連城三紀彦のレビュー一覧

  • 人間動物園<新装版>

    Posted by ブクログ

    ある雪の日、誘拐された少女。
    盗聴器でその母親と警察を縛る犯人。
    母親が追い詰められるのがいたましい。
    そして、少女の祖父には本当に頭に来てしまった。
    なんてやつなんだろう。
    それが全ての元凶なんじゃないの。
    離婚した両親を、少女はどう思っていたのか。
    幼い心にどんな傷をおったのだろう。
    事件も一筋縄ではいかない。
    警察の様子をうかがう記者の役割はなんなのか。
    真相が明らかにされたかに見えてからの展開がまさに連城作品の真骨頂。
    あの心がせつない。

    0
    2021年09月13日
  • 暗色コメディ

    Posted by ブクログ

    これまた連城節炸裂で大満足。
    不可解な経験をした複数の人物の視点で物語が進む。
    その経験によってだんだん心が壊れていく者たち。
    いったい、本当には何が起こっているのか。
    読んでいるうちに、こちらまで謎に絡め取られていく。
    そのせいで、そこにあるはずの事実を見えなくなっていく。
    終盤、明らかになる事実にいくつものウロコが目から落ちていく快感。
    様々なことに合理的な回答が用意されているカタルシス。
    これだからミステリ読みはやめられない。

    0
    2021年09月09日
  • 宵待草夜情

    Posted by ブクログ

    「戻り川心中」で美しい文章とミステリの両立に受けた衝撃再び
    繊細な文章、そしてそれによって作られる世界観が美しくて、その美しさに浸りたくて読み返しちゃう

    中でも「書きたい人のためのミステリ入門」で読書会として取り上げられていた「花虐の賦」の鮮やかさはさすが

    0
    2021年10月11日
  • 恋文・私の叔父さん

    Posted by ブクログ

    今まで読んだ著者の作品には、『恋文』に出てくるような女を振り回す身勝手な男ばかり出てきてたけど、なぜか憎めない。その身勝手を許して受け入れてしまう気持ちがわかってしまう。
    『紅き唇』のタヅさんの想いが切ない。
    『私の叔父さん』が一番好きかな。

    0
    2021年05月11日
  • 恋文・私の叔父さん

    Posted by ブクログ

    とにかく文章が美しい。気障な表現や難しい言葉を使っているわけではないのに、なんでこんなにも心に響くのだろう。極限まで美しいものを見たとき、人は言葉をなくすというけれど、それにプラス涙も出ることをこの小説を読んで知った。
    今世では経験することができない、風情のある男女の話。
    意地っ張りで不器用だけど、とても愛おしい。
    5作品すべて好きだけど、私の叔父さんは号泣した。
    永遠のような時間をありがとうございました。

    0
    2021年03月30日
  • 造花の蜜(下)

    Posted by ブクログ

    美しい。
    文章が、トリックが、感情描写が。
    犯人は、最初は色仕掛けで共犯者を操ったかのように書かれていたけど、第2の事件では違うことが分かる。
    そういうのを超越した魅力が、この犯人にはある。
    ただ事件が起こって、犯人を推理するだけじゃない面白さが、ミステリなんだけどその枠を軽く越える。
    登場人物みんなが癖があって、面白い。

    0
    2020年02月15日
  • 宵待草夜情

    Posted by ブクログ

    連城ATB1位「花虐の賦」収録
     「戻り川心中」と並ぶ最高傑作集。男女の色恋を繊細かつ緻密に描き、複雑に絡み合う美しき反転の数々で読者を魅了する。「花虐の賦」はまさに至極の一作。「戻り川心中」をも凌駕する驚愕の動機と、鴇子の生き様に強く心を突き動かされる。「未完の盛装」も氏らしい超絶技巧が光る。

    0
    2021年02月06日
  • 小さな異邦人

    Posted by ブクログ

    レジェンドの最終章を胸に刻む
     著者、最後の短編集。寄せ集めという意見もあるようだが、バラエティ豊かで各話新鮮なサプライズが待つ上質な作品集だった。
     「子供の命は預かった」- だが、8人の子供は全員家に揃っている謎の誘拐事件(「小さな異邦人」)は、結末もまさに前代未聞。読み終わってからこれが氏の遺作だと思い出し、奇跡はここにあると目頭が熱くなった。
     その他、「無人駅」「蘭が枯れるまで」「白雨」も巧くて溜め息が出てしまう。

    0
    2019年07月21日
  • 恋文・私の叔父さん

    Posted by ブクログ

     結構読んでいない作家作品があり、連城さんの著書は初めて読みました。「恋文」は直木賞受賞作品で、「恋文・私の叔父さん」と改題されています。

     さて物語は。、男一人・女二人の三角関係になっているのですが、不思議と世間一般に連想される愛憎劇とはならないのです。
     どういうことか?要はダメ男を愛した女二人が・・・。
     それにしても母性という感情は不思議なものですね。恋愛ミステリーかな?氏は上梓に至るまで、意識して書いていたのでしょうか?   おもしろい!

    0
    2019年06月30日
  • 隠れ菊 下

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    女性の生き様に圧倒される。弱さ、甘さ、それを経て得た強さ、したたかさ。ひとりの女性の中に色んな顔、感情がある。それがすごく面白い。

    0
    2019年01月27日
  • 連城三紀彦 レジェンド2 傑作ミステリー集

    Posted by ブクログ

    短篇ミステリ傑作集。傑作集というだけあって、どれもこれも珠玉です。でも読んだことがあるのは「菊の塵」だけだったので、連城さんにはこういう味わいの作品もあるのだなあ、と新しい発見があった気になりました。
    お気に入りは「夜の自画像」。これ、レアな作品らしいです。「花葬」シリーズ最後の作品でもあるそうだし。真相が薄皮をはぐようにじわじわ明かされてくるのが印象的。早く真相を知りたいような、しかし知りたくもないようなそんな気にさせられます。
    「ゴースト・トレイン」も面白かったです。なんと赤川さんの「幽霊列車」とのコラボって! 「幽霊列車」はかなり昔に読んだので、とても懐かしい気持ちにもなりました。

    0
    2018年10月27日
  • 変調二人羽織

    Posted by ブクログ

    初期の本格ミステリを5編収録した短編集。

    どの作品も論理と叙情を両立させたクオリティの高い短編です。
    物語の着地点を予想させない、読み手の意表をつくテクニックが群を抜いていて、犯人当てを楽しむよりもただただ作者の描く豊饒な物語を堪能するばかりでした。

    心に残ったのは表題作「変調二人羽織」と「六花の印」の2作。

    まずは「変調二人羽織」。
    東京の夜空に珍しく一羽の鶴が舞った夜、一人の落語家・伊呂八亭破鶴が殺された。
    舞台となった密室にいたのはいずれも破鶴に恨みを抱く関係者ばかり。捜査で続々と発覚する新事実。そして、衝撃の真相は―。

    出だしから絵画を観るような、格調高い文学的な香りのする文章に引き込まれます。
    何気ない描写にも全てに必然性があり、魅力的な謎と人間ドラマが有機的に結びついているのが素晴らしい。

    「六花の印」。
    明治時代と現代を交互に描いた物語。
    夫に呼び戻される名家の妻を駅に出迎えた人力車の車夫と、アメリカから帰国した男を出迎えたお抱え運転手。
    車夫と運転手は、彼女と彼が拳銃を隠し持っていることに気づき…。

    過去と現在を行き来する流れに最初は戸惑いますが、行き来するたびに次第に増幅される緊張感がスリル満点。
    最後には二つの話が合流するのだろうと予想はつきますが、やはり予想の上をいく鮮やかな真相に感服。
    夫人が一瞬見せた緋色の布に包まれた拳銃や雪の中をポツポツと舞う提灯行列の光など、幻想的なまでに美しい情景が印象的でした。

    巧みなトリックに騙されながらめくるめく美文を味わえるという、なんとも贅沢な時間を過ごすことができました。

    0
    2018年04月16日
  • 宵待草夜情

    Posted by ブクログ

    ミステリ短編集。どれもが男女の歪んだ愛憎物語を描いたもので、じっとりとした情念と恐ろしいとまで思えるような驚愕の真相が待ち構えています。だけどそれと同時に、どの物語もひどく情緒にあふれていて美しく感じられました。じっくりと雰囲気に浸りながら読みたい一冊です。
    お気に入りは「能師の妻」。恐るべきバラバラ殺人と、人間消失の謎。その真相は衝撃的でした。もうあまりにとんでもない物語で絶句するしかなかったのだけれど。どこかしら美しく哀しい「愛」が見えるところもまた印象的なんだよなあ。
    「花虐の賦」も好きな一作。逆転の発想というか何というか……こんなの思いつきません。これもまたあまりに愚かしいと言ってしまえばそれまでなのだけれど。美しく哀しい物語、の印象が強いです。

    0
    2018年03月18日
  • 連城三紀彦 レジェンド2 傑作ミステリー集

    Posted by ブクログ

    どれも、さすがの連城節だったけど、中でも、赤川次郎さんとの企画もの「ゴースト・トレイン」。永井&宇野コンビを連城さんが書くとこうなるのか。なんだか嬉しい。
    赤川さんが連城さんの作品で書いた方もチェックしなくては。

    0
    2017年09月21日
  • 宵待草夜情

    Posted by ブクログ

    女と男のカタチいろいろ。愛のカタチもいろいろ。騙し、騙されそして深みに嵌って行く。騙している時、幸せになれると信じているんだよね。その盲目的な感情が負であることに気づかずに。どんな冷静な人間でも一度「恋」に、しかも報われない可能性を秘めている「恋」に堕ちてしまうと藻掻こう藻掻こうとして、正しい判断ができなくなってしまう。そういう危うい感情を清廉でありながらも、恐ろしさや悲しさを含んだ筆に載せるのがとても上手い。いつのまにか視点が男になり女になり、あたかも当事者のような臨場感で読み終えている。愁嘆とともに。

    0
    2017年07月16日
  • 小さな異邦人

    Posted by ブクログ

    殺人事件だけがミステリーじゃない。浮気がばれるんじゃないかと猜疑心と自己嫌悪で悪い方へ悪い方へ考えてしまう「さい果てまで」。JR職員、みどりの窓口勤務の男と女。私にとっては夢の職場だが、そこで働いてるからこそある罠にはまっていく。トリックが分かれば些細なことなんだけど。思い込むと真実は見えなくなる。表題「小さな異邦人」短いながらも、二転三転。一致団結している家族の危機も描かれていてハラハラ。語り手の長女14歳!結末、これでいいの?と心配になる。これも時代か。他、夢が繰り返される主婦の独白。夢野久作みたい。

    0
    2017年07月10日
  • 恋文・私の叔父さん

    Posted by ブクログ

    年下の夫に寛大すぎる妻とわがままを突き通す夫、一見なんとも後味が悪い関係性だけれど、それを覆す究極の愛が描かれている。難しい、実に難しい判断だけれど妻はよくやった。そして最後の夫への言葉。受け止めろよ夫。2話目、亡くなった妻の母、義母とある男の物語。この話が一番好きだ。集まってみれば全員他人である登場人物が労り合って、気遣い合って人生を歩もうとしている。義母の奥ゆかしい去り方。そして男の新しい妻になろうとしている女のさりげない優しさ。みんなが思いやりを持ち寄れば家庭は築ける。3人笑い合っている絵が浮かぶ。

    0
    2017年07月04日
  • 変調二人羽織

    Posted by ブクログ

    1.変調二人羽織
    最後の独演会の高座で死んだ、
    落ちぶれた落語家。
    自殺か、他殺か。
    他殺なら、犯人は
    不可能な犯罪を犯した事になる。
    著者の魅力溢れるの美しい文体。
    探偵役の刑事の視点で描かれる部分は
    ユーモラスで雰囲気のある作品との
    融合が面白い。
    だが、ミステリとしての満足度は
    高くなかった。

    2.ある東京の扉
    浮浪者のような薄汚い男が、
    ミステリ雑誌の編集部へ
    アイデアを持ち込む。
    このプロットが面白ければ
    即金で買ってくれと。
    男の語る物語は
    どんな結末を迎えるのか。
    本格ミステリ風なやりとりを
    つまらなく感じていたが、
    この物語の本質はそこではなかった。
    やられた。素晴らしい一作。

    3.六花の印
    明治。俥夫の弥吉は駅で奥様を迎え、
    雪の夜を車を引いて走った。
    現代、大手企業の令嬢夫婦に
    雇われる沼田は、
    空港へ主人を迎えに行った。
    違う時代を生きる2人の男は、
    共に良家に使える運転手。
    車に乗せた主人が自らの命を絶とうと
    考えているらしい点も共通していた。
    この、時を超えた2つの物語が
    どうリンクするのか、
    読ませる物語だった。
    そして、その真相はまた見事。

    4.メビウスの環
    「ねえ、きのうの晩、あなた、
    わたしを殺そうとしなかった?」。
    夫に絞め殺されかけたと訴える妻と、
    身に覚えのない夫。
    狭い部屋の中で繰り返される殺人未遂。
    一体何が起こっているのか。
    面白い設定で、不思議なラスト。
    余韻が残る作品。

    5.依子の日記
    戦後、長野の田舎で
    隠遁生活を始めた作家とその妻。
    静かな生活の中に突如闖入して来た
    編集者を名乗る女。
    作家の妻が書き綴る日記の形で
    物語は語られ、
    妻はその女を殺害すると書いていた。
    刺激的な始まり方をして、
    すぐに没頭した。
    何故女は殺される事になったのか、
    物語はどんな結末を迎えるのか。
    もちろん驚かされた。


    全5編の短編集。
    どれも連城三紀彦らしい情景豊かな物語。
    美しい文体と、予測できないラストが
    全てに用意されている。
    連城さんマジパねぇ。

    0
    2017年02月11日
  • 夕萩心中

    Posted by ブクログ

    〈花葬〉シリーズの男女の情感の縺れと、「陽だまり課事件簿」の軽妙ながらもハードボイルドを思わせる台詞回しのカッコ良さ。

    0
    2016年11月23日
  • 黄昏のベルリン

    Posted by ブクログ

    壮大さに精密さ、緻密さを織り交ぜた傑作。読み終わった後、すごいものを読んだという興奮から抜け出せない。連城三紀彦という作家はこんなものまで書けるのかと畏怖の念まで覚えた。
    行ったことのないベルリン、パリの街を主人公とともに駆け抜けたような感覚。東西冷戦時代のヨーロッパのことがすんなりと頭に入りずっと物語に入り込むことができた。
    壮大な物語を作るため練りこまれ、洗練された緻密な伏線の数々には短編の名手でもある連城のものすごい技量を感じた。短編、長編の両方でここまでのレベルの作品を書けるのはおそらく連城しかいない。
    亡くなってしまった後に知った作家だが、できることならリアルタイムでこの作家の作品を追い続けてみたかった。

    0
    2016年03月11日