連城三紀彦のレビュー一覧
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匿名
購入済み美しくも破滅的な短編集。
表題に「心中」とあるように、テーマは一貫して男女の恋愛を絡めたミステリ。
どの作品も、大正から昭和初期の雰囲気を内包した美文で綴られている。
おすすめは『桔梗の宿』 -
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ネタバレまず最初の印象は、太陽が照りつけるメラメラとした密林やじめっとした日本の夏と、それとは裏腹に現場の部屋の中の冷たさと不気味さでした。温度がすごく伝わって来る感じ?
最後まで犯人が誰だか分からない、ミステリーだと感じながら読んでいたのが、大どんでん返しいつ来るのか、物語が終盤から畳み掛けるように進んでいく模様が面白い。
解説の通り、物語の語り手がコロコロと変わることで真実?事実を見つけていく進み方だが、一人称で告白をしている故、誰一人として嘘をついていないのに読み手からすると大どんでん返しが起きているという不思議な感覚を覚えた。
もう一度読めばまた物語の感じ方が変わるのだろうと思えるので少し時間をあけてまた読みたいと思う。 -
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ひとつの精神病院を中心に四つの狂気が絡み合う、連城三紀彦のデビュー長編。パズルのように緻密で複雑な構成。
連城三紀彦の短編集はいくつか読んだことがあるが、長編は初めて。バラバラで複雑に入り組んだ群像が見事に収束していくんだろうな、と思っていたら、爽快なカタルシスとまではいかず、何とかつなげました、という感じの印象を受けた。これは2読3読してこそ、パズル的な思考を楽しめるようになるのかも。誰が狂っていて、何が本当にあったことなのか、わけがわからなくなるあたり、読者を翻弄するという意味では成功しているのでは。美しい風景描写と叙情的な男女の心情が描けているのは変わらず素晴らしい。作者の凄みは感じるが、賛否や好みは分かれるかも。 -
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連城三紀彦の短篇ミステリ作品集『小さな異邦人』を読みました。
『女王〈上〉〈下〉』、『連城三紀彦レジェンド傑作ミステリー集』、『流れ星と遊んだころ』に続き、連城三紀彦の作品です。
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誘拐、交換殺人、タイムリミット・サスペンス、そして妖しき恋愛。
著者のエッセンスが満載された最後の短篇集 高校二年生から三歳児まで、八人の子供と母親からなる家族の元へかかってきた一本の脅迫電話。
「子供の命は俺が預かっている。三千万円を用意しろ」。 だが、家の中には子供全員が揃っていた。
果たして誘拐された子供とは誰なのか?
連城ミステリーのエッセンスが満載された、最後のオリジナル短編集。
解説・香山二三郎
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2000年代に文藝春秋が発行する月刊娯楽小説誌『オール讀物』に掲載された短篇作品を収録した遺作短篇集です。
■指飾り
■無人駅
■蘭が枯れるまで
■冬薔薇
■風の誤算
■白雨
■さい涯てまで
■小さな異邦人
■解説 香山二三郎
誘拐、交換殺人、タイムリミット・サスペンス、そして妖しき恋愛… 著者のエッセンスが満載された最後の短篇集です。
そんな中で印象に残ったのは、表題作の『小さな異邦人』ですね… 母ひとり、子ども8人の大家族の柳沢家に「子どもを誘拐したから3千万円を用意しろ」という不可解な電話があるが、子どもたちは全員揃っていた、、、
誘拐されている本人が気付いていないだけと言うのだが… 誘拐されたのは誰? 誘拐犯は誰? 唯一、母親と血のつながりのない14歳の一代が抱える、病気や恋愛等の悩みも絡めながら進展する物語はテンポも良く、意外な結末が愉しめました。
その他では、
新潟県・六日市を舞台に、奇妙な、あまりにも目立つ行動をとる謎の女を描いたタイムリミットサスペンス『無人駅』、
かつての同級生と約束した交換殺人の顛末が描かれ意外な結末が愉しめる『蘭が枯れるまで』、
夢とも現実とも区別がつかない非常に幻想的なムードを漂わせ、心理サスペンスが愉しめる『冬薔薇』、
虐めにあっている女子高生の物語が、32年前の祖父の無理心中事件の物語に転じて、両方の問題が解決する『白雨』、
あたりが印象に残りましたね… 連城三紀彦の短篇集は外れがないですねー -
Posted by ブクログ
ネタバレ誰が犯人なんだと振り回されて振り回されて、最後にゾッとさせられた。この罪深い家族の秘密は白昼夢のように惑わせてくる。
家族みんなから忌み嫌われる存在の直子が不憫だ。誰もが少しずつ罪を背負っていて、最初に殺意を持ったのが故人である昭世で、トドメを刺したのがまだ子どもである佳代というのがまた何とも言えない後味。
語り手がどんどん代わっていくのが面白かった。それぞれの真実をそれぞれに信じていて、複雑に絡まって歪な様相を呈している。
直子の最後の言葉は事実なのか、それとも桂造の幻聴なのか、もはや誰にも分からない。これも昭世の、呪いにも似た言葉の結果だろうか。 -
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ミステリと恋愛小説が融合した7編からなる短編集。
連城三紀彦3作目。
私の部屋の本棚には連城三紀彦作品で占有された一角がある。そう、私は連城三紀彦を崇拝する者の1人である。
初読【夜よ鼠たちのために】で、美しき文体で描かれた短編叙述ミステリを体験し面食らった。余韻冷めぬうちに長編ミステリ【白光】を連読、美しき文体と構成力はそのままに、人間の闇の底が淡々と綴られ、最後の真実にたどり着いた時は完膚なきまでの衝撃を食らった。そして確信した。この人は天才だと。
以降、今は亡き連城三紀彦を敬愛し彼の作品をコレクションのように集めている。
約8か月ぶりの連城三紀彦作品。
感想から述べると前読の2作品ほど飛び抜けたインパクトはないものの、安定した構成と美しい文章、捻りの効いたどんでん返しに、もてなされた。
病院で女性患者が医師に強姦されたという証言から始まり、医師、医師の婚約者、患者の妹など複数のバラバラな証言から驚きの真実にたどり着く「涜された目」
亡き画家の遺作を他者に買い取られた未亡人から金に糸目をつけず競り落としてくれと依頼を受ける主人公が、不審な点を残しながら進むオークション、やがて明かされる衝撃の真相が描かれた表題作「顔のない肖像画」
特にこの2作はハマった。
ミステリ < トリック
と言う方が合点がいくかもしれない。
目から入る文字が脳で映像へと変換されていく。
映像が物語に沿った展開を見せるので私もその後を追う。
ちゃんとついて行ったはずなのに、ちゃんと疑っていたはずなのに、最後は見事に逆転している。どこかでちゃんと期待しながら。
その一瞬の、果てるような快楽をくれる作品であった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ冒険小説、国際謀略小説の名作との誉が高いがいかがだろうか。
流石に30年以上前の作品なので、ベルリンの壁も健在で古さは拭えないが、昨今の世界的な右傾化を見ていると全くリアリティがないわけではない。
ロシアのウクライナ侵攻でも、ロシアがウクライナをネオナチ呼ばわりしている事(とんでもない錯誤と言うか言いがかりだと思うが)をとっても、ヨーロッパの人々にとっては今もリアリティがあるのだろう。
典型的な巻き込まれ方のストーリーで話は進むが、お話そのものは派手なアクションがあるわけでもなく淡々と進んでいく。大風呂敷を広げた割にはエンディングは尻すぼみの感がある。
大風呂敷を広げたついでに行くとこまで行った方が面白い物語になったかもしれない。
やはりこの手のお話は外国の作家さんの方が一日の長がある気がする。 -
Posted by ブクログ
大事な人を思いやって尊重するために自分の本心と折り合いをつけてカッコつける人たちが出てくる短編集。令和の今となってはそのカッコつける感じはキザで古くさくてカッコ悪い気もするけど、そのカッコ悪くて不器用な感じが一周回ってカッコよくも思える。
自分はどちらかと言うと大事な人にこそ自分の本心をぶつけて、それに対する反応を踏まえて落とし所を探ったりどっちかに判断したりする。自分が楽しくないと人を楽しくさせることはできない みたいな思考回路だ。そして大事な人にもそんなように遠慮なく振る舞ってほしいと日頃から思ってる。でもふと冷静に自省としては、相手がどうしたいかを考えることはそんなにないし深くもない。
不思議なのは、20年くらい前にこの恋文をドラマで見てけっこう感動し、その後原作も読んでときめいた記憶があるんだけど、今回また読んでそういうときめく気持ちはなかった。昔と今とで考え方が変わっているのかもしれない。時代のせいか?
だからなんだというものでもないし自分を改めるつもりもほぼないけど、読み終わってそんなことを考えた一冊でした。 -
Posted by ブクログ
以前読んだ『夜よ鼠たちのために』という短編があまりにも素晴らしく、是非他の作品も読んでみたいと思っていた。
大正から昭和にかけて、まだ女性がモノのように売られたり買われたり、それが当たり前だった時代のお話。
モノのような扱いを受けたって、人間なのだから感情はある。体が女になれば、まだ子どもといえる年齢でも、気持ちも女になっていく。
今のように、男性も女性も同等の権利を持つ(または持つことが当たり前とする)社会しか知らない人から見たら、こんな世界はきっとおぞましいおとぎ話みたいに思えるのかもしれない。
花にまつわる・・・という話ではない、でも物語の中で情景の一部である花たちは、そのどれもが哀しい美しさを纏い、わたしたちの胸を苦しくさせる。
ミステリーと呼ぶにはあまりにも文学的過ぎる、泉鏡花を彷彿とさせるような短編集。
それが故に、普通に読むには難しい、または退屈だ、物足りないとさえ思うかもしれない。することをすべて済ませてしまった夜に、お酒でも飲みながらじっくり向き合いたい本だと思う。