保阪正康のレビュー一覧
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■関東軍の暴走
■国際協調の放棄
■言論・思想の統制
■中国侵攻の拡大
■三国同盟の締結
■日米交渉の失敗
この10年間をこのように分けていくとこんなに解りやすかったとは、という思い。結局国民には事実を伝えることなく、自分達の立場を曲げられないことを前提に「仕方ない」という言い訳でアメリカとの戦争に突っ込んでいった日本。Sunk Cost や他人、上官、天皇の立場を忖度して判断、決断した、責任を取らない、取りたくない、という傾向は何十年も前から培われたものだった。そう思うと、変えるのにはまだまだ時間が掛かりそうだ。誰かに決めてもらう癖、習慣を変えないとこの国はまた低迷するだろう。この変化も外圧に頼るのだろうか? -
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最後に半藤氏が諭すように言われている通り、我々は学び続けないといけない。令和になって戦争を知らない世代だけになり、いつか来た道をまた歩きだしてる気がしている。威勢だけは良いが、覚悟の全く無い人たちが政治を動かし、戦前と同じくらい社会の不平等も拡大してきた。なんとも不気味である。
ただこの本を読んでアメリカ人もいい加減学んだ方が良いとつくづく思った。先日ホーチミン市の戦争記念館に行ってきたが、彼らがベトナムでしたことは東京大空襲や広島長崎と全く同じ。それもそのはず、カーティス・ルメイが空軍参謀総長だったことをそこで初めて知った。ルメイのような明らかな戦争犯罪人を重用し続ける構図は、盧溝橋での牟田口やノモンハンでの辻の責任を有耶無耶にし、インパールやガダルカナルの惨劇を招いた旧日本軍と変わるところはない。 -
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ネタバレ最近なんとなく、日本の政治なのか経済なのかよく分からないけど、よく分からないなりに、なんとなく違和感を感じていて、でもその違和感を言葉にできなくて、何が原因なのかも分からなかった自分は圧倒的知識不足だと思い、とりあえず重い腰を上げて積読になっていたこちらを読んでみた。
読んだら読んだで、最近の本の中で1番おもしろいやないかい!!!何がおもしろいかってこれが限りなくノンフィクションであるということ。
そして日本という国の特色だったり、太平洋戦争で何が起こったか、本当は陰でどんなことがあったのかなど、現代にも繋がるような問題が分かりやすく書かれていて、最後の最後まで驚きや学びの連続だった。
歴史って漢字だったり難しい言葉が多かったり、どうしてもとっつきにくい印象があったけど、最初に読んだ本がこれで良かったなって思った!
今回この本を読んだことで、いろんな角度から昭和史についての本を読んでみたいなって思ったし、ゆくゆくは私の感じてる現代への違和感も言葉にして伝えることができるようになるんじゃないかと思った。あとは昭和天皇と東條英機にフォーカスした本も読んでみたいなって思った。 -
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「昭和史」ということで、一部にそれ以前やそれ以降の時代も視野に入れながら、社会や人々の来し方を考えるという内容の一冊になるのだと思う。広く、深く様々な「昭和史」を綴っている著者の本は興味深かった。また長く「昭和史」をテーマに様々な人達の話しを聴くというような活動を続ける著者の「蓄積」が本書には大いに反映されているとも思う。
「テロル」とはドイツ語の「Terror」から来ている。直接の語義としては「恐怖」ということになるようだ。暴力や、その脅威というような恐怖を背景に、同調しない人々や敵対的な人々を威嚇しながら何事かを為すというような感じを示すのがこの「テロル」という表現になるであろう。少し踏み込んで「恐怖政治」というような様相というモノも想起出来るのかもしれない。
著者は2022年7月に発生してしまった元首相への銃撃、そして殺害という出来事を契機にこの「テロル」ということに関して考える文章を綴った。雑誌で発表したそれらを基礎に加筆する等して纏めたのが本書であるという。
2022年7月の元首相の事件に関しては、事件現場の辺りの様子を偶々知っていたので酷く驚いた記憶も在る。実行犯の非常に個人的な、傍で聞く分には「逆恨み?」か何かのような想いに衝き動かされての行動であるように伝えられた。が、「政治家に凶弾」というのは社会に「恐怖」を撒き散らすという意味で、所謂「テロル」という側面が在ることを排する訳にも行かないというのが著者の問題意識の入口に在ったのだと思う。
そしてその問題意識が向いた先が「昭和史」で、濱口雄幸首相襲撃から<2.26事件>に至る時期(昭和5年頃から昭和11年頃)、続発した事件、未遂となった事件で「恐怖」が撒き散らされ、社会が歪んでしまっていたと言わざるを得ない時期が在ったということが本書では語られている。幾つもの事件の事情等が、本書では詳しく紹介されている。昭和史に「テロルの時代」とでも呼ぶべきモノが在ったということになる。相次いだ国内の事件と、他方で戦争へと突き進んで行くという、少し意味合いの異なる、他方で底流に在る何かに共通する要素も多く在ると考えられる「テロルの時代」が更に拡大される。
<2.26事件>は、「テロルの時代」の“段落”のような感ではある。事件そのものは、何人かの重臣が無残に殺害されたと知った昭和天皇が「自ら兵を率い、事件を起こした者達を討ちに出る」とまで口にしたと伝わるようだが、事件を起こした者達の考えが容れられないということで収束はした。それでも陸軍部内の所謂「皇道派」と「統制派」という主流を争う動きは、「統制派」の流れを汲む「新統制派」という人達が制し、やがて「軍事で掻き回される国政」という様相になって行く。
様々な事件が続発していた中、それに警鐘を鳴らす発言をしていた人達が在ることも伝えられ、本書でも紹介されている。ジャーナリストの桐生悠々や衆議院議員の齋藤 -
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黒船来航で、江戸幕府が倒れて大政奉還し、明治政府が樹立されるも外国からの不平等条約で経済困窮に喘ぐ日本。戊辰戦争や西南戦争などの内戦を克服し、欧米列強並みに振る舞おうとして背伸びするが限度がある。歴史では、日清・日露の両戦役に勝利したとされるが、著者の分析では必ずしも日本に有利な条件は引き出せておらず、本当に勝利と言えるか。明治以降、ほぼ10年に1回の戦役を続け、ついにアジア・太平洋戦争で大敗を喫した日本。敗戦の反省の上に平和憲法を樹立し、78年間他国と戦争していない国は珍しい日本。敗戦の反省と被爆という悪夢こそ、戦後日本の復興と勝利があったのではないかと投げかける。
戦争と言えばクラウゼビィッツの戦争論から始まる。戦争は、①生存手段の確保、②安心できる空間の確保、③支配欲、の3つが絡み合って始まる。また、局地戦闘に勝利しているにもかかわらず戦争に負けた日中戦争やベトナム戦争など枚挙に暇がない。昨今のウクライナ戦争は、クラウゼビィッツのテーゼと異なっているのではないか。また、従来の戦争を変え、プーチン大統領が核の使用をちらつかせ、第2次世界大戦以上に機械化部隊が全面に立ち、ドローンを使った新たな戦術も生まれ、戦争企業が参戦して戦争の営業行為に転じている。一方で、サイバー戦争で戦争の一部が不可視になっている部分も否めない。
あらためて、本書は「戦争は敗者の選択なのだ」とし、それを逆説的に検証しようと試みた意図がある。近代日本史は戦闘に勝ったと喜び、自省や自己点検を怠り、そしてやっと最後の太平洋戦争で「勝った」のだとする。新たなテーゼの獲得に成功したのだとするが、どう判断するか著者らしく問題提起を投げかける。「負けるが勝ち」を日本は体現しているのか。新たな戦前にならぬよう更なる平和を希求する声を重ねることが必要だ。 -
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半藤一利さん、加藤陽子さん、そして編者の保坂正康さんによる対話形式で進む、1931年の満州事変から1941年の日米開戦までの、特に日本がとった行動とその背景について説明してくれる。
軍部を中心とした思い込み、慢心、根拠のない自信、精神論。今までおぼろげながら認識していた昭和史を再認識させてくれた。
折しもロシアによるウクライナ侵攻が進められ、おとしどころが見えない状態だ。一端戦争になれば、終結が難しくなることが現代でも読み取れる。
ただ、お粗末ながら当時民主主義国であり、第一次世界大戦の教訓からつくられた、国際連盟の常任理事国5ヵ国の一翼を担っていた日本ですら、戦争への道を選んでいったのだ。総括や反省が苦手な日本の指導者は、ここから何を学ばなくてはならないのか。
それを考えるのは、政治家に任せるのでは不十分で、我々の責務だろう。
「戦争というのは、暗い顔とか、わかり切った顔で近づいてくるのではない」
戦争の決断をする政治的、軍事的な上層部には、総合的にものを考え、できるだけ戦争を避けるべきだという、当たり前のことを考えてもらわなくてはならない。彼らの判断、命令一つで、その時代に生きた人たちが亡くなるわけなので、政治指導者も軍事指導者も、その重みを考えてもらわなくてはならない。そして、それを考えることができる指導者を育てなければならない。そういう軍事指導者を持てないとするならば、それはその国の不幸としか言いようない。
戦争を始める前にいくらでもリターンすることはできた、引き返せる局面はあったと思うが、彼らは不勉強だからできなかった。
今の日本人も同じように不勉強。もしかしたら、今のほうがもっと不勉強かもしれない。若い人にはとくに勉強してほしい。
という3人のことばが印象的だった。
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戦争で多くの犠牲を強いられた「戦争要員世代」と若者を戦地に駆り立てた世代の比較考察から浮かび上がる日本の未来。
正確な統計はないが大正11,12,13年生まれは太平洋戦争で最も多くの犠牲者を出した世代であるという。一方で東條英機は明治17年生まれ、同じ世代に山本五十六や石橋湛山、三木武吉など。
似たような世代でありながらもちろん、思想は異なるが同じ時代の空気を吸い教育を受けており、共通点も多い。本書はいくつかの世代に分けながら太平洋戦争を通した各世代への影響を戦後も含めて考察する。
筆者は昭和14年生まれ。価値観の大てんかんの後の戦後教育の世代である。筆者は故半藤一利と親交があり多くの対談を行っている。半藤の戦争体験、昭和史の語り部としての強い意志が筆者に継承され、本署執筆のエネルギーとなっている。世代の話から半藤の思想の継承への昇華してい後半の展開は白眉。
現代史を見る視点の一つとして40年周期説があるという。
日本の開国と言える1865年(慶応元年)、日露戦争の終わった1905年(明治38年)、そして敗戦1945年。世代体験の違いが実社会に反映するまでに要する時間であるという。
この説で考えると戦後まもなく80年、既にピークを超え2025年までに日本の歴史に何かがあるのだろうか。そして自分も逃れられない世代、何を継承し創造していけるのだろうか。考えさせられた一冊であった。 -
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ネタバレR4.2.7~2.19
(あらすじ)
陸大を優等な成績で卒業し、太平洋戦下の大本営作戦参謀を勤め、戦後は高度成長期に商社の企業参謀、さらに中曽根行革で総理の政治参謀として活躍―。激動の昭和を常に背後からリードしてきた瀬島龍三。彼の60年の軌跡を彩る数数の伝説を検証し、日本型エリートの功罪と歴史に対する指導者の責任を問うノンフィクション力作。
(感想)
保阪正康さん本2冊目。
「参謀」という職務がよく分かる一冊。
また、瀬島龍三という人を初めて知った一冊。
この本、1991年に出版されて、瀬島さんが亡くなったのが2007年、ご存命のうちに根掘り葉掘り書かれたわけですね。いろいろとお互いに想いがあっただろうなと感嘆。大変考えさせられたドキュメントでした。 -
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ネタバレR3.12.14~R4.2.7
(あらすじ)
いつの世も、知恵と知恵の戦いが歴史をつくる。
時にそれを「陰謀」という。
よく知られた史実も、
本来は何者かの陰謀の産物かもしれない――。
必敗の対米開戦を決定づけた「空白の一日」、ルーズベルトが日本に仕掛けた「罠」、西郷隆盛が見誤った「会津の恨み」、「天皇がいて、いなかった」大正の特異な5年間、大杉栄虐殺の真犯人、特攻攻撃の本当の責任者、瀬島龍三が握りつぶした極秘電報の中身……。
歴史は陰謀に満ち満ちている。そして真相は、常に闇に閉ざされる。
近現代史研究の第一人者が、その闇に光を当てる。
あの戦争を中心に、明治以降の重大事件の裏面と人物の命運を史料と肉声で検証。
「真実」を明らかにする!
(感想)
初の保阪正康さん。
太平洋戦争の詳細な裏話、ちょうど知りたかったポイントがたくさん詰まっていました。
バイブルになりそうです。