連城三紀彦のレビュー一覧

  • 白光

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    ネタバレ

    まず最初の印象は、太陽が照りつけるメラメラとした密林やじめっとした日本の夏と、それとは裏腹に現場の部屋の中の冷たさと不気味さでした。温度がすごく伝わって来る感じ?
    最後まで犯人が誰だか分からない、ミステリーだと感じながら読んでいたのが、大どんでん返しいつ来るのか、物語が終盤から畳み掛けるように進んでいく模様が面白い。
    解説の通り、物語の語り手がコロコロと変わることで真実?事実を見つけていく進み方だが、一人称で告白をしている故、誰一人として嘘をついていないのに読み手からすると大どんでん返しが起きているという不思議な感覚を覚えた。
    もう一度読めばまた物語の感じ方が変わるのだろうと思えるので少し時間

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    2023年02月04日
  • 暗色コメディ

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    ひとつの精神病院を中心に四つの狂気が絡み合う、連城三紀彦のデビュー長編。パズルのように緻密で複雑な構成。

    連城三紀彦の短編集はいくつか読んだことがあるが、長編は初めて。バラバラで複雑に入り組んだ群像が見事に収束していくんだろうな、と思っていたら、爽快なカタルシスとまではいかず、何とかつなげました、という感じの印象を受けた。これは2読3読してこそ、パズル的な思考を楽しめるようになるのかも。誰が狂っていて、何が本当にあったことなのか、わけがわからなくなるあたり、読者を翻弄するという意味では成功しているのでは。美しい風景描写と叙情的な男女の心情が描けているのは変わらず素晴らしい。作者の凄みは感じる

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    2022年12月22日
  • 小さな異邦人

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    連城三紀彦の短篇ミステリ作品集『小さな異邦人』を読みました。
    『女王〈上〉〈下〉』、『連城三紀彦レジェンド傑作ミステリー集』、『流れ星と遊んだころ』に続き、連城三紀彦の作品です。

    -----story-------------
    誘拐、交換殺人、タイムリミット・サスペンス、そして妖しき恋愛。
    著者のエッセンスが満載された最後の短篇集 高校二年生から三歳児まで、八人の子供と母親からなる家族の元へかかってきた一本の脅迫電話。
    「子供の命は俺が預かっている。三千万円を用意しろ」。 だが、家の中には子供全員が揃っていた。
    果たして誘拐された子供とは誰なのか?
    連城ミステリーのエッセンスが満載さ

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    2022年12月03日
  • 夕萩心中

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    “花葬”シリーズの三作品は読者をうっちゃることに精魂を傾けたような出来で、そのためのネタ振りでしかない、前段部分の完成度が異様に高すぎることに、もはや笑ってしまう。結局ネタばらし部分で底が抜けてしまうだけの話を、よくもまあここまで彫琢できるものだ。職人芸の世界だけれど、オチの仕掛けそのものは多少強引な感じが否めないようにも思う。多分、オチの鮮やかさは二の次なんでしょうね。

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    2022年11月25日
  • 白光

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    家族それぞれに物語と罪があり、この世に生まれてきて何も悪い事していないのに、家族の誰からも愛されなかったし、殺されてしまった直子ちゃん。

    他の家族は皆クズです。

    何となく最後はそうだろうと初めから感じましたので、やっぱり嫌な気分で読み進めました。

    語りの部分がくどかったりするところは、サラッと読んでも理解出来ました。


    後味悪い作品です。
    実際にこんな家族が居ないこと祈るばかりです。

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    2022年09月17日
  • 白光

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    ネタバレ

    誰が犯人なんだと振り回されて振り回されて、最後にゾッとさせられた。この罪深い家族の秘密は白昼夢のように惑わせてくる。
    家族みんなから忌み嫌われる存在の直子が不憫だ。誰もが少しずつ罪を背負っていて、最初に殺意を持ったのが故人である昭世で、トドメを刺したのがまだ子どもである佳代というのがまた何とも言えない後味。
    語り手がどんどん代わっていくのが面白かった。それぞれの真実をそれぞれに信じていて、複雑に絡まって歪な様相を呈している。
    直子の最後の言葉は事実なのか、それとも桂造の幻聴なのか、もはや誰にも分からない。これも昭世の、呪いにも似た言葉の結果だろうか。

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    2022年09月02日
  • 流れ星と遊んだころ<新装版>

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    面白いことは間違いない。だけど、どうしても初期作のクオリティを求めてしまうので、星3つ。
    最後にもう一度どんでん返しがあってもよかったかな。

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    2022年08月17日
  • 暗色コメディ

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    不思議なことから始まって不思議に終わる、これはなんと言えばいいだろうか。
    説明に悩むが読んでみると面白いかも。
    是非。

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    2022年08月16日
  • 処刑までの十章

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    闘病中の長編

    約500ページのハードカバーを選択。凝りすぎとも思えるような章建てや、トリッキー過ぎる真相など、どんでん返しどころか振り回される感覚が楽しい。

    最後の10ページほどに集約された真相は、少数精鋭の登場人物全てに無駄なく役割が配されている複雑怪奇なもの。

    いやぁ、いつもながら、連城作品は気合い入れて読むべきミステリーだな。

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    2022年08月11日
  • 顔のない肖像画

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    ミステリと恋愛小説が融合した7編からなる短編集。

    連城三紀彦3作目。
    私の部屋の本棚には連城三紀彦作品で占有された一角がある。そう、私は連城三紀彦を崇拝する者の1人である。

    初読【夜よ鼠たちのために】で、美しき文体で描かれた短編叙述ミステリを体験し面食らった。余韻冷めぬうちに長編ミステリ【白光】を連読、美しき文体と構成力はそのままに、人間の闇の底が淡々と綴られ、最後の真実にたどり着いた時は完膚なきまでの衝撃を食らった。そして確信した。この人は天才だと。

    以降、今は亡き連城三紀彦を敬愛し彼の作品をコレクションのように集めている。

    約8か月ぶりの連城三紀彦作品。
    感想から述べると前読の2作

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    2022年06月12日
  • 黄昏のベルリン

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    ネタバレ

    冒険小説、国際謀略小説の名作との誉が高いがいかがだろうか。

    流石に30年以上前の作品なので、ベルリンの壁も健在で古さは拭えないが、昨今の世界的な右傾化を見ていると全くリアリティがないわけではない。

    ロシアのウクライナ侵攻でも、ロシアがウクライナをネオナチ呼ばわりしている事(とんでもない錯誤と言うか言いがかりだと思うが)をとっても、ヨーロッパの人々にとっては今もリアリティがあるのだろう。

    典型的な巻き込まれ方のストーリーで話は進むが、お話そのものは派手なアクションがあるわけでもなく淡々と進んでいく。大風呂敷を広げた割にはエンディングは尻すぼみの感がある。

    大風呂敷を広げたついでに行くとこ

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    2022年03月14日
  • 白光

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    二十年前の作品。
    今や、血の繋がった我が子を餓死させたり、赤ん坊を骨折するほどの力で殴ったり、なんて報道されるだけでもゴロゴロ転がっており、この本の結末を受け入れるのに覚悟なんていらないのではないだろうか。
    なんとお行儀のよい人たちだろう。薄く色の付いたセロファンを何枚も重ねて闇を深めるようなこの物語は、もはやメルヘン。現世はヘドロにまみれている。

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    2022年02月10日
  • 白光

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    場面だけでなく登場人物の心情や行動にまで、真夏のジリジリとした暑さとジメっとした湿気をまとっている。愛されていないとは思いたくないが、たしかに「救い」なんてひとかけらもない。

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    2022年01月12日
  • 白光

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    ある家で幼い姪が殺害され庭に埋められる。その事件を機に両家の家族等が次々に自分の心情と認識を告白していくことで、二転三転しながらも事件の真相が明らかになっていく作品。

    1つの真実に対して、誤解や認識不足により登場人物それぞれの事実が存在するため、読者としては情報の上書き、追加を繰り返さなければならない読みごたえある作品だった。

    また、姪の殺害には到底無関係と思われる人物まで何らかの闇を抱えており、嫌気が差すくらい人間の闇を見せられる作品でもあった。
    帯に書かれているとおり、本当に、この物語に「救い」なんてひとかけらもなかった。

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    2022年01月10日
  • 暗色コメディ

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    初めましての作家さん。
    主婦に画家に葬儀屋に外科医。
    4人のエピソードが同時に進行する。
    しかも病んでるから、物の見方とか状況説明とかが普通じゃない。
    中盤くらいまでは、この4人の妄想というか幻覚で
    これってミステリじゃなかったっけ?と思い始めたころに
    精神科を舞台にした4人の患者の妄想と行動が
    整理されてミステリっぽくなった。
    後半に入って、いきなり駆け足状態で
    最後には、そういうことだったのかぁ~って思うんだけど
    イマイチ爽快感に欠ける。

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    2022年01月03日
  • 恋文・私の叔父さん

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    大事な人を思いやって尊重するために自分の本心と折り合いをつけてカッコつける人たちが出てくる短編集。令和の今となってはそのカッコつける感じはキザで古くさくてカッコ悪い気もするけど、そのカッコ悪くて不器用な感じが一周回ってカッコよくも思える。

    自分はどちらかと言うと大事な人にこそ自分の本心をぶつけて、それに対する反応を踏まえて落とし所を探ったりどっちかに判断したりする。自分が楽しくないと人を楽しくさせることはできない みたいな思考回路だ。そして大事な人にもそんなように遠慮なく振る舞ってほしいと日頃から思ってる。でもふと冷静に自省としては、相手がどうしたいかを考えることはそんなにないし深くもない。

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    2021年12月16日
  • 戻り川心中

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    美しい文章に引き込まれ、推理することも忘れ淡々と読んでしまいました。

    ちゃんとストーリーはミステリーなのですが、ミステリーを読んでいないかのような感覚に陥りました。(自分でも何を言ってるのかよくわかりません笑)

    恋と花をモチーフにした短編が5つ収録されていますが、どれも本当に面白い!
    トリックよりも動機に重きを置いているのが好みです。

    なかでも「桔梗の宿」が好きです。

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    2021年12月07日
  • 戻り川心中

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    以前読んだ『夜よ鼠たちのために』という短編があまりにも素晴らしく、是非他の作品も読んでみたいと思っていた。
    大正から昭和にかけて、まだ女性がモノのように売られたり買われたり、それが当たり前だった時代のお話。
    モノのような扱いを受けたって、人間なのだから感情はある。体が女になれば、まだ子どもといえる年齢でも、気持ちも女になっていく。
    今のように、男性も女性も同等の権利を持つ(または持つことが当たり前とする)社会しか知らない人から見たら、こんな世界はきっとおぞましいおとぎ話みたいに思えるのかもしれない。

    花にまつわる・・・という話ではない、でも物語の中で情景の一部である花たちは、そのどれもが哀し

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    2021年11月08日
  • 変調二人羽織

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    ネタバレ

    どんでん返しに先が読めない。
    結末が分かった後、種類の違う感情がじわじわと忍び寄ってきて読み返したくなる。男女の愛憎が絡むと、尚のこと一筋縄ではいかない。『メビウスの輪』と『依子の日記』はその心情を読む物語としても楽しめた。
    美しい言葉選びにハッとしたのは『立花の印』。明治の時代にぴったり合う文体で、思わず遡って繰り返し読みたくなるような情緒があった。

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    2021年10月31日
  • 白光

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    一癖も二癖もある登場人物たちの独白によって事件の真相が明かされていく、といった趣のミステリーで、さほど目新しさはないのですが、事件の真相(らしきもの)に至る展開を演出する方法としては結構ハマっており、悪くはないと思いました。
    なのですが、彼ら一人一人のとる行動が何だか昭和の2時間サスペンスドラマみたいで、冷静に考えるとかなり無理があるような気が。20年前の作品なのである程度割り引いて考えないといけないのかもしれませんが、子供が殺されたのに皆平然としているとか、妻の不貞を義姉に事細かに打ち明けるとか、文学賞の選考対象になったら間違いなく「人間が描けていない」と言われちゃいそうなくらいに作り物感が

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    2021年09月15日