保阪正康のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
1.勝ったという経験は、人間を反省させないし、利口にもしません。
2.教育によって国というのは立つんです。経済によっては立たない
3.大きく変革するときに、人間というものは正体を現すんですよ
4.残しておけば、あとの人が真実に近づくことができます
どれも、うんうん、と頷きながら読んだが、ウクライナ侵攻が続く今、考えているのは、なぜ、ロシアがウクライナへ侵攻したのか、ということだ。
その要因は、いくつもあるだろうが、そのうちの一つに、ロシア(当時のソ連)が第二次世界大戦においてナチスに勝利した、という記憶があるからではないか、と思う。ソ連は、この戦争を「大祖国戦争」と呼び、その栄光を讃え続けている。
それなのに、今、ロシアの評価が低いと感じていること、かつての栄光と領土を取り戻そうということが、その大きな動機であり、今もってロシア国民もプーチンを支持している理由なんじゃないだろうか。
そんなことを思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ毎度お世話になっております、半藤さんと保阪さんの対談形式で、
昭和史を官軍、賊軍の視点で描く一冊。
お二方の著書をよく読ませてもらうのは、
複雑な昭和史をわかりわすくまとめているからなのですが、今回もわかりやすかった。
鈴木貫太郎って何でこんな評価分かれるんだろうなとずっと思ってたけど、
「ニ・ニ六事件で殺されかけて、とにかく生きることを優先し、戦争を終わらせるために生き延びた。だから戦争賛成側にも恨まれないようにどっちつかずの態度をとった」という
本書での視点はなるほどだなぁと。
斬新な視点だなと思いました。
今だからこそ、そんな昔の出身地で官軍賊軍なんて…と思うけど、それがアイデンティティであり、自分を構成する一部だったんだもんな。
特に海軍は人数が少ない分、それが顕著だったそうで、鈴木も、三羽烏の米内、井上、山本五十六も冷遇されている。
逆に陸軍は永田鉄山、東條英機あたりから「反長州閥」の流れが出てくるんだけど、
それにより皇道派や統制派の戦いが生まれるという…。
いずれにせよ官軍賊軍が昭和にまで影響を及ぼしたことを実感する一冊でした。
それにしてもお恥ずかしながら、今村均という人に関しては全然知らなかった。
こんな清々しい軍人がいたとは。
また別著で読もう。
-
Posted by ブクログ
出版当時は、瀬島龍三も生存し、著者としては、歴史の真実を語って欲しい、語っていない、隠している、とのトーンに終始している。
ただ、瀬島が他界し、それも叶わない中で、この本を読むと拍子抜けの感にもなる。
瀬島は、相当に意思の強い人物であるからして、墓場まで持っていかざることも多々あったのだろうし、それも理解できる。
(戦中の数々の疑義に対し、おそらく著者が推測していることの大半が真実に近いのだろう)
それを離れ、瀬島がどのような人生を送ってきたのか、特に戦前、戦中、戦後と世の一線に身を置いてきた人物に対して大いに関心がある。それは良い悪いではなく。
陸軍という特殊な集団で、どのように頭角を現してきたのか?、また陸軍の組織の弱みは?
興味深いところは、伊藤忠時代。
よく、戦後の復興、特に企業活動について、陸海軍の組織論が活かされている、と聞くが(それが発射台を高くしていた)、まさに彼が伊藤忠で組織を動かす際に使っていた要諦は陸軍で仕込まれた仕組みだ。
以下抜粋~
・戦争とか騒擾の要因は、歴史をひもとけば三つしかない。思想・宗教、食料・水、そして燃料、このうちのひとつが要因となって戦争は起こる。
・「一人一人に「もっと勇敢にやれ」というようなことは、いうものじゃないんです。組織全体にひとつの勢いをつけるということが大事なんです。勢いさえつければ、人間の心理からしてみんなが最大限に全幅の努力を傾注し能力を発揮するようになるものだと私は信じます」
・「戦術の失敗は戦略で補えるが、戦略の失敗は戦術では補えない」 -
Posted by ブクログ
昭和史研究の第一人者「坂本多加雄」、「半藤一利」、「秦郁彦」、「保阪正康」が昭和史を討論した作品『昭和史の論点』を読みました。
ちょっと前になりますが、12月8日… 太平洋戦争開戦の日に、昭和史のことを考えたくなり読み始めました。
-----story-------------
日本は進路を誤ったのか、戦前は「暗黒」だったのか、ワシントン体制から戦争責任まで、いまに尾をひく諸問題を徹底討論する。
国を鎖していた小さな国が、急速な近代化をなしとげ、しまいには世界の“一等国”を自任するまでになった。
しかし東亜の風雲はおさまらず、軍部は独走し、複雑な国際情勢の中で、ついに未曾有の大戦争に突入していく―。
昭和日本はどこで誤ったのか?
戦争以外の進路はなかったのか?
ワシントン体制から満州事変、二・二六事件、盧溝橋事件を経て、太平洋戦争、敗戦に至る過程を、昭和史研究の第一人者たちが、片寄った史観にとらわれることなく、徹底的に討論検証する。
-----------------------
ワシントン体制から戦争責任までの期間を、時代に沿った以下の17テーマで四人が討論している作品です。
■1 ワシントン体制(大正10年) ― 反英のスタート
■2 張作霖爆殺事件(昭和3年) ― 陰謀の発端と発言せざる天皇
■3 満州事変から満州国へ(昭和6年) ― 泣く子も黙る関東軍
■4 国際連盟からの脱退(昭和8年) ― 新聞の果たした役割
■5 二・二六事件(昭和11年) ― 皇道派と統制派
■6 盧溝橋事件から南京事件へ(昭和12年) ― 陰謀・虐殺の事実は?
■7 東亜新秩序声明(昭和13年) ― 自主外交の突き当たったもの
■8 ノモンハン事件(昭和14年) ― 北進から南進へ
■9 日独伊3国同盟(昭和15年) ― 4国同盟への夢想
■10 四つの御前会議(昭和16年) ― 戦争への道のり
■11 ハル・ノート(昭和16年) ― 多くの陰謀説の検証
■12 真珠湾攻撃(昭和16年) ― 「無通告急襲=騙し討ち」の汚名
■13 大東亜共栄圏 ― 「解放戦争」か「侵略戦争」か
■14 餓死と玉砕 ― 太平洋戦争の軍事的側面
■15 科学技術と戦略 ― 戦艦大和・零戦・酸素魚雷
■16 原爆とソ連侵攻(昭和20年) ― 聖断をもたらせたものは何か
■17 戦争責任と戦後補償 ― 謝るべきか、否か
■関連地図・年表
昭和史研究の第一人者たち… と言っても、17もテーマがあると、それぞれに特に得意なテーマがあるようで、テーマによってリーダー的な発言をする人が異なっていましたね。
意見が相違したり、対立するテーマもありました。
歴史というのは、事実として判明している部分は意外と少なく、事実から類推する部分が多いので、このようなことは起こって当たり前なんでしょうねぇ… ひとりの人の意見だけを信じるのではなく、複数の人の意見を知ることにより、多面的に物事を見て、判断できるようにしないといけませんね。
そういう意味では、歴史って、答えのないミステリーのようなものなんですよねぇ、、、
事実と推理を組合わせて仮説をたて、それを証明できる資料や証言を探す… ということを繰り返して、真実に近づいて行くしかないけど、本当のことは当事者にしかわからないですからね。
興味はあるけど、なかなか頭に入らない昭和史… 勉強させてもらった一冊でした。