすり替わったという妄想に取り憑かれた外科医」、奇妙なエピソードが並走し最後は一つに収束します。
    現実ではありえない事象ばかりでまともな解決は期待出来ない雰囲気でしたが、最後はきっちりと合理的に解決されていたので思わず舌を巻きました。
    ただ、ご都合主義的な展開や見え見えの犯人など、突っ込みどころが沢山あるので評価が別れる気がしました。

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    2014年07月27日