連城三紀彦のレビュー一覧

  • 宵待草夜情

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    「戻り川心中」で美しい文章とミステリの両立に受けた衝撃再び
    繊細な文章、そしてそれによって作られる世界観が美しくて、その美しさに浸りたくて読み返しちゃう

    中でも「書きたい人のためのミステリ入門」で読書会として取り上げられていた「花虐の賦」の鮮やかさはさすが

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    2021年10月11日
  • 恋文・私の叔父さん

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    今まで読んだ著者の作品には、『恋文』に出てくるような女を振り回す身勝手な男ばかり出てきてたけど、なぜか憎めない。その身勝手を許して受け入れてしまう気持ちがわかってしまう。
    『紅き唇』のタヅさんの想いが切ない。
    『私の叔父さん』が一番好きかな。

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    2021年05月11日
  • 恋文・私の叔父さん

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    とにかく文章が美しい。気障な表現や難しい言葉を使っているわけではないのに、なんでこんなにも心に響くのだろう。極限まで美しいものを見たとき、人は言葉をなくすというけれど、それにプラス涙も出ることをこの小説を読んで知った。
    今世では経験することができない、風情のある男女の話。
    意地っ張りで不器用だけど、とても愛おしい。
    5作品すべて好きだけど、私の叔父さんは号泣した。
    永遠のような時間をありがとうございました。

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    2021年03月30日
  • 戻り川心中

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    ネタバレ

    大正・昭和の男と女を優美な花が彩るミステリー短編集。

    どの物語も真実に近づいていくのが心地よく、ただ流れに身を任せて楽しんだ。
    短編であるということを忘れるほど濃厚で没入してしまう。匂い立つ花の余韻を噛み締めながら、ずっと浸っていたい美しさ。
    粋で情緒のある物語世界を堪能した。

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    2020年12月19日
  • 戻り川心中

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    ずっと気になっていた作家の本。
    とにかく「美しい」という評価がついていたけど、その通り。
    こんなに美しい文体の推理小説は読んだことない。
    ミステリーとしても極上。あっと驚く展開で引き込まれる。
    読み終わるたびにため息をついてしまう。

    一番好きなのは「桔梗の宿」
    暴かれる真実のあまりの美しさに、最後だけ何回も読み直してしまった。

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    2020年05月22日
  • 造花の蜜(下)

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    美しい。
    文章が、トリックが、感情描写が。
    犯人は、最初は色仕掛けで共犯者を操ったかのように書かれていたけど、第2の事件では違うことが分かる。
    そういうのを超越した魅力が、この犯人にはある。
    ただ事件が起こって、犯人を推理するだけじゃない面白さが、ミステリなんだけどその枠を軽く越える。
    登場人物みんなが癖があって、面白い。

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    2020年02月15日
  • 宵待草夜情

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    連城ATB1位「花虐の賦」収録
     「戻り川心中」と並ぶ最高傑作集。男女の色恋を繊細かつ緻密に描き、複雑に絡み合う美しき反転の数々で読者を魅了する。「花虐の賦」はまさに至極の一作。「戻り川心中」をも凌駕する驚愕の動機と、鴇子の生き様に強く心を突き動かされる。「未完の盛装」も氏らしい超絶技巧が光る。

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    2021年02月06日
  • 小さな異邦人

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    レジェンドの最終章を胸に刻む
     著者、最後の短編集。寄せ集めという意見もあるようだが、バラエティ豊かで各話新鮮なサプライズが待つ上質な作品集だった。
     「子供の命は預かった」- だが、8人の子供は全員家に揃っている謎の誘拐事件(「小さな異邦人」)は、結末もまさに前代未聞。読み終わってからこれが氏の遺作だと思い出し、奇跡はここにあると目頭が熱くなった。
     その他、「無人駅」「蘭が枯れるまで」「白雨」も巧くて溜め息が出てしまう。

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    2019年07月21日
  • 恋文・私の叔父さん

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     結構読んでいない作家作品があり、連城さんの著書は初めて読みました。「恋文」は直木賞受賞作品で、「恋文・私の叔父さん」と改題されています。

     さて物語は。、男一人・女二人の三角関係になっているのですが、不思議と世間一般に連想される愛憎劇とはならないのです。
     どういうことか?要はダメ男を愛した女二人が・・・。
     それにしても母性という感情は不思議なものですね。恋愛ミステリーかな?氏は上梓に至るまで、意識して書いていたのでしょうか?   おもしろい!

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    2019年06月30日
  • 隠れ菊 下

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    ネタバレ

    女性の生き様に圧倒される。弱さ、甘さ、それを経て得た強さ、したたかさ。ひとりの女性の中に色んな顔、感情がある。それがすごく面白い。

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    2019年01月27日
  • 連城三紀彦 レジェンド2 傑作ミステリー集

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    短篇ミステリ傑作集。傑作集というだけあって、どれもこれも珠玉です。でも読んだことがあるのは「菊の塵」だけだったので、連城さんにはこういう味わいの作品もあるのだなあ、と新しい発見があった気になりました。
    お気に入りは「夜の自画像」。これ、レアな作品らしいです。「花葬」シリーズ最後の作品でもあるそうだし。真相が薄皮をはぐようにじわじわ明かされてくるのが印象的。早く真相を知りたいような、しかし知りたくもないようなそんな気にさせられます。
    「ゴースト・トレイン」も面白かったです。なんと赤川さんの「幽霊列車」とのコラボって! 「幽霊列車」はかなり昔に読んだので、とても懐かしい気持ちにもなりました。

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    2018年10月27日
  • 変調二人羽織

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    初期の本格ミステリを5編収録した短編集。

    どの作品も論理と叙情を両立させたクオリティの高い短編です。
    物語の着地点を予想させない、読み手の意表をつくテクニックが群を抜いていて、犯人当てを楽しむよりもただただ作者の描く豊饒な物語を堪能するばかりでした。

    心に残ったのは表題作「変調二人羽織」と「六花の印」の2作。

    まずは「変調二人羽織」。
    東京の夜空に珍しく一羽の鶴が舞った夜、一人の落語家・伊呂八亭破鶴が殺された。
    舞台となった密室にいたのはいずれも破鶴に恨みを抱く関係者ばかり。捜査で続々と発覚する新事実。そして、衝撃の真相は―。

    出だしから絵画を観るような、格調高い文学的な香りのする文

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    2018年04月16日
  • 宵待草夜情

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    ミステリ短編集。どれもが男女の歪んだ愛憎物語を描いたもので、じっとりとした情念と恐ろしいとまで思えるような驚愕の真相が待ち構えています。だけどそれと同時に、どの物語もひどく情緒にあふれていて美しく感じられました。じっくりと雰囲気に浸りながら読みたい一冊です。
    お気に入りは「能師の妻」。恐るべきバラバラ殺人と、人間消失の謎。その真相は衝撃的でした。もうあまりにとんでもない物語で絶句するしかなかったのだけれど。どこかしら美しく哀しい「愛」が見えるところもまた印象的なんだよなあ。
    「花虐の賦」も好きな一作。逆転の発想というか何というか……こんなの思いつきません。これもまたあまりに愚かしいと言ってしま

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    2018年03月18日
  • 連城三紀彦 レジェンド2 傑作ミステリー集

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    どれも、さすがの連城節だったけど、中でも、赤川次郎さんとの企画もの「ゴースト・トレイン」。永井&宇野コンビを連城さんが書くとこうなるのか。なんだか嬉しい。
    赤川さんが連城さんの作品で書いた方もチェックしなくては。

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    2017年09月21日
  • 宵待草夜情

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    女と男のカタチいろいろ。愛のカタチもいろいろ。騙し、騙されそして深みに嵌って行く。騙している時、幸せになれると信じているんだよね。その盲目的な感情が負であることに気づかずに。どんな冷静な人間でも一度「恋」に、しかも報われない可能性を秘めている「恋」に堕ちてしまうと藻掻こう藻掻こうとして、正しい判断ができなくなってしまう。そういう危うい感情を清廉でありながらも、恐ろしさや悲しさを含んだ筆に載せるのがとても上手い。いつのまにか視点が男になり女になり、あたかも当事者のような臨場感で読み終えている。愁嘆とともに。

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    2017年07月16日
  • 小さな異邦人

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    殺人事件だけがミステリーじゃない。浮気がばれるんじゃないかと猜疑心と自己嫌悪で悪い方へ悪い方へ考えてしまう「さい果てまで」。JR職員、みどりの窓口勤務の男と女。私にとっては夢の職場だが、そこで働いてるからこそある罠にはまっていく。トリックが分かれば些細なことなんだけど。思い込むと真実は見えなくなる。表題「小さな異邦人」短いながらも、二転三転。一致団結している家族の危機も描かれていてハラハラ。語り手の長女14歳!結末、これでいいの?と心配になる。これも時代か。他、夢が繰り返される主婦の独白。夢野久作みたい。

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    2017年07月10日
  • 恋文・私の叔父さん

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    年下の夫に寛大すぎる妻とわがままを突き通す夫、一見なんとも後味が悪い関係性だけれど、それを覆す究極の愛が描かれている。難しい、実に難しい判断だけれど妻はよくやった。そして最後の夫への言葉。受け止めろよ夫。2話目、亡くなった妻の母、義母とある男の物語。この話が一番好きだ。集まってみれば全員他人である登場人物が労り合って、気遣い合って人生を歩もうとしている。義母の奥ゆかしい去り方。そして男の新しい妻になろうとしている女のさりげない優しさ。みんなが思いやりを持ち寄れば家庭は築ける。3人笑い合っている絵が浮かぶ。

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    2017年07月04日
  • 変調二人羽織

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    1.変調二人羽織
    最後の独演会の高座で死んだ、
    落ちぶれた落語家。
    自殺か、他殺か。
    他殺なら、犯人は
    不可能な犯罪を犯した事になる。
    著者の魅力溢れるの美しい文体。
    探偵役の刑事の視点で描かれる部分は
    ユーモラスで雰囲気のある作品との
    融合が面白い。
    だが、ミステリとしての満足度は
    高くなかった。

    2.ある東京の扉
    浮浪者のような薄汚い男が、
    ミステリ雑誌の編集部へ
    アイデアを持ち込む。
    このプロットが面白ければ
    即金で買ってくれと。
    男の語る物語は
    どんな結末を迎えるのか。
    本格ミステリ風なやりとりを
    つまらなく感じていたが、
    この物語の本質はそこではなかった。
    やられた。素晴らしい一作

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    2017年02月11日
  • 夕萩心中

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    〈花葬〉シリーズの男女の情感の縺れと、「陽だまり課事件簿」の軽妙ながらもハードボイルドを思わせる台詞回しのカッコ良さ。

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    2016年11月23日
  • 黄昏のベルリン

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    壮大さに精密さ、緻密さを織り交ぜた傑作。読み終わった後、すごいものを読んだという興奮から抜け出せない。連城三紀彦という作家はこんなものまで書けるのかと畏怖の念まで覚えた。
    行ったことのないベルリン、パリの街を主人公とともに駆け抜けたような感覚。東西冷戦時代のヨーロッパのことがすんなりと頭に入りずっと物語に入り込むことができた。
    壮大な物語を作るため練りこまれ、洗練された緻密な伏線の数々には短編の名手でもある連城のものすごい技量を感じた。短編、長編の両方でここまでのレベルの作品を書けるのはおそらく連城しかいない。
    亡くなってしまった後に知った作家だが、できることならリアルタイムでこの作家の作品を

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    2016年03月11日