保阪正康のレビュー一覧
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最近ときどき「関口宏のもう一度!近現代史」という番組を見ている。学校の授業ではおろそかになりがちな近現代史をじっくりたどってくれる番組なんだけど、解説役として出演している保阪さんの書いてる本を読んでみたいと思って読んでみた。
番組では関口宏の言うことを「そうですね、そうですね」と受けている好々爺って感じなんだけど、やっぱりそれは識者の余裕ともいうべきもので、この本のなかでは言うことちゃんと言っているというか、明治以降で日本は成功したようで実は迷走していたんじゃないかなとか、個人としての明治・大正・昭和・平成天皇の実像とか、やっぱり軍事をのさばらせちゃいかんなとか、いろんな示唆を与えてくれる。
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ネタバレ最近昭和史を改めて勉強しており、何冊か読んだ上で保阪氏の著書にトライ。結果、難しいところも多々ありつつも理解出来、非常に面白いと感じた。(逆にいうと初見でこの本は厳しいかも…)
東条英機、石原莞爾、犬養毅など、興味深いものばかりだったが、
ニ・ニ六事件で父を惨殺された渡辺和子さんの「ニ・ニ六事件は私の赦しの対象から外れている」という言葉が衝撃的だった。
もちろん良い意味での衝撃なのだが、いやそうだよなと。そう思うからこそあの生き方が出来たんだろうなと、ひしひし感じました。
そして無知ゆえ、犬養毅の息子・犬養健さんがゾルゲ事件に巻き込まれていたことを初めて知った。その首謀者の尾崎からソ連切手 -
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ネタバレ冒頭の日本の戦前軍教育や体制などの部分は少し眠く感じましたが、本社を読み進める上でとても大事な部分だと後から気がつきました。
本書はタイトルにあるように太平洋戦争と呼ばれる戦争が何だったのか…という答えを書いているわけではありません。
歴史的に起きたことを書き記しながら、あの戦争が「なんだったのか」を考える必要性を説いています。
読んでるうちに、軍にも、天皇にも、国民にも、戦争国にも、全てに腹が立ってくる感覚がありました。
結局のところ日本人に欠けているのは、やはり自分で論理的に考え抜く力と、それを柔軟にコントロールする力なのではないかと思いました。
ある意味、戦争敵国に対しての狂気的 -
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なぜ日本は戦端を開いてしまったのか。比較的簡潔に、丁寧に知ることができる良書です。日本人なら一読すべきだと思います。
本書では、中国との開戦以前から米英との開戦までを時期を章ごとに分けて議論し、章末に保阪氏による解説が記載されている。冷静な分析で議論をリードしていく加藤氏と、熱くも丁寧に語る半藤氏・保阪氏の対談はとてもバランスが良く、読みやすかった。三者の話を読んでいる(聞いている)と、「なぜ日本は戦争という道を選んでしまったのか」という理由が、朧げながらも全体像を掴めたような気がする。
【梗概】
"軍部・マスメディアの罪と大衆の不勉強"
日本が米英との開戦を迎えるまで -
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最近よく、政府のコロナ対策が「太平洋戦争の時の作戦と同じで、その教訓を活かしていない」とか言われているので、ちょっと興味を持って本屋さんで目に付いた本を選んだ感じです。
2017年の終戦の日のラジオ対談を書籍化。2017年というのは、盧溝橋事件が起きた年から80年になる節目ということもあったのでしょう。1931年の満州事変から1941年の真珠湾攻撃に至るまでの、太平洋戦争突入前の10年間をいくつかのターニングポイントごとに、原因や判断や起因するもの、そして結果と検証していくのですが、ラジオ番組らしくわかりやすく読めます。
コロナ対策がどこか戦争の時の対応と似ているというのは、戦略がないなど、 -
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陸相であった下村定が”敗戦”の文字をみて、「”敗戦”ではなくて、”終戦”としてほしい」と注文をつけたのに対して、当時の東久邇宮首相は「何を言うか、”敗戦”じゃないか、”敗戦”ということを理解するところから全てが始まるんだ」と一括したという。
当時、わかっている人はいたのだ。でもいまだに終戦という。これが永続敗戦というやつか。ちょうど、終戦記念日という文字をみて、思い立って本書を読んだだけに、なおさら「終戦記念日」というものについて、あれこれ考えたな。
太平洋戦争とは何だったのか。負けることがわかっている戦争をなぜ始めたのか。後世を生きる人間には、首をかしげるばかりの歴史だ。歴史と言った -
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<目次>
序章 太平洋戦争とは何か
第1章 関東軍の暴走~1931満州事変から1932満州建国まで
第2章 国際協調の放棄~1931リットン報告書から1933国際連盟脱退まで
第3章 言論・思想の統制~1932五・一五事件から1936二・二六事件まで
第4章 中国侵攻の拡大~1937盧溝橋事件から1938国家総動員法制定まで
第5章 三国同盟の締結~1939第二次世界大戦勃発から1940日独伊三国同盟まで
第6章 日米交渉の失敗~1941野村・ハル会談から真珠湾攻撃まで
第7章 戦争までの歩みから、私たちが学ぶべき教訓
<内容>
ノンフィクション作家の保坂正康を中心に、作家 -
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昭和21年3月、アメリカ軍は関東への上陸作戦を計画していた。昭和20年11月に、九州南部への上陸作戦オリンピック作戦に続くもので、上陸地域は相模湾と九十九里浜の予定だった。 終戦により、この計画は実行されなかったが、もしこれが行われていたら、日米で500万人以上の戦死者を出し、ソ連の参戦により日本が二つに分割され、現在の朝鮮半島のような二つの国家に支配されることになっただろう。 この本では、実際に防空壕の構築に当たった人たちの証言、指揮官たちの考え方、上層部の思惑と著者による現場視察なども含めて、この作戦について考察している。 本土決戦については、以前話を聞いたことはあったけれど、その具体的な
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なぜ戦力差4倍のアメリカに無謀な戦争をしかけていったのか、著者の観点・批判は
①目的も曖昧な戦争を3年8か月も続けたのか説明責任が果たされていない。
➁戦争指導にあたって政治軍事指導者は同時代から権力を付与されたろうが、祖先,児孫を含めてこの国の歴史上において権限を与えられていなかったこと。
著者も言っているが日本人の本質は戦争前も戦争後も何も変わっていないようだ。
日本人り本質とは思想・理念といつた土台はあまり考えず、戦術のみにひたすら走っていく対症療法にこだわり綻びにつぎを充てるだけの対応策に入り込んでいく、現実を冷静にみないで願望や期待をすぐに事実におきかえてしまう。