連城三紀彦のレビュー一覧

  • 敗北への凱旋

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    ネタバレ

    解かれた暗号が暗示する、空前絶後の殺人事件。これはすごいや。筋の運びは偶然だよりが過ぎる気もするが、その分、メインプロットの展開には無駄がない。なんというか鮮やか。

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    2021年02月27日
  • 戻り川心中

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    <花葬シリーズ>と銘打たれた短編集。連城氏の紡ぐ文章の美しさは当然知っていたものの、大正という前時代の日陰を生きる登場人物達の姿と相まって、無常感がより一層際立っている。全編【悲恋】がテーマで、前半三作品は思わず『切ないなぁ…』と口に出してしまった程。型破りなトリックが違和感なく溶け込む舞台設定を作り上げる構成力には思わず感服。トリッキーな表題作が成立し得るのも世界観の積み上げあってこそ。それ故に書き込みが不十分な「白蓮の寺」は奇抜さの方が目に付いてしまった。年明け早々凄い作品を読めて幸先良いスタート。

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    2021年01月03日
  • 戻り川心中

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    ミステリーを楽しむぞ〜ってより、各話の情景描写を味わう1冊だった。
    というか、こういう文学的な話は読み慣れてないので、雰囲気を噛みしめるので、手一杯だった⤵︎ ︎。
    私的なヒットは、藤の香
    次点で桔梗の宿と戻り川心中かな

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    2020年10月13日
  • 白光

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    昔から大嫌いだった妹の、四歳の娘が殺され庭に埋められた。
    痴呆の義父と二人きりで留守番している時だった。
    身勝手な大人の事情に巻き込まれ、殺されてしまった直子があまりに不憫だった。
    それぞれの視点から、殺害のきっかけになるような闇が出てきて、最後にはどれが真実なのか疑心暗鬼になってしまう程。
    以前から気になっていた作家さん。
    古本屋でいくつか購入したので次の作品も楽しみになった。

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    2020年09月10日
  • 黄昏のベルリン

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    ネタバレ

    注!思いっきり内容に触れています



    途中までは、これは今まで読んだ連城三紀彦の中で一番! 間違いなく★5つ!と思っていたんだけどなー。
    なぜか後半、真相が明らかになってきた辺りから、急にイマイチっぽくなっていく。
    特に、最後でのブルーノと青木の関わりの展開が、丸っきり見えてしまうのはなー。
    よって、★は4つ(他の連城三紀彦の本との兼ね合いがなかったら、もしかしたら3つにしたかもw)

    後半辺りからイマイチになってしまうのには、その辺りから話のスケールがなぜか小さくなってしまうように感じるところにもあると思う。
    導入部のリオデジャネイロから、ニューヨーク、東京、東西のベルリン、パリ、そして、

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    2020年08月02日
  • わずか一しずくの血

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    ネタバレ

    注!思いっきりネタバレしてますw






    『敗北への凱旋』の内容に辟易して、連城三紀彦ファンはやめた……
    つもりだったんだけど、本屋で見たら、無性に読んでみたくなって。またファンになることにした。
    読者なんて、いい加減なもんだ(爆)

    約10ヵ月ぶりの連城三紀彦は、読み始め、なんだか読みにくい。
    “一年以上前に失踪した妻から電話がかかってきて、「自分がテレビに出ているから」と言うので見ると。
    白骨化した左足が発見された”とか。“やがて全国各地で女性の体の一部が見つかり”なんて、裏表紙の内容紹介に、やたら「そそる」ことが書いてあるのになぁーw

    ま、それは著者独特の、わかったよーな、わかんな

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    2020年08月02日
  • 戻り川心中

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    皆さまが感想を書かれているように、文学作品であり、ミステリーである珍しい作品だと思いました。

    文学っぽくはあるけどミステリー色が強いものは多いけど、ここまでバランスがとれているのは、この作品ならでは。

    全体的に暗い時代背景のため、本や文字自体も寂しい雰囲気が漂っていて、元気がない時に読むのは、やや危険な気もする。
    心が、もっていかれそう。

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    2020年07月01日
  • 宵待草夜情

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    先日の読書会で紹介して貰った、はじめての直木賞作家連城三紀彦さん。ミステリー短編集。時代は明治、大正、昭和、舞台は能、新劇、カフェ、クラブ。ちょっとダークな男と女の情に引き込まれました。

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    2020年02月22日
  • 女王(下)

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    連城三紀彦は短編がいいという人が多いように思うが、自分としては連城三紀彦の長編にある、独特の何とも言えない読みにくさに妙な魅力を感じている。
    そのアクの魅力ときたら、『戻り川心中』でさえ、何か物足りない気持ちにさせるほどだ。

    あと、連城三紀彦というと、文章が美しいみたいに言われるけど、自分はあまりそう思わないんだよなぁ~w
    確かに、最近は、とにかく文章を短くブツ切りにして、とにかく読みやすい(読みやすすぎる?)文章の小説が多いんで。それと比べると、著者の個性やこだわりが感じられるところはいいと思うんだけど、ただ、それにしても飾りすぎてないかい?とw
    特に、この『女王』は所々、表現が凝りすぎち

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    2019年08月03日
  • 連城三紀彦 レジェンド2 傑作ミステリー集

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    僕を見つけて
    誘拐されたと自分で通報した少年

    菊の塵
    明治四十二年元軍人自害の謎

    ゴースト・トレイン
    雑誌の企画で赤川次郎の幽霊列車の続編として連城三紀彦が書いた短編

    白蘭
    戦後の大阪芸人

    他人たち
    他人のような家族

    夜の自画像
    一枚の絵の真実

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    2019年07月16日
  • 顔のない肖像画

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    「夜よ鼠たちのために」と双璧を成す短編ミステリ。反転に次ぐ反転は、構図が見えやすい嫌いもあるが、「孤独な関係」はそれを逆手にとった結末で、新鮮な読後感がある。そして表題作は、アカデミー賞作品と言われても違和感がない程で、1人の人生が描きこまれていた。

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    2019年04月30日
  • 美女

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    読み始めた瞬間から、連城世界に思い切り引き込まれる。
    男と女の、妻と夫の駆け引き、欺し合い。
    風景がきれいに反転する。
    この快感があるから、連城作品から離れられないのだ。

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    2018年06月05日
  • 造花の蜜(下)

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    これまでに経験したことのないトリック。
    二重の誘拐とか、さらにもう一つ誘拐が掛かっていたり、
    どうしたらこんなことを考え付くのか。
    蜂の比喩など、表現も秀逸。
    でも、2件目の話はどうなのだ?プロット、トリックとしては必要ありなのかもしれないが、
    この話の山場はすでに終わっている。あそこで終わっていても良いのでは?
    詰め込んだなという感じ。

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    2018年04月23日
  • 連城三紀彦 レジェンド2 傑作ミステリー集

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    ミステリーにそんなに興味はないのだけど、「日本語が美しい」と方々から噂に聞く連城三紀彦氏。飛行機移動のおともに、さくっと読めそうな短編をチョイス。

    噂に違わぬ美しい日本語!美しすぎて、読んでいる間めっちゃ幸せだった。私もこういう日本語を使える人になりたい…
    「ゴースト・トレイン」と「白蘭」がよかった。「他人たち」もよかったけど、いやそんな風にならんやろ!と心の片隅で思ってしまったので…短編でミステリーって、すごく難しいんだろうと思うけど、すべてがおさまりの良い仕上がり。趣の違うミステリー短編を多数生み出している作家さんなんだな、というのを改めて認識。

    1作目と比較すると、恋愛小説的な要素の

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    2018年04月01日
  • 少女

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    官能小説、少女売春、旅先でのセックス経験、不能の夫に代わって妻とセックスする話、夫婦交換と、セックスに関係した短編五作で、作中にはセックスに関する描写が多い。「少女」と「盗まれた情事」がお勧め。

    「熱い闇」
    週刊誌編集者の由紀は、官能小説家の上原の担当をしているが、自分と青木との間での情事と瓜二つの内容がその原稿に執筆されている謎。それなりに合理的な説明がなされるものの、そのような行動を取った登場人物の心情はいささか理解しがたい。

    「少女」
    家賃の支払いに使った紙幣の通し番号から、郵便局の強盗犯人と疑われる主人公。その金は、買春した少女の財布から盗んだものだが、その少女が警察に対して買春も

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    2017年12月30日
  • 連城三紀彦 レジェンド2 傑作ミステリー集

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    連城氏を敬愛する4人のミステリ作家が選んだ傑作短篇集の第2弾。
    第1弾は逆転の構図に驚いたり唸らされた作品が多かったが、今回は氏の才能の幅広さを感じさせる作品集になっていた。驚きは若干減ったが、その分シブい。そして憎いほど巧い。ミステリも文学なんだなあと改めて思った。

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    2017年11月15日
  • 宵待草夜情

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    二人の人物の関係性に焦点を当てた作品集で、いずれも騙し絵のように、見た目とは裏腹の真相が判明する。

    「能師の妻」
    能楽師藤生信雅の死の直前に正妻となった篠と、前妻の子である貢との心理的・肉体的葛藤を描いた物語。技量は秀でているが心が伴わぬ貢がどのようにして「井筒」を見事に舞うことができたのか、貢の遺体の一部だけがなぜ離れた場所に埋められていたのか、といったミステリー要素を持っている。

    「野辺の露」
    妾を作った夫暁一郎に裏切られた妻杉乃と、杉乃に同情した義弟順吉との道ならぬ恋の顛末を描いた物語。
    二人の間にできた不貞の子暁介が暁一郎にいじめられていることを知って順吉が悩み苦しむ、そういう話だ

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    2017年10月09日
  • 嘘は罪

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    「浮気」がテーマの短編集。男と女の騙し合い。第1話はちょっと面白かったけれど、だんだん飽きてきてしまった。浮気の原因なんてだいたい一緒。そこにちょっとしたトリックがあったところで、ええ!びっくり!ってすることもない。奥行きがないんだな。ミステリーとは言いづらいな。物騒だけれど殺人など犯罪が絡んだ方が、読みものとしてはぐっと面白くなる。ハラハラドキドキもあるし。浮気がばれる、ばれないなんて瑣末すぎちゃって。各話のタイトルがしりとりになっているのはお洒落。軽く書いたのかなー連城さん。やっぱ花葬シリーズが一番。

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    2017年07月26日
  • 夕萩心中

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    花葬三作の淫靡な美しさに酔いしれ、その余韻を残しつつ「陽だまり課事件簿」に突入したときのあり得ない衝撃。六助さんの××さに立ちくらむ。滑稽ミステリーで、今までお目にかかった連城氏の作風と全然違う面白さはわかるんだけれど、とにかく六助がもう気持ち悪くて。リアル鳥肌が立ってしまった。三話目でなんとか全うな六助になっていったから少し安心したけれど、辛かった。そんなこんなでしっとりとした美しい世界観を有する花葬三作への私の想いはすっとび遥か彼方へ。どうして、花葬の後に持ってきたのさ。せめて逆でしょ。嗚呼、無慈悲。

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    2017年07月23日
  • 夕萩心中

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    連城作品はどれも素晴らしいが、
    やっぱり花葬シリーズのクオリティは
    頭一つ抜けてる。
    美しい筆致と引き込まれる物語。
    おまけに予想外のオチまで
    用意されている。
    ずっと読み続けていたい作品だった。
    残念ながらこの3編で花葬シリーズは
    全て読み終えた事になる。残念。

    取って付けたように余白を埋めた
    陽だまり課事件簿という連作短編は、
    前の3編とあまりに雰囲気が異なり、
    一冊に収録されるのは
    ちょっと無理があるように感じた。
    この連作短編もユーモラスで
    面白いのは間違いないのだけど。

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    2017年06月11日