連城三紀彦のレビュー一覧
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甘い恋愛の中に潜む憎悪と裏切り… 人の我欲と冷たい断罪が描かれる恋愛短編ミステリー #黒真珠
■きっと読みたくなるレビュー
連城先生のデビュー当時から晩年まで、未単行本化であった短編七作、掌編七作の恋愛推理小説。
昭和時代のダンディな恋愛小説で、重みと渋みのある文章で綴られています。どの作品も愛情描写よりも、人間のいやらしさや業の深さが綿密に描かれていて醜悪さが満点。
そしていつもの通りミステリーとしても読者を楽しませてくれる仕掛けでいっぱいでした。
■おすすめ短編の感想
・黒真珠
表題作、立場が違う女と女の闘い絵巻。
プライドと意地のぶつかって、吐き出される妬み嫉みが見てられません。 -
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花葬シリーズのうちの短編5篇。大正から昭和初期の退廃的、破滅的な世界観を持ち、推理小説と恋愛小説を見事に融合させた不朽の名作。まずは「戻り川心中」。2度の心中未遂事件で2人の女性を死なせ、その情死行を歌に遺して自害した天才歌人、苑田岳葉。その死の理由が明らかになる。そう来たかあ!太宰治の事件もそうだけど頭の中では単純化して思い込んでしまうからね。これは盲点。主役は苑田ではない。道連れにされた女たちの悲哀なのだ。しかし恋愛小説としては「藤の香」が好きだ。色街で起きる連続殺人。死体は顔を潰され身元がわからない。隣家の代書屋が疑われて…という「藤の香」。どれもトリックがしっかりした推理小説なのだ。
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初作者!
この物語に「救い」なんて、ひとかけらもない。
というのが、カバーに書いてある。
また、重そうな…で、既に手元に…^^;
ハァ〜、仮面だらけや…仮面夫婦…
そんな意地とか、プライドとかで、子供を手にかけるなよ〜!
自分らで、決着つけたらええのに…一番弱いところにいくのが、何だかなぁ…って思う。
親、姉妹、その旦那と色々な登場人物の内面を語りながら、進んでいくんやけど、子供死んでも、強烈な浮気されても、みんなどこか冷静な…
ドス黒い家系というか、家族達…
こんなとこに、住んでたら、多分、狂ってまう!
あんたらは、人やない!鬼畜や!
はぁ〜!ひたすら暗い…
で、面白くないかというと面白 -
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連城三紀彦の長篇ミステリ作『女王〈上〉〈下〉』を読みました。
久し振りにミステリを読みたくなったんですよね… 連城三紀彦の作品はアンソロジー作品『鉄ミス倶楽部 東海道新幹線50』に収録されていた『消えた新幹線』以来なので、約1年振りですね。
-----story-------------
時空を超える、連城ミステリーの傑作。
南朝の天皇に仕えた男。
炎の瞳をもつ古代の女王。
謎がちりばめられたノート。
すべてをつなぐ、唯一の答とは。
〈上〉
戦後生まれの荻葉史郎の中にある東京大空襲の記憶。
だが彼を診察した精神科医・瓜木は思い出す、空襲の最中にこの男と会っていたことを。
一方、史郎の祖 -
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連城三紀彦の長篇ミステリ作『女王〈上〉〈下〉』を読みました。
久し振りにミステリを読みたくなったんですよね… 連城三紀彦の作品はアンソロジー作品『鉄ミス倶楽部 東海道新幹線50』に収録されていた『消えた新幹線』以来なので、約1年振りですね。
-----story-------------
時空を超える、連城ミステリーの傑作。
南朝の天皇に仕えた男。
炎の瞳をもつ古代の女王。
謎がちりばめられたノート。
すべてをつなぐ、唯一の答とは。
〈上〉
戦後生まれの荻葉史郎の中にある東京大空襲の記憶。
だが彼を診察した精神科医・瓜木は思い出す、空襲の最中にこの男と会っていたことを。
一方、史郎の祖 -
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父に借りました。
著者の作品を読むのは初めて。いい作家に出会えました。
人物、風景の描写力が独特ながらも非常に高く、また、文章構成も見事だと思いました。
ストーリーはというと、誘拐ミステリーなのですが、
いわゆる普通の誘拐とは趣が異なります。
離婚後、実家に戻った女性が育てる一人息子・圭太が誘拐される。
しかしながら積極的な身代金の請求はなく、その額も二転三転し、また身代金の受け渡し場所も渋谷のスクランブル交差点の真ん中、という変わったもの。
圭太は無事に保護されるものの、そのからくりは驚くべきもので犯人は不明なまま。
ここまでが上巻で描かれています。
引き込まれるように読みました。
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Posted by ブクログ
面白かったです。
上巻の続き…なのですが、ある意味別のストーリー。
下巻の前半は、上巻で起きた誘拐事件のからくりが明かされます。
それを語るのが犯人のうちの一人の心情と首謀者の手紙、という個人的にはあまり好きではない手法なのですが、そういった私の嗜好をもってしても面白いと思える仕上がりでした。
独白とも言える首謀者の手紙における、感情・感性の描写の細やかさというか、繊細さというか。
下巻の後半は舞台が仙台に移り、上巻で起きた誘拐事件そっくりの事件が起きます。
被害者となる家庭の長女の手記によって記されるこの事件の真相が、とにかく痛快。
事件はさっぱり解決していないのに、爽快さを覚えるから -
Posted by ブクログ
各作品、花が共通項の、時代は大正から昭和初期の、連作短編集。
最近、友人にいただいて、古いものだけど、“凄絶な滅びの美学”と、当時の帯が残っていた。凄まじく、恐ろしいという美学なのです。
各作品、ミステリの構成ですが、犯人やトリックを追うものではありません。彼らが、何故その罪を背負う事になったのか、その動機を消し去る為に身を滅ぼしていく犯罪者への哀悼の物語。
「戻り川心中」
最近、坂口安吾の太宰治情死考を読んでいたので、あゝ、連城さんもそうなのか、太宰治の心中を情死とは思えていないのだろうと。
主人公の歌人岳葉は、二度の心中事件を引き起こし、その事件を題材とした傑作歌集を完成させた後、自害す