連城三紀彦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ミステリと恋愛小説が融合した7編からなる短編集。
連城三紀彦3作目。
私の部屋の本棚には連城三紀彦作品で占有された一角がある。そう、私は連城三紀彦を崇拝する者の1人である。
初読【夜よ鼠たちのために】で、美しき文体で描かれた短編叙述ミステリを体験し面食らった。余韻冷めぬうちに長編ミステリ【白光】を連読、美しき文体と構成力はそのままに、人間の闇の底が淡々と綴られ、最後の真実にたどり着いた時は完膚なきまでの衝撃を食らった。そして確信した。この人は天才だと。
以降、今は亡き連城三紀彦を敬愛し彼の作品をコレクションのように集めている。
約8か月ぶりの連城三紀彦作品。
感想から述べると前読の2作 -
Posted by ブクログ
ネタバレ冒険小説、国際謀略小説の名作との誉が高いがいかがだろうか。
流石に30年以上前の作品なので、ベルリンの壁も健在で古さは拭えないが、昨今の世界的な右傾化を見ていると全くリアリティがないわけではない。
ロシアのウクライナ侵攻でも、ロシアがウクライナをネオナチ呼ばわりしている事(とんでもない錯誤と言うか言いがかりだと思うが)をとっても、ヨーロッパの人々にとっては今もリアリティがあるのだろう。
典型的な巻き込まれ方のストーリーで話は進むが、お話そのものは派手なアクションがあるわけでもなく淡々と進んでいく。大風呂敷を広げた割にはエンディングは尻すぼみの感がある。
大風呂敷を広げたついでに行くとこ -
Posted by ブクログ
大事な人を思いやって尊重するために自分の本心と折り合いをつけてカッコつける人たちが出てくる短編集。令和の今となってはそのカッコつける感じはキザで古くさくてカッコ悪い気もするけど、そのカッコ悪くて不器用な感じが一周回ってカッコよくも思える。
自分はどちらかと言うと大事な人にこそ自分の本心をぶつけて、それに対する反応を踏まえて落とし所を探ったりどっちかに判断したりする。自分が楽しくないと人を楽しくさせることはできない みたいな思考回路だ。そして大事な人にもそんなように遠慮なく振る舞ってほしいと日頃から思ってる。でもふと冷静に自省としては、相手がどうしたいかを考えることはそんなにないし深くもない。 -
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以前読んだ『夜よ鼠たちのために』という短編があまりにも素晴らしく、是非他の作品も読んでみたいと思っていた。
大正から昭和にかけて、まだ女性がモノのように売られたり買われたり、それが当たり前だった時代のお話。
モノのような扱いを受けたって、人間なのだから感情はある。体が女になれば、まだ子どもといえる年齢でも、気持ちも女になっていく。
今のように、男性も女性も同等の権利を持つ(または持つことが当たり前とする)社会しか知らない人から見たら、こんな世界はきっとおぞましいおとぎ話みたいに思えるのかもしれない。
花にまつわる・・・という話ではない、でも物語の中で情景の一部である花たちは、そのどれもが哀し -
Posted by ブクログ
一癖も二癖もある登場人物たちの独白によって事件の真相が明かされていく、といった趣のミステリーで、さほど目新しさはないのですが、事件の真相(らしきもの)に至る展開を演出する方法としては結構ハマっており、悪くはないと思いました。
なのですが、彼ら一人一人のとる行動が何だか昭和の2時間サスペンスドラマみたいで、冷静に考えるとかなり無理があるような気が。20年前の作品なのである程度割り引いて考えないといけないのかもしれませんが、子供が殺されたのに皆平然としているとか、妻の不貞を義姉に事細かに打ち明けるとか、文学賞の選考対象になったら間違いなく「人間が描けていない」と言われちゃいそうなくらいに作り物感が -
Posted by ブクログ
連城先生の著作を読むのは今回が三度目で、二度目の「夜よ鼠たちのために」を読んだ時にも「9作中9作全部不貞行為があって辟易した(それはそれとして面白かった)」といった感想を書いたのですが、こちらの短編集も8作中6作の登場人物が不貞行為を働いていて、どれを読んでもまず「どーせ浮気しとるんやろが!」とか思ってしましました。おかげで表題作に出てくるお母さんにあらぬ疑いをかけてしまって申し訳ない気持ちになりました。ごめんなさい。
私は特に男女間の痴情のもつれや、いけないとわかっていても愛さずには憎まずにはいられないといった心の機微に対するアンテナがビンビンというわけではないので、「無人駅」「冬薔薇」「風 -
Posted by ブクログ
「変調二人羽織」は、二十代の頃に読んだはずなのだが、幸いにも殆ど内容を覚えていなかったため、改めて新鮮な気持ちで楽しめました。
それにしても、トリックの意外性と無数にある丁寧な伏線は、毎度毎度、素晴らしいと思ってしまう。表題作にしても、本当に巧妙に入っているので、これは見逃してしまう。円葉のしくじりとか、百人一首とか、なんか緩いんだよね、とか。今読んでも、全く色褪せない推理小説だと思いますし、連城さんの場合、文体や情感の濃さもあるので、それがまた独特の哀愁を醸し出していて好きです。オープニングの鶴の描写なんか、秋に読むと本当に泣くかもしれない。
ただ、「ある東京の扉」は、いかにもな昭和の陰