連城三紀彦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレまず最初の印象は、太陽が照りつけるメラメラとした密林やじめっとした日本の夏と、それとは裏腹に現場の部屋の中の冷たさと不気味さでした。温度がすごく伝わって来る感じ?
最後まで犯人が誰だか分からない、ミステリーだと感じながら読んでいたのが、大どんでん返しいつ来るのか、物語が終盤から畳み掛けるように進んでいく模様が面白い。
解説の通り、物語の語り手がコロコロと変わることで真実?事実を見つけていく進み方だが、一人称で告白をしている故、誰一人として嘘をついていないのに読み手からすると大どんでん返しが起きているという不思議な感覚を覚えた。
もう一度読めばまた物語の感じ方が変わるのだろうと思えるので少し時間 -
Posted by ブクログ
ひとつの精神病院を中心に四つの狂気が絡み合う、連城三紀彦のデビュー長編。パズルのように緻密で複雑な構成。
連城三紀彦の短編集はいくつか読んだことがあるが、長編は初めて。バラバラで複雑に入り組んだ群像が見事に収束していくんだろうな、と思っていたら、爽快なカタルシスとまではいかず、何とかつなげました、という感じの印象を受けた。これは2読3読してこそ、パズル的な思考を楽しめるようになるのかも。誰が狂っていて、何が本当にあったことなのか、わけがわからなくなるあたり、読者を翻弄するという意味では成功しているのでは。美しい風景描写と叙情的な男女の心情が描けているのは変わらず素晴らしい。作者の凄みは感じる -
Posted by ブクログ
連城三紀彦の短篇ミステリ作品集『小さな異邦人』を読みました。
『女王〈上〉〈下〉』、『連城三紀彦レジェンド傑作ミステリー集』、『流れ星と遊んだころ』に続き、連城三紀彦の作品です。
-----story-------------
誘拐、交換殺人、タイムリミット・サスペンス、そして妖しき恋愛。
著者のエッセンスが満載された最後の短篇集 高校二年生から三歳児まで、八人の子供と母親からなる家族の元へかかってきた一本の脅迫電話。
「子供の命は俺が預かっている。三千万円を用意しろ」。 だが、家の中には子供全員が揃っていた。
果たして誘拐された子供とは誰なのか?
連城ミステリーのエッセンスが満載さ -
Posted by ブクログ
ネタバレ誰が犯人なんだと振り回されて振り回されて、最後にゾッとさせられた。この罪深い家族の秘密は白昼夢のように惑わせてくる。
家族みんなから忌み嫌われる存在の直子が不憫だ。誰もが少しずつ罪を背負っていて、最初に殺意を持ったのが故人である昭世で、トドメを刺したのがまだ子どもである佳代というのがまた何とも言えない後味。
語り手がどんどん代わっていくのが面白かった。それぞれの真実をそれぞれに信じていて、複雑に絡まって歪な様相を呈している。
直子の最後の言葉は事実なのか、それとも桂造の幻聴なのか、もはや誰にも分からない。これも昭世の、呪いにも似た言葉の結果だろうか。 -
Posted by ブクログ
ミステリと恋愛小説が融合した7編からなる短編集。
連城三紀彦3作目。
私の部屋の本棚には連城三紀彦作品で占有された一角がある。そう、私は連城三紀彦を崇拝する者の1人である。
初読【夜よ鼠たちのために】で、美しき文体で描かれた短編叙述ミステリを体験し面食らった。余韻冷めぬうちに長編ミステリ【白光】を連読、美しき文体と構成力はそのままに、人間の闇の底が淡々と綴られ、最後の真実にたどり着いた時は完膚なきまでの衝撃を食らった。そして確信した。この人は天才だと。
以降、今は亡き連城三紀彦を敬愛し彼の作品をコレクションのように集めている。
約8か月ぶりの連城三紀彦作品。
感想から述べると前読の2作 -
Posted by ブクログ
ネタバレ冒険小説、国際謀略小説の名作との誉が高いがいかがだろうか。
流石に30年以上前の作品なので、ベルリンの壁も健在で古さは拭えないが、昨今の世界的な右傾化を見ていると全くリアリティがないわけではない。
ロシアのウクライナ侵攻でも、ロシアがウクライナをネオナチ呼ばわりしている事(とんでもない錯誤と言うか言いがかりだと思うが)をとっても、ヨーロッパの人々にとっては今もリアリティがあるのだろう。
典型的な巻き込まれ方のストーリーで話は進むが、お話そのものは派手なアクションがあるわけでもなく淡々と進んでいく。大風呂敷を広げた割にはエンディングは尻すぼみの感がある。
大風呂敷を広げたついでに行くとこ -
Posted by ブクログ
大事な人を思いやって尊重するために自分の本心と折り合いをつけてカッコつける人たちが出てくる短編集。令和の今となってはそのカッコつける感じはキザで古くさくてカッコ悪い気もするけど、そのカッコ悪くて不器用な感じが一周回ってカッコよくも思える。
自分はどちらかと言うと大事な人にこそ自分の本心をぶつけて、それに対する反応を踏まえて落とし所を探ったりどっちかに判断したりする。自分が楽しくないと人を楽しくさせることはできない みたいな思考回路だ。そして大事な人にもそんなように遠慮なく振る舞ってほしいと日頃から思ってる。でもふと冷静に自省としては、相手がどうしたいかを考えることはそんなにないし深くもない。 -
Posted by ブクログ
以前読んだ『夜よ鼠たちのために』という短編があまりにも素晴らしく、是非他の作品も読んでみたいと思っていた。
大正から昭和にかけて、まだ女性がモノのように売られたり買われたり、それが当たり前だった時代のお話。
モノのような扱いを受けたって、人間なのだから感情はある。体が女になれば、まだ子どもといえる年齢でも、気持ちも女になっていく。
今のように、男性も女性も同等の権利を持つ(または持つことが当たり前とする)社会しか知らない人から見たら、こんな世界はきっとおぞましいおとぎ話みたいに思えるのかもしれない。
花にまつわる・・・という話ではない、でも物語の中で情景の一部である花たちは、そのどれもが哀し -
Posted by ブクログ
一癖も二癖もある登場人物たちの独白によって事件の真相が明かされていく、といった趣のミステリーで、さほど目新しさはないのですが、事件の真相(らしきもの)に至る展開を演出する方法としては結構ハマっており、悪くはないと思いました。
なのですが、彼ら一人一人のとる行動が何だか昭和の2時間サスペンスドラマみたいで、冷静に考えるとかなり無理があるような気が。20年前の作品なのである程度割り引いて考えないといけないのかもしれませんが、子供が殺されたのに皆平然としているとか、妻の不貞を義姉に事細かに打ち明けるとか、文学賞の選考対象になったら間違いなく「人間が描けていない」と言われちゃいそうなくらいに作り物感が