保阪正康のレビュー一覧
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北方領土、竹島、尖閣諸島に関して歴史的な推移を辿りながら、どのタイミングでどういった意図をもってどの国の領土と認められてきたか、そして現在はどう認識されていて、どういった反論が各国から存在するのか、日本はどう主張が可能か、綿密に考察している。こういった本を読むと、やはりテレビ・新聞等の大手メディアでは発信できる情報も限られ、一面的な報道がなされていると考えさせられる。よく外交上の会見などで政府が発言する”固有の領土”などというものは存在しないことがこれを読めばよく分かる。各国この問題に関しては、想像以上に戦略をもって発言・交渉をしている。一方が狂っていて、単純な断固たる態度のような力づくの理
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このところの国境問題について、入門書としてあちこちに取り上げられている2冊の新書がある。一つは昨年5月初版の「日本の国境問題」(孫崎享著、ちくま新書)であり、もう一つは今年2月初版の本書だ。私が本書から教えられたことは、①韓国人があれほど竹島支配に心情的にこだわるのには歴史的背景がある、②北方領土問題・尖閣諸島問題では、相手方政府のメンツをつぶす日本政府のナイーブな言動が日本の立場を極めて悪くしてきた、③ロシアと日本は対中国で利害を共有しうるのだから、北方領土問題には解決の糸口はある、という3点。 もちろん、北方四島・竹島・尖閣の三問題についての歴史的経緯も分かり易く記述されていて、読む人それ
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本書は、昭和31年3月16日に開かれた「第24回国会 衆議院内閣委員会公聴会」の議事録である。内容は、憲法改正についてであった。当時は、サンフランシスコ平和条約が締結されたこともあり、独立を回復した我が国では憲法改正の機運が高まっていた。
公聴会であるから民間の公述人を呼んで意見を訊き、その意見に対して国会議員である内閣委員会委員が質問を加えるというスタイルである。、
この3人の公述人が凄いメンバーである。日本国際政治学の父とも呼ばれた神川彦松、近衛文麿のブレーンとして活躍した中村哲、特に入会の研究で名をなし後に公害問題で活躍することになる法学者戒能通孝。
おおよそ日本 -
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6名のそうそうたる面々が大東亜戦争を討議。討議のかたちだが文章がうまく補足されてるので、戦史全体像と事件経緯もよく分かる。注釈も見開きごとにあるし。
日本の戦略性ゼロというか「エイ、ヤー」の勢いってのはこんなにもヒドかったのか。かなりコキ下ろす一方で、昭和天皇の評価は高い。天皇と大元帥の二役で苦しいなか最大限の情報発信をしてきたと。
それにしても「バスに乗り遅れるな」の勢いって、いまのTPPで騒いでんのといっしょだろ。日本人ってホントに歴史から学ばない民族なんだなあとつくづく思った。逆に外国からみればそれが不思議以上に得体の知れない恐怖を感じるのかもしれない。
あの戦争で日本人は「攻勢の -
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昭和の戦争をトピックにわけ、その原因、経緯を分析している。
戦中の軍部、行政の動き、天皇の意味、戦後の体制などが考察されていて、史実を学ぶものとして読むのもよいと思われる。
しかし、非常に重要な点はサブタイトルにある「戦争観なき平和論」である。
自分自身、右の人から見れば左に見え、左の人から見れば右に見えるように、常にどちらの意見も聞く準備だけはしておこうと思っている。戦争反対、国防強化、どちらも正しいとは思っている。
ただし、どちらの意見に組するにせよ。明確な理由をたくさん持っていなければならないと思う。
そして、さまざまな要因を考えなければならないと思う。
戦争が起こった理由のひとつ -
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[ 内容 ]
昭和十年代から教訓を学ばない者は昭和十年代から報復を受ける。
昭和二十年の敗戦―日本は310万もの戦死者をだし、中国はじめ東南アジアにも多くの犠牲者を生んだ。
そんな血の結晶の教訓を歴史に生かさない手はない。
いや、生かさなかったら申し訳ない。
[ 目次 ]
序章 昭和史を見つめる目
第1章 昭和十年代を象徴する二・二六事件
第2章 混迷する農本主義者たちの像
第3章 主観主義への埋没という時代
第4章 教訓とすべきことは何か
第5章 問われている語り継ぐべき姿勢
終章 歴史への謙虚さとは何か
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆ -
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マッカーサーが主導した「占領下日本」時代を小学生として過ごした筆者が、自身の体験もまじえながら、現在の目でどのような思いで占領という時代を見ているかを解いた書物である。
占領下日本においては、幾つかの歴史的な教訓を生む出来事があった。
大日本帝国が崩壊したあとに、どのような形で次の時代に移行したのか。
この時代の政治システムを新たに確認し、そこでの国民のエネルギーはどのようなものだったかを確かめることで次の時代の方向性が浮かび上がってくる。
そこに見えてくるものこそが次代への教訓であると筆者は言う。
占領下に起こった事象を証言者の言動をもとにして丁寧に書かれている。
「昭和史の教訓 -
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反乱、革命、クーデター……昨今、日本という国で、人びとが自分のエネルギーの全てを振り絞って権力や体制に向かって暴動を起こすといった出来事はほとんど見られない。しかし江戸、明治、大正、昭和と、現代に続く日本の歴史の過程では、時代の趨勢に命懸けで抗った男たちがいた。彼ら“反逆者たち”は、決して一個人の理想や空想に目を奪われて無謀な戦いを挑んだわけではない。混沌として先が見えない“時代の文脈”によって歴史の表舞台に呼び寄せられ、その反逆のエネルギーによって次の時代への扉を開く役割を担ったのである。
大石内蔵助、大塩平八郎、高野長英、佐久間象山、西郷隆盛、田代栄助、田中正造、出口王仁三郎、宮崎滔天、石 -
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自分が思っていたこと・感じていたことがずばり書かれていたので衝撃的な作品だった。
自分が思っていること・感じていることとは以下のことだ。
・自分の生まれた昭和という時代を持った良く知りたいと思っていること
・昭和前期の戦争の時代の正しい歴史観をみにつけたいと思っていること
・戦争の悲惨を心で感じて平和を訴えていくこと
・そんな思いを子どもの世代へバトンタッチさせること
作者は、昭和50〜60年代に生まれた世代が昭和という時代の「教訓を整理する役割を担う世代」と位置づけている。自分がふんわりと考えていたことを言説化されるととても衝撃を受けた。今はまだ同時代史という側面があるが、戦後10