連城三紀彦のレビュー一覧

  • 白光

    Posted by ブクログ

    思ったより面白く、イッキ読みしました。
    救いよう無さすぎて、お腹いっぱいです笑
    各人物の心情を中心に進んでいくので、思い込みをしてしまって惑わされたり、多層構造的になっていて、置いてかれないようにスタミナがいりました。
    人間の闇な部分が丸出しになってるし、何より怖いのが、殺されてるのに誰も悲しまない、演技をしているという点。
    文体も純文学を読んでいるかのような読み応えでした。

    0
    2023年06月28日
  • 処刑までの十章

    Posted by ブクログ

    丁寧な人物描写で、さすが!と思わされた一冊。
    物語が進むにつれて徐々に登場人物の立ち位置がどんどん変わっていくところが圧巻。
    凝ったトリックがあるわけでもないけど、複数の三角関係のもつれによって一気に動機とトリックが回収される終盤は特に引き込まれた。
    楽しかった!

    0
    2023年06月10日
  • 白光

    Posted by ブクログ

    皆さん言ってますが、何て救いのない話。
    幼い子供が殺されてるのに、深い悲しみなどなく互いに疑心暗鬼になりながら保身のことを考えている。
    自分が精神的に元気というか丈夫なときに読むことをお勧めします。

    0
    2023年06月01日
  • 戻り川心中

    Posted by ブクログ

    東西ミステリ第12位。人間の"想い"や"痴情"を物語のベースに据えた佳作です。あっと驚くようなトリックと言うよりも、あっと驚く動機、真実に重きが置かれています。

    この時代(大正〜昭和初期)の暗い世相を背景に"心中"や"自殺"が描かれます。今の自由な時代からすると縁遠い価値観ですが、不自由な時代の人の想いが情緒たっぷりに描かれます。

    本のタイトルの戻り川心中は少し独りよがりな気がしたけど、全部良いです。500ページ位の小説を読んでいる気分になりました。
    ☆×3.8

    0
    2023年05月12日
  • 青き犠牲(いけにえ)

    Posted by ブクログ

    彫刻家の父がいなくなり、のちに遺体で発見
    犯人はいったいという事件のお話でした
    すぐに犯人は捕まったのだがそこからが長かった
    次から次へとくつがえる事実
    ぜんぜん単純な事件ではなかったという
    この著者ならではな作品だなと感じました

    0
    2023年04月29日
  • 白光

    Posted by ブクログ

    関係者の独白で、誰が犯人か惑わされる。どれも辻褄が合っている様に思われる。世の中にはもしかしたらこんな複雑な家族も存在するのでは無いかと思わされる。で、結末でやられた〜。

    0
    2023年03月05日
  • 人間動物園<新装版>

    Posted by ブクログ

    埼玉県のとある住宅街で、交通が麻痺するほどの大雪の中、収賄疑惑のかかっている大物政治家の孫娘である幼女の誘拐事件が発生する。
    被害者宅には犯人によって盗聴器が仕掛けられ憔悴しきった幼女の母。なかなか身動き取れない警察捜査班。肝心な事を何故か言い忘れる隣人のおばさん。報道規制を掻い潜り怪しい動きを見せる新聞記者。
    一癖も二癖もある登場人物たちの心理描写で繰り広げられる事件の結末はいかに。冷静に読まないと混乱必死の多重ミステリ。

    0
    2023年02月23日
  • 黒真珠 恋愛推理レアコレクション

    Posted by ブクログ

    甘い恋愛の中に潜む憎悪と裏切り… 人の我欲と冷たい断罪が描かれる恋愛短編ミステリー #黒真珠

    ■きっと読みたくなるレビュー
    連城先生のデビュー当時から晩年まで、未単行本化であった短編七作、掌編七作の恋愛推理小説。

    昭和時代のダンディな恋愛小説で、重みと渋みのある文章で綴られています。どの作品も愛情描写よりも、人間のいやらしさや業の深さが綿密に描かれていて醜悪さが満点。

    そしていつもの通りミステリーとしても読者を楽しませてくれる仕掛けでいっぱいでした。

    ■おすすめ短編の感想
    ・黒真珠
    表題作、立場が違う女と女の闘い絵巻。
    プライドと意地のぶつかって、吐き出される妬み嫉みが見てられません。

    0
    2023年02月21日
  • 戻り川心中

    Posted by ブクログ

    花葬シリーズのうちの短編5篇。大正から昭和初期の退廃的、破滅的な世界観を持ち、推理小説と恋愛小説を見事に融合させた不朽の名作。まずは「戻り川心中」。2度の心中未遂事件で2人の女性を死なせ、その情死行を歌に遺して自害した天才歌人、苑田岳葉。その死の理由が明らかになる。そう来たかあ!太宰治の事件もそうだけど頭の中では単純化して思い込んでしまうからね。これは盲点。主役は苑田ではない。道連れにされた女たちの悲哀なのだ。しかし恋愛小説としては「藤の香」が好きだ。色街で起きる連続殺人。死体は顔を潰され身元がわからない。隣家の代書屋が疑われて…という「藤の香」。どれもトリックがしっかりした推理小説なのだ。

    0
    2023年01月28日
  • 顔のない肖像画

    Posted by ブクログ

    これはまた素晴らしい短編集であった、一つ一つに様々な趣向が凝らされていて、思うことがありすぎて、レビューにまとめることができない。安定の連城作品テイストである、まだまだ未読の作品が多い、再読も含めて読み進めていきたいと思う。

    0
    2022年12月27日
  • 白光

    Posted by ブクログ

    初作者!
    この物語に「救い」なんて、ひとかけらもない。
    というのが、カバーに書いてある。
    また、重そうな…で、既に手元に…^^;

    ハァ〜、仮面だらけや…仮面夫婦…
    そんな意地とか、プライドとかで、子供を手にかけるなよ〜!
    自分らで、決着つけたらええのに…一番弱いところにいくのが、何だかなぁ…って思う。
    親、姉妹、その旦那と色々な登場人物の内面を語りながら、進んでいくんやけど、子供死んでも、強烈な浮気されても、みんなどこか冷静な…
    ドス黒い家系というか、家族達…
    こんなとこに、住んでたら、多分、狂ってまう!
    あんたらは、人やない!鬼畜や!

    はぁ〜!ひたすら暗い…
    で、面白くないかというと面白

    0
    2022年12月12日
  • 女王(下)

    Posted by ブクログ

    連城三紀彦の長篇ミステリ作『女王〈上〉〈下〉』を読みました。
    久し振りにミステリを読みたくなったんですよね… 連城三紀彦の作品はアンソロジー作品『鉄ミス倶楽部 東海道新幹線50』に収録されていた『消えた新幹線』以来なので、約1年振りですね。

    -----story-------------
    時空を超える、連城ミステリーの傑作。

    南朝の天皇に仕えた男。
    炎の瞳をもつ古代の女王。
    謎がちりばめられたノート。

    すべてをつなぐ、唯一の答とは。

    〈上〉
    戦後生まれの荻葉史郎の中にある東京大空襲の記憶。
    だが彼を診察した精神科医・瓜木は思い出す、空襲の最中にこの男と会っていたことを。
    一方、史郎の祖

    0
    2022年11月26日
  • 女王(上)

    Posted by ブクログ

    連城三紀彦の長篇ミステリ作『女王〈上〉〈下〉』を読みました。
    久し振りにミステリを読みたくなったんですよね… 連城三紀彦の作品はアンソロジー作品『鉄ミス倶楽部 東海道新幹線50』に収録されていた『消えた新幹線』以来なので、約1年振りですね。

    -----story-------------
    時空を超える、連城ミステリーの傑作。

    南朝の天皇に仕えた男。
    炎の瞳をもつ古代の女王。
    謎がちりばめられたノート。

    すべてをつなぐ、唯一の答とは。

    〈上〉
    戦後生まれの荻葉史郎の中にある東京大空襲の記憶。
    だが彼を診察した精神科医・瓜木は思い出す、空襲の最中にこの男と会っていたことを。
    一方、史郎の祖

    0
    2022年11月26日
  • 白光

    Posted by ブクログ

    今で言う「マウンティング女子」を含めて、登場人物全てがヤバい。
    人間の裏の顔が見えてくる。
    救われない。

    0
    2022年10月30日
  • 造花の蜜(上)

    Posted by ブクログ

    父に借りました。
    著者の作品を読むのは初めて。いい作家に出会えました。

    人物、風景の描写力が独特ながらも非常に高く、また、文章構成も見事だと思いました。
    ストーリーはというと、誘拐ミステリーなのですが、
    いわゆる普通の誘拐とは趣が異なります。

    離婚後、実家に戻った女性が育てる一人息子・圭太が誘拐される。
    しかしながら積極的な身代金の請求はなく、その額も二転三転し、また身代金の受け渡し場所も渋谷のスクランブル交差点の真ん中、という変わったもの。
    圭太は無事に保護されるものの、そのからくりは驚くべきもので犯人は不明なまま。

    ここまでが上巻で描かれています。

    引き込まれるように読みました。

    0
    2022年10月14日
  • 造花の蜜(下)

    Posted by ブクログ

    面白かったです。
    上巻の続き…なのですが、ある意味別のストーリー。

    下巻の前半は、上巻で起きた誘拐事件のからくりが明かされます。
    それを語るのが犯人のうちの一人の心情と首謀者の手紙、という個人的にはあまり好きではない手法なのですが、そういった私の嗜好をもってしても面白いと思える仕上がりでした。
    独白とも言える首謀者の手紙における、感情・感性の描写の細やかさというか、繊細さというか。

    下巻の後半は舞台が仙台に移り、上巻で起きた誘拐事件そっくりの事件が起きます。
    被害者となる家庭の長女の手記によって記されるこの事件の真相が、とにかく痛快。

    事件はさっぱり解決していないのに、爽快さを覚えるから

    0
    2022年10月14日
  • 戻り川心中

    Posted by ブクログ

    各作品、花が共通項の、時代は大正から昭和初期の、連作短編集。
    最近、友人にいただいて、古いものだけど、“凄絶な滅びの美学”と、当時の帯が残っていた。凄まじく、恐ろしいという美学なのです。
    各作品、ミステリの構成ですが、犯人やトリックを追うものではありません。彼らが、何故その罪を背負う事になったのか、その動機を消し去る為に身を滅ぼしていく犯罪者への哀悼の物語。

    「戻り川心中」
    最近、坂口安吾の太宰治情死考を読んでいたので、あゝ、連城さんもそうなのか、太宰治の心中を情死とは思えていないのだろうと。
    主人公の歌人岳葉は、二度の心中事件を引き起こし、その事件を題材とした傑作歌集を完成させた後、自害す

    0
    2022年10月11日
  • 変調二人羽織

    Posted by ブクログ

    今まで読んだ連城三紀彦作品の中でも一番好みの話が揃ってたかも。依子の日記はじわじわきますね。各々の思惑や感情が同じ方向ではなく、そういった要素がさらに異常さを引き立てたと言うか。何作か読んでるのでこれでは終わらないだろうと思いながら読むのだけど、結局、さらに斜め上の結末で驚かされる。そうしたお話の構成も素晴らしいのだけど、連城作品はどれも文が濡れている。情感溢れる文学作品としても推したい。

    0
    2022年08月22日
  • 白光

    Posted by ブクログ

    様々な思いが水面下で一人の子供に集中していることが恐ろしかった。色んな感情や出来事が絡み合ってて、真実は一つって感じじゃ無い。人の数だけ真相があった。
    視点がどんどん入れ替わることで、登場人物の印象も変わっていく。他の人視点の時は嫌な人だなぁという印象だったのに、その人視点になると思ってたより悪い人じゃ無いなぁみたいな。語り手の主観に引っ張られちゃう。

    0
    2022年07月22日
  • 暗色コメディ

    Posted by ブクログ

    この小説が何十年も前の作品だということがまずおもしろさの第一点だと思う。
    精神患者たちの不可思議な物語を読み進めて行くと、あれこれ松本清張?京極さんだったっけ?思うような、物語が混戦を極めるのだが、終着点は見事に一点にまとまる。そのまとまり方がまた、松本清張とも、京極さんとも違う。連城さんならではの着地点。
    これから『ラッシュライフ』が生まれたというのは、ちょっとわからないが、人生が交差する点では同じく、改めて読み直したくなった。

    0
    2022年07月19日