保阪正康のレビュー一覧
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昭和史研究のスペシャリスト3人によるNHKラジオ番組『太平洋戦争への道』を刊行した本。
三人とも昭和史や戦争についてたくさんの著書を出版されており、どんな話になるのか期待感が高まります。
「なぜ日本は無謀ともいえる戦争に向かっていったのか?」歴史のifではなくwhyに浮かび上がってくる答えは何なのか?と興味を惹かれ手に取った作品。
本書で印象的だったのは6つの分岐点!
どの時点でも回避する術はあった。
が、色々な事情が重なり悪い方へ悪い方へ向かってしまった。
日清日露戦争の勝利で世の中は浮かれ、新聞やラジオが戦争を煽り、国民も便乗したり、クーデターや国連離脱など複雑な事情が重なって責任は軍 -
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☆☆☆ 2025年8月 ☆☆☆
戦後80年の節目に手に取ってみた一冊。
昭和史を変えた「七大事件」として筆者は以下の7つの事件を取り上げている。
①五・一五事件
②二・二六事件
③太平洋戦争
④戦後の占領
⑤六十年安保闘争
⑥三島事件
⑦田中角栄とロッキード事件
この本を読んで特に印象に残ったのは「動機至純論」。つまり動機が行動を正当化するというものか。行為の善悪、方法はどうであれ、その行為に至った動機が純粋で至高のものならば一定の評価をする、という日本人の心に深く刻まれたメンタリティ。
「五・一五事件」や「二・二六事件」ではまさにその側面が現れたと言える。
また、東条英機という人物に関 -
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前掲とほぼ同名の新書だが、こちらは刊行が20年前に遡る。著者の世代も二世代ほど差があり、それは戦争を対象化する視線に現れる。本書では戦争をどう語るかよりも、やはり直接的に「何のための戦争だったのか」を(その説明の不在も含めて)検証するオーソドックスな構成となっていて、「大人のための歴史教科書」という副題に沿う作りである。
しかし一方で気になる点もいくつかある。冒頭の広島原爆碑の文言に主語がないとする批判は、今日では右派の戦後民主主義批判の定番であるが、本書の内容はあくまで戦前から終戦までであり、戦後の日米関係も含めた射程は見られず、言いっ放しのように感じてしまう。
海軍悪玉論の根拠とされる「石 -
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アジア太平洋戦争を概観するのに、ちょうどいい良書。
軍部のあまりの愚かさに、読んでいて暗澹たる気分になる。
長期的な戦略は無し。
憲法と組織機構の欠陥。
エリート主義。
陸軍と海軍の対立、セクショナリズム。
調査・情報収集、その精査の軽視。
非科学と精神論。
人命の軽視。
etc.
東京裁判だけではなく、日本人が自分たち自身で、戦争犯罪者を裁くことをするべきだった。
そして、我々が本当に感謝し手を合わせるべきなのは、「英霊」ではなく、戦争に反対し殺された人々なのだ。
たとえ、ひとりひとりは微力でも、民衆が力を合わせて権力にはむかえば、戦争を止めることができたはずだ。
「避けられない戦争 -
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2025/05/28「松本清張の昭和史」保阪正康・加藤陽子
松本清張は天才作家 学歴なく、40歳過ぎの作家活動、巨大作品集
世の中は単なる推理小説作家に押し留めようとするが、それでも偉大 テレビでドラマが何度も制作され、再放送されるのは彼しかいない。保阪正康氏は松本清張氏をさらに歴史学者としても大きな評価を明らかにした。アカデミズムや正統派は排除しているが。
特に「昭和前史1926年―1945年」の大東亜戦争は「日本の縮図」、ここを抜きにして日本史は語れない
①なぜ対米戦争を始めたのか
②大衆の戦争意識、戦争の当事者としての現場・現実
松本清張はアカデミズムとは別の視点で「昭和の歴史を紡いだ」 -
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日本は近現代において幾度となく戦争に踏み込んだ。日清・日露戦争は国力誇示の戦いであり、満州事変は軍部の独走、大東亜戦争は国を滅ぼす道だった。なぜ日本は戦争を選び続けたのか。その背景には国際情勢の圧力と天皇制を中心とする国家体制があった。
敗戦後の日本は戦争放棄を掲げ80年にわたり戦火を交えていない。これは戦争の清算がなされた結果なのか、充てがわれた憲法9条によってか、それとも偶然の産物か。戦後天皇制は象徴へと変わり戦争を主導するものではなくなった。
戦争の記憶は薄れつつある。歴史を振り返り戦争を避ける知恵を学ぶことこそが今の日本に求められているのではないか。
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太平洋戦争は侵略の歴史にも関わらず、反戦、平和などの言葉で、臭いものに蓋をして、あまりに無知となっている。本当にそう。
読んでいて、怒りが止まらなかった。
バカと言いたい。
自分の大切な人を戦場に送ること、どれだけ辛かっただろう。
なんのために戦っているのか、軍部の目的は一般人にはどうでもよく、こんなことのためにたくさんの命が犠牲になって怒りしかない。
あの戦争の中に、私たちの国に欠けているものの何かがそのまま凝縮されている。
戦術はあっても戦略がない。
なんのためにやっているのか、いつ終わりにするのか、次どうするのか、まるで考えず、プライドのため、ワンマン体制、傲慢な裸の王様の下、誰