連城三紀彦のレビュー一覧

  • 隠れ菊 下
    大きな波が次々に襲いかかるが切り抜けていく。彼女の持ち味は敵を味方につけるところか。夫婦とは不可思議なものだとも思った。面白かった。
  • 恋文・私の叔父さん
    『私の叔父さん』が一番好き。
    「大人ってのは、嘘をつけることだ」
    「本当のことでも言ってはいけないことなら口に出さない人のことだ」
    「十九年前、俺も夕季子も真実の気持ちを全部嘘にしたのなら、今この嘘を全部真実にしてやる」
    5枚の写真が語った言葉を知った瞬間は震えた。
    解説で、この本はミステリーだと言...続きを読む
  • 造花の蜜(下)
    後半。主人公からして変わってしまってて、同じ事件を扱っているんだけど、別の視点から綴られた新しい物語、って感もあり。前半の主人公、後半には全く登場しないし。何も起こらなかったはずの事件の裏で起きていた大問題とか、その後に引き続いて巻き起こる、一連のものとも思える事件とか、展開が目まぐるしく変わるけど...続きを読む
  • 造花の蜜(上)
    今のところ、誰も死なないどころか、誰も損すらしていない。でも実際には、2つの誘拐事件が同時に発生したことになっている。下巻で解き明かされるであろう謎に期待大です。
  • 造花の蜜(下)
    たどり着いたように思えた真実が見る角度によってまるで違う様相を呈したもう一つの真実を浮かび上がらせる。
    一体どうやってこんな途方も無い物語を考えついたのか。

    すごいなーと思うけどただそんなに好みの話ではなかったです。
  • 恋文・私の叔父さん
    恋愛の美しい部分だけを切り取ったような短編集。
    恋愛における「嘘」が軸になり、どれも切ない余韻を残す作品となっています。
    自分のためであれ、相手のためであれ、恋愛を取り巻く嘘はどれも哀しすぎる。

    「恋文」
    登場人物の誰もが少しずつ欠落した部分を持っていてそのちょっとずつの見栄とか同情とか強がりとか...続きを読む
  • 恋文・私の叔父さん
    直木賞を受賞した短編集です。全5編で、どの作品も男と女の人生が描かれています。有名なのは、表題作『恋文』と『私の叔父さん』でしょうか。
    私は恋愛に関する小説というものが苦手で、これまであまり読んでいません。なぜ苦手なのか考えてみると、なんとなく馬鹿馬鹿しいというか、そのような印象を受けるのです。
    ...続きを読む
  • 嘘は罪
    一編20頁ほどの短編。タイトルがしりとりになっている。(「薔薇色の嘘」→「嘘は罪」みたいに。)何れもほんの少しの擦れ違いから別々の道を歩むことになった男女のついての短編なんだけど、よくいう、女ってよくわからん、のわからんを素敵に解説してくれているような作品ばかり。怨念を募らせて惨酷な行為に至るという...続きを読む
  • 造花の蜜(下)
    シングルマザーの子どもが誘拐された。その真相が明らかになるにつれ、物語が劇的に変化していく作品でした。最終的にはただ唖然しました。
    連城作品をかじり始めて5作目くらいですが、叙述がきれいだなと思います。きれいなのに魅力的というか、魅惑的というか、、、。
    今まで読んだことのない手法の本であり、賛否はあ...続きを読む
  • 変調二人羽織
    変調二人羽織
    ある東京の扉
    六花の印
    メビウスの環
    依子の日記

    依子の日記 が心に残りました。
  • 嘘は罪
    からみあう愛と憎悪、そしてあなたもだまされてしまう。
    予期せぬ結末が待つ12の物語。

    ■夏の最後の薔薇(1997.1)
    ■薔薇色の噓(1997.4)
    ■噓は罪(1997.6)
    ■罪な夫婦(1997.10)
    ■夫婦未満(1997.12)
    ■満天の星(1998.2)
    ■星くず(1998.11)
    ■くず...続きを読む
  • 恋文・私の叔父さん
    恋愛小説をあまり読まない私には、連城さんは縁がない作家さんだと思っていました。表題作の『恋文』を読んだら「やられたー!まずいなぁ」と思いました。いいじゃないですか、とっても。女心も男心も共感せずにはいられません。いや、本当はダメな男は好きではありません(苦笑)が、ヒロインの女性にしてみれば、そんなと...続きを読む
  • 造花の蜜(下)
    【生きた花は枯れ、造られた花は蜜を零す】

    二重三重に張られた伏線に気づいたら絡め取られ、終わったときにぽかんと口を開けている事しかできない。

    まず、主人公は誰か?
    犯人は誰か?

    まったくわからないまま終わってしまった。
    最後読み終わっても読後の安堵があるのに、どんな話だったのか上手く想像できな...続きを読む
  • 私という名の変奏曲
    連城氏ならではというか、流石というか。
    こまやかなトリックというわけではないけど、流れのテンポがいいのでワクワクしながらアッという間に読んでしまった。最初は「僕が殺しました×7」的な展開になるのかと思ったんだけど、裏切られたー!!面白い!
  • 密やかな喪服
    高い叙情性とミステリの面白さの共存......って、これ何回書いたかな?
    すべてを読んだわけではないが、とにかく連城三紀彦の短篇集にハズレなし!

    ハルキ文庫版の『夜よ鼠たちのために』にあった『代役』『ベイ・シティに死す』『ひらかれた闇』は、こちらにも収録されている。
    この三作品だけでも読む価値はあ...続きを読む
  • 変調二人羽織
    「変調二人羽織」と「依子の日記」がよかった。
    つまらぬ男のエゴに翻弄される「依子」が崩壊していく様がなんとも悲哀的。どんでん返しの嵐のため、終着点が読めないのが面白い。
  • 白光
    意表を突くミステリーで「救いなき物語」とあるように、やるせない気分になりました。
    ある家で幼い少女が殺された事件。真相は最後の最後しかわからないのだけれど、彼女に関わる家族の誰もが彼女がいなくなることを望んでいたとは、あまりに悲し過ぎます。
    驚くストーリーの仕掛けに一気に読んでしまったけれど、嫉妬や...続きを読む
  • ため息の時間
     作者が本人の体験を描いたのではないかと勘繰らせる文脈を挿入し、メタ的な構造を挿入した実験作。(実際にはそうすることによって効果を狙った、私小説を装ったフィクションなのではないかと思われる)
     個人的にメタフィクションというものが苦手なのだけれど、それを脇におけば、本筋が非常に面白かった。同性愛を扱...続きを読む
  • 黄昏のベルリン
    冷戦時のベルリンの壁を舞台とした国際謀略小説というところでしょうか。いくつかのエピソードが除々にひとつに収斂していタイプの作品です。突拍子のない物語なのですが、単なる絵空事に終わらなせないところが良いですね。
  • 恋文・私の叔父さん
    この作者のどの話も映像化しやすそう。(実際いくつか映画化されてる)
    男性目線(しかも年配)で女を描くとこんなふうになるのか〜。
    (良い意味でね)