連城三紀彦のレビュー一覧
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ネタバレどんでん返し短編集。
『瀆された目』
『美しい針』
『路上の闇』
『ぼくを見つけて』
『夜のもうひとつの顔』
『孤独な関係』
『顔のない肖像画』
最初の二作が生々しすぎてきつくて、全部読めるかなと不安になったけど、『路上の闇』以降は楽しく読めた。
『ぼくを見つけて』と『顔のない肖像画』が好きかな。
なんていうか恋愛とミステリというとやたら不倫とか生々しい情事とかが出てきがちで、そういうのは苦手なんだよな…。連城作品を読み進められるか心配になるのはこういうところ。カマトトみたいで我ながら嫌なんだけど、男性視点の生々しい欲望みたいなの描写されるとゾッとしちゃうんだよな。 -
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どのお話もただ美しい純愛としてだけ了解できるものにはなっておらず、濃淡の違いはあれど底の方にエゴの奔流が流れている。いくつかの事実の断片を手がかりに事件の真相を解き明かすにつれ、そのどす黒い流れが垣間見える仕掛けになっている。そして、偽善であろうと自己満足であろうと情は情であり、純粋なエゴイズムであるがゆえに美しく見えることもある。
個々のエピソードについて話すなら、2つ目の「桔梗の宿」が1番よかった。この話も広義には恋愛をテーマにした短編ではあるが、それらは自由恋愛ではなく、他にすべもなくただ生存本能として選びとらざるをえない恋愛だ。他の恋愛小説のように華々しくなく、重苦しく切実なものだ。花が、そこがどんな荒れた土地であっても自分では咲く場所を選ぶことができずただ種の落とされた地に根を張り芽を出すことしかできないように、花町という土地に、しいてはその時代の日本に生まれついてしまったがゆえの美しさなのだ。愛は美しいが、この物語を美しいと感じてしまう読み手の私のうちにもエゴイズムがある。荒れ野の花はそこが荒れ野であるが故に際立ち人の目には美しく見えるが、初めからそんなところに咲くべきではない。 -
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甘い恋愛の中に潜む憎悪と裏切り… 人の我欲と冷たい断罪が描かれる恋愛短編ミステリー #黒真珠
■きっと読みたくなるレビュー
連城先生のデビュー当時から晩年まで、未単行本化であった短編七作、掌編七作の恋愛推理小説。
昭和時代のダンディな恋愛小説で、重みと渋みのある文章で綴られています。どの作品も愛情描写よりも、人間のいやらしさや業の深さが綿密に描かれていて醜悪さが満点。
そしていつもの通りミステリーとしても読者を楽しませてくれる仕掛けでいっぱいでした。
■おすすめ短編の感想
・黒真珠
表題作、立場が違う女と女の闘い絵巻。
プライドと意地のぶつかって、吐き出される妬み嫉みが見てられません。でも見ちゃう。最後の一文がカッコよくも、今までの自身への後悔をも表していて只々悲しい。
・裁かれる女
ど真ん中の恋愛ミステリー。弁護士と女の舌戦が見事、捻り具合も素晴らしい。
・紫の車
愛憎まみれる人間の性まるだしの物語。人の本音を知るのは難しい…
・ひとつ蘭、紙の別れ
二つの連作短編、面白い!
主人公である女性柚子が、禁断の恋愛による人生が丸ごと描かれていく。
渦に巻き込まれる落ち葉のごとく翻弄されていくが、女性の静かで強い生きざまが渋い。反して男性の甘えと弱さがあまりにも幼稚で、自身をも顧みて恥ずかしくなりました。
・花のない葉
女学生時代の友人からの施しを巡る掌編。
終盤のセリフがこれまで歩んできた道を辛辣に表現されており痺れました。
・白い言葉
夫婦の出会いと家族の物語、素敵すぎる掌編。
種明かしから最後の文章までの心地よさが大好きでした。
■推しポイント
いつの頃からか、毒々しい大人の恋愛ドラマがテレビで見られなくなりました。そして芸能人が不倫なんかしたら、もはや犯罪者のように袋叩きにされています。
本書で語られるような物語も、現実なら決して褒められたことではありません。ただ人のことを好きになるということは、間違いなく生きる希望にはなっているのです。
人を愛することは自体は純粋で美しい。 -
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花葬シリーズのうちの短編5篇。大正から昭和初期の退廃的、破滅的な世界観を持ち、推理小説と恋愛小説を見事に融合させた不朽の名作。まずは「戻り川心中」。2度の心中未遂事件で2人の女性を死なせ、その情死行を歌に遺して自害した天才歌人、苑田岳葉。その死の理由が明らかになる。そう来たかあ!太宰治の事件もそうだけど頭の中では単純化して思い込んでしまうからね。これは盲点。主役は苑田ではない。道連れにされた女たちの悲哀なのだ。しかし恋愛小説としては「藤の香」が好きだ。色街で起きる連続殺人。死体は顔を潰され身元がわからない。隣家の代書屋が疑われて…という「藤の香」。どれもトリックがしっかりした推理小説なのだ。
これらの小説では主役は花である。華やかに咲き儚く散る花を犯人や被害者と重ねて描く。そして人の命よりも大切なものに焦点が当てられる。命より大切なもの…こういう感覚が好きですね。
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初作者!
この物語に「救い」なんて、ひとかけらもない。
というのが、カバーに書いてある。
また、重そうな…で、既に手元に…^^;
ハァ〜、仮面だらけや…仮面夫婦…
そんな意地とか、プライドとかで、子供を手にかけるなよ〜!
自分らで、決着つけたらええのに…一番弱いところにいくのが、何だかなぁ…って思う。
親、姉妹、その旦那と色々な登場人物の内面を語りながら、進んでいくんやけど、子供死んでも、強烈な浮気されても、みんなどこか冷静な…
ドス黒い家系というか、家族達…
こんなとこに、住んでたら、多分、狂ってまう!
あんたらは、人やない!鬼畜や!
はぁ〜!ひたすら暗い…
で、面白くないかというと面白い…
私もそんなドロドロの裏側を持ってる?
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連城三紀彦の長篇ミステリ作『女王〈上〉〈下〉』を読みました。
久し振りにミステリを読みたくなったんですよね… 連城三紀彦の作品はアンソロジー作品『鉄ミス倶楽部 東海道新幹線50』に収録されていた『消えた新幹線』以来なので、約1年振りですね。
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時空を超える、連城ミステリーの傑作。
南朝の天皇に仕えた男。
炎の瞳をもつ古代の女王。
謎がちりばめられたノート。
すべてをつなぐ、唯一の答とは。
〈上〉
戦後生まれの荻葉史郎の中にある東京大空襲の記憶。
だが彼を診察した精神科医・瓜木は思い出す、空襲の最中にこの男と会っていたことを。
一方、史郎の祖父・祇介は、大晦日の夜にかかってきた一本の電話を受け、急遽旅に出た後、遺体となって発見された。
邪馬台国研究に生涯を捧げた古代史研究家であった祇介が、吉野へ向かい若狭で死んだのはなぜなのか。
瓜木は史郎と彼の妻・加奈子とともに奇妙な記憶と不審な死の真相を探る旅に出た。
〈下〉
代史研究家であった妻、加奈子から、父の日記を手渡された荻葉史郎。
父の春生は「自分はまちがいなく南北朝の末期にも生きていた」と記し、また、燃えさかる炎のような瞳をもつ女王、卑弥呼のもとにいたことをも詳細に記録していた。
壮大な歴史の渦に呑み込まれた父と息子の軌跡を描く、連城ミステリーの精華。
巻末に連城三紀彦「最後のインタビュー」も収録。
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1998年(平成10年)に講談社発行の月刊小説誌『小説現代』に連載され、著者の死後の2014年(平成26年)に刊行された作品です。
■序章
■一章
■二章
■三章
■終章
■解説 香山二三郎
■特別収録〈対談〉
「連城三紀彦の素顔と『女王』の魅力」 田中芳樹×香山二三郎
■特別収録〈最後のインタビュー「わが人生最高の10冊」〉
「男と女の物語」に魅せられた作家生活 連城三紀彦
戦後生まれの荻葉史郎の中にある東京大空襲の記憶… だが彼を診察した精神科医・瓜木は思い出す、空襲の最中にこの男と出会っていたことを、、、
一方、史郎の祖父・祇介は旅先で遺体となって発見された… 邪馬台国研究に生涯を捧げた学者の祖父は、なぜ吉野へ向かい、若狭で死んだのか? 瓜木は史郎と彼の妻・加奈子と共に奇妙な記憶と不審な死の真相を探る旅へ。
だが彼らに立ちはだかったのは、魏志倭人伝に秘められた邪馬台国の謎!?
東京大空襲、関東大震災、南北朝時代、そして邪馬台国… ある男の奇妙な記憶と、女の告白、ひとりの老人の不審死が壮大な歴史の謎へと導く、、、
衝撃の展開、男女の情愛…… 連城ミステリのすべてが織り込まれた傑作!
この物語は読者をどこへ連れて行くんだろう!? と感じさせる序章が印象に残りましたねー 邪馬台国(卑弥呼)、南北朝、関東大震災、東京大空襲、そして現代と、時を超えた歴史ミステリでしたね、、、
タイムトラベルが出てくるSF作品になっちゃうんじゃないかと思わせるような序盤の展開からは想像できない合理的な答えが導かれるミステリ作品… 『魏志倭人伝』に記された邪馬台国の所在地(九州説or畿内説)や「水行十日陸行一月」という邪馬台国への距離についての著者なりの答えも用意されており、歴史好きにも堪らない作品に仕上がっていると思いますね。
ミステリであり、邪馬台国に憑かれた者たちの妄執なドラマであり、男女の情念を描いた物語でした、、、
そして『特別収録〈最後のインタビュー「わが人生最高の10冊」〉 「男と女の物語」に魅せられた作家生活 連城三紀彦』に紹介されていた作品も気になりました… ほとんどが読んだことのない作品なので、機会があれば読んでみたいです。
<連城三紀彦のベスト10>
1位 『ローマの女』 アルベルト・モラヴィア
2位 『一年ののち』 サガン
3位 『棺の花・那智滝情死考』 水上勉
4位 『モデラート・カンタービレ』 マルグリット・デュラス
5位 『花影』 大岡昇平
6位 『寝台車の殺人者』 セバスチアン・ジャプリゾ
7位 『射程』 井上靖
8位 『美は乱調にあり』 瀬戸内寂聴
9位 『野生の棕櫚』 フォークナー
10位 『美しさと哀しみと』 川端康成
<最近読んだ一冊>
『十角館の殺人』 綾辻行人