保阪正康のレビュー一覧

  • 昭和史の深層

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    『昭和史入門』(文春新書)の姉妹編とも言うべき内容。昭和史をめぐる諸問題(あるいは昭和史に端を発する問題)に対し、現代を生きる我々の取るべき道を示していく。どの章も、冷徹な事実の積み上げによって形成されており、新聞やネットに溢れる小手先の「あった」「無かった」の水掛け論とは一線を画している。ぜひ「ネットde真実」してしまった人たちに読んで、頭を冷やしていただきたい一冊。

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    2018年01月08日
  • 昭和の戦争を読み解く 戦争観なき平和論

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    戦争をやるにも、反戦平和を唱えるにも、そこには確固たる「戦争観」が伴わねばならない。でなければ、ただ醜態をさらすのみ。

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    2018年01月08日
  • 太平洋戦争の失敗・10のポイント

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    「負けを認めたくない」と安いプライドを惜しみ、いつの間にか「負けるわけがない」という妄想に取りつかれた。そしてその根拠無き妄想が、取り返しのつかない破滅を招いてしまった……なんだか今の日本とダブるなぁ。

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    2018年01月08日
  • 昭和天皇(上)

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    やはり昭和史を追うことは、昭和天皇その人について知ることに他ならぬ。上巻では誕生(明治34年)から、弟宮:秩父宮との死別(昭和28年)まで。

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    2018年01月08日
  • 昭和天皇(下)

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    戦前・戦中における「大元帥」としての人物像に比べると、顧みられる機会の少ない、戦後における「象徴」としての姿に迫った下巻。御製(折に触れて詠まれる和歌)と記者会見での質疑応答、従者の回想記を中心に、憲政史の中での立ち居振る舞いを詳細に書いている。

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    2018年01月08日
  • 昭和史のかたち

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    昭和史の中にいくつかある重大な局面を、「かたち=図形」で捉え直す試みを綴った書。第四章で示された「頂点A=天皇、頂点B=統帥権、頂点C=統治権とする三角形」という図式は、憲法のグレーゾーンを恣意的に利用した軍部の動きが具体的にイメージでき、なるほどと思った。「かたち」を意識して、これまで読んだ昭和史関連の書籍をまた読み直せば、より理解が進むかもしれない。

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    2018年01月08日
  • 田中角栄と安倍晋三 昭和史でわかる「劣化ニッポン」の正体

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    べつに安倍総理を個人攻撃でコキ下ろす本ではない。平成28年現在の日本が直面している諸問題について、昭和史を振り返ることで深層を探っていくのが趣旨となっている。毎度毎度、保阪先生の本は文章が非常にカタくてとっつきにくく、読み進めるのに苦労するのだが、自らの言葉として吸収し、心中へと落とし込む作業を(強制的に)行うことになるので、インテリジェンスを磨く材料としては良いのかもしれない。

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    2018年01月08日
  • 「昭和天皇実録」の謎を解く

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    掛けた歳月24年5カ月、総ページ数12,000ページ。87年に渡った昭和
    天皇 の生涯を綴った『昭和天皇実録』の編纂が終了し、今上陛下に
    奉呈された のが2014年9月。

    そして、今年3月から一般刊行が始まった。早々に予約をしたのは
    いいが、 全19巻を5年かけて刊行することを予約語に知って愕然とした。
    それまで 何があっても生きていなくちゃ。

    既に刊行された2巻は手元にあるのだが、未だ手を付けていない。
    読もうと思った矢先に、本書が出版されたからだ。昭和天皇の
    崩御後、関連の書籍が多く世に出たので時間のある限り読んだ
    のだが、それでも知らないことが多い。

    なので、『昭和天皇

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    2017年08月21日
  • 昭和天皇(上)

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    [時代の御方]戦争、復興、経済成長に代表される出来事が目まぐるしく展開していった昭和という時代。天皇という存在をその時勢に合わせてどのように日本の中に位置付けていくかを呻吟し、何よりも国民と国家の安寧を願い続けた昭和天皇の歩みを、その生い立ちから崩御まで丹念に描いた作品です。著者は、日本の昭和史研究の第一人者である保阪正康。


    「何をした・何があった」という事実としての昭和天皇伝に留まっておらず、「何を思った」というところまで踏み込んでいるところに著者の意気込みを感じます。また、そのいわば心情の忖度において、安易な結論や推論を急がず、御製の詩や記者会見録などをつぶさに当たっているところに著者

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    2016年04月29日
  • 昭和天皇実録 その表と裏3

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    2.26事件のあった年、3月12日から、宮内省からの親書や対外関係文書での呼称を皇帝から天皇に統一

    天皇は京都学派の進講は不要とした。

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    2016年04月07日
  • 「昭和天皇実録」の謎を解く

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    「実録」の編纂者の中に「エース」の存在を仮定し、その人物の思考を考慮しながら読み解いていく点に興味を持った。
    まだ手を付けていないが「実録」を読む楽しみが増えた。

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    2016年04月04日
  • 「昭和天皇実録」の謎を解く

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    -2015/09/01
    ①特別攻撃隊の戦果報告を聞いた裕仁天皇は、「そのようにまでせねばならなかったか。しかし、よくやった」と語ったという。前半は天皇としての言葉、後半は大元帥としての言葉に裕仁天皇の苦悩があった。
    ②天皇はアメリカの短波放送で日本軍の所在を知る状態であったという。陸海軍が天皇に事実を伝えていなかったという事実。

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    2015年10月01日
  • 「昭和天皇実録」の謎を解く

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    陛下のご本心を知ったからといって、今更何が変わるのか?ということはあるが、とはいえ戦前の厳しい御決断を迫られる局面での陛下の息遣いを、生硬な文書から読み解く試みは、好奇心を大いに刺激するとともに、既知の日本近代史の解釈に、別の視座を与えてくれる、非常に興味深い一冊だった。

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    2015年07月26日
  • 日本原爆開発秘録

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    戦中の挿話に加えて、本書は原子力利用の推移や、近年の原発事故の問題にも筆者の筆は及んでいる。

    共感を覚えたのは…「スリーマイル、チェルノブイリ、フクシマ」は判るとして、「ヒロシマ、ナガサキ、フクシマ」には大きな違和感を覚えるという、巻末近くに挙げられた話題だった…原子力の制御が困難で「事故が起こってしまった」ということと、「破壊兵器の駆使」とは“並列”にはなり悪い筈だ…

    “原子力”に注目も集まっている状態が継続中であると思うのだが、その“原子力”との「最も不幸な邂逅」とでも言うべき原爆から丁度70年という今年である。“原子力”と人類が出くわしたような時代の物語を読むには好い時期なのかもしれ

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    2015年06月27日
  • 日本原爆開発秘録

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    『原爆を盗め!』とあわせて読むと面白い。
    日本での原爆開発についてのノンフィクションだが、仕事のやり方が変わっていないことに驚いた。
    分断された部署(陸軍、海軍、さらにはその中でも情報が共有されていない部署がある)の張り合いによるリソースの無駄遣い。
    簡単にできると思う上層部とどうせできないので自分たちに都合にあわせてノラリクラリとする実行部。
    そもそも物理的にできない(材料がない、施設がない、どちらも入手の見込みがほとんどない)ことを正面から受け止めない(られない)。
    結果、ちゃんとした(実現可能性のある)計画がなく、当然実効性のあるトラッキングができない。
    とにかく一発逆転・万馬券を狙うメ

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    2015年05月28日
  • 「昭和天皇実録」の謎を解く

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    宮内庁が編集した『昭和天皇実録』は、単に事実を載せるだけではなく、どの様に昭和天皇を見せたいのかの意図が働いていると著者達は語っている。
    しかも重要な部分では”エース”が登場していると推測しており、宮内庁と著者陣との攻防も楽しめる。

    この様な著者陣の豊富な知識、洞察力があって初めて『昭和天皇実録』を読み解くことが出来るのであろう。

    さらに違う場面を取り上げた続編を是非出して欲しい。

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    2015年05月17日
  • そして、メディアは日本を戦争に導いた

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    ネタバレ

    昭和史を専門とする2人の対談集ですが、中身は予想以上に濃いです。タイトルは意味深で、メディアが利益を追求する限り、「不買運動」などには屈するのが必然、だからそうならないように事前に策を練る必要があるという事実を、昭和初期の歴史から導きます。2.26事件から真珠湾までわずかに5年。おかしくなると坂を転がるように加速度がつくのが日本。どうも最近、東日本大震災が日本という国の「終わりの始まり」じゃないかと思えてしょうがない。原発処理、秘密保全法、道徳の教科化など、ろくでもないことが多すぎる。お薦め。

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    2014年05月03日
  • 新編 後藤田正晴 異色官僚政治家の軌跡

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    今、読まれるべき本。
    旧内務省から警察庁長官を経て内閣官房副長官、政界に転じてからは内閣官房長官、副総理、法務大臣を歴任して、一般的には「タカ派」と認識されている。
    その後藤田正晴は、実際には極端で観念的な共産主義思想を排除する一方で、岸信介元首相の系譜に連なった復古主義傾向、非現実的な観念的思考の勢力も同様に危険視し、現実的な思考に基づき、国家権力のためではなく国民が安らかに治まること=治安のために常に心を砕いてきたことが分る。

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    2014年03月31日
  • 天皇 「君主」の父、「民主」の子

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     昭和史の大家による今上天皇論。 出生から現代までの歩みを振り返り、昭和天皇の時代を痛烈に反省しながら、平和主義、国際交流、国民と寄り添うなど、「平成」の特徴を描き出している。例えば、沖縄訪問、英国や中国など旧交戦国への訪問、サイパンへの戦没者慰霊など、まるで先代が残した課題を片付けるような今上天皇の生き様である。
     興味深かったのは小泉信三が、皇太子時代の天皇への教育方針を記した原稿を引用した下り。小泉は、昭和天皇の戦争責任にはっきり触れつつ、それでも民心が天皇から離れなかったのは、平和を愛好し、学問を尊重し、国民への思いやり深い昭和天皇の君徳があったためとし、「将来の君主としての責任をご反

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    2014年03月27日
  • あの戦争になぜ負けたのか

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    対談の形で進行するが、整理されているのと、注釈が細かくつけられているため、非常に読みやすくわかりやすい。
    本書の最後に、各人が書いた文章があり、その主題で、それぞれがどこに主眼を置いているのかがわかる。それを前提としてもう一度読み直すのも興味深いと思う。

    「永遠の0」で、本当にこんな戦争だったのだろうかという疑問がわいた。小説は史実ではない。
    そしてこの本を読んだのだが、戦争というものがはじまり、継続していくということが、こういう形で行われていたのか、という再確認でもあった。国を存続させるために、やむなく開戦に至ったのだという認識を改めざるを得なかった。

    日本人とはどういう民族なんだろう、

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    2014年03月25日