あらすじ
「ああ、そうだわ――喪服を用意しておかないと……」ふと目醒めた枕上の暗闇で、妻が口にした一言が、夫の胸に暗い疑惑を棲みつかせ、恐怖の波紋をまき起こした。妻は一体、誰の死に備えようというのか? そして死は確実に準備されて……という表題作はじめ、平凡な日常の仮面の下に隠された、戦慄の人間ドラマ7篇を収めた推理傑作集。人間心理の闇を鮮やかにえぐる戦慄の意欲作!
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Posted by ブクログ
高い叙情性とミステリの面白さの共存......って、これ何回書いたかな?
すべてを読んだわけではないが、とにかく連城三紀彦の短篇集にハズレなし!
ハルキ文庫版の『夜よ鼠たちのために』にあった『代役』『ベイ・シティに死す』『ひらかれた闇』は、こちらにも収録されている。
この三作品だけでも読む価値はあるので、興味のある方は比較的入手しやすい『密やかな喪服』はいかがだろうか。
もちろん他四篇も面白いのでおすすめ。
『白い花』
自宅療養中の書道家と物静かな家政婦。
犯人もトリックもなんとなくわかる。でも凄いのはそこじゃない。
わからなかったことが二つあった。その謎が解けるとき......
『消えた新幹線』
午後五時三十五分。
新幹線が熱海を出てまもなく、車内に突如あらわれた森の石松。
瞬間ギョッとする車掌。
刀をふりまわす浪人風の男と逃げる町娘風の女。
眼を疑るサンドイッチの売り子。
『密やかな喪服』
夜中にふと呟いた妻の一言。
「喪服を用意しておかないと......」
その言葉に次第にとらわれていく夫。そして不穏な気配。
『黒髪』
十五年ぶりの女との逢瀬。京都。ある真相。
連城三紀彦の短篇集はまだまだあるので、これからも随時読んでいく予定。
一定のクオリティを保った短篇をコンスタントに発表していた連城先生にただただ感服。
Posted by ブクログ
まぁ昔の小説です、纏っている空気も題材の扱い方も。表題作は確かに惹かれるものはありますが、例えば「開かれた闇」とかそれはないわって感じ。
かと言ってそんなに滋味深い感じを受けないし、そうなると今となっては残念ながらあんまり読まれないのかなぁという気がします、率直に言いまして。