連城三紀彦のレビュー一覧
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ネタバレからみあう愛と憎悪、そしてあなたもだまされてしまう。
予期せぬ結末が待つ12の物語。
■夏の最後の薔薇(1997.1)
■薔薇色の噓(1997.4)
■噓は罪(1997.6)
■罪な夫婦(1997.10)
■夫婦未満(1997.12)
■満天の星(1998.2)
■星くず(1998.11)
■くずれた鍵(1999.1)
■鍵孔の光(1999.3)
■仮橋(1996.9)
■走り雨(1999.11)
■雨だれを弾く夏(2000.8)
12編すべてが「浮気」をテーマに男女の様々な人間関係を描いている。
印象に残った作品は『噓は罪』だろうか。
三人称と一人称と織り交ぜながら、ラスト3ページは急転 -
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ネタバレ恋愛小説をあまり読まない私には、連城さんは縁がない作家さんだと思っていました。表題作の『恋文』を読んだら「やられたー!まずいなぁ」と思いました。いいじゃないですか、とっても。女心も男心も共感せずにはいられません。いや、本当はダメな男は好きではありません(苦笑)が、ヒロインの女性にしてみれば、そんなところもほっとけなくて愛しいのではないだろうかと思うわけです。
『紅き唇』も好きです。
この短編集に登場するのはどちらかというとダメ男さんが多いですが、女性は気が強いタイプが多いですね(笑)
物語が美しいというか情緒的というか、連城さんの恋愛小説は絶品ですね。(この本しか読んでいないですけど^^; ) -
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高い叙情性とミステリの面白さの共存......って、これ何回書いたかな?
すべてを読んだわけではないが、とにかく連城三紀彦の短篇集にハズレなし!
ハルキ文庫版の『夜よ鼠たちのために』にあった『代役』『ベイ・シティに死す』『ひらかれた闇』は、こちらにも収録されている。
この三作品だけでも読む価値はあるので、興味のある方は比較的入手しやすい『密やかな喪服』はいかがだろうか。
もちろん他四篇も面白いのでおすすめ。
『白い花』
自宅療養中の書道家と物静かな家政婦。
犯人もトリックもなんとなくわかる。でも凄いのはそこじゃない。
わからなかったことが二つあった。その謎が解けるとき......
『消え -
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作者が本人の体験を描いたのではないかと勘繰らせる文脈を挿入し、メタ的な構造を挿入した実験作。(実際にはそうすることによって効果を狙った、私小説を装ったフィクションなのではないかと思われる)
個人的にメタフィクションというものが苦手なのだけれど、それを脇におけば、本筋が非常に面白かった。同性愛を扱っているのだけれど、愛憎模様というか、すれちがい&憎しみ愛的なものに「滾る!」となる人にはオススメしたい。
連城三紀彦の恋愛小説に漂う陰のある色気というか、エロスというか、そういう空気感は非常に魅力的だと思うのだけれど、しかし今回、一か所だけ性描写にものすごくエグい表現があってドン引きした……ドン -
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ネタバレ著者連城氏の処女作『変調二人羽織』を含む5編の短編集。
三津田信三氏が著作『忌館』の中で登場人物(雑誌編集者)に述べさせていた連城氏に対する評価があるが、「変調二人羽織」の書き出しにそれが凝縮されていると思う。
誤って薄墨でも滴り落ちたかのようにゆっくり夜へと滲み始めた空を、その鶴は、寒風に揺れる一片の雪にも似て、白く、柔らかく、然しあくまで潔癖なひと筋の直線をひきながら、やがて何処へともなく飛び去ったのだと言う
なんと美しく流麗に日本語を駆使する作家さんなのだろうか、そして本格の名に恥じないプロット、伏線の回収、読後感。短編に関していえば、淡坂妻夫氏と連城氏が個人的東西横綱である